「詩織さん事件」が象徴する日本

日本の女性差別状況は詩織さんへの性暴力事件と、WEFのジェンダーフリー指数で、世界153カ国のうち、121位という数字が象徴している。詩織さん事件は、個別の「事件」なのではなく、日本の人権状況を示す象徴として意味がある。そのため世界の多くのメディアが大きく取り上げている。
それにしても、山口啓之という人の、事件後初の記者会見を見て、未だ自らの行為について、理解できていない「姿」に呆れるとともに、哀れを感じた。意気地のない中年男が、日本を離れたニューヨークの地で、自分の立場を利用して、女性を酩酊させて、性暴力をふるい、“ジャーナリスト”を名乗りながら、言い訳を続けて真相は明らかにしない…。
記者会見では「ボクは、法的には何ら犯罪を犯していないことは証明されている」と平然と言い放っている。しかし、事実がうやむやになった不起訴処分と、法廷で審理が行われた裁判の判決で、どちらが重みがるかと言えば、当然民事訴訟の事実認定であることは明らかだ。


元TBS記者に賠償命令
 伊藤詩織さんへの性暴力
2019年12月18日:東京新聞

 ジャーナリスト伊藤詩織さん(30)が、元TBS記者山口敬之氏(53)から性暴力を受けたとして、千百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は十八日、「酩酊(めいてい)状態で意識がない伊藤さんに合意がないまま性行為に及んだ」と認定し、山口氏に三百三十万円の支払いを命じた。
 鈴木昭洋裁判長は判決で「伊藤さんには被害を虚偽申告する動機がない」とする一方、山口氏の説明は重要な部分で不合理に変わっており、信用性に重大な疑念があると述べた。刑事手続きでは山口氏は嫌疑不十分で不起訴となっており、結論が分かれた。
 山口氏は、伊藤さんが著書などで被害を公表したことで名誉を傷つけられたとして、逆に一億三千万円の賠償を求めたが、判決は「公表内容は真実で、名誉毀損(きそん)には当たらない」として棄却。公表は「性犯罪被害者を取り巻く状況の改善につながると考えた行為で、公益目的だ」と指摘した。
 伊藤さんは判決後、地裁前での取材に「私たちが勝利しました」と落ち着いた声で述べた。
 判決によると伊藤さんは二〇一五年四月、就職先の紹介を受けるため山口氏と会食した際に意識を失った。伊藤さんはその後、ホテルで性的暴行を受けたと主張。山口氏は、合意に基づく性行為だったと反論していた。
 伊藤さんは実名を公表して性暴力問題の深刻さを訴える著書を一七年十月に出版するなどし、日本での「#MeToo」運動の広がりに影響を与えた。
 伊藤さんは準強姦(ごうかん)容疑で警視庁に被害届を提出したが、東京地検は一六年七月に嫌疑不十分で不起訴とした。
 東京第六検察審査会も一七年九月、不起訴を覆すだけの理由がないとして、不起訴相当と議決した。
<TBSテレビの話> 元社員の在職中の事案であり、誠に遺憾です。



伊藤詩織さん勝訴
母は「想像してほしい。
わが子に性被害が降りかかったことを」
2019年12月18日:AERA

「この字を見たら実感してきました」

 12月18日午前10時半過ぎ、東京地裁の前。ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)は、「勝訴」と書かれた紙を手に、目を潤ませ語った。

 伊藤さんが元TBS記者の山口敬之氏(53)から性暴力被害を受けたとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた裁判。鈴木昭洋裁判長は、330万円の支払いを命じ、山口氏の「反訴」も棄却した。

 裁判所の前で取材に応じた詩織さんは、勝訴の感想を聞かれ、言葉を詰まらせながらこう答えた。

「まだどう感じていいかわからないので。ただ、法廷から出てきた時に、ずっと支援してくださった方がハグをしてくださって。一つのピリオドをつけることができたと思います」

 伊藤さんは2015年4月、就職相談のため、元TBS記者の山口氏と都内で食事をした。その際、意識を失い望まない性行為を強要されたとして警察に告訴。山口氏は準強姦容疑で捜査されたが嫌疑不十分で不起訴処分になった。検察審査会に不服を申し立てたが、17年9月に出た議決は「不起訴相当」。

 これを受け伊藤さんは17年9月、「望まない性行為で精神的苦痛を受けた」として、民事訴訟に踏み切った。それと同時に、レイプ被害を実名で告発した。勇気ある行動は、性被害を受けても泣き寝入りしないという「#MeToo」運動のうねりを日本社会にも巻き起こした。

 裁判所前には、多くの支援者も駆けつけた。支援者の女性(71)は喜んだ。

「本当によかった。日本の司法が良識を示してくれたと思います」

 伊藤さんは言う。

「私が経験したのは性暴力でしたけれど、その後の社会的環境や性暴力被害者が置かれている環境は本当に遅れていると思います」

 勝訴したが、これが終わりではない。これがきっかけとなり、今まで出てこなかった証拠や証言が出てきてほしいと語った。

「長かったです……。私の見ているこの景色は、以前と全く違うもの。まだまだ司法がきちんと関わらなければ、こういう事件はなかったことにされてしまう。法律、報道の仕方、教育。まだまだ宿題はあると思いますが、これを1つのマイルストーンとして、皆さんと1つ1つ考えていけたら」
 この日、伊藤さんの母親(57)も初めて裁判を傍聴した。判決の後、娘についてこう話した。

「娘の勇気を誇らしく思っています。心配もありましたけど、よく頑張ったとほめてあげたいと思います」

 伊藤さんがここまで頑張れた理由について、母は静かに語った。

「被害がなかったことにしたくなかった、昔から正義感の強い子どもだったのでそれを隠して生きていくことが彼女にはできなかったのだと思います」

 山口氏についてはこう感情をぶつけた。

「あなたにもし娘がいたらと、想像してほしい。わが子に性被害が降りかかったら、親なら胸が張り裂ける思いです」

 同日午後、山口氏は判決をうけて会見を開き、控訴するとした。

「私は法に触れる行いは一切していません」

 そう語り、「裁判では客観的証拠が検証されることなく事実認定されたことが不服だ」と主張した。

(文/編集部・野村昌二)

※AERAオンライン限定記事



「詩織さん全面勝訴」で証明された
警察・検察のおかしさ!
やはり御用記者・山口敬之と
安倍政権の関係が逮捕、立件を潰していた
2019年12月18日:LITERA

 至極当然の判決が出た。ジャーナリストの伊藤詩織さんが、安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏から意識がないなかで性行為を強要されたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、本日、東京地裁は「酩酊状態にあって意識のない原告に対し、合意のないまま本件行為に及んだ事実、意識を回復して性行為を拒絶したあとも体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実を認めることができる」と認定し、山口氏に330万円の支払いを命じた。
 判決詳報を報じた「弁護士ドットコムニュース」の記事によると、裁判所は、山口氏と伊藤さんが会食した2015年4月3日、2軒目に訪れた寿司屋を出た時点で伊藤さんが「強度の酩酊状態にあった」と認定したほか、翌日に伊藤さんが産婦人科でアフターピルの処方を受けたこと、数日後に友人に相談し、その後原宿警察署に相談に訪れていることなどをもって「今回の性行為が伊藤さんの意思に反して行われたものであると裏付けるもの」と結論づけたという。
 一方、裁判所は山口氏の供述について「重要な部分において不合理な変遷が見られる」と指摘。たとえば、山口氏は2015年4月18日に伊藤さんに送ったメールで〈あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました〉と記述していたのに、裁判では「伊藤さんに呼ばれたために山口さんが窓側のベッドから伊藤さんの寝ている入口側のベッドに移動した」と証言していたとし、こうした点から、判決では山口氏の供述について「信用性には重大な疑念がある」と述べ、対する伊藤さんの供述は「相対的に信用性が高い」と認めた。
 さらに、山口氏は伊藤さんが性行為に同意していたと主張して、伊藤さんが『Black Box』(文藝春秋)を出版するなど被害を訴えたことによって名誉やプライバシーが傷つけられたとして、伊藤さんに1億3000万円の損害賠償を求める反訴を起こしていたが、これについても東京地裁は「伊藤さんが性犯罪の被害者をめぐる状況を改善しようと被害を公表した行為には、公共性や公益目的があり、内容は真実だと認められる」とし、山口氏の訴えを退けた。
 つまり、意識がないなかで性暴力をふるわれ、意識を戻して拒絶したにもかかわらず山口氏がやめずに継続しようとしたという伊藤さんの訴えが認定され、一方、告発を封じ込めようとするような山口氏側のスラップ訴訟も退けられるという、“全面勝訴”の判決といえる結果となったのだ。
 だが、繰り返すがこれは当然の判決だ。そもそも、タクシー運転手やベルボーイという第三者による証言のほか、詩織さんを抱えて引きずる山口氏の姿が映った防犯カメラ映像も証拠として提出されている。実際、裁判所も〈ホテルに到着し、山口さんに引きずられるようにして降車した〉ことや〈ホテルの部屋に向かう間、足元がふらついていて、山口さんに支えられる状態だった〉ことを事実として認めているのだ(前述・「弁護士ドットコム」より)。
 だが、こうした当然の判決が出たことによってあらためて問い直さざるを得ないのは、なぜここまで証拠が揃った事件に対し、急に逮捕が取り消され、さらには嫌疑不十分で不起訴となったのか、という問題だ。
 あらためて振り返ると、伊藤さんからの相談を受けて、当初捜査を担当していた高輪署の捜査員は山口氏の逮捕状をとり、2015年6月8日、山口氏を逮捕すべく複数の捜査員が成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。そして、この逮捕取りやめを指示したのが“菅義偉官房長官の子飼い”である当時の中村格・警視庁刑事部長(現・警察庁官房長)だった。「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、中村氏自らが「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と認めているのだ。つまり、官邸中枢と近い警察官僚の指示により、山口氏は逮捕をまぬがれたのである。
 しかも、山口氏の逮捕が取りやめになったあと、不可解にもこの高輪署の捜査員は担当から外されてしまった。結果的に事件は2015年8月26日に書類送検されたが、山口氏は翌年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。逮捕寸前までいった事件が、このように“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのだ。

山口敬之が内調トップに相談メール、
内調は詩織さん中傷のチャート図を作成

 このあまりに不自然な逮捕取りやめと不起訴処分には、当然、官邸の関与が疑われてきた。実際、「週刊新潮」が伊藤さんの問題で山口氏に問い合わせした際、山口氏はその対応を内閣調査室のトップで“官邸のアイヒマン”との異名を持つ北村滋内閣情報官(現・国家安全保障局長)に相談していた可能性まで指摘されている。というのも、山口氏は「週刊新潮」の取材メールに対し、誤ってこんな文書を送信しているのだ。
〈北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。
伊藤の件です。取り急ぎ転送します。
山口敬之〉
「Fw:」(転送)すべきところを「Re:」してしまうあたり、山口氏が相当焦っていたことが伺えるが、一方、北村氏率いる内調は、“伊藤さんの背後に民進党人脈がいる”というフェイク情報を流しバッシングを扇動していたという衝撃的な事実まで判明した。
 じつは伊藤さんが検察審査会に不服申し立てをして司法記者クラブで記者会見をおこなった直後から、ネット上では「詩織さんは民進党の回し者」なる風評が飛び交っていた。さらに半日も経たないうちに伊藤さんと伊藤さんの弁護士と民進党の山尾志桜里議員の関係をこじつけ、伊藤さんを「民進党関係者」だとするフェイクチャート図の画像がネット上に出回ったのだ。
 だが、これについて「週刊新潮」は内調が流したものであると報道。記事では〈本誌が山口氏の問題を取り上げ、それから詩織さんが記者会見をする5月29日より少し前のこと。政治部のある記者は、知り合いの内調職員から右下の図を受け取った〉としてチャート図を紹介している。正確には、このチャート図自体は伊藤さんの会見写真が入っているため、会見後に作成されたものと考えられるのだが、内調が“こじつけの関係”を記した類似のペーパーを政治部記者に渡していたのはたしかだ。というのも、本サイトのもとにも会見前と会見後に「内調が伊藤詩織さんに対するカウンター情報をふれまわっている」という情報が届いていたからだ。つまり、内調は事前に関係を解説した資料を配布し、会見後、さらにそれを写真入りのチャート図に更新して配布したのかもしれない。さらに、本サイトの調査では、内調が情報を直接2ちゃんねるに投下した可能性すらうかがわれた。
 内調がフェイクニュースをでっち上げてマスコミにリークし、ネットにばらまく──。今夏に公開された映画『新聞記者』でも、この一件をモデルにしたと思われるシーンが登場するが、映画のなかの絵空事のような国家による謀略が、実際におこなわれていたのである。
 なぜ、元TBS記者の事件に、官邸の息がかかった警視庁刑事部長や内閣情報室がここまで動き回るのか。それは言うまでもなく、山口氏が「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」のひとりだからだ。

山口敬之と安倍首相の特別な関係!
 ヨイショ本出版の裏で「起訴なし」の検察情報入手か

 そもそも、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど安倍首相と個人的に親しい関係を築いてきた。安倍首相は国会で山口氏について「取材対象として知っている(だけの関係)」などと言ってごまかしたが、山口氏の結婚披露宴に安倍首相が出席していたことを「FLASH」(光文社)が写真付きで報じている。しかも、山口氏の単行本デビュー作となったのは、2016年6月9日に発売された安倍総理礼賛本『総理』(幻冬舎)だった。
 しかし、この『総理』をめぐっても疑惑が出ている。山口氏はFacebookで“不起訴処分は2016年7月に関係者に伝えられ、その結論を得て本格的な記者活動を開始した”などと述べているが、山口氏が『総理』を出版したのは、前述したとおり2016年6月9日。つまり、山口氏は不起訴より1カ月も早く記者活動を開始していたのだ。
 そして、この事実について、作家の中村文則氏は毎日新聞2017年7月1日付愛知版で、こう疑義を呈した。
〈そもそも、首相の写真が大きく表紙に使われており、写真の使用許可が必要なので、少なくとも首相周辺は確実にこの出版を知っている(しかも選挙直前)。首相を礼賛する本が選挙前に出て、もしその著者が強かんで起訴されたとなれば、目前の選挙に影響が出る。〉
〈でも、山口氏の「総理」という本が16年6月9日に刊行されているのは事実で、これは奇妙なのだ。なぜなら、このとき彼はまだ書類送検中だから。
しかもその(『総理』発売日の)13日後は、参議院選挙の公示日だった。だからこの「総理」という本は、選挙を意識した出版で、首相と山口氏の関係を考えれば、応援も兼ねていたはず。そんなデリケートな本を、なぜ山口氏は、書類送検中で、自分が起訴されるかもしれない状態で刊行することができたのか。〉
 つまり、山口氏はなんらかのルートを使って起訴がないことを事前に把握していたのではないかと中村文則氏は分析したのだが、山口氏と中村格氏、内閣情報調査室トップだった北村前情報官との関係を考えると、裏で官邸が動き、首相のお友だちである山口氏にいち早く不起訴を知らせていた(あるいは不起訴になるようにも っていった)可能性は十分考えられるものだ。
 事件自体に数々の証拠が揃っていながら、なぜ不起訴となったのか。しかも、伊藤さんの不服申し立てに対し検察審査会は2017年9月に「不起訴相当」と議決。ネット上では「検察審査会の判断が出たのだから山口氏は無罪」とする擁護意見が溢れることになってしまった。

山口敬之は“性的マイノリティ認めるなら
痴漢の権利も保障せよ”の小川榮太郎と会見

 だが、この検察審査会の議決についても、さまざまな疑問がある。まず、議決の理由は〈不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がない〉という、理由になっていない理由が記されているだけ。さらにどのような証拠をもって審査されたかもわからず、その上、補助弁護人も付いていなかったのだ。このことについて、元検事である郷原信郎弁護士は「補助弁護人が選任されていないということは、“法的に起訴すべきだった”という方向において、専門家の意見は反映されていないことを意味しています」と答えている(「週刊新潮」2017年10月5日号/新潮社)。
 しかも、検察審査会では安倍政権絡みの事件での不起訴に対する不服申し立てについては、同様の「不起訴相当」の議決がつづいている。かなり悪質だった甘利明・元経済再生相の現金授受問題でも、証拠隠滅のためハードディスクをドリルで破壊した小渕優子・元経産相の政治資金事件でも「不起訴相当」という議決だったからだ。
 このように、証拠が揃い、逮捕一歩手前までいったというのに、官邸周辺の人物が暗躍するなかで事件は闇に葬られようとしてきた。しかし、伊藤さんはネット上でひどい誹謗中傷に見舞われながらも、ブラックボックスを「オープン」にするため、民事裁判をおこなった。そして、ようやくその主張が民事司法によって認められたのだ。
 その道のりを想像するだけで胸が苦しくなるが、しかし、加害者の山口氏はさっそく会見を開き、控訴することを発表した。しかも、会見には同じく幻冬舎から安倍首相礼賛本を出版した小川榮太郎氏を同席させた。小川氏といえば、自民党・杉田水脈衆院議員の“性的マイノリティには生産性がない”という差別言説を“性的マイノリティを認めるなら痴漢の触る権利も保障せよ”なるヘイトの上塗りで擁護し、さらに伊藤さんバッシングを繰り広げている人物だ。そのような人物を呼び寄せて会見を開くというのが、山口氏が何をバックにしてきたかを物語っている。
 しかし、ここまではっきりと伊藤さんの主張が認められたことを考えれば、求められるのは逮捕状取り消し、捜査圧力問題の再検証だ。これは伊藤さんひとりの問題ではない。この問題に黙ることは、権力に近い人物だというだけで逮捕が取り消されてしまうという、法治国家とは言えない状態を是としてしまうことになるからだ。今回の判決を受けて、ひとりでも多くの人がいま一度その意味の大きさ、重さを考えてほしいと願う。
(編集部)



山口敬之さん
「まったく納得できない」として控訴へ。
伊藤詩織さん裁判
記者会見で、山口さんは改めて
「法に触れる行為は一切していない」と強調しました。
2019年12月18日:ハフィントンポスト
記者会見する山口敬之さん

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたとして慰謝料1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟。12月18日に東京地裁で行われた判決で、鈴木昭洋裁判長は、山口さんに慰謝料など330万円の支払いを命じる判決を下した。
午後2時から都内で記者会見した山口敬之さんは、判決について「内容にはまったく納得できません」として、「すぐに控訴する」と述べた。山口さんが記者会見するのは、伊藤さんが被害を公表してから初めて。
記者会見には、北口雅章弁護士と文芸評論家の小川榮太郎さんらが同席。司会は月刊Hanadaの花田紀凱編集長が務めた。
山口さんは改めて「法に触れる行為は一切していない」と強調した。
判決では、伊藤さん側の主張が認められたかたちだが、「客観的証拠に基づいて伊藤さんの主張の矛盾点を指摘したが、これが検証されることなく、ほぼ無視された。双方の主張の信ぴょう性が問われているのに、私が説明した部分はことごとく否定され、伊藤さんが言ったことを一方的に事実、真実とされている」だと反論し、控訴審で争う構えを示した。
訴状などによると、伊藤さんは2015年4月4日の早朝、就職相談のために食事をした当時TBSのワシントン支局長だった山口さんから、意識を失った状態で性行為を受けるなどした。山口さんの「不法行為」で肉体的・精神的な苦痛を被ったとして、慰謝料1100万円の損害賠償を求めていた。
一方、山口さんは2019年2月、伊藤さんから名誉を毀損されたことで社会的信用や仕事を失ったとして、慰謝料1億3000万円などを求めて反訴したが、判決で棄却された。


伊藤詩織さんの勝訴、
海外メディアが続々と報じる
「ブラックボックス打ち破る」
「性的被害を発言しにくい国で、#MeToo運動のシンボルが、
注目の裁判で勝訴」と報道。日本の「闇」を指摘するメディアも
2019年12月18日:ハフィントンポスト

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたとして損害賠償を求めた民事裁判で、東京地裁が12月18日、山口さんに330万円の支払いを命じる判決を言い渡したことについて、アジアや欧米の海外メディアも詳しく伝えている。
フランスのAFP通信は「日本人ジャーナリストが注目の#MeToo裁判で勝訴」という見出しで速報した。




















伊藤詩織さん勝訴を伝えるAFP通信

イギリスのBBCは、伊藤さんは、性的被害を発言しにくい国で#MeToo運動のシンボルになっていると伝えた。証拠不十分で事件化されなかったことを指摘した上で、強制性交を取り巻く環境について触れた。日本では強制性交の被害のわずか4%しか警察への被害届がでない(2017年)点をあげ、伊藤さんが警察へ相談した際に、人形を使ってレイプの現場を再現させられ「セカンドレイプ」のような扱いを受けたことに触れている。
BBC TWOは、過去に伊藤さんを数ヶ月間密着取材し、性的暴行をめぐる日本の刑事法制の問題点を取り上げたドキュメンタリー番組“Japan’s Secret Shame” (日本の秘められた恥)を2018年6月放映している。

BBCは速報で伝えた

 ロイターも同様に「日本のジャーナリストが強制性交を訴えた注目の裁判に勝訴」と速報した。

ワシントンポストは、日本では女性が声を上げにくい環境であるものの、伊藤さんの活動は、日本の#MeToo運動を加速させ、全国に性暴力や性差別の撲滅を訴える「フラワーデモ」のうねりを巻き起こしたと、伝えた。
さらに、(男性が管理職に多く)男性支配が強く古典的な日本のメディアは、
伊藤さんが刑事では不起訴になったことから、彼女の訴えを積極的に擁護することはなかった、と指摘した。
 ■中国メディア「ブラックボックス打ち破る」、韓国も詳報

伊藤さん勝訴のニュースは中国でも注目を集めた。
検索最大手「百度(バイドゥ)」では“伊藤詩織勝訴“が検索ワードランキングのトップ10入り。
現地メディアが日本の報道を引用する形で伝えた。
このうち、共産党系メディアの環球時報(デジタル版)は伊藤さんについて「日本で初めて名前や身分を明かした上で性被害を訴えた女性」と紹介した。
また、ニュースサイト澎湃新聞は「日本司法システムのブラックボックスを打ち破った」と題して記事を掲載。伊藤さんについて「民事訴訟は時間を要し、また辛いものだったが、伊藤さんは訴訟を進めつつ女性の権益のために活動を続けてきた」と評した。
中国では、手記「Black Box ブラックボックス」の中国語版「黒箱」が刊行(初版3万部)されていた。


 韓国の全国紙のハンギョレ新聞や東亜日報は「日本の#MeToo運動のシンボルが勝訴」と伊藤詩織さんを見出しでそれぞれ取り上げ、詳報した。



伊藤詩織さんは、判決後に何を語った?
「孤立しやすい性暴力のサバイバーを、
ぜひ温かく…」
判決では、山口敬之さんから受けた性被害についての
伊藤さんの告発内容を「真実である」と認定しました。
2019年12月18日:ハフィントンポスト
伊藤詩織さん

「見えているこの景色が、以前とはまったく違う」
判決後、ジャーナリストの伊藤詩織さんは、そう振り返った。
元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたとして、山口さんに慰謝料1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟。12月18日に東京地裁で行われた判決で、鈴木昭洋裁判長は、山口さんに慰謝料など330万円の支払いを命じる判決を下した。
伊藤さんが司法記者クラブで、名前と顔を出して山口さんからの被害を訴える記者会見を行ったのは、2017年5月29日。
性被害を顔や名前を明かして告発するのが珍しかったこともあり、大きな注目を浴びたが、一方で心ないバッシングもあった。刑事告発が不起訴とされたこともあり、報道するメディアも少なかった。
判決後、東京地裁前で大勢の報道陣と支援者たちに囲まれて取材に応じた伊藤さん。涙ぐみながら「今後、同じような経験をした方々に、ぜひあたたかい声とあたたかい目で...。今後、このように孤立しやすい性暴力のサバイバーを、皆さんぜひ社会の空気から変えていけるようにあたたかく...」と言葉を詰まらせながら感謝の言葉を繰り返した。

「事実は真実であると認められる」判決で合意のない性行為と認定

開廷前から山口さんと向かい合う形で着席した伊藤さん。
背筋を伸ばして緊張した面持ちで真っすぐに前を見つめたが、目には涙が浮かんでいた。手に握りしめた小さなぬいぐるみにすがるように気丈に振る舞ったが、判決を聞き、ホッとした表情を浮かべ、裁判官に深く一礼した。
グレーのスーツにパープルの格子柄ネクタイで着席した山口さんは、開廷前は目を閉じて両手を組んでいたが、判決は無表情で聞いていた。
訴状などによると、伊藤さんは2015年4月4日の早朝、就職相談のために食事をした当時TBSのワシントン支局長だった山口さんから、意識を失った状態で性行為を受けるなどした。山口さんの「不法行為」で肉体的・精神的な苦痛を被ったとして、慰謝料1100万円の損害賠償を求めていた。
一方、山口さんは2019年2月、伊藤さんから名誉を毀損されたことで社会的信用や仕事を失ったとして、慰謝料1億3000万円や、謝罪広告の掲載を求めて反訴。このため、裁判では、山口さんの訴訟も合わせて審理された。
判決では「酩酊状態にあって意識のない原告に対し、合意のないまま本件行為に及んだ事実、意識を回復して性行為を拒絶したあとも体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実を認めることができる」として、山口さんの不法行為が認定された。 
また、山口さんの反訴については、「(伊藤さんが)自らが体験した内容やその後の経緯を明らかにし、広く社会で議論することが、性犯罪の被害者を取り巻く法的、社会的状況の改善につながるとして公表したことが認められる。公益をはかる目的だと認められる」として、山口さんの名誉を棄損する行為ではないと判断し、請求を棄却した。
さらに、伊藤さんが山口さんから受けた性被害を告発した内容について、「摘示する事実は真実であると認められる」とした。 

実名をあげて被害告発「公共性および公益目的がある」

「すべての努力はジャーナリストになるために」
伊藤さんは、著書「Black Box」の中でこう記している。
ニューヨークの大学でジャーナリズムを学んだ後、トムソン・ロイターでインターンとして働いていた伊藤さんは、両親のすすめもあって正社員として就職できるメディアを探す中で山口さんと会食の機会を持った。TBS以外にも、複数の報道機関に応募していたという。
2017年5月の司法記者クラブでの会見には、「声を上げられる社会になってほしい」との思いで普段通りの服装で臨んだが、「シャツのボタンを留めていないのはおかしい」「笑っていた」など伊藤さんの主張を疑うような批判や脅迫のメッセージが届いた。しばらくは、食べ物が喉を通らず起き上がることができない日々が続いたという。
なぜ、性被害を訴える側が責められるのか。なぜ、勝手に「被害者」のイメージを決めつけるのか。伊藤さんは「おかしい」とずっと発信し続けてきた。
声を上げ続ける理由について、伊藤さんは2017年10月に日本外国特派員協会で行った記者会見でこう述べている。
「自分の中で唯一クリアだったのは、これ(自分の体験)が真実であり、自分でそれにふたをしてしまったら、真実を伝える仕事であるジャーナリストとしてもう働けないと思った」
伊藤さんが声を上げ続けたことについて、判決は「性犯罪被害者を取り巻く法的、社会的状況を改善すべく、自らが体験した性的被害を公表する行為には、公共性および公益目的があると認められる」と認定。
伊藤さんは、判決後に「長かったですね。でも、こうやって少しずつでも大きな変化が…」と涙ぐみながらも笑顔を見せた。
判決前、取材に応じる伊藤詩織さん

伊藤さん「孤独な気持ちになることがあった」

判決前、前夜はよく眠れなかったと明かした伊藤さんは、「刑事の時には、手に届かなかった情報や分からなかったブラックボックスがたくさんあった。民事訴訟のプロセスの中で出てきた証言や公になった事実があった」と訴訟の意義を語っていた。
ほぼ1日かけて行われた7月の本人尋問では、法廷で約4年ぶりに山口さんと対面。セカンドレイプのような質問に耐える場面もあった。
「尋問で顔を合わせるのは緊張していたけれど、相手方の表情を自分の目で見れたことは貴重だった」と振り返る一方、尋問前には体調を崩したことも明かし、裁判で見えた課題についても指摘した。
「支援してくれる方がたくさんいても、孤独な気持ちになることがあった。でも、多くの方が一人で経験していること。本当に負担が大きい。そういう負担を軽減していただきたい」
 
判決を受け、山口さんが当時在籍していたTBSテレビは「元社員の在職中の事案であり、誠に遺憾です」とコメントを発表した。  
裁判で、山口さんは、伊藤さんとの性行為は認めたが、「彼女が明らかに性交渉に誘ってきているものと理解した」として合意の上だったと主張していた。山口さんは、法に触れるような行為は「行なっていない」として、伊藤さんの主張については「虚言」だと反論していた。



「性暴力は人の土台傷つける」
被害やっと認定 伊藤さん、社会動かし勝訴
2019年12月18日:毎日新聞

 伊藤詩織さんが顔と実名を公表して山口敬之氏による性暴力被害を訴えてから約2年。刑事告訴した山口氏が不起訴処分となり、「最後の法的手段」として提訴した民事訴訟で被害事実が認められた。
 伊藤さんは紺色のジャケットに白いブラウス姿で出廷し、証言台をはさんでグレーのスーツ姿の山口氏と対面した。冒頭のカメラ撮影の際、伊藤さんは山口氏をまっすぐ見つめ、ハンカチで目元を押さえる場面も。勝訴が言い渡され、地裁前で支援者らに拍手で迎えられると、ようやく笑顔を見せた。
 判決は、被害者の立場や心理に寄り添ったものになった。山口氏側は性行為に同意があったことを示す根拠として、伊藤さんが被害後に山口氏にビザ取得に関するメールを送った点を挙げたが、判決は「同意のない性交渉をされた者が、事実をにわかに受け入れられず、日常生活と変わらない振る舞いをすることは十分あり得る」とした。
 伊藤さんは17年5月、顔を出して記者会見し、著書「Black Box」で性暴力被害を公表。これについて、反訴した山口氏は名誉毀損に当たると主張していたが、判決は「経緯を明らかにし、広く社会で議論することが、性犯罪被害者を取り巻く法的または社会的状況の改善につながるとして公表した」と認定し、山口氏側の訴えを退けた。

東京地裁の判決後、「勝訴」と書かれた紙を掲げる伊藤詩織さん
=東京都千代田区の東京地裁前で2019年12月18日午前10時52分、丸山博撮影

 判決までの歩みは平たんではなく、今も被害当時の場面を再体験してしまう心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状に悩まされているという。伊藤さんは「性暴力はその人の土台を傷つけ、家族や周囲まで影響を受ける。誰もが加害者にも被害者にも傍観者にもならないように考えていかなければいけない」と訴えた。
 伊藤さんは著書出版の他、性犯罪に関する捜査や司法制度の問題、被害公表後に批判や脅迫が殺到したことなどを訴え、国内外のメディアを通じて性暴力を取り巻く日本社会の問題を発信してきた。
 伊藤さんが被害を訴えたのと同時期に、米国で性暴力告発キャンペーン「#MeToo」が始まった。日本でも18~19年にかけて財務省幹部のセクハラ問題が発覚したり、性暴力に抗議する「フラワーデモ」が拡大したりするなど、性暴力を問題視する動きが活発化した。
 伊藤さんは支援者を前に「少しずつでも大きな変化が起きている。私が見ているこの景色は以前とまったく違う」と語り、「判決を機に法律、報道、教育、一つ一つを皆さんと考えていきたい」と呼びかけた。【塩田彩、中川聡子、國枝すみれ】


判決を受けて記者会見する山口敬之氏=東京都千代田区で2019年12月18日午後2時9分、塩田彩撮影

山口氏「伊藤さんはうその主張をしている」

 山口敬之氏は判決後に会見し、「納得できない。伊藤さんの主張と客観的証拠の矛盾点を主張したが、検証されず無視された。私は法に触れる行為はしていない」とし、控訴する方針を明らかにした。さらに「伊藤さんはうその主張をしている」として、伊藤さんを虚偽告訴と名誉毀損(きそん)の容疑で刑事告訴したとも述べた。一方、テレビ局社員として就職活動中の女子学生だった伊藤さんと性行為に及んだ点については「反省はある。適切ではなかった」とコメントした。この問題で山口氏が会見するのは初めて。

性暴力被害者支援に携わる上谷さくら弁護士
=東京都千代田区で2019年6月4日午後5時10分、塩田彩撮影

上谷さくら弁護士「伊藤さんの被害は氷山の一角」

 性暴力を巡る問題に詳しい上谷さくら弁護士の話 判決は性被害に遭った女性の心理をくみ取った上で、合意のない性行為だったことを認定し、被害回復の点でも大きな意味を持つ。職務上の地位を利用して性暴力を振るうケースは非常に多く、伊藤さんの被害は氷山の一角。被害を訴えると、中身を明らかにするだけでも心身に負担がかかるのに、さらに激しいバッシングを受ける。伊藤さんも大きな犠牲を払って訴訟を乗り越えられたと思う。判決がそうした社会の現状を変えていくきっかけになってほしい。
ジェンダー・ギャップ、
日本は過去最低の121位
2019年12月17日:朝日新聞

 世界経済フォーラム(WEF、本部スイス・ジュネーブ)は17日、各国の男女格差を調べた「男女格差(ジェンダーギャップ)報告書」を発表した。日本の順位は過去最低となる121位だった。報告書は毎年発行され、今回の調査対象は153カ国。アイスランドが11年連続の1位になるなど、北欧諸国が上位を占めている。
 報告書は、経済、教育、健康、政治の4分野14項目を調査し、100%を完全な平等として格差を指数化している。今回、世界の男女格差は平均で68・6%で、前年の68・0%よりわずかに改善した。
 日本は前年の66・2%から65・2%に後退。主要7カ国(G7)では最下位が定位置となっており、今回、日本に次いで順位が低いイタリアは76位だった。
 日本は経済分野の男女格差で、女性管理職の割合についての指数が上昇した。一方で、賃金格差が広がるなど、経済分野の順位はほぼ横ばいだった。
 過去最低の順位に影響したのは政治分野で、前年の125位から144位に後退。9月の内閣改造まで女性閣僚が1人だったことが響いた。女性閣僚の割合で格差を縮めて順位を上げた韓国に全体でも抜かれる形になった。先進国で目立って順位を上げたのはスペインで、女性議員、閣僚ともに増え、大幅に格差を改善。全体で前年の29位から8位に躍進した。
 WEFは世界的な傾向として、今年は経済分野で男女格差が広がったものの、政治への女性参画は108カ国で前年より改善されたとした。一方、世界で女性は議員数の25%、閣僚の21%を占めるにとどまり、政治参画は依然遅れていると指摘している。
 WEFは、世界の政財界の指導者が対話する「ダボス会議」の主催で知られる国際機関。各国の経営者への意識調査を反映した国別の競争力ランキングなども毎年発行している。(ジュネーブ=吉武祐)


なぜ女性だけ「何倍も努力しろ」?
 格差121位の国で

 ジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位付けした世界経済フォーラム(WEF)の2019年の報告書が17日、発表され、日本は153カ国中121位で、過去最低だった。110位だった前年より大きく順位を下げ、主要7カ国(G7)では今年も最下位だった。問題はどこにあるのか、ジェンダーと政治に詳しい上智大学の三浦まり教授に聞いた。
    ◇
 121位は予想通りの結果だ。特に政治分野で125位から144位に大きく順位を下げ、政治における男女格差が足を引っ張る結果となった。
 特に女性閣僚の少なさが際立つ。昨年の評価は2017年1月時点のもので、女性閣僚が3人いて89位だった。だが今年は139位と大きくスコアを下げた。女性閣僚の数は隔年評価で19年1月時点で評価され、当時の第4次安倍改造内閣には女性が1人しかいなかったからだ。女性で唯一、片山さつき氏を起用した安倍首相は「2人分、3人分の発信力を持って仕事をしてもらいたい」と言っていた。なぜ女性だけが何倍も努力しなくてはいけないのか。
 1人にしろ3人にしろ、先進諸国と比べて、日本の女性閣僚の数が少ない状態は変わらない。閣僚は首相が任命できるのだから、もし大臣に適役の女性議員が与党内にいなければ、民間から人材を登用してもいいはずだ。「女性活躍」を掲げる安倍首相が、121位という結果をどう受け止めるのかを知りたい。
 ジェンダーギャップ指数は、政治や経済の意思決定層やリーダー層の男女格差が明らかになるという特色がある。
 今回、高等教育の分野における就学率は男女差があまり大きくないという結果が出たが、意思決定層が多く輩出する大学では、まだ女性の数が少ない。東京大学の女子学生の比率が20年間2割のままで変化していないことが驚きだし、早稲田大学や慶応大学でも女子学生は3割程度と格差が歴然とある。
 女性の貧困もジェンダーギャップ指数には反映されない。シングルマザーや非正規で働く女性たちの貧困を考えると、実際の日本のジェンダーギャップは、121位よりもさらに低いのではないか。
 今年は元号が令和になって世間が沸いたが、平成の30年を振り返ってみると、日本は男女格差を放置したまま停滞してきた。かつて経済大国で圧倒的な優位性があった日本という国の地位も低下した。
 一方で世界各国は大きく変化した。多様性を尊重し、性差別をなくして、女性にチャンスを与えようといろいろ整備してきた。このまま日本社会が男女格差を放置したままだと、将来的にさらに順位を下げることになるだろう。(聞き手・伊藤恵里奈)

12月18日午後には、山口さんと伊藤さんはそれぞれ都内の別の場所で記者会見を開く予定だ。また、19日には外国特派員協会で、山口さんが午後1時、伊藤さんが午後3時からそれぞれ記者会見する予定となっている。



男女格差、解消には100年必要
 日本は過去最低=WEF
2019年12月17日:BBC

世界における男女の格差は縮んでいるが、解消にはあと100年必要――。世界経済フォーラム(WEF)が、そんな報告書を発表した。
毎年恒例の報告書では、各国のジェンダーギャップ(男女格差)を政治的影響力、経済利得、健康、教育などの観点で測定している。
最新版は、世界の広範な地域でより多くの女性が政府の仕事に就くようになっている一方、男女の経済格差は広がっていると指摘している。
日本は153カ国中121位
国別順位では、イギリスは昨年の15位から21位に後退。女性大臣が減ったことなどが原因となった。
日本は110位から121位に下がり、過去最低となった。

まだあと99.5年

女性は、欧州中央銀行(ECB)と世界銀行の両総裁のほか、フィンランドやドイツ、ニュージーランドの各首相をつとめるなど、世界で指導的な役割を担っている。
しかし、スイスに本部を置くWEFは、男女が平等になるにはあと99.5年かかると予測している。昨年は108年かかるとしていた。
WEFは、政治分野での格差是正は進みが遅いと指摘。女性はまだ、世界の大臣職の21%にしか就いていないと説明した。
ただ、「ロールモデル効果」が改善を早めると、期待を表明した。
WEFは、男女の経済格差が広がった理由の一つとして、クラウドコンピューティングや人工知能(AI)など、急速に成長している分野で女性の担い手が少ないことを挙げている。
また、作業の自動化により、女性が仕事を失いやすいことも指摘している。
英で根強い経済格差
イギリスの順位後退は、男女の経済格差が根強いことも理由の一部となっている。経済格差の順位は58位になっている。
AIやエンジニアリング、コンピューティングの分野では、男性が圧倒的に多く、女性はパートタイムで働く比率が男性より高い。
一方、識字率、大学などの高等教育を受ける人の比率、専門的・技術的労働者の比率などでは、イギリスは最高位(同率1位を含む)だった。
アイスランドが連続1位
国別順位の上位10カ国は次のとおり。アイスランドは2年連続1位だった。下位3カ国はパキスタン、イラク、イエメン。



男女平等はまた後退
ジェンダーギャップ指数2019で
日本は過去最低を更新し121位、G7最低
ジェンダー・ギャップ指数は、
経済・教育・健康・政治の4分野14項目のデータを元にして、
各国の男女の格差を分析した指数。
日本は、調査対象となった世界153カ国のうち、121位だった。
2019年12月17日:ハフィントンポスト

男女格差の大きさを国別に比較した世界経済フォーラム(WEF)による、「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」2019年版が12月17日に発表された。
日本は、調査対象となった世界153カ国のうち、121位(2018年は110位)。
過去最低の順位だった2017年の114位(同年の調査対象は144カ国)よりさらに下位となった。主要7カ国(G7)で最低だった。

ジェンダーギャップ指数は、「男女の格差」だけを扱う

ジェンダー・ギャップ指数は、経済・教育・健康・政治の4分野14項目のデータを元にして、各国の男女の格差を分析した指数。各分野での国の発展レベルを評価したものではなく、純粋に男女の差だけに着目して評価をしていることが、この指数の特徴だ。
4分野の点数は、いくつかの小項目ごとの点数で決まる。小項目を集計する際は、標準偏差の偏りを考慮したウェイトをかけている。 ただし、4分野の点数から算出される総合点は、4分野の平均になっている。スコアは1を男女平等、0を完全不平等とした場合の数値。

なぜ日本は低い?前年と何が変わった?

日本が例年、低い順位にとどまっている主な理由は、経済と政治の分野のスコアが著しく低く、いずれも100位以下となっているからだ。今年もその傾向は改善されることはなく、経済は115位(2018年は117位)、政治は144位(同125位)となった。
4分野を2018年との比較で見てみると、経済と健康は少しだけ上昇し、政治と教育が下落したという結果になっている。
今年の順位の下降は、教育分野も大きな引き下げ要因となっている。教育は91位(2018年は65位)で、小項目では中等教育への就学率が128位(同1位)まで転落したことが、全体の順位を大きく変動させた。
教育と健康の分野で日本は比較的好成績だが、他の多くの国も高得点を獲得しているため、少し差が開いただけで、スコアが大きく転落することになる。  



政治における日本の男女平等は
イランより一つ上の世界144位
2019年12月18日:ニューズウィーク
新首相サンナ・マリーン率いるフィンランドの新内閣 Lehtikuva Lehtikuva-REUTERS

[ロンドン発]最も雇用拡大率が高い8分野のうち6分野(マーケティング、販売、商品開発、データと人工知能、エンジニアリング、クラウドコンピューティング)で女性は過小評価されていることが、世界経済フォーラム(WEF)の「男女格差報告書2020」で分かった。
女性が男性より優位なのは人と文化、コンテンツ制作の2分野のみ。女性は大学で専門的なスキルを身につけても職場で正当に評価されない。経済参加の男女格差を解消するのに257年もかかるそうだ。
17日に発表された報告書によると、日本の男女平等ランキングは昨年より11下がって121位(153カ国中)。世界で一番男女格差が少ない国は11年連続でアイスランド。世界最年少の現職指導者で同国史上最年少のサンナ・マリーン首相(34)誕生で注目を集めたフィンランドは3位。
2006年以降、毎年発表されている「男女格差報告書」は(1)経済参加(2)教育(3)健康(4)政治参加の4つの指標を総合的に判断して世界ランキングを付けている。日本のランキングは坂道を転げ落ちるように下がっている。

「女性活躍」は見る影もなく

経済参加と政治参加の指標から日本とフィンランドを比較してみた。

【経済参加】115位0.598(フィンランド18位0.788)
・労働力の男女比 79位0.814(同13位0.959)
・賃金の男女格差 67位0.672(同9位0.798)
・勤労所得の男女比 108位0.541(同33位0.720)
・管理職の男女比 131位0.174(同77位0.467)
・専門・技術職の男女比 110位0.680(同1位1)
(筆者注)指標は1に近づくほど男女平等を達成。

経済参加のランキングは2006年の83位から115位に転落。日本の女性管理職や専門・技術職はフィンランドに比べて圧倒的に少なく、同じ職種でも女性の賃金は男性の7割に満たない。男性の長時間労働を改めなければ、女性の労働参加も賃金格差の解消も進まない。

【政治参加】144位0.049(フィンランド5位0.563)
・国会議員の男女比 135位0.112(同7位0.877)
・閣僚の男女比 139位0.056(同20位0.600)
・国家元首の在任年数の男女比 73位0(同12位0.316)

日本の政治参加も2006年の83位から2014年に129位に転落。2016年には103位まで改善したものの、今年は144位まで下がった。
下を見ればイラン、ナイジェリア、ベリーズ、ブルネイ、レバノン、オマーン、イエメン、パプアニューギニア、バヌアツと9カ国しかない。これが先進7カ国(G7)に加わる国の姿なのか。
女性閣僚は昨年、女性は片山さつき地方創生相1人だったが、現在は高市早苗総務相、森まさこ法相、橋本聖子五輪相の3人に増えた。安倍晋三首相は「女性活躍」を看板政策に掲げるものの、女性の政治参加はいっこうに進まない。

拘束時間が長く、選挙区と国会を行ったり来たりする国会議員の仕事は女性には負担が大き過ぎる。オトコ社会の永田町が男女の格差解消を遅らせているのは間違いない。女性が女性としての役割を引き受けないなら、男性と同じように働けと強いてきた国の末路と言う他ない。
授乳するマリーン首相©Instagram, @sannamarin

フィンランドのマリーン首相には生後22カ月の娘がいる。授乳している姿をインスタグラムにアップしたこともある。首相就任に際し「自分の年齢や性について考えたことはない」と言い切った。先進国、特に北欧の国々では夫が公平に育児や家事を負担するのは当たり前だ。
フィンランドでは女性の方が男性より大学進学率や専門・技術職に就く割合が高い。だからマリーン首相が連立を組む4党の党首は全員女性、閣僚19人のうち12人が女性という逆転現象が起きる。

取り残される日本

国際捕鯨委員会(IWC)脱退と商業捕鯨の再開、歴史問題を発火点とする韓国との経済戦争。そして女性天皇は認めず、時代にそぐわなくなった男系男子にこだわり続ける日本。
スペイン・マドリードで開催された第25回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)を現地で取材して日本の石炭火力発電と、そのインフラ輸出に税金が投入されていることに驚いた。筆者の暮らす英国は2025年に「脱石炭」を実現する計画を掲げている。
日本はこの「失われた30年」で内向きになり、世界から随分、取り残されてしまった。安倍首相が心から女性が輝く社会を実現したいのなら「日本には日本のやり方がある」とわが道を行くのを止め、進んだ他国を見習う必要があるのではないか。
「男女格差報告書2020」のポイントは次の通り。

(1)世界の男女格差は平均31.4%。昨年から今年にかけ149カ国中101カ国が指標のスコアを上げた。
(2)4つの指標の中で男女格差が一番大きいのは政治参加。2番目に格差が大きいのは経済参加。
(3)女性議員の数が大幅に増えたため、昨年から今年にかけ149カ国中ラトビア、スペイン、タイなど108カ国が政治参加の指標を改善。
しかし女性議員の割合は依然として4分の1に過ぎず、女性閣僚は全体の21%。過去50年間、153カ国中85カ国で女性元首は存在せず。
(4)管理職に就く女性の数も増加。世界的に官民の女性マネージャーの比率は昨年より2ポイント向上して36%。
(5)女性の労働市場への参加は停滞、男性の参加率は78%なのに対し女性は55%。同じ仕事での賃金格差は40%以上、すべてを合わせた所得格差は50%も開いている。
多くの国で女性は貸付や土地、金融商品を活用する際、著しく不利で、会社を設立したり資産を運用したりする機会を妨げられている。
(6)教育格差は比較的小さい。 35カ国で教育の男女格差は解消されているが、途上国では20%以上の格差が残る。世界の15〜24歳の少女の10%は読み書きができず、途上国に集中している。
(7)2006年から調査対象になっている107カ国では男女格差は平均して99.5年のうちに解消される。政治参加の格差解消には94.5年。しかし教育における男女格差は今後12年で解消される。



伊藤詩織さん、
中傷やセカンドレイプに「法的措置をとる」
日本外国特派員協会で行った会見で、記者からの質問に答えた。
2019年12月19日:ハフィントンポスト
記者会見する伊藤詩織さん

元TBSワシントン支局長の山口敬之さんに対し、「酩酊状態で意識のない伊藤詩織さんに合意がないまま性行為をした」などとして慰謝料など330万円の支払いを命じた東京地裁の判決。
12月19日に日本外国特派員協会で記者会見を行った伊藤詩織さんは、記者の質問に答え、これまでに受けてきたセカンドレイプに対して「法的措置を考えている」と明かした。
伊藤さんは2017年5月29日、司法記者クラブで会見を開き、名前と顔を出して山口さんからの被害を訴えた。性被害を顔や名前を明かして告発するのが珍しかったこともあり、大きな注目を浴びたが、一方で「ハニートラップ」などと心ないバッシングもあった。
SNSでは、伊藤さんらしき女性の横に「枕営業大失敗」などの文字が入ったイラストが拡散されたこともあった。
記者会見で、「もし高裁で勝訴した場合、セカンドレイプを訴える予定はありますか?」という記者からの質問に対し、伊藤さんは次のように述べた。
「どんな結果になろうと、民事でのピリオドが打てましたら、次は(セカンドレイプへの)法的措置を考えています。というのは、こういう措置を行わなければ、同じことがどんどん続いてしまう。私に対するコメントですが、それを見た他の(性被害)サバイバーたちも『同じように攻撃されるんじゃないか』と思ってしまう。いろんな人を沈黙させてしまうので、法的措置を取りたいと思います」
同日、山口さんも外国特派員協会で記者会見を開き、控訴する意向を改めて表明した。山口さんは、判決が「(伊藤さん側)一方の主張に偏っており、客観的証拠に基づいていない」と主張。「私は犯罪を犯していません」「(伊藤さんは)嘘をつく傾向がある」などと述べた。



山口敬之さんが会見、
「官邸の働きかけがあったか?」
海外記者からの質問に何と答えたのか
会見では、「逮捕状の取り下げは
安倍政権と関係あるのか」という質問が殺到した。
2019年12月19日:ハフィントンポスト
記者会見する山口敬之さん

元TBSワシントン支局長の山口敬之さんに対し、「酩酊状態で意識のない伊藤詩織さんに合意がないまま性行為をした」などとして慰謝料など330万円の支払いを命じる判決が東京地裁であった。
控訴する意向を示している山口さんは、12月19日、外国特派員協会で記者会見した。「私の主張がまったく無視された形で、判決には納得できない」などと改めて訴えた。
山口さんは、TBSで官邸キャップやワシントン支局長などを歴任したエース記者だった。2016年5月末にTBSを退社し、フリージャーナリストに転身。翌月、安倍晋三首相について記した著書『総理』を出版したため、官邸に近いジャーナリストとして知られていた。
そのため、会見では「逮捕状の取り下げは、安倍政権と関係あるのか」という質問が殺到した。
海外メディアなどとの一問一答は以下の通り。
ーー逮捕状が出たのに執行されず、起訴もされなかったのは、「上級国民」(日本語で質問)だからではないのですか?記者としての意見を聞かせてください。総理大臣の力を借りたんじゃないですか?
いや、まったく思わない。逮捕状が出ていることを知りようがない。警察が来るまで、自分が捜査対象であることも知らなかった。
ーー政治家や官僚にも頼んでいないと仰るが、その時、もしくは事後に、どなたかが官邸なり菅さん(菅官房長官)なりに働きかけをした、というのはまったくお聞きになっていないのか。もし働きかけがあったとしても、山口さんは知らなかったのか。
はっきりと申し上げられるのは、この事案について、私はどの政治家にも警察にも、官僚にも、要するに誰にも何もお願いしていない。それ以上のことは私は何も聞いていない。私の知らないところで何かが起きていたかというのは私がお答えするのは適切ではない。また、それについて、何かが動いたという話を間接的に聞いたことは一切ありません。 
ーーあれだけ報道があり、しかもご自分のことなのに確認もされていないということなんですね。
まず私は犯罪を犯していません。捜査されていることも知らなかったので、誰にも頼めなかったということをご理解いただいた上で、報道が出た後は特に、私が誰かに電話したりメールすることが誤解を招くということで一切の連絡を絶ちました。なので、通常の連絡もしていませんので、どの政治家にも官僚にも頼んでいません。
ーー官僚とか政治家には全く何も頼んでいないと仰いましたが、北村さんという方に週刊新潮からの質問を転送されています。これが内閣情報官の北村滋さん(当時)ではないかと言われています。もし違うのであればどの北村さんでしょうか。
本当のレイプ被害者は笑ったりしないとおっしゃったと報じられている。(※編集部注)山口さんが考えている被害者が取るべき態度とはどういうものだと思っているのか、何を根拠にしているのか。
北村さんにメールを送ったかどうかすら認める必要もないと思うんですが、メールは送っています。これは事実です。
これは、私の父が弁護士をしておりまして、父は去年亡くなったんですけれども、その関係者の北村さんという方。知人といいますか、父の友人の方です。これ以上はその方にご迷惑がかかるので申し上げませんが、この北村さんは、北村滋さんとは全く別の民間の方です。
2点目は、江川さん(質問したフリージャーナリストの江川紹子さん)の質問が非常に不正確。私は、性犯罪被害に遭った方が笑ったりとか幸せそうにしないという発言は一切していません。
それに類する誤解をしたとすれば、昨日の記者会見では、私のところに性犯罪を受けたという方から私のところにご連絡をいただいたと。ご本人が性犯罪被害者ですので、そのご本人から、本当に被害を受けた人の表情や行動についてご説明くださったと。その類似の説明をしましたが、私が性犯罪被害者がこういう行動をするかどうかということは私はまったく知りませんので、私はまったく申し上げていませんので、そこは訂正してください。

(編集部注)山口さんは前日の記者会見でこのように発言していた。
「本当の性被害を受けた方は、顔を出す出さないではなく、訴えることは当然の権利だし、社会がそれを受け止めるのは社会の義務だと思います。ただ伊藤さんは性犯罪被害者ではありません。
伊藤さんのように必要のない嘘、本質的な嘘をつく人が性犯罪被害者だと言って嘘の主張で出てきたことによって、私のところにも、性被害を受けたんですという方から連絡があり、お目にかかった方もおります。
本当に性被害にあった方は『伊藤さんが本当のことを言っていない。こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない』と証言しているんですね。今伊藤さんは世界中で露出をして本当の性被害者として扱われている。本当の性被害にあった方が、嘘つきだと言って出られなくなるのならば、残念だなと思います」

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