教員の過労死を増やす「教員の働き方改革」

読売新聞の社説子に言いたい「教員は機械ではない」。
忙しいときに働いた疲れを、夏休みに休んで取れというのでは、過労死を助長する。
教員の働き方改革をテーマにした、せがいやろおじさんのユーチューブで「改正教員給与特別措置法は、足をくじいて、医者に行ったら、骨折させらるようなもの」と喝破していた。
教員の労働環境改善を掲げて、教員の不適正・違法労働を合法化して助長する仕組みだ。これでは、ボクのように真面目な教員はバタバタと倒れていくか、過労死に追い込まれてしまう。
やるべきことは、教員の定数増だ。
やらなくていい仕事を増やしたり、子どもに必要だと言って、英語やプログラミング、害ばかりの道徳やオリ・パラ教育などを現場に押し付け、教員の意識で過労死をするなというのでは、教育も学校も、教員も生徒も救われない。


教員の働き方 休暇取得の推進で負担軽減を
2019年12月8日:読売新聞

 学校教育の充実には、教員の労働環境を改善することが欠かせない。
 教員の働き方改革を目的とした改正教員給与特別措置法が成立した。教員の勤務時間を年単位で調整し、まとまった休みを取れるようにする「変形労働時間制」の導入が、自治体の判断で可能になる。
 例えば、行事などで多忙な4、6、10、11月の勤務時間を週3時間延長し、その分を夏休み期間中の8月に5日ほどまとめて休む。そんな運用が想定される。
 教員は夏休み期間も研修や部活動の指導に追われ、休みを取りづらい。休暇のまとめ取りに法的な裏付けが与えられたのは、現状を改善する一歩となるだろう。
 ただ、教育委員会などが実施する研修や、部活動の大会日程が従来通りでは、休暇の取得は進まない。新制度の実効性を高めるには、教委や競技団体がスケジュールを調整しなければならない。
 学校全体で一斉に休む学校閉庁日を設けることも、休暇のまとめ取りには有効だ。その際には、保護者や地域住民の理解を得る努力が不可欠になる。
 夏にまとまった学校閉庁日を設定している岐阜市では、緊急時の保護者からの連絡に24時間体制で応じる電話窓口を用意した。参考になるのではないか。
 一方で、繁忙期の勤務時間を延ばすことが、長時間労働の助長につながってはなるまい。文部科学省が、変形労働時間制を導入する場合に、月45時間と定められた時間外勤務の上限の順守を条件としたのは当然である。
 教員の仕事は授業だけにとどまらず、生徒指導や保護者対応まで幅広いため、長時間労働になりやすい。校長ら学校管理職は、適切な労務管理に努めるべきだ。教委も学校現場の勤務状況にしっかりと目を配ってもらいたい。
 変形労働時間制以外の負担軽減策も、複合的に進めたい。
 教委などが実施する調査や、学校内の会議には、必要性に乏しいものが少なくない。業務の厳選は待ったなしだ。情報通信技術(ICT)を利用して、業務の効率化を図ることも大切である。
 外部人材の活用も重要だ。部活動の指導や試合への引率を競技経験者らに任せる。教員OBを学校支援員として採用し、教材作りの補助をしてもらう。こうした取り組みを広げる必要がある。
 働き方改革が進み、教員がゆとりを持って働けるようになれば、教職の魅力が高まり、有為な人材の獲得にもプラスになろう。



「大人ファースト」の実態次々
これがオリ・パラ教育?
「日本人の自覚と誇り養う」
2019年12月8日:東京新聞・こちら特報部

 来夏の東京五輪・パラリンピックに向けて、大会組織委員会や東京都は、小中高生を対象に「オリ・パラ教育」を進めている。だが、その内容を見ると、皇室行事の際、小学生に授業として沿道で日の丸を振らせたり、酷暑が予想されるのに競技観戦を事実上強制したり、と都合よく子どもたちを動員したい「大人の事情」が透けるものも。オリ・パラ教育の「子どもファースト」じゃない実態を考える。 (片山夏子)

「両陛下が通る…」児童に日の丸持たせ出迎え

 「天皇皇后両陛下は、昭和天皇への退位のご報告の為、八王子の武蔵陵を訪問されました」「日の丸の小旗4000本はたちまち無くなり、沿道の小学校、幼稚園、保育園の子供たちは手作りの小旗で集まってくれました」
 これは、まだ自民党幹事長代行だった萩生田光一・現文部科学相の4月26日付ブログだ。同23日に、現在の上皇ご夫妻が、東京都八王子市にある昭和天皇が埋葬されている武蔵陵を訪れたときの様子を記している。
 振り返ってみれば、4月23日は火曜日で小学校は通常通り授業があるはずの日だ。なぜ、小学生は沿道で日の丸の小旗を振っていたのか。実は、これはオリ・パラ教育の一環としても行われたのだという。
 八王子市教育委員会などによると、武蔵陵沿道の小学校3校の生徒計約540人が日の丸の小旗を持つなどして出迎えや見送りをした。
 3校は八王子市長会連合会などの有志が組織した「天皇皇后両陛下八王子奉迎会実行委員会」(解散)や、そこから旗をもらった同会地区会長らの誘いや市教委からの情報を受け、校長判断で参加したという。
 動員ではなく、あくまでも市教委は沿道の安全のために情報提供し、それを受けた3校の校長が、地元の町内会などの要請も受けつつ、子供たちを参加させたという。通常の授業時間中に並ばせた小学校もあったが、学校裁量で行なう教育的活動の一環だそうだ。3校の校長に取材すると、1年生から6年生まで全校生徒が沿道に並んだ小学校の校長は「本校はオリ・パラ教育を推進しておりそれに関連づけて行った」と話した。
 同市教委の佐生秀之指導主事は「6年の学習指導要領には、国事行為などを取り上げ天皇への理解と敬愛の念を深めるとあるし、オリ・パラ教育で育てる5つの資質に『日本人としての自覚と誇りを持つ』があり、それを養うのに合致する。校長の判断はまったく問題ない。沿道に並び旗を振ることが問題だとする人もいるんですねとしか言いようがない」と語った。
 ところで、前出の萩生田氏のブログには「町自連、安協、八王子まつりやいちょう祭りの実行委員会にも呼びかけ、『両陛下をお迎えする会』を組織し準備をしました」とあり、萩生田氏がこの小旗振りで主導的な立場にあるようにも読み取れる。
 萩生田氏の事務所に取材すると、事務所は「本人が声がけをした事実はない。陛下をお迎えしたいという市民や団体から問い合わせが多数事務所にある中で、団体間で情報共有されたらよろしいのではというアドバイスを秘書がした」と回答。オリ・パラ教育の一環として行われたということについては「事実関係を存じ上げないのでお答えいたしかねます」とした。

都内で81万人予定◆協議選べず◆休めば欠席扱い
観戦招待 実質は「動員」
「安全に引率できる?」先生に不安

 オリ・パラ教育の一環として疑問が残るのは、これだけではない。特に学校現場で大きな問題となっているのは、大会中の児童・生徒の競技観戦だ。
 大会組織委員会は都内や関東など競技会周辺の自治体、東日本大震災の被災地などの幼稚園、小中高、特別支援学校の児童生徒に観戦してもらおうと、130万枚以上のチケットを準備、うち東京都では、約81万人(9月末時点)の参加が予定される。
 だが、実際にはこの観戦がかなりの強行軍となりそうなことに、現場では不安の声が広がっている。
 まず、8月の東京の酷暑に対する懸念だ。八王子市在住の元教諭の根津公子さんが、同市に情報公開請求して入手した各学校への意向調査によれば、各校長からは「熱中症、昼食時の食中毒など事故も想定される」「全児童が猛暑の中、移動だけでも所要時間以上がかかり厳しい」「生徒からも暑いのに行きたくないという意見が出ている」といった声が噴出している。
 どうやって児童生徒を連れて行くかも難題だ。大会期間中は公共交通機関の大混雑が予想されるが、観戦場所までは公共交通機関だけで行くことを求められ、引率の教員のチケットは中学生で20人に1人しか割り当てられていない。バスや電車の本数が少なく全員が一度に乗り切れなかったり、会場まで何度も乗り換える学校もある。意向調査票では「多くの子を少ない教員で引率するのは安全上無理」「公共交通機関で150人以上の児童のスムーズな乗降が可能かどうか」という声が上がった。
 一方、多くの学校で半日以上かかる観戦行程なのに、会場は弁当持ち込みが禁止され、飲み物はペットボトル1本だけに制限されるそうだ。ある小学校の男性教諭(61)は「会場周辺は学校や学年単位で食事ができる場所もないし、弁当は食中毒が心配。校長が『10分か20分、会場の雰囲気を見て帰ってこよう』と話している」と話す。
 しかも、都教育庁が区市町村教育委員会に出した文書に「都立学校はオリンピック・パラリンピック教育の集大成として学校の『教育活動の一環』とし、全校や学年単位の観戦は『授業日』として実施。都の扱いを参考に対応を」としたため、それに倣う市区町村が多い。つまり、夏休み中であっても、観戦に参加しないと欠席扱いになる。また、観戦できる競技や日程はチケット代を負担する都が学校ごとに割り振るため、自由に選べない。
 どうにも無理な「動員」のようにも見えるが、都教育庁指導部の守屋光輝主任指導主事は、都は3回にわたり意向調査を行っており、「参加しない学校もあり、希望制であって強制ではない」と動員を強く否定した。交通費は各自か区市町村が負担だが、島しょ部の交通費や宿泊費は都での負担を検討中という。
 だが、都教職員組合の平間輝雄書記長は「強制ではないが、都や各自治体の教育委員会に言われたら断れない。どの学校も希望せざるを得なくなっている」と言う。ある中学校校長は教員へのプリントに「国→都→市区町村に降りてきた事業。国を挙げてのオリンピック・パラリンピック。よほどの理由がない限り、不参加は難しい」と書いた。
 新潟大の世取山洋介准教授(教育行政学)は「授業日をどう設定するかは学校が自主的に決めることで、指図することはできない。都教委が学校の教区活動の一環としての実施を求めている段階で非常識。学校評価が盛んな中、強要していないと言っても説得力がない。事実上の動員。熱中症や移動に伴う学校からの懸念に対処せず、事故が起きれば都教委の責任になる」と批判している。

デスクメモ
 東京都教育庁の資料によれば「オリンピック・パラリンピックは単なるスポーツの競技大会ではない」。えっ、そうなの?単なるスポーツだからこそ、人々は複雑な政治、経済、外交、歴史といった関係を超えたところで熱中し、相互理解できるのでは。余計な思惑を盛り込まないでほしい。 (歩)



(TOKYO2020)
小学校の五輪観戦、断念相次ぐ
 低学年中心、検討含め都内300校
2019年12月10日:朝日新聞

 来夏の東京五輪・パラリンピックで子どもたちに割り当てられる観戦チケットについて、東京都内53区市町村のうち24自治体で低学年を中心に辞退する小学校があることがわかった。検討段階も含めると、今月4日時点で計307校に上る。昨年の時点ではほぼすべての学校が希望していたが、移動や観戦の際に熱中症になるリスクを考慮したことが主な理由。自治体からは「苦渋の決断」との声も出ている。
 大会関係者によると、売り出される1千万枚を超えるチケットのうち、130万枚余りが「学校連携観戦チケット」として全国の子どもたちに割り当てられる見通しだ。開催都市の東京都は約100万枚と最も多く、私立分を含めて都が購入して配布する。
 五輪・パラの開催は来年7~9月で夏休みとも重なる。都教育委員会によると、区市町村立分について昨年11月に意向調査をした際、53区市町村(島嶼〈とうしょ〉部除く)全ての自治体が観戦を希望した。だが、今年8月に観戦会場や日時などの暫定案を提示したところ、24自治体で低学年を中心に観戦を辞退する小学校があった。
 都教委は辞退した学校がある自治体や学校数を明らかにしていない。朝日新聞が各自治体に問い合わせたところ、4日時点で、一部学年で辞退を決めた学校が206校あり、辞退を検討している学校が101校あった。都が私立小学校について意向を聞いたところ、都全体の7割超の学校で1~3年生の参加を見送る方針という。
 大会組織委員会は観戦に向かう際、原則として公共交通機関での移動を求めており、貸し切りバスの利用は認めていない。大勢の児童が電車を使って移動することには「混乱を招き熱中症リスクもある」といった声が自治体から出ている。(軽部理人)

 ■バス使えず、自信ない/苦情来るかも

 「五輪やパラリンピックを生で観戦できる機会は、一生に一度かもしれない。何とか全児童を参加させてあげたかったが……」
 多摩地域のある市教委の担当者は、そう嘆く。同市では全15小学校で、1~4年生の観戦を取りやめた。都や組織委から示されていた会場案は、東京スタジアム(調布市)か国立競技場(新宿区)。どちらに行くにも、最低2回の乗り換えが必要になる。
 「低中学年は体力がなく、熱中症リスクは高学年よりも高い。学校と会場の間を安全に移動する自信がなかった」と担当者は話す。
 足立区では、全69校の1~2年生を不参加にする方針だ。区内には都心に近い地域もある一方、ターミナル駅から遠い学校は、国立競技場まで1時間以上かかる。不公平感をなくすために、全小学校で1~2年生については一律不参加としたという。
 多摩地域のある市は、学校ごとの判断で参加の有無を決めている。一部が参加を決めたが、半分ほどが1~2年生の参加を取りやめた。市教委の担当者は「参加できない子どもの保護者から、『不公平だ』という苦情が来るかもしれない」とぼやく。
 実際に観戦する子どもたちへの対策も急務だ。大会関係者によると、都と組織委は9月末から作業部会をつくり、移動方法や暑さ対策などについて話し合ってきた。「時間差での入退場」「会場近隣での集合場所の確保」「日射を遮るテントやプレハブの拡充」などの対策が検討されているという。(軽部理人、前田大輔)

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