メタファーとしての「サクラ騒動」をどう読み解くか

まだまだ続きそうな「サクラ騒動」はサクラが散るまで続くのだろうか?
この「サクラ騒動」の意味するところを、ボクたちはどう理解すべきだろうか?
シュレッダーや反社会的勢力云々…、と問題を切り分けるのではなく、「群」として表れている問題の総合的に意味するところをつかみとる必要がある。
つまり、「あべ政治」とは何かを見抜く力を試されているということだ。


疑惑深まる「桜を見る会」
 これでも説明しないのか
2019年11月28日:毎日新聞

 「桜を見る会」をめぐる問題がますます深刻化している。
 反社会的勢力の関係者が参加していたと指摘され、菅義偉官房長官が「結果として入っていたのだろう」と述べた。安倍晋三首相ら政権幹部の後援者を招待した「私物化」が批判されているが、反社勢力を公金でもてなしたとなればさらに深刻だ。
 暴力団など反社勢力の排除に国を挙げて取り組んでいるときに、政治とのつながりをうやむやにして見過ごすことはあってはならない。吉本興業の芸能人が振り込め詐欺グループのパーティーに出演していたことが社会問題になったばかりだ。
 悪質なマルチ商法で知られるジャパンライフの元会長が2015年の桜を見る会に招待され、それが首相の推薦枠だった疑いも浮上している。同社は14年に消費者庁から行政指導を受けていた。
 共産党の入手した同社のチラシに招待状の写真が掲載されていた。政府のお墨付きを得たかのようにマルチ商法の宣伝に利用されたことになる。衛藤晟一消費者担当相は国会で「非常に遺憾」と答弁した。
 これまで誰の推薦でどのような人物が招待されてきたのか、政府は実態を明らかにすべきだ。招待客の氏名も慎重に取り扱うべき個人情報ではあるが、各界の功労者をたたえるという開催趣旨に照らせば、公表しても支障はないはずだ。
 ところが、今年4月の会について共産党が資料を要求した5月9日当日に内閣府が招待者名簿をシュレッダーにかけていた。隠蔽(いんぺい)目的の公文書廃棄が疑われる重大な問題だ。
 招待者は省庁ごとに推薦する仕組みで、総務省や財務省などは名簿の保存期間を10年に設定している。
 政党や政治家からの推薦名簿をとりまとめている内閣府と内閣官房だけが「遅滞なく廃棄」と対応が異なるのはふに落ちない。公にしたくない事情があるのではないかとの疑念をもたれても仕方あるまい。
 紙の名簿がなくても、パソコンのデータを復元したり、政党や政治家側を調査したりと、実態に迫る手段はいくつもある。首相がそれを指示し、自ら国会で説明すればよい。
 会の主催者は首相だ。これだけ疑惑が深まっているのに、それでも説明責任から逃れようというのか。


「桜を見る会」疑惑 答弁迷走
「安倍話法」再び
その場しのぎ→周囲がつじつま合わせ
2019年11月26日:東京新聞・こちら特報部

 自身が主催する「桜を見る会」を巡る安倍晋三首相の答弁が迷走している。突き詰めて考えると何が言いたいのか分からず、相手をけむに巻くような発言も多い。ただ、こうした回りくどい言い方は今回に限った話ではない。「安倍話法」にごまかされず、何が真実かを見抜く力が国民には求められている。
(中沢佳子、榊原崇仁)

 「相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」。20日の参院本会議。桜を見る会の招待者を選ぶ経緯をただされた首相は、そう答弁した。関与を認めたと思いき追及されるとや、「最終的に内閣官房と内閣府で取りまとめた。私は一切関与していない」と続け、公選法にも違反しないと言い張った。
 不可解な主張は、会前日に後援会関係者向けに東京都内の高級ホテルで開かれた夕食会関連でもあった。1人5000円の費用は安すぎるという指摘に当初、「参加者の大多数が宿泊者という事情を踏まえ、ホテル側が設定した」と説明した。
 ところが、2015年の会は宿泊先と会場が別のホテルなのに会費は同じだったと判明。すると、「事務的な手違いで結果的に同一ではなくなった。ホテルと相談し、サービス内容や規模を勘案して(会費が)設定された」と述べた。
 「安倍首相がよく使う手が、また繰り返された」と話すのは、論点をすり替える政府答弁を「ご飯論法」と名付けた法政大の上西充子教授(労働問題)。「朝ごはん食べた?」と聞かれ、パンを食べたのに「ご飯(米)は食べていない」と答える話法を指す。「『最終的』という言葉をつけたことで、自身は関係ないと印象付けようとしている。ごく一部に論点を狭め、そこだけ否定するのは、森友学園を巡る文書改ざん問題で『私は指示していない』と言ったのと同じ論法だ」
 立教大大学院の平川克美客員教授(現代企業論)は「強い力を持つ独裁者は、どこまで嘘を通せるかで権力を誇示するもの。それには計画性をもって周到に準備するのに、安倍首相は追及されるとその場しのぎの嘘で逃げる。それを周囲にいる頭のいい官僚や取り巻きが必死につじつま合わせし、事実をねじ曲げるのが特徴だ」とみる。
 その「つじつま合わせ」も苦しい。内閣府は会の招待者名簿を野党が資料要求した5月9日に、シュレッダーにかけて廃棄したと説明した。大塚幸寛官房長は国会で「(他部署とシュレッダーの)利用が重なり、大型連休明けになった」と釈明した。
 内閣府が裁断に使ったシュレッダーの製造元、事務機器メーカー「ナカバヤシ」に尋ねたところ、製品は幅約3・1㍍、奥行き約1・5㍍の大型業務用。同社広報IR室の西浦弘史郎リーダーは「約1000枚を一括投入でき、40秒ほどで細断する。1時間で最大550㌔の紙を処理できる」と語る。
 A 4番の紙は1000枚で約4㌔といい、20000枚近い文書でも10分ほどで細断できる。ちなみに、会の招待者は約15000人だ。日々、どれだけの文書を廃棄しているのか内閣府に質問したが、25日午後9時までに回答がなかった。

正面からの議論回避 安保法制や共謀罪でも
そらし ずらし 押し切る
強さ前面非を認めず
「黙認は検証妨げ、お友達優遇招く」

 安倍首相は以前から、真っ向からの議論を避けてきた。例えば、安全保障関連法案に関する議論。2015年5月の衆院平和安全法制特別委員会では、野党から「自衛隊の活動範囲が広がり、リスクが増すのではないか」と問われた際、正面から答えずに「訓練を重ねてリスクを低減する」と論点をずらした。
 16年10月の衆院予算委でも似た場面があった。国連平和維持活動(PKO)で陸上自衛隊が派遣された南スーダンの情勢について「民間人を乗せた車両が襲撃され、21人が死亡したと発表された。リスクの可能性を認めるべきではないか」と質問を受けても、「もちろん永田町と比べれば、はるかに危険な場所だ」とまともに取り合わなかった。
 17年1月の衆院予算委では共謀罪を巡る議論で「テロ対策は現行法で可能だ」と指摘されたのに、実際に可能かどうかの議論に応じず「テロ対策の穴を埋めなくても五輪を開けばいいという考えは取らない」とやはり話をずらした。
 成蹊大の高安健将(けんすけ)教授(比較政治)は「政治家は通常、丁寧な説明を求められると渋々ながらも応じる。そうしなければ、選挙で不利になったり、党内で評判が落ちたりするからだ。しかし安倍政権の場合、説明責任を果たさなくても支持率が下がらず、選挙でもマイナスに働いていない。そうした状況から国会での説明や議論が軽んじられているのではないか」と話す。
 高安氏は、こうした姿勢の根底には第一次政権の経験があるとみる。当時は閣僚の相次ぐ辞任で任命責任を認めざるを得ず、短命で終わった。
 「現政権は『強さ』をキーワードにし、非は認めず自らの考えを押し通すことに重きを置く。議論は避けつつ、明快さを感じさせる言葉を用いる。それが有権者には分かりやすく見える。しかし、現実が首相の言葉と矛盾した時には、隠蔽や改ざんといった問題が起きる」
 かたや野党も「問題が政権にあり、批判一つ一つはまっとうでも、『あなたたちは政権を担う代わりになり得るか』という疑問を常に突き付けられ、批判すること自体が否定されてしまう」(高安氏)
 首相は「印象操作」という言葉を好んで使う。具体例の一つが、今年7月の参院選に合わせて開かれた主要政党の党首討論会。選択的夫婦別姓などへの賛否を聞かれた際に挙手せず「単純化はやめた方がいい。印象操作はやめてもらいたい」と述べた。
 名古屋外国語大の高瀬淳一教授(情報政治学)は「『印象操作だ』という訴えは、『作為的な情報発信はやめるべきだ』と印象づけるメッセージ」と述べる。地震への批判をかわす姿勢を顕著に表しているのが、この四文字のようだ。
 首相が批判を嫌い、議論を避ければ、そのツケは国民に回ってくる。さまざまな問題の検証が進まないだけではない。
 駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「議論は民主主義の根幹をなす。議論の過程で幅広く意見を汲み上げることで、さまざまな立場の人に配慮した社会の仕組みができる。税金の使い道もそう。逆に言えば、首相が議論を避ければ、おのずと首相に近い人の利益ばかりが大切にされるようになる。いわゆる『お友達優遇』だ」と語る。
 山崎氏は「不健全な状況に対し、私たち市民は口をつぐんではいけない」と呼び掛ける。「黙っていれば『今のままで良い』となる。駄目なものは駄目だと声を上げ続けないといけない。ツイッターなどでもいい。現状に対する不満を可視化することが必要だ。

デスクメモ
 普段は論理が明快な話をする人がおかしなことを言うと、「あれ?」と思う。いつも適当な話をしている人が変なことを口にしても「ああ、またか」になる。慣れは恐ろしい。首相の発言を聞く時は頭を空っぽにし、じっくり考えないといけない時代になったのかもしれない。               (千)



桜を見る会で安倍首相
  「メンツのためだけの発言」で
事務方が大慌て 帳尻合わせも限界
2019年11月26日:AERA

 桜を見る会を巡る問題で、安倍首相本人と昭恵夫人の関与が明るみに出た。野党だけでなくポスト安倍の面々も説明を求めており、逃げ切りは難しい情勢だ。この問題をめぐる事務方や与野党の動きに迫った、AERA 2019年12月2日号の記事を紹介する。
*  *  *
 20日の参議院本会議。これまで安倍晋三首相は「桜を見る会」の招待者の人選に関し、「そのとりまとめには関与していない」と明言してきたが、ここにきて安倍事務所が内閣官房からの推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募る中で、「私も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」と自らの関与を認めた。虚偽答弁への謝罪はなく、野党は反発を強めている。

 霞が関の関係者はこう分析する。

「首相答弁が後になって翻るのは周知の事実。これは首相が秘書官とだけ調整し、事務方に根回しをしないことが原因。会見でもその場のメンツを守るためだけに思いつきで発言をする傾向がある。その度に事務方が慌てて、帳尻を合わせるために動く。ただ、どうにもならないことが出てくるから、後になって自らの発言をそれらしく訂正し、翻さなければならない」

 部下の手柄は上司のもの。上司の失敗は部下の責任──。結果、矢面に立たされているのが内閣府の大西証史内閣審議官だ。衆院の内閣委員会では野党の追及に対し、「安倍事務所において幅広く参加を募る中で、夫人からの推薦もあったとのことだ」と「昭恵枠」の存在を認めた。

 また、共産党の宮本徹衆議院議員が、内閣府に対して桜を見る会に関する資料を要求をした日と、政府が参加者名簿を破棄した日付が同じだった件について問われると「大型のシュレッダーを使おうとしたところ、各局の使用が重なったから」と釈明。このやりとりを見た野党議員は語るに落ちたと憤る。

「政権中枢を支えるエリート中のエリートが、この程度の言い訳しかできない実態が、この案件の根の深さを物語っている。絶対にオモテにできない事情があるのだろう」
 首相本人が直接関わるこの疑惑は、自民党内のポスト安倍をめぐる動きにも影響を与える様相を呈してきた。石破茂元防衛大臣は17日、テレビ番組で安倍首相は改めて会見を開いて、国民に経緯を説明するべきだとの考えを示した。また、野党が求めている首相出席の集中審議を開催する見通しが立っていない件に触れ「国会で説明できないとなればいろいろな場がある。質問する側も準備して臨み、首相がきちんと答える場だ」と踏み込んだ発言をした。

 同じく、岸田文雄政調会長も「国民が疑念を持つならば説明責任を果たしていくことは大事だ」と発言していて、いずれも「これで幕引きにはならない」という構えだ。

 首相の虚偽答弁を受け「税金の私物化」を中心に追及することで野党は一致。改めて衆参両院予算委員会の集中審議開催を要求した。政府・与党がこれを拒否した場合について、立憲民主党の安住淳国対委員長は「やらないなら、来年の通常国会で2カ月間かけてこの話をやらせていただく」と強気の姿勢を見せた。この発言に首相周辺は神経をとがらせていると自民党関係者の一人は語る。

「首相本人が説明責任を果たさなければならない案件であり、それに加えて総理夫人の昭恵さんも関係していることが表沙汰になった今、この防戦一方の政局はあのモリカケ問題を連想してしまう。まさか通常国会の冒頭で首相が解散に打って出るとは思いませんが、党内ではポスト安倍の動きも含め気が抜けない年末年始になりそうです」

 この問題が表面化した時、首相周辺は「この程度の問題か」と高をくくっていた。しかし問題が長期化し、拡大したことで、ボディーブローのようにじわじわと政権の体力を奪っている。今回ばかりは、誰か関係者のトカゲの尻尾を切って幕引きにはできない。そのことは首相本人がよくわかっているだろう。(編集部・中原一歩)

※AERA 2019年12月2日号



【主張】桜を見る会 花見をやっている場合か
2019年11月24日:産経新聞

 「桜を見る会」をめぐる迷走が続いている。
 安倍晋三首相が、国会答弁で発言を翻すなどして野党が追及姿勢を強めているためだ。
 政府は来春の中止を決定した。首相や与党議員の後援会関係者が多く招待されているとの批判を受け、招待基準などを明確化するためだ。当然のことではある。
 問題がここまでこじれた以上、来春の中止だけではなく、首相在任中の中止も決めるべきだろう。正すべきは長年続いた慣行の悪(あ)しき部分だ。
 日本文化の対外発信といった意義もあり廃止できないなら、本来の開催趣旨にふさわしいあり方は、次の政権にかけての宿題にしたらどうか。安倍政権には内外の課題が山積する。
 首相は20日の参院本会議で「招待者の選定基準が曖昧で結果として数が膨れ上がってしまった。大いに反省する」と述べた。首相が自分で認めた通り、曖昧な招待基準に加え、異常に膨れあがった参加者の数を見れば、「桜を見る会」を選挙目当てに私物化したと批判されても仕方あるまい。
 首相は招待者のとりまとめには関与していないとしてきたが、20日の国会答弁では「私自身も相談を受ければ意見を言うこともあった」と発言を修正している。
 また、パソコンでデータ管理するご時世に、招待者名簿を内閣府が破棄したのは解せない。知られると困る、何か後ろめたいことでもあるのかと疑われるだけだ。こうした対応は、長期政権の緩み以外の何ものでもなかろう。
 一方野党も、国会の使命を放棄していると言わざるを得ない。米議会は、ウクライナ疑惑をめぐるトランプ大統領への弾劾調査で与野党が激しく対立しつつも、香港人権法案を超党派で可決し、やるべきことをやっている。
 これに比して日本の国会は、米中新冷戦とわが国の立ち位置など国家のあり方をめぐる大所高所の議論はおろか、激しさを増す香港情勢、韓国との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題の解決、国民投票法改正案といった課題についてまともに議論せず、決議一つ可決していない。
 いつまでも時季はずれの花見に興じている場合ではない。首相はじめ、与野党議員は自らの本分をしっかり自覚してもらいたい。


桜を見る会、
5年で推薦者1400人減? 共産党が追及
2019年11月25日:朝日新聞

 国の予算で毎年開く「桜を見る会」で、安倍晋三首相の推薦者数をめぐる疑問が25日、新たに浮上した。共産党が内閣府から提供を受けた資料に、2014年の首相ら官邸幹部の推薦者数が「3400」と明記されており、政府が説明する今年分「計約2千人」と大きな開きがあったためだ。同党は今年分が「過小な数字ではないか」と追及した。
 参院行政監視委員会で同党の田村智子氏が質問した。同氏によると、資料は、15年の参加者に招待状を送る業者向けに作成した「仕様書」で、14年の送付実績が添付されていた。実績は一覧表形式で、招待者数として、「総理、長官等推薦者」は「3400」、「与党推薦者」は「2900」と記されている。
 菅義偉官房長官が20日の衆院内閣委で公表した今年の推薦の実績は、首相「約1千人」、副総理、官房長官、官房副長官で「約1千人」だった。
 田村氏は参院行政監視委で、この数字を引き合いに「今年は計2千人と答弁しているが、14年時点で3400人。減ることはあり得ない」と指摘。大西証史内閣審議官は今年の数字について、「名簿を廃棄した。名簿がない中で、官房長官が事務方に聞き取りをしてまとめた概数だ」と答弁した。
 田村氏はさらに、与党の推薦にも疑問を呈した。14年実績には「2900」となっているが、菅氏が公表した今年分では「自民党関係者の推薦」だけでも、約6千人となっていたためだ。「総理がその(自民党関係者の推薦の)中に、自分の分を入れ込んでいるのでは」として、首相自身の実際の推薦数は、1千人より多いのではないかとの疑問を投げかけた。
 桜を見る会の招待者は14年は約1万2800人だったが、今年は約1万5400人となった。
 首相は20日の参院本会議で「招待者の基準があいまいで、結果として招待者の数がふくれあがってしまった実態があると認識している」と答弁。そのうえで、「私の事務所が内閣官房から推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募ってきた。私自身も事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった」と述べ、自らが招待者の選定過程に関与したことを認めている。(永田大、今野忍)


「桜を見る会」中止に騙されるな!
 安倍首相“アウト”公選法違反を告発
2918年11月21日:週刊朝日

“安倍1強”の傍若無人もここに極まれりだ。安倍晋三首相主催の「桜を見る会」で、安倍首相が地元の後援者を多数招いていた問題が拡大の一途をたどっている。多額の税金が投入される公的行事を地元後援者の接待に使ったとして、公職選挙法などに抵触する疑いまで指摘される。

 政府は招待基準などを見直すことを理由に来年度の「桜を見る会」の開催中止を決め、早期の幕引きを図ろうとしている。だが、内閣官房関係者は緊迫感を漂わせながらこう語る。

「これまでの問題とは明らかに次元が違います。森友・加計は官僚の忖度(そんたく)の問題でもあったが、今回は安倍事務所が直接絡んでいる。官邸や党内は相当の危機感を募らせ、ヤバイという声が出ています。今回の件で安倍さんが報道陣のぶら下がり取材に応じるとは思いませんでした」

 11月15日は普段とは違う異例のぶら下がり取材となった。政治部記者はこう言う。

「いつもは問いかけに一言二言だけ答えて通り過ぎるのですが、今回は20分以上いました。やたらと『次の質問どうぞ』と言っていたのが面白かったですね。かなり焦っているのは間違いありません」

 桜を見る会は1952年に始まり、毎年4月ごろに東京・新宿御苑で開かれる。皇族や各国の駐日大使、国会議員や中央省庁幹部らが参加するほか、各省庁が推薦する形で各界の功労者たちが招待されてきた。今回、国会議員の推薦枠があることが明らかになったが、安倍首相はこの枠を利用し、会を「後援会活動」に使ったのである。

 参加者や支出額は、安倍政権下で年々増え続けてきた。招待者数の目安は1万人とされているにもかかわらず、2014年度の約1万3700人から、今年度には約1万8200人にまで増加。この間、予算は1767万円で固定されていたが、実際の支出額は毎年のように大幅にオーバー。14年度は約3千万円だったのが、今年度には約5500万円まで膨れ上がった。

 会に参加した山口県周南市の藤井律子市長がつづったブログが国会でも取り上げられ、失笑を買った。
<たくさんの方との出会いの中で、片山さつき先生とも久しぶりの再会を果たしました。「今日は、山口県からたくさんの人が来てくださっているわね~。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ!」と、いつものように元気よくお声をかけていただきました>

 招待者には総理「枠」ばかりか、閣議決定で私人とされた昭恵夫人の「枠」まであったことが明らかになっている。SNS上には、会の写真とともに「安倍昭恵さん、お招きありがとうございました!」などと記載された投稿も見つかる。

 11月8日の参院予算委員会で今回の問題を取り上げた田村智子議員(共産)がこう語る。

「招待客を取りまとめる内閣官房は、人数制限もしなければ、どういう人物を招待するのかチェックすら行っていませんでした。会は園遊会と同様に、各界の功労者をねぎらう栄典です。安倍首相はその公的行事を私物化し、わが身が危なくなると今度は突然中止を決めたのです。秘書に責任を押しつけてトカゲの尻尾切りをするという話はよく聞きますが、伝統ある公的行事をトカゲの尻尾切りにする総理大臣なんて聞いたことがありません」

 しかも、内閣府は招待者名簿を「保存期間1年未満の文書だった」として、恣意的に廃棄した可能性まで出てきた。森友・加計問題と同様に、公文書管理の不適切さも問われるだろう。

 安倍首相の公私混同ぶりに、国民の不満がたまっているが、疑惑の“本丸”は会の前日に催された前夜祭だ。高級ホテル「ニューオータニ」の宴会場で立食形式で行われたという。参加者のブログには「下関市・長門市そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティーが開かれました」との記述もある。

 前夜祭では高級店の料理なども振る舞われたが、会費は5千円。野党議員から安すぎるのではないかと疑問視されているのだ。

 ホテルの広報担当者に確認すると、

「立食のパーティープランでご用意しているのは、お一人1万1千円が基本です。お料理のグレードや量によって、1万3500円、1万6千円の3パターンがあるだけです」
 と答える一方で、「料金についてはご要望を伺ってご提案することもあります」とも付け加えた。

 前夜祭は2013年から開催されてきた。不可解なのは安倍首相が代表の政党支部や、後援会など政治団体の政治資金収支報告書に、前夜祭の収支に関する記載がないことだ。

「政治とカネ」の問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、告発も辞さない構えだ。

「料理だけでなく会場費も相当高いはずで、一人5千円の会費でペイできるはずがありません。支出のほうが2、3倍くらい多くなると考えられます。そうなると差額分が寄付行為となり、公選法違反になります」

 14年には、支持者を招待した観劇ツアーをめぐり収支の虚偽記載が明らかとなり、小渕優子元経産相が辞任に追い込まれた。

「収支報告書に書けなかったのです。では今回、赤字を補てんしたのはだれなのか。安倍さん本人か政治団体のどちらかだろうと思います。そうすると、裏金を持っていることにもなってしまいます」(上脇氏)

 安倍首相は15日夜、前夜祭の費用について、報道陣に次のように説明した。

「価格設定が安すぎるのではないかという指摘があるが、5千円という会費は、大多数がホテルの宿泊者だという事情を踏まえ、ホテル側が設定した価格だ」

 だが、前出・田村議員はこう反論する。

「ホテル主催のディナーショーならば、参加者はホテルに支払うでしょう。そうではない。会場の案内板には『安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭』と書かれています。どういう料理にするのかなど、だれがホテル側と相談したのか。今年は歌手の方を呼んでいますし、その手配や支払いはどうしたのか。すべてがクエスチョンマークです」

 今国会は菅原一秀前経産相と、河井克行前法相の妻である参院議員に公選法違反疑惑が浮上し、2閣僚が事実上の更迭となった。また、萩生田光一文部科学相は英語の民間試験をめぐって「身の丈に合わせてがんばって」などと教育格差を助長するかのような発言をするなど、安倍内閣の失態が相次いだ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が厳しい口調で語る。

「今回、一般の市民の怒りが収まらないのは、桜を見る会が『お友だち』だけを優遇する場になっているからです。『身の丈』発言とも重なり、選民意識の表れとも受け取れます。経済格差など自分の努力だけではどうしようもない立場の人々をさげすみ、こういうところに呼ばれるのが“上級国民”だと言わんばかりです。そういう会を中止するというのだから、何かうしろめたいことがあるのを事実上認めたということじゃないですか。これはアウトですよ」

 安倍首相は相変わらず逃げの一手。説明をあいまいにして問題が沈静化するのを待つのは、今やこの政権の「お家芸」だ。たまには自ら国会に出て、集中審議に応じてもらいたいものだ。(本誌・亀井洋志、上田耕司、吉崎洋夫/今西憲之)

※週刊朝日  2019年11月29日号



「桜を見る会」前夜祭問題で
ニューオータニ総支配人が文春の直撃に
「(即位)晩餐会をやっていただいた」
入札なしの発注に疑惑も
2019年11月22日:LITERA

 嘘に嘘を重ね、その結果、次々に新たな疑惑がふくらみつづけている「桜を見る会」問題。昨日21日におこなわれた参院内閣委員会では反社会的勢力や半グレ組織とみられる人物が出席していた問題も追及されたが、菅義偉官房長官は“知らぬ存ぜぬ”でしらばっくれた。
 だが、こうした態度もどこまでつづくか。とくに公職選挙法や政治資金規正法違反、さらには贈収賄にあたるという指摘も出ている「前夜祭」問題では、また新たな証言が出てきた。
 それは、昨日発売された「週刊文春」(文藝春秋)の特集記事に掲載された、「前夜祭」参加者による証言だ。
 この「週刊文春」は8ページにもわたって「桜を見る会」問題を大特集しているのだが、そのなかで「前夜祭」に参加した人から、こんな証言を得ているのだ。
「当日、招待状も何も持たずに行ったが、『山口出身で親が後援者だ』と言ったら入れた」
 安倍首相の主張は“安倍事務所の職員が受付で参加者から5000円を集金し、ホテル名義の領収書を手交。受付終了後に集金した現金をホテル側に支払った”というものだったが、この証言のとおり、招待状もなく入れたり、逆に招待状を持っていても欠席する人が出るようなユルい宴会だったとしたら、ホテル側は一体いくらの収入があるか、最後までわからないということになる。そんな博打みたいな発注を受けたとは到底考えられない。
 だが、「週刊文春」の追及はこれで終わらなかった。「週刊文春」は「前夜祭」問題を、ニューオータニの代表取締役常務であり東京総支配人の清水肇氏に直撃してぶつけているのだ。
 本サイトでも既報のとおり、清水氏のFacebookでは安倍首相、そして夫人の昭恵氏の両方と「友達」となっており、安倍夫妻との関係が疑われていた人物。しかも、清水氏はFB で、安倍首相の“ビッグサポーター”として知られるアパグループの元谷外志雄代表の私塾「勝兵塾」に「いいね」をしていたり、元谷芙美子アパホテル社長とカラオケを楽しむ様子が投稿されており、人脈や思想が安倍首相と近いことがうかがえる。
 そして、「週刊文春」の直撃を受けた清水氏は、安倍首相との関係について「(FBは)こちらが一方的に友達になっているだけです」「ゴルフや飲食もともにしたことはないですし」と否定しつつも、一方でやはり安倍首相をかばいつづけたのだ。
「安倍さんが説明された通りです。五千円が安いと言われても、うちがそれで引き受けているんだから」
「(報道された最低価格)一万一千円というのは、単なるベンチマーク。こちらだって商売なんだから、予算に応じて検討しますよ」
 本サイトがニューオータニに問い合わせした際には、「最低でも1万1000円」とはっきりと言い、「5000円でお願いできると聞いたのですが」と訊くと「そのようなプランはございません」と断言。NHKの取材に対しても「値切り交渉などには応じられない」と答えていた。しかし清水氏は、安倍首相には「5000円で引き受けた」「商売だから予算に応じて検討する」と言うのである。
 一般人の値切り交渉は拒絶する一方で、安倍首相には融通する……。皆が薄々はそうした優遇はあるかもしれないと感じながらも、ここまではっきりと明言されると、ニューオータニのブランドイメージを総支配人自ら傷つけているようなものだが、しかし、目を疑ったのは、こんな一言だ。
 それは、縁が深かったという安倍首相の祖父・岸信介とニューオータニの初代社長である大谷米太郎氏の関係を記者が挙げた上で、「現首相と御社も関係が深いのか」と質問したときだ。清水氏はこの質問に、こう答えたのである。
「それは知らなかったが、このあいだの晩餐会(即位の礼の翌日、十月二十三日に行われた首相夫妻主催の会)もやっていただいた。総理といえば天皇の次くらいの人ですから、使ってもらえるのはありがたいですよ」
 安倍首相は天皇の次くらいの人──。まるで安倍首相に心酔し崇め奉る極右安倍応援団のような発言だが、清水氏のこの言葉は、下々の者は「最低でも1万1000円」で、「天皇の次くらいの」安倍首相は1人5000円でも使ってもらえるだけでもありがたい、そういう意味に受け取れる。

ニューオータニ代表取締役が口にした
即位式典「首相夫妻主催晩餐会」をめぐる疑惑

 だが、この発言で重要なのは、清水氏が「首相夫妻主催晩餐会」を引き合いに出していることだ。
 清水氏が言うように、今年10月22日におこなわれた「即位礼正殿の儀」の翌日23日には、問題の「前夜祭」と同じニューオータニの「鶴の間」で「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」が開催され、その予算総額は予算1億7200万円にものぼっている。
 だが、この「首相夫妻主催晩餐会」の会場がニューオータニに決まった経緯は、なんとも不可解なものだったのだ。
 たとえば、同じ即位にまつわる祝宴で、皇居でおこなわれた宮内庁管轄の「饗宴の儀」の料理は、8月に一般競争入札方式で最低価格だったグランドプリンスホテル新高輪が落札したが(落札価格約8400万円)、「首相夫妻主催晩餐会」の会場選定のほうはなぜか、そうした入札なしで1月にニューオータニに決められていた。
 内閣府に設置された「皇位継承式典事務局」によれば、「舞台スペース(平成度の実績:220席分)を除いて約900名の正餐が行える宴会場を有する」「元首など各国要人をもてなすため、非常に高いレベルの接客及び充実した設備・ノウハウを兼ね備えている」「前日も使用可能」「23日に大きなイベントがないこと」の4点が選定理由だという。これくらいの条件ならば、帝国ホテルの「孔雀の間」やホテルオ−クラの「平安の間」は「鶴の間」と同規模の宴会場であるし、いろいろ候補にあがりそうなものだが、しかし〈事務局において調査した結果、選定のポイント1〜4までの全ての項目をクリアしたホテルは、「ホテルニューオータニ」のみ〉と結論づけたのだ。
 入札もおこなわず、不透明な選定によって予算総額1億7200万円もの税金が使われる宴会がニューオータニに決定していた……。これには刑法が専門の園田寿・甲南大学教授も「(「前夜祭」の)不当な値引きの背景には、こうした国発注の行事もあるのではないか」(共同通信19日付)と言及していたが、今回、「前夜祭」問題を直撃された清水氏は、「安倍首相にはこのあいだの晩餐会もやっていただいた」と自ら言及したのである。つまりこれは「晩餐会」会場をニューオータニにしてくれたから「値引き」した、あるいは「値引きの見返り」として「晩餐会」会場がニューオータニになったと、少なくとも清水氏はそう理解している証拠ではないのか。

ニューオータニの広報部長ら2人が
議員会館にある安倍事務所に呼び出されていた

 しかも、こうした清水氏の発言からもうかがえるように、ニューオータニは徹底して安倍首相を守る気なのだろう。実際、「週刊文春」の記事でも、夜に安倍首相が異例の約20分のぶら下がり取材を決行した15日、ニューオータニの広報部長ら2人が議員会館にある安倍事務所に呼び出され、「会費5000円」ということが「厳重に“確認”」されたと官邸関係者が証言。安倍首相の政策秘書である初村滝一郎氏が官邸に出向いてその報告をおこなったと伝えている。つまり、“口裏合わせ”を済ませた上で、安倍首相は不意打ちのぶら下がり取材をおこなったのだ。ちなみに初村氏といえば、森友問題が発覚し昭恵夫人が名誉校長を辞任した際も、森友側に「(名誉校長から)降ろせ」「今日中に顔写真すべて外せ」と「コワモテの声で」打診したと籠池氏に証言されたこともある。
 この調子だと、安倍首相は「明細書は発行されていない」という常識はずれの主張を押し通し、ニューオータニは「一概に言えない」などと口を濁しつづけるはずだ。だが、本サイトでは繰り返してきたように、もし実際にニューオータニが5000円で引き受けていたとしても、本来は参加者1人につき1万1000円以上の費用にもかかわらず大幅な値引きをおこなっていたことになれば、それは「安倍晋三後援会」への寄附にあたり、政治資金規正法で禁じられた政治団体への企業献金となる可能性がある。
 しかも、その背景に、予算総額1億7200万円もの国事業の発注が絡んでいたとしたら、これはさらに巨額の税金を使った一大疑惑に発展する問題だ。
 12月9日に臨時国会の会期末を迎えるため、安倍首相は是が非でも予算委員会の集中審議を拒否して逃げ切る算段なのはあきらか。そして、年をまたげば「国民は忘れる」と踏んでいるのだろう。だが、「桜を見る会」問題は、政権与党である安倍自民党が、安倍首相を筆頭にして国民の税金を使い地元有権者を買収、さらに安倍首相本人の違法行為疑惑という、重大な不正問題なのだ。もうこれ以上、安倍首相の私物化を許すわけにはいかない。
(編集部)



安倍首相が百田尚樹、櫻井よしこら
極右仲間とフレンチ会食の開き直り!
「桜を見る会」お友だち招待が
批判を浴びているなかで
2018年11月22日:LITERA

「昭恵枠」に、反社会的勢力の招待、名簿廃棄問題と、次々に問題が噴出している「桜を見る会」問題。なかでも注目を集めているのは「安倍晋三後援会」が主催した「前夜祭」の会費5000円問題だが、公職選挙法や政治資金規正法違反が指摘されているというのに、肝心の安倍首相は20日の参院本会議で「ホテル側から明細書の発行はなかった」と答弁したきりで、追及から逃げつづけている。
 だが、一連の安倍首相による主張がことごとく嘘であることは、すでにあきらかだ。
 安倍首相は「安倍事務所の職員が受付で1人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に集金したすべての現金をホテル側に渡すというかたちで支払いがなされた」と述べているが、2013、14、16年に「前夜祭」が開かれたANAインターコンチネンタルホテル東京は「領収書はお支払いしたものに対して発行するものですので、パーティー代金を受け取る前にホテル名義の領収書を主催者に渡すことはありません」と毎日新聞の取材に回答している(21日付)。
 さらに、ANAインターコンチネンタルは、ホテル側が主催者に見積書を提示し、それを受けて主催者が見積金額を支払い、パーティの後にホテルが明細書を提示、主催者が見積金額との差額を精算した上でホテル側が領収書を発行するものだと一般的な流れを説明。「政治家だからという理由でこれらの原則を変えることはありません」と明言しているのである。
 しかも同ホテルはNHKの取材に、明細書について「ご要望があれば過去にさかのぼって発行することが可能」と答えている。「法的に問題は一切ない」と主張するのであれば、安倍首相は早急に記者会見や国会の集中審議に応じ、国民に明細書をしっかりと示し、身の潔白を証明するべきだ。
 しかし、安倍首相にそんな素振りはまるでない。いや、それどころか、これだけ大きな疑惑が持ち上がっているというのに、昨晩、信じられないような行動に出たのだ。昨日21日の首相動静には、こうある。
〈午後7時24分、東京都新宿区のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」着。作家の百田尚樹氏、評論家の金美齢氏、ジャーナリストの桜井よしこ氏、有本香氏、作曲家すぎやまこういち氏と会食。〉
 国民に何ひとつ説得力のある説明ができないでいるのに、極右のお友だちたちの輪に逃げ込んで、高級フレンチ店で仲良く会食して慰撫してもらう……。あまりにグロテスクな絵面が思い浮かぶが、しかし、信じられないのは、その面子だ。
 百田尚樹氏と有本香氏という世紀の欠陥本『日本国紀』(幻冬舎)のコンビといえば、今年4月13日に開催された「桜を見る会」に、フェイクデマ拡散ネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)御一行で出席。ケント・ギルバート氏や竹田恒泰氏、上念司氏、石平太郎氏、須田慎一郎氏、大高未貴氏、藤井厳喜氏、武田邦彦氏らとともに、安倍首相と昭恵氏はにこやかに写真撮影をおこなっていた。
 一体、このメンバーを税金でもてなすに値するどんな功績があるというのか甚だ疑問だが、本サイトではこの「桜を見る会」が開かれたその日に、極右の応援団を安倍首相が大量に招待したという露骨な身びいきを批判。3日後の16日には東京新聞も「ネトウヨのアイドル?いっぱい」と報じ、同時に与党の推薦者が多いことや開催費用が増加していることを指摘。そして、共産党の宮本徹議員が5月13日の衆院決算行政監視委員会ではじめて追及をおこなったのだ。ちなみに、宮本議員はこの追及の質問作成のために、同月9日、内閣府に資料要求をおこなったのだが、この日に招待者名簿が廃棄されていたことが判明。「会終了後、遅滞なく廃棄する」と説明していたのになぜ5月9日に廃棄したのかと問われると、内閣府の大塚幸寛官房長は“シュレッダーの空きがなかったから”などと噴飯ものの答弁をおこない、こちらも大きな問題になっている。

説明責任も果たさず、百田尚樹、櫻井よしこら
極右仲間とテレビの話題で盛り上がる安倍首相

 つまり、「桜を見る会」という税金で功労者をもてなす場に、安倍首相が百田氏や有本氏といった「ネトウヨのアイドル」を大量に招待していたことが問題追及の端緒だったとも言えるのである。いや、そもそも「桜を見る会」の最大の問題点は自民党が組織として選挙運動に利用しようと地元支持者の接待をおこなっていたことだが、百田氏や有本氏をはじめとする安倍応援団ジャーナリストや文化人を大量に招待してきたことも、この私物化問題の同一線上にあり、まさに「桜を見る会」問題の象徴と言ってもいいような面々だ。
 にもかかわらず、安倍首相は疑惑追及から逃げるばかりか、その“問題の招待者”たちとこのタイミングで会食をおこなうとは──。ようするに、反省どころか、国民に向かって堂々と開き直ってみせたのだ。
 しかも、百田氏は、あるTwitterユーザーがこの会食を〈ネトウヨの文化人とともに、改憲についてでも話し合ったのか〉とツイートすると、それを引用してこう投稿した。
〈ブー!
話題のテーマは「探偵!ナイトスクープの今後について」や。
総理も松本人志新局長に大いに関心を持たれていた。〉
 また、有本氏もこの投稿にこう返信した。
〈久しぶりに楽しい会食でしたね。総理と百田さんの掛け合いに笑い過ぎてお腹が痛くなりました。いずれお二人でコンビを組まれてはどうかと思います。〉
 血税を地元有権者やお友だちの接待に使っていたのではないかと国民が疑念の目を向けている最中に、“身内”でバラエティ番組の話題で楽しく盛り上がる。はっきり言って、これだけでも十分、総理大臣の行動として批判を受けても何ら不思議ではないだろう。

記者クラブのキャップが「桜を見る会」問題のさなかに安倍首相と懇談

 ともかく、完全に国民は安倍首相に舐められきっていることがこれではっきりとしたが、問題はこれだけではない。もうひとつの問題は、メディアも国民を舐めきっているのではないか、ということだ。
 というのも、この極右友だちによる「安倍首相を慰撫する会」の前日、20日の首相動静を見てみると、こう記載されているのだ。
〈午後6時34分、官邸発。同39分、東京・平河町の都道府県会館着。同所内の中国料理店「上海大飯店」で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談。〉
 安倍首相は18日以降、総理在任期間が憲政史上最長となった件と本日のGSOMIA問題以外では記者のぶら下がり取材に応じておらず、記者会見を開こうともしていない。しかも、15日におこなった約20分のぶら下がりも、わずか10分前に連絡してきて不意打ちで開くという小狡さ全開のものだった。つまりこの間、安倍首相はマスコミを利用して「説明責任は果たした」という既成事実をつくっただけで、まともに取材に応じてはもらえていないのだ。
 だというのに、記者クラブの各社キャップが揃って安倍首相を囲んで懇談をおこなう──。たしかに記者クラブとの懇談会は定期的におこなわれているものではあるが、現場の記者たちはいま、安倍首相に完全に見下され、利用され、その後はまともに取り合おうともされていない。どう考えても、懇談会の主催が官邸であれ内閣記者会であれ、キャップたちは抗議の意味を込めて、ボイコットあるいはキャンセルすべきだったのだ。
 だが、記者クラブ加盟社キャップたちは、それをしなかった。実際、この行動に現場の記者たちは納得がいっていないようだ。新聞労連の南彰委員長は21日、こうツイートしている。
〈全国の記者からやり場のない怒りの連絡が1日中押し寄せる。政治部記者からも。悔し涙を流す人もいる。
この懇談は市民とメディアの間をまたもや引き裂いた。
市民に信頼される報道を目指して頑張っている記者の心を折れさせていくメディアの上層部の意識って何なんだ。〉
 説明を求める声から逃げる安倍首相と、説明しない首相に抗議の意思さえ示さず円卓を囲むマスコミ……。森友・加計問題でも指摘された安倍首相による「国家の私物化」が繰り返され、いままた疑惑が噴出しているというのに、マスコミがこの体たらくではまた安倍首相は責任をとることなく逃げ切るだろう。
(編集部)



桜を見る会に一言 騒動の舞台 新宿御苑で聞く
「イラッとした」「騒ぎ過ぎでは」
「ニュース知らない」「隠す人が総理 おかしい」
2019年11月23日:東京新聞・こちら特報部

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」への批判が日に日に強まり、新聞、テレビが連日報道を続けている。その会場は新宿御苑。東京の中心地にある有名公園とはいえ、これほどまでマスコミに露出したことはない。今、どうなっているのか。訪れた人は会をどう感じているのか。最高気温約10度。冷たい雨が降り、散歩には厳しい空模様の22日、新宿御苑を訪ねた。              (片山夏子、中沢佳子)

 午前8時半、新宿御苑の大木戸門、安倍首相主催の「桜を見る会」は、通常の開門時間より30分早いこの時間から始まる。冷たい雨が降る。当然ながら人はいない。
 15分後、英国サウサンプトンから観光に来たヒラリー・スミスさん(65)と友人が訪れ、門の前の飲食店の軒先で開門を待つ。「桜が美しい時期にお花見をするのは知っているわ。でも日本の首相が開いた会の騒ぎは知らない。テレビでやっている問題なの?」。京都や大阪を巡り、23日の帰国を前に来たという。
 続いて米国カリフォルニア州から来た救命士のケビン・ブッシュさん(25)夫婦がやってきた。「2週間の休みで昨日、日本に着いた。かなり寒いけど、せっかくだから御苑に来た。ニュースは全然知らなかった」。妻ヘイリーさん(24)は「桜は今見られないだろうけど、他にきれいな花が見られたらいいな。寒いからたくさん着込んできちゃった」とダウンジャケットの袖口をまくってみせた。
 さらに中国人のツアー客と、まずは外国からの観光客が詰め掛けた。しばらく待つと学ラン姿の2人…。校外学習に来た東京都板橋区の中学2年生だった。
 そのうちの一人の男子生徒(13)は「たくさん税金を使って宴会していたというニュースに、イラッとした。名簿を捨てたとか何がないとか言っているけれど、大人はきちんと自分で管理しろと言う。まず自分たちがちゃんとしてほしい」とぶぜんとした表情。同級生(14)も「いろいろ隠したりする人が総理大臣なのはおかしい」と語った。
 園内を高齢の女性がウォーキング。近所に住む80代の自営業者で日課だという。「桜を見る会の日は午前中、一般人は入れない。私の日課が変わって困る」
 桜を見る会の関連文書が出てこないことに、女性は「森友・加計学園の問題もそうだった。そういうことをする政権だと刷り込まれて慣れてしまい、怒ったり驚いたりしなくなった私たちにも責任がある。数は力。数さえ多ければ質は伴わなくていい。数で押し通すのは暴力だ」と憤った。
 出張のついでに訪れた北九州市の会社員男性(59)は「昔からの慣例で、前の政権でもやってきたこと。騒ぎ過ぎだと思う」とこの騒ぎへの違和感を口にしつつ、「まあ税金は適切に使ってほしいし、文書管理などはきちんとしてほしい」と注文を付けた。
 東京都杉並区の深堀博義さん(77)はスケッチをしに来た。「そんなに騒ぐことじゃない。人気取りでしょ。政党政治はそういうもの。ただ、ちょっと安倍首相らが悪乗りし過ぎた感がある。前夜祭の金の本当の所がどうなのかは気になる。問題は追及すべきだけど、森友・加計学園の時のように、国会の議論が止まるのは困る」。思いは複雑なようだ。

高まる批判 住民、生徒ら冷めた視線

 さらに園の中を進み、玉藻池に架かった橋を渡る。緑の中に赤く色づいた木々が見える小道をたどると、広々とした芝生の庭園に出た。桜を見る会の会場だ。
 今春は参加者18000人が集い。酒や竹の子ごはん、焼き鳥などの食事がふる舞われた。長州緋桜という樹齢61年の八重桜、安倍首相らはこの前で記念写真を撮った。開花時期はソメイヨシノより少し遅い。「桜を見る会」はその時期に合わせて開催される。
 長州緋桜の巨木は太い幹から出た枝を横に広く広げ、葉が赤や黄色に色づいていた。冷たい雨が降るこの日は、近くを通る人はほとんどいなかった。
 新宿御苑には約60種の約1000本の桜があり、中には樹齢100年を超える古木もある。雨に濡れそぼつピンク色の花をつけた2本の木が目に入った。秋咲きの十月桜と小福桜だ。その前で米国から観光に来た女性が足を止め「わお、びっくりした。桜が咲いているなんて、春が来たみたいね」と喜んでいた。
 息は白く、手先が冷えてきた。暖を取ろうと寄った中央休憩所。夫とツアーに参加した愛知県豊田市の女性(72)も休憩していた。「公人でない」と政府が言う安倍首相の妻昭恵さんに推薦枠があったことに憤る。
 女性は「文書が無いって言ってるけど、隠したら分からないと、やっていることが子どもじみている。会に使うお金があるなら被災地の困っている人に回せばいいのに」と語った。

「日本のセントラルパーク」
ゴルフコース、動物園…意外な歴史
四季折々の草木、戦後国民公園に

 繁華街、オフィスビルが立ち並ぶ中に緑が広がる新宿御苑。近代西洋庭園の名園とされる。
 江戸時代、この場所には信州高遠藩の主水藤家の家敷があった。この土地を中心に、明治時代には近代農業を振興する「内藤新宿試験場」が造られた。欧米の技術や品種も含め、果実や野菜の栽培、養蚕、牧畜などの研究を行っていた。
 やがて宮内省の「植物御苑」になり、1906年に皇室の庭園に。近代園芸の祖と言われ、イチゴやナス、キュウリなどの促成栽培にも取り組んだ福羽逸人(はやと)が整備に尽力した。敷地の一部がゴルフコースとして利用されたこともある。
 45年の空襲でほぼ全焼。戦後は国民公園として運営されることになり、49年から一般開放された。58・3㌶の園内には、プラタナスやユリノキなどさまざまな樹木や花が植えられている。秋には紅葉のほか、皇室の菊づくりの伝統を受け継いだ菊の栽培や展示もある。桜を見る会の前身の「観桜会」は17年から始ま他。
 原則、月曜日と年末年始を除いて開園し、入園料は一般500円、65歳以上と学生が250円、中学生以下は無料。年間パスポート(大人2000円)もある。
 新宿区立新宿歴史博物館の宮沢聡学芸員は「デザイン性の高さが特徴の一つ。敷地内に動物園もあったなど、意外な歴史も秘めている」と語る。昨年10月から今年2月には約200店の歴史的資料を展示した企画展「新宿御苑 皇室庭園の時代」を開き好評だった。
 都内の名所案内をするNPO法人「東京シティガイドクラブ」の毛利聡幹事は「季節の草花のほか、歴史的意義も紹介する。敷地内の樹木が東京の街路樹のもとであることや、いろんな果実や草木がここで開発されたなど、エピソードが多い」と語る。
 外国人にも日本人にも人気だといい「都心にあり、米国のエンパイヤステートビルのような高層ビルが望めるので『日本のセントラルパーク』と紹介することもある」という。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」でも毎年高評価。最新版の「外国人に人気の観光スポットランキング」では6位に選ばれた。
 環境省新宿御苑管理事務所に問い合わせると、事前の取材申し込みと掲載前の原稿の全文チェックが回答の条件とのことだった。仕方ないので主なデータはホームページを引用した。

デスクメモ
 30年近い記者生活。公的機関から記事全文を事前チェックさせろと言われたことは一度もない。新宿御苑を所管する環境省の本省も同様。憲法は検閲を禁じているからだ。それなのに御苑の事務所は…。桜を見る会絡みで、何か忖度しているのかと勘繰ってしまう。             (裕)



(社説)
予算の使い方 問題先送りに終止符を
2019年11月22日:朝日新聞

 国民が納めた税金のむだ遣いが、なくならない。
 18年度の国のお金の使い方について、会計検査院は335件の1002億3058万円で問題があると指摘した。
 待機児童解消をめざした保育室の工事では、費用が水増しされていた。交付金で整備した、患者の画像データなどを病院間で共有するシステムは、まったく使われていない例があった。中小企業に債務保証をする機構の基金では、政府の出資金のうち202億円は使う見込みがないとして、返納を求めた。様々な補助金や助成金も、不適切に受け取られていた。
 なぜ、同じような指摘が毎年繰り返されるのか。政府の各機関は、財源は税金であることを改めて意識し、むだを減らす取り組みを徹底すべきだ。
 ただ、政策の実行に必要なお金を借金に頼らずにまかなう財政健全化目標は、むだを削れば達成できるわけではない。
 政府は毎年、税収を大きく上回る予算を使い続けている。税収はバブル期に並ぶ60兆円前後に増えたものの、予算額は税収の約1・7倍の100兆円超にのぼるからだ。
 検査院は、会計処理が適正か、有効に効率よく執行されたかを点検している。さらに昨年からは、政権が掲げる財政健全化の視点を意識して、予算の3分の1を占める社会保障費に言及するようになった。
 今回は、75歳以上の医療費の自己負担のあり方など、安倍政権が政府の目標として「改革工程表」に書き込んだ三つの改革に触れ、「結論を得るとしていた18年度末までに、結論に至らなかった」と指摘した。
 社会保障改革では、医療費と介護費の給付と負担のバランスの議論がかぎとなる。高齢人口の増加で急伸が見込まれるからだ。ところが、安倍政権は自ら必要な改革と位置づけたのに、結論を先送りしてきた。
 こうした給付と負担の見直しが難しく、望ましい社会保障の姿を描けないなら、別の手段を考えねばならない。しかし、社会保障に使うと位置づけた消費税について、安倍首相は「今後10年間くらいは上げる必要はないと思う」と言うだけで、代替策を何も示さない。これでは、持続可能な社会保障制度を整えることも財政健全化も、遠のくばかりだ。
 検査院に指摘されるまでもない。現役世代と高齢層との負担のバランスをどう考えるか。負担増が避けられないなら、年齢や所得・資産の状況など、どんな基準で負担を求めるのか。
 尽くすべき議論から逃げてはならない。結論を出し、問題の先送りに終止符を打つときだ。



与党の税制改正論議
 企業偏重から抜け出す時
2019年11月27日:毎日新聞

 消費増税で国民の負担が増えたのに、企業優遇に偏った税制を推し進めれば不公平感を広げるだけだ。
 与党が来年度税制改正の論議を本格化させている。主な検討対象は企業向けの減税である。安倍晋三首相はこれまでも法人税を一律に下げるなど企業を積極支援してきた。
 けん引役は、自民党の税制調査会長に今秋就任した甘利明氏だ。首相に近く、以前は経済閣僚としてアベノミクスを主導した。
 代表的な減税案は、ベンチャー企業に投資した大企業に対し法人税をより軽くするものだ。技術の優れたベンチャー企業への投資を促し、技術革新を後押しする狙いという。
 企業の手元にある現金などの内部留保は460兆円超と潤沢だ。減税した分、賃金や投資に回るのなら意味はある。だが安倍政権が減税を繰り返しても内部留保は増え続けた。
 今回の減税も、もともと投資を考えていた大企業が得するだけで新たな投資を呼ぶ力は乏しい、といった指摘が出ている。効果がはっきりしなければ国民の理解も得られまい。
 日本は非正規雇用の増加で所得格差が広がった。消費税は高齢社会を支える財源だが、所得が低いほど負担が重くなる逆進性が課題となっている。必要なのは、企業偏重から抜け出し、所得の再分配を強めて格差是正を図ることである。
 優遇されているのは富裕層に多い金融所得への課税だ。給与への最高税率45%に比べると、株式の配当や預金の利子は税率20%とかなり低い。課税強化は再分配に役立つ。
 首相官邸サイドは株価に悪影響を及ぼすと反対し、与党も追随する見通しだ。だが株価を左右するのは経済そのものの成長力である。税制のゆがみを放置したままでは、経済の健全な発展につながらない。
 また、公平性を確保する観点から未婚のひとり親への所得税減税を行うべきだ。公明党が求めてきたが、自民党に「未婚のまま子供を産むのは良くない」と慎重論があり、昨年の与党の論議では見送られた。
 ひとり親は貧困率が高い。配偶者と死別・離婚した場合は既に減税対象になっている。同じひとり親なのに未婚が対象外なのは不公平だ。
 企業ばかりでなく、国民の暮らしに目を向けることが必要だ。



(社説)桜を見る会 首相は逃げずに説明を
2019年11月27日:朝日新聞

 首相主催の公的行事を、他ならぬ安倍首相が私物化しているのではないかと指摘されている問題である。首相でなければ答えられない疑問点も多い。首相は堂々と野党の要求に応じ、国会で説明責任を果たすべきだ。
 「桜を見る会」をめぐり、野党が参院規則に基づいて開会を求めた予算委員会について、与党がきのう、首相が出席しない質疑なら応じると返答した。先の通常国会では要求自体を無視して批判を浴びたが、首相抜きの質疑では真相に迫れず、行政監視の実はあげられない。
 首相のこれまでの対応は、誠実に疑問に答えようという姿勢からは程遠いものだ。
 毎年、桜を見る会の前夜に開いていた後援会の懇親会に疑いの目が向けられると、首相官邸で「立ち話」の形で記者団に説明をした。会費5千円はホテル側が設定、参加者は会費をホテルに直接支払ったので、政治資金収支報告書に記載がなくても問題はない――。しかし、証明する明細書などは示されず、その後、数日にわたり、記者団が投げかけた追加の質問には、ほとんど無視を決め込んだ。
 先週の参院本会議では、自らの事務所が参加を募り、相談されれば意見も言ったと認めた。「招待者のとりまとめには関与していない」という従来の説明を翻したわけだが、本会議での答弁は言いっ放しで、食い違いを追及されることはなかった。
 やはり、一方的な言い分に終始させないために、一問一答でやりとりをする国会の委員会での質疑が不可欠だ。
 首相は桜を見る会をめぐる問題について、しばしば「長年の慣行」を強調するが、問題のすり替えはやめてほしい。確かに、政党・政治家の推薦枠の存在など、見直すべき慣行はあろうが、開催要領に明記された計1万人を超えて招待者が膨れあがり、実際の支出が予算の3倍以上に達したのは、第2次安倍政権下のことではないか。
 朝日新聞が16、17日に実施した世論調査では、招待者とりまとめへの関与を否定した首相の説明に68%が「納得できない」と答え、「納得できる」の23%を大きく上回った。首相が答弁を修正した後に実施した共同通信の調査では、首相の発言を「信頼できない」が69%で、「信頼できる」は21%だった。
 首相は「国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然」という。国会で多数を占める与党が賛同しないことを見越した発言と言うほかない。政治家たるもの、疑念を持たれたら、求められずとも、すすんで説明するのが筋ではないか。首相は逃げずに、その責任に向き合うべきだ。



宮崎県職員が参院議員パーティー手伝う
 議員側から依頼
2019年11月27日:朝日新聞

 東京都内であった宮崎県選出の松下新平参院議員(53)=自民、3期目=の政治資金パーティーで、県東京事務所の職員4人が受け付けや会場誘導を手伝っていたことが26日、わかった。議員側から頼まれたという。県は職員の政治的中立性を定める地方公務員法には違反しないとしているが、「疑念を持たれないよう対応を見直す」としている。
 パーティーは、20日午後6時から東京都千代田区のホテルニューオータニで開かれた「松下新平君を囲む会」。
 県東京事務所によると、松下氏側から秘書を通して約1週間前に県東京事務所の課長に要請があり、課長1人と主査3人の計4人が会場入り口で受け付けや案内役を担ったという。「人脈づくりや情報交換に会合を活用してほしい」という趣旨で案内があったため、受け付けを手伝った4人を含む計10人の職員が会合に参加したという。
 こうした手伝いは、議員事務所との連絡調整業務の一環として、「公務の延長上」という位置づけで、少なくとも2016年から年1回行ってきたという。謝礼は支払われていないとしている。
 地方公務員法は特定の政党・団体を支持する目的での政治的行為を禁じている。県東京事務所の川北正文次長は「単純業務で、政治的目的を持った政治的行為にはあたらない」と説明。同法では公務員が属する地方公共団体の区域外では例外的に一部の政治的行為ができると定めていることを挙げ、「同法に直接抵触するとは考えていない」とした。
 一方、川北次長は「疑念を持たれること自体が問題なので、受け付けなどの依頼を受けない方向で見直したい」とも述べた。松下氏の事務所の秘書は取材に対し、「就業時間後のプライベートな時間で手伝いをいただいた」と話した。
 行政問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)は「議員本人や事務所がお願いした経緯があれば強制に近い可能性がある。職員を政治パーティーの受け付けに動員すること自体とんでもない。地方公務員法に違反しなくても、道義的に問題だ」と語った。
 新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「政治パーティーで受け付けをすることは、首長の指示で事案を処理するのとは意味が違う。公務員であるということは不偏不党の政治的中立性が求められる」と指摘した。
 松下氏は宮崎市出身。県議を経て04年に宮崎選挙区から初当選した。総務副大臣などを歴任している。(伊藤秀樹、松本真弥、大山稜)



マルチ商法 反社会的勢力 芸能関係者
桜を見る会 人選の謎
「首相らが広告塔に 責任重大」
2019年11月28日:東京新聞・こちら特報部

 「反社会的勢力が結果的に入り込んでいた」と菅義偉官房長官が認めた「桜を見る会」。マルチ商法の元会長や大阪の半グレ集団トップ、元暴力団員の地方議員など、明らかに怪しい人々はなぜ、誰が招待したのか。一方、見る会の「前夜祭」とされる高級ホテルでの夕食会をめぐっても、架空領収書の事前交付など、ホテル業界の常識を破るグレーな対応が浮き彫りになってきた。      (安藤恭子、榊原崇仁)

 「安倍晋三内閣総理大臣から『桜を見る会』のご招待状が届きました」―。2017年に経営破綻した磁気治療機器販売会社「ジャパンライフ」が顧客獲得のための説明会で示したという。資料には、サクラ色の大見出しと共に、元会長に届いた15年の招待状と安倍首相の顔写真があしらわれている。
 ジャパンライフは高齢者に数100万円の磁気ネックレスなどを購入させ、別の客にレンタルするオーナーになれば年6%の支払いをうたう預託商法を展開。消費者庁から「連鎖販売取引(マルチ商法)」と認定され、約7000人の顧客と約2400億円の負債を抱え、破綻した。4月には警視庁などの合同捜査本部による家宅捜索を受けている。
 25日の参院行政監視委員会で田村智子氏(共産)が元会長に招待状と共に届いた受付票に印字された数字を示し「60というのは、総理推薦の招待区分ではないのか。誰が、なぜ招待したのか」と迫ったが、岡田直樹官房副長官は「個人情報なので、回答を差し控える」と繰り返した。
 ジャパンライフだけでなく、仮想通貨ビジネスのマルチ商法だとして、消費者庁から業務停止命令を受けた札幌市の会社会長が招待されていたという話も浮上している。経済ジャーナリストの萩原博子氏は「マルチにとっては宣伝目的しかない。安倍さんと親しいとなれば、顧客の信頼を得られ、集金につながる。被害者を拡大させた恐れもあり、いわば広告塔となった首相の責任は重大」と断じる。ジャパンライフは有力政治家に献金してきたことでも知られる。「安倍さんも何かの見返りを受けたと疑われてもおかしくない」
 暴力団と近い反社会的勢力の参加も週刊誌などで報じられ、野党は「反社会的勢力や半グレといわれる謎の面々もいる」と追及。菅義偉官房長官は26日の記者会見で、「(反社の)出席は把握していないが、結果として入っていたんだろう」と述べた。
 一方で、毎年招待されてきた芸能人の基準も「謎」だ。多数の芸人が参加した吉本興業に聞くと「招待方法やギャラの有無についてはお答えできない、主催者に聞いてほしい」(広報担当)と答えた。
 ただ、芸能リポーターの石川敏雄氏によれば、訪れる芸能人には3タイプあるという。「一つは事務所を通じた普通の招待。二つ目は売れなくなった芸能人が議員側から招待状を買う場合で、8万円で買った事例もあったそうだ。三つめは議員が自らギャラを払って芸能人に来てもらい、安倍さんに紹介するケース。全員が自分のアピールにつながり、損はしない」
 ライターの松谷創一郎氏も「インスタグラムやブログでフォロワー数を競う芸能人にとっては、格付けが上がる。政権側も好意的に発信してもらえば、好都合」とした上でこう批判する。「一見、双方の得に見えるが、芸能人は客寄せパンダにすぎない。芸能の功労者を招くという本来の趣旨からも遠く外れている」

前夜祭 カネを巡る謎
「入り口で安倍事務所が領収書手渡す」
ホテルが事前に架空領収書作成⁉
信用問題 ニューオータニも説明を

 疑わしさと言えば、「前夜祭」名目の夕食会の会費を巡る問題もそうだ。安倍晋三首相は「会費は5000円。安倍事務所は補填などしていない」と説明してきたが、その会場は国内屈指の名門・ホテルニューオータニで一番広い宴会場「鶴の間」だ。
 同ホテル飲料営業一課によれば、「鶴の間」の貸し切り料金は終日で
900万円。「午前6時~午後2時」または「午後4時~午前0時」の半日分で450万円。鶴の間は東西に二分して使用することができ、終日分だと東側が450万円、西側が500万円で、半日分は半額になる。
 前夜祭に出席したのは約800人とされる。彼らから会費5000円を集めると、約400万円になる。これで鶴の間を貸し切りできるのは、半分のスペースを半日使うケースぐらいで、それでも225万円もしくは250万円かかる。
 残金で800人分の飲食代をまかなうとすると、1人当たり使えるのは2000円程度という計算だ。同ホテルはホームページで「新・最強の朝食 5000円(税金・サービス料別)」と打ち出している。1人2000円程度で何を口にできるのか。
 これらを踏まえると、「会費5000円」がウソなのか、ホテル側が会場代や飲食代を割り引いたのかと疑問を抱かざるを得ない。
 不審な点は他にもある。
 首相の説明によれば、前夜祭の費用に関しては、安倍事務所の職員が会場入り口の受付で1人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手渡した。
 ここに大きな問題がある。説明通りなら、ホテル側は参加者一人一人から会費を受け取る前に領収書をつくり、安倍事務所側に渡していたことになるからだ。
 匿名を条件に取材に応じたホテルコンサルタントの男性は「代金を受け取る前に領収書を出しちゃいけないのは当たり前。そんなことをすれば一時的であっても架空の領収書をつくったことになるから。信用問題にも大きくかかわる」と語る。
 この夕食会の主催は安倍晋三後援会なのに、首相が「安倍晋三後援会として収入、支出は一切ないことから、政治資金収支報告書への記載は必要ないと認識している」と、一切の証拠書類を見せずに釈明しているため、疑惑は深まるばかりだ。首相がウソをついているのか、首相側とホテル側の間に「やっちゃいけないこと」をやってしまう関係があったのかという疑問がやはり湧く。そんな中、甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)が注目するのは、別の夕食会との関係だ。
 ニューオータニは10月23日、天皇陛下の即位礼正殿の儀に出席した外国元首らを招いた夕食会の会場となった。主催者は安倍首相夫妻。皇位継承式典事務局は、会場選定で入札を行わず、「伝統文化発信のためのスペースがあるか」など4つのポイントを調べ、ニューオータニしかないと結論付けて随意契約した。「この夕食会の予算は1億7000万円にも上る。このことと、首相側に便宜を図った疑いのある『前夜祭』との関係も問われる」
 過去を振り返ると、1995年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)でニューオータニが会場となった際、同ホテル社員が会場費などをだまし取ったとして、外務省職員と共に逮捕、起訴された詐欺事件が起きている。その点を踏まえ、園田氏はこう指摘する。「首相が説明すべきなのは当然だが、ホテル側も前夜祭について説明する社会的責任がある。ホテル業界では名門中の名門でも、今のままでは名がすたる。

デスクメモ
 怪しい健康食品や投資話で、政治家や芸能人が広告塔になるのも、暴力団関係者がセンセイとの関係を誇示するのもよくある話。歴史ある国の行事「桜を見る会」は、首相ら最高レベルの広告塔が欲しい連中には、願ってもない機会だったろう。やはり税金でやる行事ではない。           (歩)

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