ABE権力に蹂躙される沖縄

沖縄の辺野古では安倍権力がリアルな暴力となって沖縄の人びとを傷つけ、自然を破壊している。
米軍の新基地建設のため、沖縄の人びとが何度も、何度も繰り返し、反対・拒否をさまざまに意思表示しても、ABE政権は、まるで沖縄県民は日本国民ではなく、沖縄県に日本の主権が存在しないかのように、日本政府によって強引に埋め立て工事は進められ、警察・機動隊は異議申し立ての人びとに暴力をふるっている。
沖縄は江戸時代以降、薩摩などによる二重支配に苦しんできた。それは現在も日本国と米軍という支配構造で沖縄の人びとが苦しむ現実となって存在し続けている。沖縄の解放をどう進めるか沖日、沖米の関係をシステムとしてどう再構築するか、主権政府である日本国の責務といえよう。


辺野古の土砂投入1年
 「毒々しい男らしさ」という指摘
2019年12月15日:朝日新聞

政治学者 三浦まりさん(51)

 相手を支配して優位に立ったり、屈服させたりすることを「男らしさ」ととらえる。その結果、暴力的な態度を肯定したり、他者の痛みに共感しなくなったりする。こうした現象をジェンダー学で「毒々しい男らしさ」と言います。
 辺野古への土砂投入から1年を迎えましたが、現政権の対応を振り返ると、国政選挙や知事選、県民投票によって示された民意を軽んじ、対話の回路を閉ざす。声をあげる市民は警察権力で排除する。手続きのおかしさを指摘されても土砂投入を進める。まさに「毒々しい男らしさ」が当てはまるように私には見えます。
 過去の自民党政権に比べても異常なやり方ですが、「男らしさ」に毒された人はむしろ肯定的にとらえる。シンプルに物事が動くので、「ほかの選択肢がないなら仕方がない」「現実的だ」という受け止めも広がっていく。
 憲法9条や安全保障にかかわる各種世論調査をみると、女性には強い平和志向が読み取れます。男性中心の社会で子育ての役割を担ってきたという背景もあるでしょう。
 女性議員が増えれば多様な議論が起こり、「辺野古が唯一」といったマッチョなスタンスとは別の選択肢がきちんと議論されると思います。現役の女性議員は平和志向が強いとは限りませんが、政党自体が男性中心で選ばれ方に偏りがあるので、ここも変えていく必要があります。
 米軍基地は多数の女性の性被害を生み出してきました。この問題に対しては、女性と男性一般とでは受け止め方が異なると思います。国会議員に占める女性の割合は衆議院で1割。参議院で2割。世界191カ国中163位。是正されれば、基地を巡る性被害の問題を、より深刻に受け止める社会になると考えます。(聞き手・木村司)
     ◇
 みうら・まり 東京出身。上智大法学部教授。専門は現代日本政治、ジェンダーと政治。著書に「日本の女性議員 どうすれば増えるのか」「私たちの声を議会へ―代表制民主主義の再生」など。

「埋め立て土砂まだ1%」
 玉城知事ロングインタビュー
2019年12月13日:朝日新聞

 DJやバンドマンという経歴を持ち、父は米海兵隊員という異色の沖縄県知事、玉城デニー氏(60)。政府が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対を前面に掲げて、昨秋の知事選で初当選した。だが、埋め立て工事はこの1年間、止められていない。妙案はあるのか。
 ――辺野古で埋め立て土砂の投入が始まって14日で1年。日米両政府は「辺野古が唯一の解決策」を変えようとしない。どう打開する考えですか。
 「愚直に、辺野古の新基地建設は違法だらけの公共工事だと主張し続けることが肝要です。民間事業に例えれば、行政の指導に従わず、法律も無視して工事を強行すれば、工事は停止され重い罰を受けるはず。国の事業だから許されるというのであれば、もはや民主主義も地方自治の尊厳も全く守られていないことになる。国民一人一人が、この問題が自分の地域に持ち込まれたらと危機感を共有していただき、多くの連帯の輪を広げるということがこの問題を解決するポイントだと思います」
軟弱地盤に伴う国の設計変更への対応は? 反対の民意を示し続ける県民への対応は? 玉城知事に聞きました。
 ――県から代替案や妥協案を提示する考えはありませんか。
 「8月末時点で、事業全体における埋め立て土砂の量は1%程度。埋め立ての7割は、まだ土砂が入っていない大浦湾側です。そこには地下90メートルにも及ぶとされる軟弱地盤があり地盤改良が必要で、約7万7千本の砂杭を打ち込まなければならず、予算と環境への影響は計り知れない。また完成したとしても、地盤沈下が均一でない不等沈下が起こると言われています。基地が造れるはずはない」
 「『それなら代替案を沖縄県が出せば』と言う方々がいます。しかし米海兵隊は、分散移転計画で沖縄から9千人が(グアムなどに)移ることが決まっている。基地がどれほどあればいいか計算すれば、沖縄に基地を造らなくても運用可能だと専門家は指摘しています。政府がしっかり議論する姿勢を見せない限り、我々が代替案を出せば解決するという類いの話ではない」

ロックフェスに出た理由

 ――知事就任後、沖縄の基地問題について、フジロックフェスティバルで訴えるなど、本土の世論への働きかけが目立ちます。
 「フジロックは縁あってステージで話をし、歌も歌わせてもらいました。誰一人ヤジを飛ばすことなく聴いてくれた。音楽が好きな玉城デニーという人間が、沖縄のことを語り歌を歌うことによって、基地問題や地位協定の問題を全然聞いたことがなかった人にも反響があった。共感するものをたくさんつくることが大事だと強く思いました」
 ――全国各地でトークキャラバンもしています。
 「札幌市での講演ではこんな話をしました。『沖縄本島の面積は1200平方キロメートル、札幌市は1120平方キロメートル。日本全体の7割の米軍基地を札幌に置いた場合、どうなるかを地図を描いてみてください。沖縄は、日本全体の7割の米軍基地を持たされ続けています。それを減らし、危険を除去してくださいとお願いしているだけです』と」
 ――反応は。
 「札幌に日本全体の7割の米軍基地を置かせてくれと言われたら『ちょっと待って』となりますよね。こっちから例示し具体的に話すことが大事です。その中から一つでも二つでも『変だなあ』と感じてもらいたい。沖縄県民も国民です。ならばなぜ沖縄なのか。なぜ北海道でないのかということも含めて、少しでも『あれ?』という疑問をもって欲しいと思います」
 ――比較は嫌かもしれませんが、翁長(おなが)雄志知事とは違う独自色です。
 「翁長前知事は重厚感のある政治家で、政治手腕、言葉、考え方が強い共感を与えました。その意思を引き継ぐことに就任当初、プレッシャーを感じていました。自分が今すぐできることは何だと考え、しゃべることだと思い、まず毎週月曜の朝、庁内放送であいさつを始めました。その後、全国主要都市に実際に私が出かけるトークキャラバンを提案し実行しています」

本土世論への働きかけは

 ――本土世論はなかなか変わりません。沖縄を好きな人は多いが、沖縄がひどいことされても共感が広まらない。なぜでしょうか。
 「沖縄に米軍基地があるのは日米が必要としているからとか、中国や北朝鮮の脅威があり地理的優位性のためとか色々な意見があります。ただ本当のところは私は、日米の同盟関係が不安定な状況にあることを、政府が丁寧に説明しようとしないことにあると思います。政府は、安全保障の問題は不可視化しておくのが一番いいと考えているのでしょう。日米地位協定の合意議事録など、我々が必要な情報は提供してくださいと求めても出さない。地位協定は本当は国民全体の問題ですが、根本的な議論がどこかに放置されている」
 「だから関心を持っていただくために我々から出かけていき、何が問題なのかを皆さんにも考えていただきたい。これは沖縄だけの問題ではありませんということを常に語りかけていくのが重要だと思います。聴いた方々がネットを通じて情報を共有し、発信することによって、拡散していく力が出てくると思います」

設計変更への対応は

 ――軟弱地盤対策で、政府は設計変更を県に申請する予定です。
 「我々は、国が公有水面埋立法を守っていないということで、埋め立て承認を撤回しています。国に何度も事前協議を求めているけど、一顧だにしない。一方的に自分たちが必要な書類だけを出して認めてくれと出されたら、受け取ってどう判断するか考えます。しかし、そもそも論ですが、いったい工期がいつまでかかるのか、予算がどれぐらいかかるのかということも出してこない。県の試算では、事業費は2兆5500億円、埋め立てに13年かかります。いますぐ工事をやめ、対話による解決をすることが取り得る正しい方法だと思います」
 ――知事選、県民投票などで反対の民意を示し続けた県民にどう応えていきますか。
 「私がどう問題を片付けるか、今の状況で約束できないのは非常にじくじたる思いです。公約を変えるつもりは毛頭ありませんが、私に対して、一日も早く平和な状態をつくってと願う方々にしっかり応えていきたいと言わせていただくことが今の気持ちです」
 ――政府は土砂投入で既成事実をつくり、あきらめムードをつくろうとしているように見えます。
 「我々が揺らぐことがなければ、多くの県民も辺野古の新基地建設反対という世論を喚起し続けるいろいろな活動を続けていただけると思います。時間がたてばたつほど、いかにこの工事が矛盾に満ちていて、県民が思っている平和とほど遠い状況かという現実を見せられ続けることになる。当初の予定通り工事が進んでおらず、当初の予定とは違う状態で進められており、さらに当初の予定でははっきりしていなかった軟弱地盤や活断層などの問題が明らかになった。これから新事実が出てくるたびに、県民に『いつまでこんなことを』という意見が広がりこそすれ、『もうここまでやったからいいよね』とあきらめることは決してないと思います」

首里城との関係は

 ――首里城の再建で政府の対応が速い。沖縄を支えると言うことで、辺野古を受け入れさせる手段になるという懸念も出ています。
 「首里城というのは沖縄県民の心のよりどころです。首里城を復元するから辺野古を認めなさいということは、逆に県民世論に火を付けることになります。政府はそういうことを少しは考えたかもしれないが、そういうことできるはずがないと真っ当な立場に立っていると信じたいですね」(聞き手・伊藤和行、伊東聖)



社説[辺野古土砂投入1年]
沖縄県独自の検証委設置を
2019年12月14日:沖縄タイムス

 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が海に土砂を投入し始めてから、きょうでちょうど1年になる。
 その前から続く米軍キャンプ・シュワブゲート前での反対派による抗議行動は、きょうで1987日を数える。
 この間に知事選、国政選挙、県民投票があり、いずれの投票においても反対の民意が明確に示された。だが国の強引な手法は少しも改まっていない。
 海域東の大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事のため、政府は早ければ来年1月にも、県に対し、設計変更を申請する考えだ。
 6月には県議選が予定されている。辺野古問題は司法の場で争われている訴訟の最高裁判決を含め、年明けから重要事案がめじろ押しだ。
 土砂投入に至る過程で明らかになったのは、さまざまな関連法規が国の一方的な解釈によって骨抜きにされ、県との事前協議なしに、県の合意もないまま、作業が進められてきたことである。
 埋め立て承認の際の留意事項は「実施設計について事前に県と協議を行うこと」などのほか、「ジュゴン、ウミガメ等海生生物の保護対策の実施について万全を期すこと」を求めている。
 ところが防衛局調査で本島周辺に生息することが明らかになったジュゴン3頭のうち1頭が死んでいるのが見つかり、残る2頭は行方不明のままだ。
 国際自然保護連合(IUCN)はついに、南西諸島のジュゴンを絶滅の危険度が最も高い「絶滅寸前」の種に引き上げた。
■    ■
 日本自然保護協会は11日、政府に対し、埋め立て工事を一時中止し、環境への影響を再評価するなど緊急対応を求める声明を発表した。
 私たちはこの声明に全面的に賛同する。留意事項を誠実に実行する意思があるのなら、ジュゴンの絶滅を防ぐための対応こそ急ぐべきだ。
 政府は、専門家でつくる環境監視等委員会のアドバイスを受けながら作業を進めている、と言うが、いま必要なのはその委員会の公正性、中立性の検証だ。
 軟弱地盤の改良工事にあたっても、政府は土木工学などの専門家による技術検討会を発足させた。
 有識者からお墨付きを得て客観性をアピールし、政策を推進する-その手法は安倍政権の特徴である。
 しかし委員会の透明性は不十分で、説明責任も尽くしたとは言えない。
■    ■
 県には、政府による設計変更申請を待つのではなく、内外の専門家による検証委員会の立ち上げを提案したい。
 環境監視委や技術検討会で配布された資料と委員発言の全てを公開させた上で、科学的根拠に基づいた評価がなされているのか、独自に検証し、設計変更申請に対する判断材料にするのである。
 琉大名誉教授だった故東清二氏が環境監視委の副委員長を辞任したのは、この委員会では環境は守れないとの理由からだった。
 受け身の対応では事態は打開できない。



<社説>辺野古土砂投入1年
 工事断念し普天間閉鎖を
2019年12月14日:琉球新報

 政府は沖縄の人々を国民と見なしているだろうか。そんな疑問が湧くほど傍若無人極まりない。
 名護市辺野古の新基地建設に向け、辺野古沖に政府が土砂投入を始めてから14日で1年となった。その約2カ月半前には、建設に反対する玉城デニー氏が相手候補に約8万票の差をつけて当選したばかりだった。その民意を無視した土砂投入は民主主義国家にあるまじき暴挙だ。
 投入後のこの1年も県民は諦めず建設反対の民意を示し続けた。極め付きは2月の県民投票である。知事選の結果は多様な政策選択の表れだとして建設反対の民意を軽んじる政府に対し、辺野古埋め立ての賛否だけを問い、投票総数の7割が反対の意思を示した。直接民主制の方式を使った決定的な民意だ。しかし政府は一顧だにしなかった。
 県民投票後も、4月には名護市を選挙区に含む衆院沖縄3区補選、7月には参院選で、いずれも建設に反対する候補が勝利した。これらの結果も無視された。この状況は国際的に見ても異常で、恥ずべき事態だ。真の民主主義国家なら沖縄の民意を踏まえて建設を断念し、普天間飛行場を即時に閉鎖するはずだ。
 しかし政府は異常と考えていないようだ。対話を求める県の「待った」をねじ伏せるかのように行政手続きを進め、工事を強行している。このため二つの訴訟が進行中だ。
 国土交通相は4月、県の埋め立て承認取り消しを取り消す裁決を下した。このため県は7月、国を相手に裁決の違法性を主張し提訴したが、高裁は県の訴えを却下した。県は上告している。一方、県の埋め立て承認撤回は適法であり、撤回を取り消した国の決定は違法だとして、県は8月に国交相の裁決取り消しを求める裁判も起こしている。
 国と争う県の姿勢の背景には、建設に反対する多くの県民の強固な民意がある。辺野古移設は政府が言うような負担軽減ではなく、滑走路をはじめ弾薬庫や軍港も新たに整備される機能強化だとの認識が県民の間で定着している。
 米中ロが核戦力を拡大させる新冷戦時代に入り、核弾頭搭載可能な中距離ミサイルを米国が沖縄をはじめ日本に配備する計画もある。沖縄は日本復帰前と同様、核戦争の最前線に置かれる恐れがある。ミサイル配備とともに新基地建設は「敵国」から標的にされる危険を増す要因になる。
 ミサイル配備阻止を含め、新基地建設を断念させる広範な世論を起こさなければならない。埋め立て工事は、軟弱地盤の影響で完成は見通せない。その間、普天間の危険性が放置されることは許されない。
 工費は県試算で最大2兆6500億円に上る。社会保障費の確保がままならない中、膨大な血税の投入に見合う基地なのか。疑問だらけだ。全工程で見れば工事の進捗(しんちょく)はわずか1%だ。建設を断念させることを諦めてはいけない。



(社説)
土砂投入1年 民主国家のすることか
2019年12月15日:朝日新聞

 力で異論を抑え込み、重要な情報を隠し、ごまかしと強弁を重ねて相手の疲弊を待つ――。そんな安倍政権の体質が、この問題でもあらわだ。
 沖縄・米軍普天間飛行場の移設をめぐり、辺野古の海への土砂投入が始まって1年になる。
 昨年9月の知事選、今年2月の県民投票、4月の衆院補選、そして7月の参院選と、県民は繰り返し「辺野古ノー」の意思を示してきた。だが政権は一貫して無視を決めこんだ。
 日ごろ自らの正統性をアピールするために国政選挙での「連勝」を誇り、野党をやゆする首相だが、こと沖縄に関しては、投票で示された民意は切り捨てるべき対象であるらしい。二重基準も甚だしい。
 ほかにも、およそ民主主義国家とは思えぬ行いが続く。
 環境破壊の恐れや取り決め違反を理由に県が実施した行政指導は、埋め立てに関する法令に基づくものだけで、15年以降で33件に上る。今月も、浮き具の重りがサンゴを傷つけたとして撤去と工事の中止を求めたが、国は一顧だにしない。民間の事業では考えられない対応だ。
 一方で、県が埋め立て承認を撤回したことの当否を争う裁判では「国も一般企業や個人事業者と変わりはない」と主張し、国が埋め立てをする「権利」を守るよう唱える。物事の本質を見ず、小手先の法解釈に走る裁判所がこれを追認し、一体となって沖縄を追い詰める。嘆かわしい限りだ。
 埋め立て予定区域に広がる軟弱地盤問題でも、国は14~16年の調査で存在を把握しながら公表しなかった。土砂投入後にようやく正式に認め、8万本近くの杭を海底に打ち込んで対応すると言い出した。自らが選んだ有識者の「お墨付き」を近く得て、設計変更を県に申請し、認められなければ裁判に訴えてでも押し通す構えだ。どれだけの費用がかかるのか、国は見通しすら示していない。
 こうした態度に県民が不信を募らせるのは当然だ。焼失した首里城の復元に国が前向きなのも、辺野古で県の譲歩を引きだすためではないかと、警戒の目が向けられるありさまだ。
 そもそも普天間飛行場の移設は、沖縄の基地負担の軽減が出発点だった。ところが辺野古の埋め立てが自己目的化し、普天間が現に直面する騒音被害や墜落の恐怖をいかに取り除くかという協議は、一向に進展しない。今の計画どおりでも移設工事の完成に10年以上かかる。国が力を尽くすべきは、真の「普天間問題」の解決である。
 沖縄の声に向き合え。土砂もろとも民意を海中に投じたあの日から1年、繰り返し訴える。



辺野古土砂投入
 沖縄の負担減へ移設を着実に
2019年12月15日:読売新聞

 沖縄県が抱える米軍の基地負担を軽減するためには、普天間飛行場(宜野湾市)の移設が欠かせない。政府は着実に工事を進める必要がある。
 普天間の名護市辺野古への移設計画は、辺野古沿岸部への土砂投入開始から、14日で1年が経過した。全体で約160ヘクタールを埋め立てる作業が続いている。
 埋め立てた面積は、全体の4%にあたる6ヘクタール程度にすぎない。投入された土砂量は、代替施設の完成に必要な量の1%だ。工事が順調に進んでいるとは言えない。
 辺野古周辺では、反対派が道路に座り込み、資材を積んだトラックの通行を妨害している。海からカヌーで海域に侵入するケースもある。恒常的な抗議活動が、作業の遅れにつながっていよう。
 工事中の南西の海域とは別に、北東部には改良が必要な軟弱地盤があり、防衛省は設計を変更する方針だ。有識者の検討会を設置し、地盤改良の工法や、工期の短縮を検討している。安全で合理的な案を作らねばならない。
 沖縄県は、埋め立て承認の撤回を取り消した政府の判断は違法だとして、2件の訴訟を起こした。1件は高裁で却下され、上告した。もう1件は地裁で審理中だ。
 対話による問題解決を掲げる一方、法廷闘争を繰り返す玉城デニー知事の手法は理解に苦しむ。政府が設計変更を県に申請しても、玉城氏は認めない構えだ。
 普天間は住宅密集地にある。代替施設は、人口の少ない名護市の米軍施設に隣接する海域に造られる。米海兵隊の抑止力を維持しつつ、事故の危険性や騒音被害を低減する意義は大きい。
 普天間の固定化は避けなければならないという認識は、玉城氏も政府と同じだろう。計画に反対するだけでなく、現実的な解決策を考えなければならない。
 2012年の第2次安倍内閣発足後、浦添市の米軍牧港補給地区の一部返還などが実現した。県の要望を受け、普天間所属の米軍機オスプレイの訓練も、九州などで行われるようになっている。
 それでもなお、国内にある米軍施設の7割が沖縄県に集中する。一層の負担軽減に向けて、政府と県が協力して取り組むべきだ。
 政府は、沖縄県の振興予算について、21年度までは3000億円台を確保する方針だ。焼失した首里城(那覇市)の再建にも、国の支援が欠かせまい。
 玉城氏は長期的な視点から県全体の発展を考え、国と建設的な関係を築かなければならない。



週のはじめに考える やっぱり辺野古はダメ
2019年12月15日:東京新聞

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設のための辺野古新基地建設は、土砂投入開始から一年。反対運動は衰えません。あらためてその訳を考えます。
 「民主主義を壊すな」「税金の無駄遣いをやめろ」-。沖縄県名護市安和(あわ)の琉球セメント桟橋前。百数十人が歩道を練り歩き、声を上げました。十月下旬にあった基地反対派市民による「ストップ辺野古-連続五日大行動」。桟橋は近くの鉱山で採掘した土砂を同市辺野古に海上搬送する拠点です。抗議活動で五日間は土砂を船に積み込むダンプが一台も桟橋に入れず、工事は大幅に遅れました。
◆いくつもの矛盾
 「市民が力を合わせれば国の事業も止められる」。川崎市から駆けつけた元小学校教諭海法(かいほう)潤二さん(71)は、胸を張って話します。
 辺野古の埋め立て開始は、昨年十二月十四日。建設に反対する玉城デニー氏が与党系候補に圧勝した知事選から二カ月半後です。安倍晋三首相は最初の玉城氏との会談で「県民の気持ちに寄り添う」としつつ、県が打ち出した辺野古の海の埋め立て承認撤回に対しては、防衛省の不服申し立てを国土交通相が認めるという「力業」を使って無効化しました。
 沖縄ではことし二月に県民投票、四月に名護市を含む衆院沖縄3
区の補選、七月に参院選沖縄選挙区と、新基地の是非を争点とする投票が行われ、そのすべてでも反対の民意が示されました。辺野古、安和などで市民らが連日座り込みや抗議をしているのは、民意が一顧だにされない怒りが原動力です。
 在日米軍専用施設の七割が集中する沖縄で基地をたらい回しする理不尽さ、工事は極めて難しく、軍事的にも立地の優位性は不明。
 新基地建設を巡るいくつもの矛盾はこの間、一向に解消されないどころか膨れ上がっています。
◆工期、工費示せず
 現在埋め立てが進んでいるのは辺野古崎の南西海域ですが、北東の大浦湾側に「マヨネーズ並み」と形容される軟弱地盤があることを一月、政府が認めました。軟弱地盤は全埋め立て海域の四割に当たる約六十五ヘクタールに広がり、最深で水面下九十メートルに達しています。
 政府は、七万七千本の砂の杭(くい)を打ち込んで地盤改良する方針ですが、現在の技術では深さ七十メートルまでしか工事できません。残り二十メートルは硬い粘土層と予測して進めるといいます。当然、地盤沈下が見込まれ、防衛省は十一月、沈下量は五十年間に一・三メートルとの試算を示しました。数値の評価は分かれますが、建設地には活断層があるとも指摘されており、軍事基地に適した場所でないのは明白です。
 軟弱地盤の判明により政府は基地完成の時期、工費を示すこともできない。当初計画で工期八年、工費二千四百億円程度だったところ地盤改良に三年八カ月を見込むことになり、工期は最短でも十二年近くに延びています。護岸着工の二〇一七年を起点とした場合、完成は二九年ごろ。工費については県が当初の十倍を超える二兆六千五百億円と見積もっています。
 その間、市街地に囲まれた普天間飛行場は返還されないのか。政府は、普天間の危険性除去のため「辺野古移設が唯一の解決策」と言い続けるのでしょうか。
 東アジアの安全保障環境は、米国と中国、ロシアとの関係悪化、北朝鮮の核廃棄協議の停滞など不透明な状況が続きます。ただ、各国のミサイル開発が焦点となる中で上陸部隊の海兵隊を沖縄で維持する意義について日米両政府から明確な説明は聞こえてきません。
 普天間移設とは切り離した計画とはいえ、二四年には五千人規模の在沖縄海兵隊のグアム移転が始まる見通しです。一方トランプ米政権は、在日米軍駐留経費負担を四倍以上にするよう求めているといいます。大幅増額に応じる日米安全保障条約上の義務はないものの、米側の要求は、沖縄にとっての真の負担軽減策を日米が協議する好機。その中で、普天間の閉鎖とともに新基地建設を凍結する道を見つけるのが、県民に寄り添うことになるはずです。
◆抜本的見直しを
 現在の埋め立て海域は全体の四分の一。希少なサンゴ類もこの海域には多くありません。埋め立て前への復旧は難しくとも、新基地建設とは別の利用方法を探ることは可能では。沖縄県は、軟弱地盤の存在などを理由に行った埋め立て承認撤回の有効性について政府と法廷で争っています。地盤改良に関して政府は、県に設計変更を認めてもらわなければなりませんが、県は許可しない方針です。
 県や県民が抵抗をやめないのは新基地建設が矛盾に満ち、自己目的化しているのが明らかなため。沖縄との間の対立、分断解消は政府の務めです。冷静な目で事業の抜本的見直しをすべきです。

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