教員にこそ“ゆとり”を!

PISAショックの波が襲っている。この大波から、文科省、学校は逃れることはできない。
今朝のニュースでも、どこかの大学の先生が「教員は忙しすぎる…」というのだが、「仕事を減らして」みたいなことを平然と述べている。千葉県の教育委員会でどこかの企業の役員とか、千葉大の教員は「現場の先生方の意識に課題がある」みたいなトンチンカンを平然と言っていた。問題はそこじゃない、処方箋は明らかだ。教員が少なすぎるからだ。クラスの生徒数を減らし、教員の数を増やすことだ。もう一つは、教員のお勉強の時間を保証することだ。1966年の国連ユネスコの教員の地位の権利の勧告を読み直してみよう。答えはとっくに出ているのに、文科省から各教委、校長、教員まで答えに向き合おうとしない。
日本の教育そのものが、ダークサイドに飲み込まれている。


【主張】
国際学力調査 情報に溺れない読解力を
2019年12月4日:産経新聞

 先進諸国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査で、日本の生徒の読解力低下が顕著に出た。憂慮される結果である。広く課題を探り、教育を見直す機会としたい。
 義務教育修了段階の15歳を対象にした学習到達度調査(略称PISA)で3年ごとに行われている。日本は高校1年生が参加し、数学、科学、読解力の3分野が試されている。調査に参加した79カ国・地域中で、日本は数学は6位、科学は5位とトップクラスを維持した。しかし、読解力は15位と落ち込んだ。
 この調査の読解力は、文章や図表など資料から情報を読み取る論理的思考力が問われる。もともと日本の生徒の弱点だった。
 さらに前回からはコンピューターを操作して回答する形式になった。出題例では、ある島を調査した大学教授のブログや科学雑誌の記事など複数のサイトの資料を見ながら問いに答える。インターネット上の投稿など多様な情報を吟味し活用する力、いわばデジタル読解力を試すねらいがある。
 日本は、事実と意見を見分ける問題のほか、情報の信憑(しんぴょう)性を見極め、どう対処するか根拠を示して記述する問題で、特に正答率が低い傾向が出た。
 こうした出題形式に慣れていない面もあるが、学校でパソコンやネット環境の普及が遅れていることに原因を求めるのは早計だ。
 読解力は学校の授業だけではなく、人の話をよく聞き考えを述べるなど、日頃のコミュニケーションを含めて培われる。それを忘れてネットの海に漕(こ)ぎ出すようでは危険極まりない。
 調査では、本や新聞をよく読む生徒の方が読解力の得点が高い結果が出た。一方で新聞を「月に数回」「週に数回」読むと答えた日本の生徒は21・5%で、約10年前と比べて36ポイントも減った。
 学校外でのIT(情報技術)機器の活用に関しても、日本の生徒は短文で雑談するチャットやゲームに偏っている傾向もある。
 好成績が目立ったエストニアはIT先進国といわれるが、教員研修など教育の質を高める陰の努力も見逃せない。調査では教員に熱意を感じる生徒の割合が高い。
 読解力は他の教科の土台であるばかりではなく、社会で生活する力そのものと言っていい。日本の弱点克服は喫緊の課題だ。



PISA調査 読解力低下に歯止めかけたい
2019年12月4日:読売新聞

 日本の子供たちは、理数分野ではトップレベルを維持したものの、読解力の低下が目立つ。
 経済協力開発機構(OECD)が、昨年行った国際学習到達度調査(PISA)で、そんな結果が出た。気がかりな状況である。
 PISAは、3年ごとに行われ、今回は79か国・地域から義務教育修了段階の約60万人が参加した。日本は、無作為抽出された高校1年生ら6100人が受験した。
 日本の平均点は、「数学的応用力」が6位、「科学的応用力」が5位だった。一方、「読解力」は15位で、前々回の4位、前回の8位から下がり続けている。
 近年、教材の文章を理解できない子供が増えているとの声が、教員らから聞かれる。今回、読解力の調査で、成績下位層の割合が顕著に増加した。現場の懸念を裏付けていると言える。
 正答率が低かったのは、文章から必要な情報を探し出したり、文章の信用性を吟味したりする問題だ。自分の考えを、根拠を示して説明する自由記述式問題でも、得点が振るわなかった。
 誰もが様々な情報を発信できるインターネット社会では、情報の真偽を見抜く力が求められる。文章の表現力は、実社会で意見や提案を相手に伝える際に欠かせない。こうした力が足りないとすれば深刻な問題だろう。
 スマートフォンの普及により、子供たちのコミュニケーションでは、仲間同士の短文や絵文字のやりとりが中心になった。長い文章をきちんと読み、分かりやすい文章を書く機会が減っている。
 子供を取り巻く言語環境の変化が、今回の読解力低下の一因となっているのではないか。
 一方で、小説や伝記、ルポルタージュ、新聞まで幅広く読んでいる生徒は、読解力の得点が高かった。活字に触れていることが、文章を的確に理解する力を育んでいるのは間違いない。
 大切なのは、読解力の低下に歯止めをかける地道な取り組みを学校現場で続けることだ。
 文部科学省は今後、小中高校の国語の授業などで、文章の論理展開を重視した指導を充実させる方針だという。論理的思考力の涵養かんように加え、文学に親しむ時間もしっかりと確保して、他者への共感性や想像力を培いたい。
 授業の内容や自分の考えをノートに手書きでまとめる習慣を付けることも、思考を言語として表現するのに役立つ。すべての教科での実践が望まれよう。



(社説)
国際学力調査 自分の考え育む授業を
2019年12月4日:朝日新聞

 順位よりも大事なことを適切にくみ取り、必要な手当てを考えるようにしたい。
 経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに世界の15歳の学力を測るPISA(ピザ)の結果が公表された。参加した79の国と地域の中で、日本は読解力が15位となり、前回(72の国・地域で8位)よりも下がった。
 もっとも数学と科学はトップクラスにあり、読解力についてもOECDは「長期傾向としては変化なし」と分析している。前回からコンピューターテストに移行し、学校でパソコンを使う機会が少ない日本には厳しい方式になったとの見方もある。文部科学省は全国学力調査など他のデータともつきあわせて、日本の子どもの学習到達状況を的確に分析してほしい。
 03年調査での成績下降が「脱ゆとり教育」への転換を後押しするなど、PISAは教育政策に与える影響が大きい。慎重な扱いが求められるゆえんだ。
 注目点はいくつかある。
 日本はかねて、「自分の考えを他人に伝わるように根拠を示して説明する」のが苦手といわれてきた。今回もそれは克服できていない。文科省によると、誤答の一つのパターンとして、問題文中の一節を写すだけで、自分の言葉で解答していない答案が見受けられたという。
 また、文章に寄り添って「理解する」のは得意だが、書かれている内容や筆者の考えの妥当性を吟味するといった「評価・熟考」型の問いには手を焼く傾向が指摘される。今回、OECD加盟国の平均正答率を10ポイント超下回った設問は14題あったが、うち9題がこの類型だった。
 学校教育の中で、他人の意見に流されずに自らの頭で考え、表現する。そんな習慣を身につけていないのではないかと思わせる結果だ。実際、テストとあわせて実施されたアンケートによると、「国語の授業で先生は生徒に対し、文章についての意見を言うように勧めている」と感じている生徒の割合は、平均を下回っていた。
 国内では長らく、もっぱら共感をもって作品を読む教え方が主流だった。それが00年のPISA開始以降、書かれていることをうのみにせず、批評的に読む方法の研究が進み、教科書も変わりつつある。しかし学校現場はその変化に追いつけていないと、秋田大の阿部昇特別教授(国語科教育)はみる。
 思考力を鍛える授業づくりには手間がかかる。教員の多忙化で、研修や教材研究の時間がとれなくなっていないか。大学の教員養成課程で新しい教え方を習得させているか――。しっかり検証して環境整備に努めるのが、文科省の使命だ。


読解分野「12年連続」下落…
「韓国の中高生、生活満足度低い」
2019年12月3日:朝鮮日報

OECD「国際学習到達度評価」の結果発表
読解力分野、国際比較への参加以来最低点
漫画・小説は良く読むものの、新聞・雑誌はあまり読まず

 韓国の満15歳の読解力、数学、科学分野の学習到達度が、全世界で再上位圏に入ることが分かった。しかし読解力分野で韓国の平均成績は12年連続で低下した。国際的な比較に参加し始めた2000年以来、18年間で最も低かった。また、生活の満足度も最下位圏だった。
 経済協力開発機構(OECD)は3日、国際的な学習到達度調査(PISA)の2018年の結果を公式に発表した。
 PISAは満15歳を対象に読解力、数学、科学の理解力の到達度と推移を国際的に比較する研究で、3年ごとに実施されている。
 今回の評価には、世界79か国・地域(OECD加盟国37か国・地域、非加盟国42か国・地域)からおよそ71万人が参加した。韓国は188校から計6876人(中学校34校917人、高校154校5881人、各種学校2校78人)が選ばれて試験を受けた。
 結果を見ると、韓国の15歳は全ての科目で到達度が再上位圏だった。平均点数は読解力514点、数学分野526点、科学分野519点だった。OECD平均はそれぞれ487点、489点、489点だ。
 順位はOECD加盟国・地域の中では読解が2-7位、全参加国・地域の中では6-11位だった。数学はOECDの中で1-4位、全体では5-9位だった。科学はOECDの中で3-5位、全体で6-10位だった。PISAは平均点の誤差を考慮し、順位を範囲で公表している。
 しかし、韓国は全てで再上位圏を維持したものの、読解分野では12年連続で平均点数が低下した。
 韓国の読解力の平均点数は初めて参加した2000年は525点で、03年に534点、06年に556点と最高点を記録。その後は09年に539点、12年に536点、15年に517点、18年は514点と低下し続けている。
 韓国の15歳が漫画・小説・非小説を読む割合はOECD平均より高いものの、新聞・雑誌を読む割合はOECD平均より低かった。インターネット上でのチャットやニュースを読む割合はOECD平均とほぼ同じだったが、オンライン討論に参加する割合は平均を下回った。
 韓国の15歳は生活満足度も低いことが分かった。
 韓国の生活満足度指数はOECD平均の7.04より低い6.52で、調査に参加した71か国・地域の中で65位と下位圏だった。われわれより指数が低い国・地域はマカオ、香港、英国、日本、トルコ、ブルネイだった。
 2015年のPISA(49か国・地域中48位)よりは順位が上がったが、依然として全体の順位では下位圏だった。
 教育部の関係者は「わが国の生徒たちの生活満足度を高めるために引き続き努力する必要がある」として「PISA2018の最上位国・地域の教育政策の変化などを分析するとともに、わが国の教育政策の推進状況を点検する」と述べた。
オ・ユシン記者



クローズアップ
国際学力テスト 読解力急落
 「PISAショック」再び
2019年12月4日:毎日新聞

 経済協力開発機構(OECD)の2018年の国際学習到達度調査(PISA、ピザ)で、日本の子どもたちの読解力がここ数年低下し続けている実態が浮き彫りになった。今回は、学習指導要領の見直しなどにつながった03年の「PISAショック」時とほぼ同水準にまで下がった。教育現場で何が起きているのか。【千脇康平、成田有佳、水戸健一、伊澤拓也】

本読まずスマホ没頭

 「増えているとは感じていたが、これほど多いとは……」。首都圏の有名私立大の男性教授は昨年、学期試験の答案用紙を前に言葉を失った。講義で扱った雇用問題の背景を論述させたが、段落がなく文を羅列しただけの答案が300人超の2割にも上った。主語・述語や論旨が曖昧で、学歴を「学暦」、適したを「的した」といった誤字・脱字も散見された。「何が大事な情報か全く整理できていないんですよね」と嘆く。
 異変の兆しは数年前からあった。学生に1年間に本を何冊読むかを聞くとほとんどが「1冊くらい」。新聞はおろかインターネットニュースも見ないため時事問題を尋ねても意見が言えない。「最近の学生たちは文章を読む経験がひどく不足している。このままでは世の中の情報を読み解く力は育たない」。そんな思いから毎月、授業に関連する新書を1冊読ませ、内容を紹介するリポートを学生に書かせている。「あきらめずに地道にやるしかない」
 日本の読解力は03年調査で8位から14位に落ち、「PISAショック」と呼ばれた。これを機に教育政策は「脱ゆとり教育」へとかじを切った。その後、全国学力テストの復活や学習内容を増やした現行の学習指導要領などの影響で、12年調査で4位に「V字回復」した。しかし、15年に8位、今回は15位と03年時の水準にまで落ちた。
 なぜなのか。冒頭の私立大教授が指摘するように、新聞や本を読む時間が減少傾向にあることを原因に挙げる専門家は多い。今回のPISA調査では新聞を読む頻度も聞いているが、「月に数回以上」は日本が21・5%(OECD平均は25・4%)で09年に比べ36・0ポイント減。ノンフィクションの本に関しては「月に数回以上」読む生徒は日本は12・2%でOECD平均20・7%を下回る。
 さらに読解力低下の原因に指摘されているのがスマートフォン(スマホ)やネット交流サービス(SNS)の影響だ。福岡市早良区で小中学生対象の学習塾「ベーシック」を16年から運営する中村聡代表(46)は「ノートをとれない子が増えている」と明かす。口頭でポイントを伝えてもメモをしない。教科書の大事だと思う部分に赤線を引かせるとページ全体が赤で埋まる――。
 気になるのは、休憩時間になると、友達と会話をするよりもスマホを取り出し1人で動画を見る子どもが目に付くことだという。PISA調査で日本の生徒は1人用のゲームで遊ぶ割合が高いこともわかった。中村さんは「文章を書く能力や能動性は人と話す中でつくられていくが、そうした時間がスマホに取られている。他者の考えや物事の本質を読み解く力の低下はその蓄積の結果だと思う」と危機感を口にする。

情報整理する力必要

 PISAで問われている読解力とは何なのか。
 「誤解している教員が多い」と語るのは09年のPISAで読解力調査国内専門委員を務めた北川達夫・星槎大客員教授。11月下旬、首都圏で小中学校教員を対象に自治体が開いた研修会で「PISA型の読解力を伸ばす授業のイメージを聞かせてください」と教員らに尋ねると、返ってきたのは「意見を言わせる」「『あなたが物語の主人公だったらどのように考えるか』と問う」――など「誤解」した回答ばかりだった。
 北川教授によると、PISAの読解力では自分の意見を言うことは求められていないという。最も重視されるのは「推論」。ある事柄について書かれた複数の資料をみて、行間を読み取る力が評価される。だが、今の小中学校では課題文から正答となる単語や文章を抜き出すような試験や授業が散見される。「国語で言えば、課題文の中にない『行間を読む』ことができなければ国際化社会でコミュニケーションがうまくいかない。授業の方向性を見直すべきだ」と訴える。
 現行の学習指導要領は「思考力・判断力・表現力」の育成を重視している。これらは読解力に通ずる能力だが、学力と教育政策に詳しいお茶の水女子大の浜野隆教授も「本当の意味で理解されて現場に浸透しているわけではない。言葉だけが上滑りしている状態になっていないか」と指摘する。
 浜野教授は読解力を「批判的思考力」と言い換える。「悪いところを見つけて批判するという意味ではなく、入ってくる情報を評価し、自ら知識を生産して表現していく力、つまり創造的な思考力を指す。人工知能(AI)には代替できない分野であり、今後あらゆる職場で求められる技能だろう」と指摘する。

現場、地道に底上げ図る 社説・授業を要約「ビブリオバトル」も

 読解力を伸ばそうと、学校では試行錯誤が続いている。
 私立東京女子学園高校(東京都港区)では今、週1回の「朝読解」に取り組む。15分間で新聞の社説やコラムを読み、三つの文に要約する。時間が余った生徒は意見も書き添える。元々、文章を読み解く力や時事問題への関心を持たせることなどを目的に15年ほど前に始めた。学年ごとに実施状況に濃淡があったが、国語の記述式問題の成績が上がったことに加え、英語の長文読解にも効果が見られたため、4年前から一貫校の中学を含め全学年で本格導入した。
 これに加え、国語担当の石井力教諭は3年ほど前から、授業終盤の5分間で、生徒にその日の授業内容を文章で要約させる「クイックライト」の時間を設けている。理解できているかを自覚させるためだ。石井教諭は「文章などの情報に触れ、頭で映像化し、それを自分の言葉で文章化する訓練を重ねることが重要」と強調する。
 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の正答率が長年、全国平均を下回っていた東京都板橋区。区教委は17年、その原因を探るために区内の中学校1校でRSTを試験実施した。RSTとは、中高生の読解力を科学的に診断するため新井紀子・国立情報学研究所教授らが開発した「リーディングスキルテスト」のことだ。
 その結果、問題を解く以前に、問題文の意味自体が理解できていない可能性が浮かび上がり、18年度からRSTの対象を全小中学校に拡大した。区は今年度から「読み解く力」を向上させるための研究を開始した。中川修一教育長は「学力の向上は教科書を読めるということが大前提。そこから始める必要があった」と明かす。
 福島県西会津町立西会津中学校でも今年3月にRSTを実施したところ、問題文を読解できない課題が明確になった。今年度から新聞の速読や、読んだ本の魅力を紹介し合う「ビブリオバトル」の全校大会を始めたほか、教員も授業中、生徒に問い返す機会を増やして内容を理解できているかを意識した指導をするようになった。五十嵐正彦校長は「特効薬はない。いろいろやってみるしかない」と話している。

 ◆PISA2018の3分野のトップ20
読解力
 1 北京・上海・江蘇・浙江(555)
 2 シンガポール(549)
 3 マカオ(525)
 4 香港(524)
 5 エストニア(523)
 6 カナダ(520)
 7 フィンランド(520)
 8 アイルランド(518)
 9 韓国(514)
10 ポーランド(512)
11 スウェーデン(506)
12 ニュージーランド(506)
13 アメリカ(505)
14 イギリス(504)
15 日本(504)
16 オーストラリア(503)
17 台湾(503)
18 デンマーク(501)
19 ノルウェー(499)
20 ドイツ(498)
   OECD平均(487)
数学的リテラシー
 1 北京・上海・江蘇・浙江(591)
 2 シンガポール(569)
 3 マカオ(558)
 4 香港(551)
 5 台湾(531)
 6 日本(527)
 7 韓国(526)
 8 エストニア(523)
 9 オランダ(519)
10 ポーランド(516)
11 スイス(515)
12 カナダ(512)
13 デンマーク(509)
14 スロベニア(509)
15 ベルギー(508)
16 フィンランド(507)
17 スウェーデン(502)
18 イギリス(502)
19 ノルウェー(501)
20 ドイツ(500)
   OECD平均(489)
科学的リテラシー
 1 北京・上海・江蘇・浙江(590)
 2 シンガポール(551)
 3 マカオ(544)
 4 エストニア(530)
 5 日本(529)
 6 フィンランド(522)
 7 韓国(519)
 8 カナダ(518)
 9 香港(517)
10 台湾(516)
11 ポーランド(511)
12 ニュージーランド(508)
13 スロベニア(507)
14 イギリス(505)
15 オランダ(503)
16 ドイツ(503)
17 オーストラリア(503)
18 アメリカ(502)
19 スウェーデン(499)
20 ベルギー(499)
   OECD平均(489)
 ※カッコ内は国・地域の平均得点



国際学力調査 読解力育む土壌豊かに
2019年12月4日:東京新聞

 世界の十五歳が参加した学習到達度調査(PISA)で、日本の読解力は低下傾向であることが分かった。子どもたちの読書経験を豊かにすることを後押しするなど、腰を据えて取り組みたい。
 調査は経済協力開発機構(OECD)が実施し、七十九カ国・地域の六十万人が参加。二〇一五年の前回調査に比べ、読解力の平均得点は十二点下がり、順位は八位から十五位に後退した。
 読解力調査の「ラパヌイ島」と題する設問が公表されている。
 ラパヌイ島(イースター島)で調査をしている教授はブログで、モアイ像が作られた当時にはあった大木が現在は生えていないことに疑問を示す。木の乱伐が原因とするジャレド・ダイアモンド氏の著書「文明崩壊」の書評、ネズミが種を食べたためとする科学者の反論を紹介する記事があわせて示される。生徒たちはそれら三つの文章を読み、大木が消滅した理由を根拠を挙げて説明することを求められる。
 自らの可能性を広げ、社会に参加するために文章を理解して熟考し、考えを表現する力。それがOECDが提示する読解力だ。
 三年ごとの調査結果は教育政策に大きな影響を及ぼしてきた。ゆとり教育転換の一つの契機は、読解力などが低下傾向にあったことだ。〇七年に再開された全国学力テストの出題はPISAを強く意識したものとなっている。
 二二年度から本格実施される高校の新学習指導要領では国語を「論理国語」「文学国語」などに再編する。文学が片隅に追いやられるのではないかと文学界などから懸念の声が上がっている。
 調査では読書についても尋ねており、興味深い分析結果が出ている。雑誌以外では「読む」グループの方が「読まない」グループよりも得点が高く、最も得点差が大きいのは小説や物語などのフィクションだった。次いで新聞、漫画となっている。「論理的」と仕分けされた文章だけが、読解力を育むとは限らないことを示唆しているのではないか。
 読解力は、多様な養分を吸収してゆっくり育つ木のような力なのだろう。読解力育成のため、社会や理科など国語以外の教科でも、文章のまとまりなどを意識した授業改革に取り組み始めた学校もある。調査の順位のためというよりは、子どもたちの未来を広げるために、学校や社会が豊かな養分を含んだ土壌でありたい。

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