「アベる」=悪いことをしたのに反省しないで開き直ること

一昨日(11月17日)、茗荷谷の筑波大学で「中等社会科教育学会」の大会があって参加した。昨日(11月18日)は、「行徳高校定時制を守る会」で市川市長と懇談し、県教委がすすめる、行徳高校夜間定時制過程の廃過程の見直しを求めることに理解と応援を求める“懇談”にミソカス参加した。
中東社会科教育学会の筑波大学教育研究科院生の模擬授業で、「宗銭の流通について」、「朝廷の『銭』の流通が限られていた理由を考える」というワークショップで、「朝廷が行った桜を見る会で、民衆の支持を失ったから」とふざけて模擬授業を混乱させた。
市川市長との初めての懇談は、市長も緊張していたようだが、市川市にある行徳高校定時制存続の意義を訴え、何らかの形で貴重な学校文化を残せないかと理解を求めた。
17日は、中等社会科学会の懇親会にも参加するつもりで、後楽園にある東横イン後楽園文京区役所前にお泊りした。残念ながら、懇親会会場がビルの5F、そこに行くエレベータ乗り場がBM1で6段ほどの階段があり、ボクの流星号では辿りつけず、“プランB”でホテル隣の「くらまさ」というチョッと高級な鮨屋で上品なお鮨をいただいた。
それにしても、安倍晋三首相のポンコツぶりがすさまじい。「4ストライク・アウト」という感じだ。しかし、ピッチャーも「5ボール」という感じで、追い込み切れていないが、ABEくんの“得意技”の「放り出し」という強引な技が、また、また出るかもしれない。それにしてもこの醜聞、子どもの教育によろしくないことは確かだ。


桜を見る会 下関ルポ
首相地元もあきれ顔
「あれはさすがにいけん」「山口の恥」
「初めは30~40人」口づてで拡大?
2019年11月16日:東京新聞・こちら特報部

 安倍晋三首相が来年度の中止を決めた、首相主催の「桜を見る会」。急転直下の展開で、地元の山口県にも衝撃が広がっている。約850人もの支持者が参加した可能性が指摘されているが、戦後最長の在職日数の首相を育んだ地で、何が起きていたのか。不祥事のたび、閣僚辞任などで逃げ切ってきた安倍政権の手法は、今回も功を奏するのか。お膝元の下関市を歩き、考えた。    (石井紀代美、安藤恭子)

 「あれはさすがにいけんやろ。総理になって長いで、安倍さん側もちょっと調子乗ったんやろな」
 小さな漁船が行き交う山口県下関市の下関漁港。潮の香りが漂う自宅の庭先で、地元の自治会長を務める浜本勉さん(79)は苦笑いを浮かべた。
 ゴルフの練習をしていた小浦康治さん(76)も「辞めんといかんわ。加計学園問題もあったのに危機感が一つもない。明治維新から始まって立派な政治家がたくさん出ているのに…。山口の恥になるようなことしたらつまらんわ」とぼやく。近代日本の礎を築いた伊藤博文や山形有朋、安倍首相の祖父の岸信介など、8人もの首相を輩出してきた山口県の歴史を語った。
 地元選挙区で支持者が多いはずだが、擁護する声はあまり聞こえてこない。「お膝元」の住民を失望させる事態になったのは、どうしてなのか。疑問を解こうと、JR下関駅近くにある首相の事務所を訪ねたが、事務員は「取材はすべてお断りしています」と答えた。
 今年の「見る会」には、首相の元秘書の前田晋太郎・現下関市長も参加したが、市秘書課報道広報室は「あいにく休暇を取っていて不在です」。同じく参加した市議には「アポイントがないので会わない」と門前払いされた。ある自民党系市議は「参加した議員は、問題が指摘されてから『取材は断ろう』と言っていた」と話す。
 そんな中、安倍事務所に詳しい後援者の男性に会えた。講演会で「見る会」の参加者が拡大していったメカニズムをこう明かす。
 「初めは『見る会』の存在自体を知らない人がほとんどで、3,40人しか参加してなかった。その人たちが地元に帰ってきて『こうだったよ』と伝えるでしょ。で、うわさを聞いた人が『私も行ってみたい』となっていった」
 参加できるのは各界で功績、功労のあった人などと決められているはずだが、「『功労者』なんておるわけない。有権者から行きたいと言われたら、安倍事務所は断れんで、あんたはいいけど、あんたはダメなんてなったら、へそ曲げて『選挙なんて行かん』となってしまうわ」と語る。
 秘書の日ごろの活動が選挙での集票につながると、男性は力説する。それぞれ担当の地域を持ち、多忙でなかなか地元に帰れない首相の手足となり、小さなイベントにも参加、住民らと濃密な信頼関係を築くという。
 ただ、首相は2017年の衆院選で約105000票を獲得し、次点候補(約19000票)に圧倒的な差をつけて当選した。選挙に負けることなど考えにくく、そこまでしなくてもといいのではと問い掛けると、男性はこう打ち消した。
 「総理の地元で、過半数の得票ぐらいじゃ格好がつかない。本人がなかなか帰ってこない中、全国トップの得票率を目指さないといけんやろ」

費用高額でも「ツーショット写真撮りたい」

 とは言え、「桜を見る会」に参加するのは費用がかかる。交通費、高級ホテルで行われる懇親会の会費、家族への土産なども入れれば計100000円は下らない。
 安倍事務所に参加の意向を伝えるだけで、内閣府から招待状が届いたという男性は「いつも票を入れているのに、地元にはほとんど帰ってこない。単純に、会ってみたいから参加した。もっと言うと、ツーショット写真を撮りたいから」と動機を打ち明ける。
 地元で毎年行われる「新春の集い」では数千人が参加する各テーブルを首相が回り、記念撮影する。
 だが、「見る会」の懇親会では首相と2人で写真を撮れるという。当日は年配者も多く、全部で数百人。「写真を撮るために長蛇の列ができていた。安倍さんが総理のうちに行ってみたいという気持ちが、参加者拡大の一因になっているのではないか」と男性は推測する。
 地元で「見る会」の問題を追及する西岡広伸・下関市議は「功労があった人の労をねぎらう会自体はいいことだが、首相枠を使って自身の後援会をねぎらうのは公式行事の私物化の極み」と批判した。

今後どうなる?
後援者枠→「財政法違反の恐れ」 「逃げ恥作戦」成否は不透明?
「首相の口から説明を」

 「桜を見る会」に法的問題はあるのか。政治倫理の問題に詳しい上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)は「有力国会議員に招待者枠があるのなら、自民党の党勢拡大の装置としても利用したことになる。非常に悪質」と断じる。開催要領によれば、招待範囲は皇族、国会議員、各界の代表者等。「『等』は『準ずる人』と解釈されるべきで、後援者まで拡大しては規定の意味がない。税金の目的外支出を禁じる財政法違反に当たるのでは」
 前夜の懇親会では参加者から5000円の会費を徴収していたが、野党の調査によれば、会場の都内のホテルの宴会には最低でも11000円かかるという。上脇氏は「差額を首相側が負担した場合、選挙区内の有権者に対する寄付を禁じた公職選挙法に触れる可能性がある。会場費や食費も首相側の政治資金収支報告書には記載されておらず、これは政治資金規正法違反の可能性もある」とみる。
 国民の目も厳しい。落語家の立川談四楼氏は「功労者を招く建前が崩れ、首相の支援者を850人も招いたとバレちゃった。お友だちを優遇し、名簿も捨てたとしながら、来年の会を『私の判断で中止した』と、どや顔で発表。そりゃあ、みんな怒りますよ」とあきれる。二階俊博・自民党幹事長が与党議員への招待客枠の割り当てに関し「あったって別にいい。何か問題があるか」と発言したことも、「二階からガソリン。国民の怒りに火をつけた」と話す。
 ただ、安倍政権は菅原一秀前経済産業相と河合克行法相の妻の公選法違反疑惑で両大臣を更迭し、萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言が飛び出した英語民間試験導入を延期するなど、早々に不祥事の火消しを図ってきた。政治ジャーナリストの泉宏氏はテレにドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」にかけて「政権の『逃げる恥作戦』が続いてきた」とする。ただ。これまでと違うのは、お茶の間にもわかりやすく「安倍さん、ずるいよね」と思わせる問題であることだと話す。
 「じわじわと効いて、政権の支持率低下につながりかねない。災害や消費税増税の直後というタイミングも悪い」。批判が広がれば、解散総選挙で信を問うことも考えられるとし、「与党が大勝した過去2回の衆院選と違い、今度は『守りの選挙』となる。桜を見る会に支援者を招待した議員には逆風が吹く。逃げ切れるかは不透明」とみる。
 上脇氏は言う。「首相は2閣僚が辞めた際に『自ら襟を正し、説明責任を果たすべきだ』と求めてきた。首相や国会議員の招待者が何人いて、安倍政権の7年でどう増えてきたのか。逃げずにご自身の口から説明すべきだ」

デスクメモ
 有名人と桜を鑑賞し、記念撮影、観光地を巡り、高級ホテルで宴会…。そもそもこれらは、政治家の事務所が携わるべき仕事なのだろうか。昨年の「桜を見る会」で、首相は財務次官のセクハラ疑惑などを踏まえ「うみを出し切る」と述べていた。今回の件もそうしてほしい。            (本)



首相説明「納得できぬ」68%
 「桜を見る会」世論調査
2019年11月18日:朝日新聞

 朝日新聞社が16、17日に実施した全国世論調査(電話)で、首相主催の「桜を見る会」に安倍晋三首相の支援者が多く招待されていたことについて聞くと、「大きな問題だ」が55%で、「それほどでもない」39%を上回った。首相の説明には68%が「納得できない」と答え、「納得できる」は23%にとどまった。
 調査では、安倍首相が国会で「招待者の取りまとめなどには関与していない」と説明したことについて、納得できるかを尋ねた。自民支持層でも「納得できない」が53%で、「納得できる」の37%より多かった。無党派層では「納得できない」が72%にのぼった。
 また、菅原一秀経済産業相と河井克行法相の相次ぐ辞任について、安倍首相が2人を任命したことは「大きな問題だ」は41%で、「それほどでもない」は52%だった。
 安倍首相の通算在任期間は20日で桂太郎を抜いて歴代最長になる。首相のこれまでの実績については「大いに」と「ある程度」を合わせて62%が「評価する」と答えた。「あまり」と「全く」を合わせた「評価しない」は36%だった。評価する政策について5択で選んでもらうと、「評価する政策はない」が最も多く30%。「外交・安全保障」26%、「経済」18%と続いた。
 長期政権にふさわしい実績を上げているかを尋ねると、「上げている」は41%で、「上げていない」の44%と拮抗(きっこう)。長期政権の弊害も「感じる」45%、「感じない」48%と割れた。年代別にみると、40代以下は弊害を「感じない」方が多く、50代で拮抗。60代は60%が「感じる」と答えた。
 長期政権の理由については14%が「安倍さんの政治姿勢や政策がよい」。これに対し、「他に期待できる人や政党がない」が82%で、自民支持層でも74%に達した。
 安倍内閣の支持率は44%(前回10月調査は45%)で横ばい。不支持率は36%(同32%)に増えた。



風知草 観桜会の論じ方について=山田孝男
2019年11月18日:毎日新聞

 時ならぬ桜騒動は、身内に厚く、問い詰められれば強弁――という、憲政史上最長政権の<不治の病>再発を印象づけた。
 見過ごされていた首相の公私混同、政権の慢心を丹念に調べた共産党の追及は鮮やかだった。
 これを小事と侮れば政権は信頼を失うが、「桜を見る会」の運営が天下の大事だとは思わない。
 大嘗祭(だいじょうさい)もつつがなく終わり、令和へ転換が進む。世界激動の今日、国際的な課題を顧みず、観桜会が「最大の焦点」になるような国会のあり方自体、改める時ではないか。
     ◇
 初報は「しんぶん赤旗日曜版」(10月13日付)だった。第1面以下計3面を費やし、こう伝えた。
 ・時の首相が毎春、東京の新宿御苑で開く「桜を見る会」の招待者数、経費が安倍政権下で急増
 ・各界功労者に配るはずの招待状が安倍晋三後援会の数百人(後日、約850人と指摘)に渡り、後援会旅行の目玉に……
 11月8日、参院予算委で共産党が追及し、新聞、テレビが追随した。
 以後、与野党攻防の焦点はホテルニューオータニ東京の夕食の値段に移る。
 そこで開かれた首相後援会主催の「桜を見る会・前夜祭」で、後援会の面々が会費5000円で口にした酒食は、実際はもっと高額ではなかったか。
 差額を安倍事務所が払ったのなら、公職選挙法(選挙区民への寄付禁止)違反だし、政治資金規正法(報告書への記載義務)違反の疑いがある……。
 だが、会費も、旅費7万~8万円も参加者の自弁。収支への安倍事務所の関与を示す領収書は出現せず、今のところ刑事事件になる決定的な証拠はない。
     ◇
 自民党の二階俊博幹事長がこう言った。「議員が選挙区の皆さんに配慮するのは当然のこと」「何か問題がありますか?」
 観桜会がさほどの大事かという幹事長の反問は理解できるが、問題があるかと言えば、ある。
 そもそも、度を越している。前政権まで招待者が1万人を少し超える程度で推移していた。それが、身内に大盤振る舞いの安倍政権下で急増、今春、1万8000人を超えた。
 驚いたのは、招待者名簿の公開請求に対し、「(観桜会が終わった直後の)5月9日に廃棄」と答えた政府の感覚である。
 内閣府を除く各省の官僚たちは「ふつう、あり得ない」と苦笑する。
 この強弁は森友問題の公文書改ざんや、加計問題の時の首相の無理な答弁、首相秘書官の見え透いた証言を思い出させる。
 民意に敏感なはずの官房長官が、なぜ? ある官僚OBはこう見る。
 「名簿があると言えば情報公開請求され、出せば新たな詮索が始まり、際限がない。印象は悪くても廃棄したことにすれば、関係者が小人数なら漏れないという判断でしょう」
      ◇
 身びいきと強弁は安倍政権の悪習である。
 首相が、権力者としてもてはやされる半面、大衆に親しまれるという雰囲気がない理由はそこにある。
 首相は国会の集中審議に応じたらいい。それも、なぜ違法でないかとまくし立てるのではなく、国民に届くことばで、やり過ぎを謝罪すべきである。
 野党も、桜の問題が「後半国会の天王山」と言い募るような感覚から抜け出すべきではないか。(特別編集委員)



夕食会「5千円はホテル側が設定」
 首相が異例の釈明
2019年11月15日:朝日新聞

安倍晋三首相が15日夜、首相官邸で20分を超える異例の取材に応じ、「桜を見る会」に首相の地元有権者が多く招かれていた点などを釈明した。野党などが追及する政治資金上の疑惑などを否定したが、具体的な証拠は示さず、疑問は残ったままだ。今後、首相が国会での説明責任を果たすかどうかが問われる。
 15日午後6時20分過ぎ、首相官邸の入り口で待つ記者団の前に姿を現した安倍晋三首相は、早口で質問に答えていった。
 「政治資金規正法上の違反には当たらない」
 「(桜を見る会の前日の夕食会の)会費については、(参加者の)大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情などを踏まえ、ホテル側が設定した」
 普段は、記者団の取材に応じても数分で終わるが、この時は20分を超え、桜を見る会の問題だけで約30問に対応。正午過ぎの1回目に続き、同じ問題で、この日2回目の取材対応となったことも異例だった。
 桜を見る会をめぐり、首相が国会で答弁したのは8日が最後だ。「私は、招待者の取りまとめなどには関与していない」などと述べていた。
 その後、首相の事務所名で桜を見る会を日程に含んだ観光ツアーの案内文書が、地元有権者に届いていたことが発覚。会の前日には首相夫妻同席で、都内の高級ホテルの「ホテルニューオータニ」で1人5千円で夕食会も開いていた。
 公的行事の「私物化だ」などとして、野党などが批判。政府は、来年度の開催を中止し、招待基準などを全面的に見直す方針に転じた。招待者を取りまとめる際、首相を含む官邸幹部や与党に推薦を依頼していたことも認めた。
 それでも批判は収まらず、首相自らが出て釈明する事態に追い込まれた。
 首相は15日には、招待者の増加について「長年の慣行とはいえ、私自身も反省しなければならない」と口にした。ただ、首相自身が国会で説明する考えについて記者団から問われると、「ぜひみなさんもいまここで、もしご質問があるのであれば聞かれたらどうかと思いますが」と切り返し、国会での説明は最後まで約束しなかった。
 自民党幹部も首相の説明の場となる予算委員会の開催には否定的だ。同党ベテラン議員は言う。「桜を見る会の問題はさすがにまずい。首相が火だるまになることは目に見えている。予算委なんかに応じられるわけがない」

識者「精算書示さない限り国民納得せず」

 立憲民主党など野党統一会派と共産党などでつくる追及チームは15日午後、桜を見る会に関連する10項目の公開質問状を首相の事務所に持参した。
 これにどう対応するのか。首相は同日夜、記者団に対し、「いま(記者団に)お答えしたことが、ほとんど全てではないか」と語り、回答に消極的な姿勢を示した。
 だが、首相は野党の質問に正面から答えたとはいえない。質問状は、今年の桜を見る会に首相の事務所の紹介で参加した人数や、功績・功労の有無を参加条件にしているか否かなど、首相と同会の関係を具体的にただしたが、首相から言及はなかった。
 野党が追及を強める夕食会をめぐる収支報告書の未記載や公職選挙法違反といった疑念や疑惑も同様だ。そもそも夕食会の参加者が何人だったのか、料理や設営など全体の経費はいくらかかったのかなどの具体的な内容は、首相の口からは明かされなかった。
 政治資金に詳しい岩井奉信・日大教授(政治学)は「首相は言葉で否定しただけ。これでは何も事実は明らかにならない」と指摘。「ホテル側の計算書なり精算書を求めて、提示されなければならない」と話す。ホテル側のかかった経費や、得た利益が分かるような詳細な精算書を示さない限り、国民が納得できる説明にはつながらないとの見方を示した。
 首相の説明を野党も批判する。共産党の小池晃書記局長は、朝日新聞の取材に「慌てて火消しに走ったが誰が納得するのか。逆に火に油を注ぐ結果となった」との見方を示した。「証拠を示さずまた人のせいにする。官僚の次はホテルか」とも語り、森友・加計学園問題をめぐる政権の対応との類似性も指摘した。
 これまでの国会審議では、野党が提出を求めている桜を見る会の招待名簿を内閣府や内閣官房が「廃棄した」などとしており、実態の解明は進んでいない。立憲民主党の安住淳国会対策委員長は「首相が一方的に話した内容と我々の認識に大きなずれがある」と述べ、追及を続ける考えを示した。(菊地直己)

保存期間の規定、適用は先月から

 「桜を見る会」の招待名簿が廃棄された問題で、NPO法人の「情報公開クリアリングハウス」(三木由希子理事長)は15日、内閣官房と内閣府が廃棄の根拠とした保存期間の規定は、今年10月28日から適用されたものだったと指摘した。
 内閣府は今年の紙の名簿は「5月9日に廃棄した」と説明しているが、その時点では規定はなく、同法人の問い合わせに、内閣府は15日夜、「誤解を生まないよう(規定の)書きぶりを整理した」と説明したという。
 内閣府の担当者は13日の野党の会合で文書管理の規定上、招待名簿は「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」にあたると説明。同法人がこの規定を調べたところ、適用が始まったのは10月28日だった。規定がなくても、1年未満で名簿を廃棄することはできるが、その場合はいつ廃棄したか公表する決まりだ。公表された中に招待名簿はなかったという。(吉川真布)



内閣府、質問資料要求の当日「名簿捨てた」
 国会・国民軽視の異常事態
2019年11月15日:毎日新聞

「桜を見る会」で招待客たちと記念撮影する安倍晋三首相(前列から左から5人目)
=東京都新宿区の新宿御苑で2019年4月13日、喜屋武真之介撮影

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡り、内閣府は野党議員が国会質問のため資料を要求した当日に「招待者名簿」を捨てていた。また首相が「私は招待者のとりまとめなどには関与していない」と国会答弁したにもかかわらず、内閣官房は後に安倍事務所がとりまとめていたことを認めた。内閣が必要な公文書を廃棄し、首相の国会答弁も信用できないという状態だとすれば、国民を代表する国会が内閣をチェックできないのでは? 有識者に聞いてみた。【大場伸也、吉井理記/統合デジタル取材センター】

野党議員問い合わせ当日に廃棄

安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡り問題の野党合同ヒアリングで議員の
質問に答える内閣府の担当者ら=国会内で2019年11月14日午後4時10分、川田雅浩撮影

 内閣府が名簿の廃棄を明かしたのは、14日の野党による3回目の合同ヒアリング。野党から、いつ廃棄したのか問い詰められた結果だった。
 内閣府・酒田元洋官房総務課長 (今年)5月9日に紙媒体は捨てています。電子媒体については、5月9日と同じ時期に削除していました。
 宮本徹衆院議員(共産) 私、5月13日にこの問題を(国会で)質問しましたよ。そのために事前にいろんな情報を教えてくださいと言って、私が質問の準備のために聞き始めたから捨てたということじゃないですか?
 酒田課長 そういうことではございません。用途が終わったことから廃棄をさせていただきました。
 宮本議員 私が質問するために、いろいろ内閣府の皆さんに聞き取りを始めたタイミングじゃないですか。
 酒田課長 例年ですね、1年未満ということで、だいたいその時期に捨てていると。
共産・宮本氏「国会をないがしろにする行為だ」
 このやりとりの後、宮本議員が再確認したところ、宮本事務所はまさに名簿が捨てられた5月9日、内閣府・内閣官房宛てに「桜を見る会の資料要求について」という文書を送付していた。
 文書は(1)2008~19年における招待者数の推移(2)参加者の推移(3)各年度の予算額、支出額、主な内訳(4)招待者の選考基準を明記した文書の写し――などの提出を求めた上で「参加者が増加する理由を具体的かつ詳細に説明されたい」と求めている。
 宮本議員によると、廃棄が明らかになった翌日の11月15日、宮本事務所に内閣府から次のような説明があったという。
 「4月中に5月9日に名簿を廃棄すると決めていた。宮本議員の資料要求と同じ日になったのは偶然。9日の何時に廃棄したかは不明で、資料要求と廃棄のどちらが先だったかも分からない」
 宮本氏は取材に「偶然とは思えない。名簿の保存期間は1年未満で、あわててこの日に捨てる必然性がない。私の問い合わせを受けて名簿を廃棄したとしたら、国権の最高機関たる国会の行政監視を妨げ、国会をないがしろにする行為だ」と憤った。
「総理はご存じなかった可能性がある」

安倍事務所が出した「桜を見る会」の案内文書の写し(画像の一部を加工しています)

 また、13日に開かれた2回目のヒアリングでは、安倍事務所がとりまとめた推薦名簿を内閣官房が受けとり、上限なしに招待する「総理枠」の存在を内閣官房が認めた。それを受けて、以下のやりとりがあった。
 山井和則衆院議員(無所属) (8日の参院予算委で)安倍総理は「私は招待者などのとりまとめなどには関与していない」と。安倍事務所から、とりまとめられたものを内閣官房が受け取ったというのは、明らかに虚偽ということになるのですが。
 中井亨参事官 総理ご自身はご存じなかった可能性があると思っております。
 山井氏 事務所がやったことで総理大臣は知らなかったというのは、さすがに通らないと思います。
 首相官邸のホームページに掲載されている17年4月15日の「桜を見る会」の動画では、安倍晋三首相は世耕弘成経済産業相(当時)と以下の会話をかわしている。
 安倍氏 「ひまわり会?」
 世耕氏 「ひまわり会です。今年は副長官じゃなくなったので“招待枠”で」
 安倍首相も世耕氏に“副長官枠”があったことを知っている前提の会話に聞こえる。それでも“総理枠”を使った安倍事務所の取りまとめを知らなかったのだろうか。

「桜を見る会」を巡る問題について記者団の質問に答える安倍晋三首相(左から2人目)
=首相官邸で2019年11月15日午後6時28分、川田雅浩撮影

元官僚「これが民主主義国家なのか」

 「そもそも官僚がすぐに文書を捨てたなんて、絶対にあり得ません」と、内閣審議官なども務めた元経産官僚、古賀茂明さん(64)は語気を強める。
 「官僚は前例主義、文書主義なんです。何か企画する時など、省内で回す書類には必ず『昨年はどうだったか』『今年は違うのか』『違うなら何が違うのか』と説明できるようにするために、過去の文書は残しておく」
 だとしたら、官僚はなぜ、不自然な答弁を繰り返すのだろうか。古賀さんは言う。「森友・加計学園問題など政権を揺るがすような疑惑でも、安倍さんは安泰だった。これが一つのメッセージになったと見ることができる」。何をしても政権は倒れないならば、政権にマイナスになるような言動は慎んだほうがいい、という計算だというのだ。
 「だから、仮に文書があっても『廃棄しました』というしかない。文書がなければチェックできない。国民の代表たる国会議員が、政府をチェックできない事態になっている。政府に対する国民のガバナンスが全く機能しない異常事態と言わざるを得ません。これは民主主義国家なのでしょうか」



論点 安倍「最長政権」の功罪
2019年11月15日:毎日新聞

 安倍晋三首相の首相としての通算在任日数が今月19日、第1次政権を含めて2886日となり、桂太郎元首相と並び歴代トップとなる。衆参両院の選挙戦を勝ち続けて安定基盤を築いた安倍首相は8年近く政権を運営してきた。「最長政権」は何をもたらし、何を残したのか。長期政権の功罪について、3人の識者に話を聞いた。

戦前日本の歴史を学べ 藤井裕久・元財務相

藤井裕久・元財務相=東京都港区で2019年10月31日、藤井太郎撮影

 長期政権のメリットは長期的な視点で物事を考えられること、そして、一つのテーマに時間をかけて取り組めることだ。その利点を最もいかせるのが外交で、戦後の長期政権は日本の平和のために大きな役割を果たしてきた。吉田茂元首相はサンフランシスコ講和条約を結び、佐藤栄作元首相は非核三原則を表明し、沖縄返還を実現した。現状を冷静に分析し、一貫した姿勢で取り組んだことが政権の実績となってきた。
 では、安倍晋三首相はどうか。世界中を回っているが、それが実っているとは言いがたい。トランプ米大統領とは仲良くしているが、大統領の本音は「自国さえ良ければいい」だ。迎合すればするほど、日本は他国から反感を持たれる。ロシアとの北方領土問題解決のめどもまったく立っていない。対中国では、北東アジアの平和と安定につながる中身のある関係は築けていない。腰を据えて取り組んでいないので、結果を出せるわけがない。
 内政も似たような状況だ。首相は「全世代型社会保障」を掲げるが、国民の希望や不安に誠実に向き合うなら、「老後30年で2000万円不足する」と指摘した金融庁の報告書を受け取るべきだ。「改革を進める」という言葉は「口だけ」と言わざるを得ない。
 目立った実績がなく、世間に「飽き」が広がるのに政権が安定するのは、強力な「ポスト安倍」がいないからだ。今の政治家は少したたかれただけで簡単に屈してしまう。私が仕えた自民党の二階堂進元官房長官は戦時中、日本が緒戦で勝利を続ける中で「米国みたいな金持ちと戦争するのはばかだ」と、大政翼賛会の推薦を受けずに選挙で訴え、落選した。昔は彼のように自らの信念に基づき、断固戦う政治家がたくさんいた。最近は「妥協こそが政治の要諦だ」と錯覚している政治家が多すぎる。
 長期政権の弊害も目立っている。首相官邸が人事権を振りかざして恐怖心を植え付けた結果、政権の意向に反発する役人がいなくなってしまった。長いものに巻かれ、「空気」で動く人ばかりになってしまった。
 今の日本は表向きは平和だ。だが、来年夏の東京五輪・パラリンピックを控えた盛り上がりを見ていると、国中がベルリン五輪やプロ野球、大相撲に熱狂した昭和10年代とそっくりだと感じてしまう。裏では国家総動員法が成立し、日米通商航海条約を破棄され、石油供給も断たれた。地獄に向かって突き進んでいたのに、当時の日本人は気づかなかった。同じことが起きない保証はない。
 首相の本音は「歴代最長の桂太郎(元首相)を抜けば、それでもう十分」なのではないか。自民党総裁の連続4選はほぼないだろう。しかし首相が続投してもしなくても、今のような政治が続く限り日本は国際協調主義からどんどん離れていき、再び世界の孤児になるリスクは高まる。
 戦時中に飢えと米軍による爆撃の恐怖を嫌というほど味わった者として、史上最長の在任期間となった首相にこれだけは言いたい。戦前の日本を、歴史を学んでください。【聞き手・青木純】

国民・現場の声、届いているか 石原信雄・元官房副長官

石原信雄・元内閣官房副長官=東京都中央区銀座で2019年11月7日、宮本明登撮影

 かつて私は内閣官房副長官として竹下登氏から村山富市氏までの7人の首相に仕えた。それぞれ個性は違ったが、安倍晋三首相はどの首相ともタイプは違う。安倍首相は、あまり自分のカラーを押し出そうとせず、党や事務方の声も聴きながら、いろいろな分野の意見をバランスよく取り入れようとしてきた印象だ。それも長期政権の要因ではないかと考える。
 内閣が安定する一つの要素は、官房長官に「人を得る」ことだ。首相は対外的な活動が多いので、官僚組織と内閣を接点で束ねる官房長官は重要だ。それを支える事務方トップの官房副長官も大事だ。第2次安倍内閣以降、ずっと支えてきた杉田和博官房副長官の存在は大きい。副長官の役割は、時の政権の窓口として各省庁が言いにくいことを官房長官に伝えること。杉田氏は菅義偉官房長官にも駄目なものは駄目としっかり伝えていると思う。首相と官房長官からの信頼はもちろん、それに加えて各省庁からの信頼がないと務まらない重要なポストだ。
 安倍政権が設置した内閣人事局は、政と官の関係性を大きく変えてしまった。各省庁の幹部人事を官邸が実質的に把握している現状は、私が官邸にいた頃とは大きく違う。当時は人事権を各省庁が持ち、官邸は報告を受けるだけだったが、現在は官邸が決める。人事の仕組みでは、政が官に対して圧倒的に強くならざるを得ない状況だ。
 国会が指名した首相が人事権を握ることは、民主主義の理念に照らせばよいことだ。ただ、官僚が官邸の嫌がることを言わなくなってしまわないか心配だ。官僚組織は、国会が決めた法律と内閣が決めた政令を実行する一方で、国民のニーズを直接把握している。社会保障や経済産業、教育などあらゆる分野で、実務を通じて国民と接しているからだ。官僚は課長、局長、次官とさまざまな役職を経ながら国民ニーズの変化を感じるが、長期政権で官邸スタッフが固定されるとギャップが生じる恐れがある。政権が歓迎しない意見を官僚は上げにくくなり、官僚がそんたくしたら国民のニーズが政治に反映され難くなる。
 政府が設置する有識者会議でも、「民の声」を反映させる心掛けが必要だ。政権好みの識者のみを選べば、民の声とは言えない。批判的な識者も起用する雅量が問われている。
 第2次安倍内閣発足前、当時の旧民主党政権が国民の信任を得られなかったことも、今の長期安定政権が続く要因の一つになっていると思う。国民が「自民党でなければ駄目だ」という感覚を持ったことは否めない。以前は国民の不満を代弁する野党勢力がある程度強かった。今は野党が弱体化し、国民の声を野党が代弁する機能を十分果たせていない状況になっていることも問題だ。
 各省庁や現場の国民の声が、政権中枢に忠実に反映されるようになってほしい。長期政権の間にも、経済・社会は動いている。変化する行政のニーズをどう把握するかが政権の課題で、そのための努力を怠ってはいけない。【聞き手・堀和彦】

安定基盤を何に費やしたか 宮城大蔵・上智大教授

宮城大蔵・上智大教授=東京都千代田区で2018年4月20日、宮本明登撮影

 第2次安倍晋三政権の最大の功績は、政治に安定をもたらしたことだろう。旧民主党政権のみならず、小泉純一郎政権のあとの第1次安倍政権を含めて1年刻みの首相交代が繰り返され、国政は停滞した。現政権の支持率が底堅い背景には、政治に安定を求める国民の意識がある。
 民主党が分裂して弱体化したことに加え、安倍氏にとって2度目の政権であることも大きい。第1次政権崩壊後に味わった惨めな体験が身に染みている。権力への執着は「政権投げ出し」も多かった近年の首相の中で抜きんでている。
 問題はその安定した政権基盤を用いて、日本が直面する課題に正面から取り組んだといえるかだ。アベノミクスの「三本の矢」を皮切りに、「地方創生」や「一億総活躍」など、数々のキャッチフレーズは打ち出されたが、これだけの長期政権に見合った業績があるかといえば心もとない。
 日本のこれからを考えるには、「持ち時間」という観点が重要になるだろう。たとえば「2022年問題」だ。22年以降に団塊の世代が後期高齢者に達して社会保障費が急増する。一方で、新卒人口は一気に縮小して人手不足が顕在化してくる。
 財政難の中、高度成長期に整備されたインフラの老朽化も深刻になってくる。日本列島は地震活動期に入っており、大震災の発生も現実の危機と言える。日本にとって「国家存立の危機」は、対外関係よりも足元にあると言うべきだろう。安定した政権基盤と既に7年に及ぶ「持ち時間」を一体何に費やしたのか。それが後年に安倍政権を評価する際のポイントになるだろう。
 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を唱えた。その最たるものは憲法改正だろう。だが、任期中に改憲が実現に至らなかった場合はどうなるだろうか。ただでさえ国民の関心が高いとは言えない状況にある中、改憲を旗印に掲げる政権がこの先に出てくるだろうか。
 第2次政権発足後の靖国参拝は米政府からも批判を招き、首相参拝は途絶えた。これだけハードルが上がると今後の首相にとっても参拝は難しいのではないか。戦後外交における難題の一つである北方領土問題について、安倍首相は「3島」や「面積分割」などを放棄し、事実上2島返還に要求を切り下げたものの妥結の見通しはたたない。改憲、靖国、北方領土と、いずれの問題でも、安倍首相の本来の思いとは逆の形で戦後政治の争点に終止符が打たれる可能性がある。
 自民党にとっては安倍首相のあとが大変だろう。安倍首相は明確な後継者を設けないことで自らの政権を長期化したともいえる。本来であれば、小泉元首相が安倍氏を後継者に据えたような形が自民党政権の安定的存続・継承には好ましいはずだ。
 「ポスト安倍」を担う政治家は、安倍首相と異なる形で求心力を作る必要に迫られる。「1強」政権下の強行で行き詰まった沖縄・辺野古への米軍基地移設問題の打開などが、政治的手腕をアピールする機会になりうるのではないか。【聞き手・鈴木英生】

政治的遺産乏しい?
 安倍晋三首相は2006年9月から第1次内閣で計366日間在任。12年12月に首相に返り咲き、今年6月に伊藤博文元首相(2720日)、8月には佐藤栄作元首相(2798日)を抜いた。ただ、日露戦争勝利を果たした桂氏、沖縄返還を実現した佐藤氏、大日本帝国憲法の起草に当たった伊藤氏に比べ、与野党内から「政治的遺産は乏しい」との声もある。自ら掲げた憲法改正、北方領土問題の解決など課題は積み残されている。

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 ■人物略歴
藤井裕久(ふじい・ひろひさ)氏
 1932年生まれ。大蔵省(現財務省)主計官などを経て77年の参院選で初当選。93年に自民党を離党し、細川・羽田内閣で蔵相、2009年の鳩山内閣で財務相を務めた。

 ■人物略歴
石原信雄(いしはら・のぶお)氏
 1926年生まれ。東京大卒。52年地方自治庁(現総務省)入庁。自治省財政局長、事務次官を経て87~95年に内閣官房副長官。現在は一般財団法人地方自治研究機構会長。

 ■人物略歴
宮城大蔵(みやぎ・たいぞう)氏
 1968年生まれ。一橋大大学院修了。博士(法学)。政策研究大学院大助教授などを経て現職。専門は国際政治史。著書に「海洋国家 日本の戦後史」「現代日本外交史」など。



首相ヤジに「#共産党は私だ」
「#共産党は仲間だ」投稿広がる
2019年11月14日:毎日新聞

投稿された香山リカさんのツイート

 安倍晋三首相の立憲民主党議員に対する「共産党!」とのやじをきっかけに「共産党は私だ」「共産党は仲間だ」というハッシュタグをつけたツイッター投稿が広がりを見せている。首相のやじに対し「連帯して抗議したい」として、共産党関係者以外からの投稿が増えたようだ。


参院予算委員会でやじで審議が止まり、委員長席に集まる野党議員を見る安倍晋三首相(奥左端)
=東京都千代田区の国会内で2019年11月8日午後1時58分、川田雅浩撮影

 「共産党員でも政治家でもない私が昨日つぶやいたこのタグが、共産党の人だけじゃなく野党の政治家や支持者、『あのやじひどいわ!』と思う人たちにまで広がって、胸が熱いです」
 精神科医の香山リカさんのツイートだ。香山さんによると、8日に「#共産党は私だ というタグ作りたい気持ち…」と投稿すると、共産党への支持や批判に加え、「共産党じゃないけど、共産党をばかにする動きには反発する」「共産党ではないけど、共感します」などの投稿が続いた。ツイートには、立憲民主党の地
方議員や公明党の支持母体・創価学会の会員と名乗って賛意を示したり、「異論を言っただけで『共産党』呼ばわりされた」など体験談をつづった投稿もある。また、社民党新潟県連合が「このハッシュタグを直接は使えませんが、連帯の意味を込めて、#共産党は仲間だ」と投稿すると、「#共産党は仲間だ」というタグも広がった。
 きっかけは8日の参院予算委員会。立憲民主党の杉尾秀哉氏が、放送局に電波停止を命じる可能性に言及した2016年の高市早苗総務相の発言について質問した際、首相が自席から杉尾氏を指さして「共産党」と発言し、審議が一時ストップした。香山さんは「共産党も有権者も愚弄(ぐろう)するやじだ。許せない思いを共有して抗議したいと思った」と話す。
 ツイッターによる抗議は16年にもあった。首相が2月の衆院予算委員会で、保育園の入所選考に落ちた母親が「保育園落ちた日本死ね!!!」と題して怒りをつづったブログについて「匿名である以上、本当であるか確かめようがない」などと答弁し、与党議員からは「誰が書いたんだ」などやじが飛んだ。これに反応した母親たちを中心とした「#保育園落ちたの私だ」というタグを付けた書き込みが急速に広がった。
 杉尾氏は「#共産党は私だ」の動きに対し、「うれしい」と歓迎。首相のやじについて「異論は許さないという、レッテル貼りだ。多様性を重んじるところが全くない態度だ」と憤る。
 共産党の小池晃書記局長も11日の記者会見で「閣僚席からやじるのは言語道断だ。レッテル貼りのような意図であれば、全く民主主義を理解していない」と批判した。
 ジャーナリストの田原総一朗さんは毎日新聞の取材に対し安倍政権について「長期政権となり、緊張感が欠けている。自民党議員はみんなイエスマンになってしまった。首相のご機嫌取りしかしていない」と批判したうえで「他の野党が力不足の中、首相の『桜を見る会の私物化』などを追及している共産党に期待が集まっているのではないか」と指摘した。同じくジャーナリストの青木理さんは「首相が『共産党』を、人を罵倒する言葉だと思っているのなら信じがたい。首相のレッテル貼りへのアンチ運動として広がっているなら共感できる」と話した。【野原大輔、小山由宇】



平然と他人に責任を転嫁しがちな
「誇大型ナルシスト」の特徴
Narcissists Are Less Likely To Get Depression
2019年11月15日:ニューズウィーク

<人間関係を破壊し、社会に危険をもたらしかねない自己愛者だが、強く生きるにはいいのかもしれない...>
ナルシシスト(自己愛者) はその性格上、精神的な回復力が強く、鬱病になる可能性が低い── 。最近の心理学の研究で分かったことだ。
ナルシズムはマキャべリズム(目的のためなら手段を選ばない傾向)やサイコパシー(反社会的な人格障害)と並んで「人格のダークな3大特性」の1つとされ、さらに誇大型と過敏型に分類されている。
誇大型のナルシシストは謙虚さや慎み深さを欠き、自分を誇示したがり、支配欲が強い。対して過敏型のナルシシストは否定的評価に過敏で承認欲求が強く、他者から特別な扱いを求める。
今回の研究では軽度のナルシズムの持ち主はそうでない人よりも「精神的に強い」という主張を検証するため、質問紙による調査を20代の被験者364人、244人、144人の3グループを対象に実施した。
【参考記事】サイコパスには犯罪者だけでなく成功者もいる
調査では多くの質問を通じて、被験者がナルシシストかどうか、精神的にタフか、新しい物事を進んで受け入れるか、ストレスを感じているか、鬱病の症状があるかなどを判定した。
結果、誇大型のナルシズム特性で高いスコアを示した被験者は精神的にタフな傾向が強く、鬱病の症状を示す確率は低かったという(これとは別に、誇大型ナルシシストはストレスに強いとする報告もある)。
欧州精神医学会の学会誌に発表された論文の共著者で英クイーンズ大学ベルファストのコスタス・パパゲオルギオ准教授によれば、この調査は「反社会的とされるダークな人格特性が存在し続け、むしろ増加しているという矛盾の解明」が目的だった。
長所となる側面も
「ナルシズムを是とするつもりはない」、とパパゲオルギオは言う。「むしろ私たちが言いたいのは、そもそも人格特性は善悪とか社会性の有無とかで判断されるべきではなく、そうした特性を持つ人の適応・不適応のレベルをさまざまな文脈で特定する必要があるということだ」
パパゲオルギオによれば、誇大型のナルシシストは何らかの困難に直面しても、自分はそれを乗り越えるにふさわしい人間だと思い込む。だから落ち込んだり、自信喪失に陥ったりしない。そして「困難を乗り越えるたびに、彼らは精神的にタフになるのだろう。そんなメンタル面の強さが精神疾患に対する抵抗力を高めている」。
【参考記事】ナルシストは危険信号 浮気がちな7つのパーソナリティを精神科医が指摘
一方、今回の研究に関わっていない立場で本誌の取材に応じたアメリカの心理学者ステファニー・クリスバーグによれば、「この研究ではナルシシストが精神的に強く、自信家で粘り強く、発明や創造、指導に適している可能性が示された」。実際、「アップル創業者の故スティーブ・ジョブズをナルシシストに分類する人もいる」そうだ。
誇大型のナルシシストは批判や失敗にも落ち込まず、平然と他人に責任を転嫁しがちだ。今回の研究はそういう事実と符合するとクリースバーグは言う。
とすると、今の世界で最強のナルシシストはアメリカの現役大統領かもしれない。
【参考記事】精神医学の専門家が危惧する、トランプの「病的自己愛」と「ソシオパス」



日本の格差社会が
「お客様」をクレーマーにし、
店員に罵声を浴びさせる
2019年11月15日:ニューズウィーク

<カスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しているが、
モンスター化しているのは実は「普通の人」たち。
カスハラが広がる要因には、格差など3つの背景があった>

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題になっている。サービスを提供する企業や団体の職員が、(たとえ非がなかったとしても)客から一方的に罵声を浴びせられたり、理不尽な要求をされたりすることだ。
『カスハラ――モンスター化する「お客様」たち』(NHK「クローズアップ現代+」取材班・著、文藝春秋)は、この問題に切り込んだノンフィクション。ベースになっているのは、NHK「クローズアップ現代+」で2度放映された番組である。

 スタッフは現場を歩き、いくつもの生々しい被害の実態をすくいあげて来た。それをまとめ2018年11月に放送した(『暴言に土下座! 深刻化するカスタマーハラスメント』)。番組は大きな反響を呼び、ネット上でも話題となった。(中略)さらに範囲を広げ、加害者側にも迫るなど取材を深めていったのが2019年5月に放送した第2弾である(『カスタマーハラスメント! 客の暴言で心が壊される』)。本書は2つの番組をベースにしながら、それぞれ30分の番組では取り上げきれなかった取材の成果を盛り込んだ。(15ページより)
そんなこともあり、第1章はカスハラの実例紹介に割かれている。実際にカスハラ被害に遭ったスーパー店員、コンビニ店主、タクシードライバーなどが明かす6つの事例が並んでいるのだ。
罵声を浴びせられて精神を病んでしまったり、顔写真と実名をネットに上げられて人生が大きく変わってしまったというような人も多く、読んでいるだけで嫌な気分になってくる話ばかりである。
最近のクレームの傾向としては、言い方が暴言にあたるものであったり、威嚇、脅迫、恐喝をしたり、暴力行為の領域にエスカレートするケースが多いという。しかも見るからに悪そうな人ではなく、ごく一般の人が些細な苦情を申し立てているうちに、手がつけられないような状況になってしまうというのだ。
なお、関西大学社会学部の池内裕美教授は本書で、悪質クレームが増えていることには3つの社会的な背景があると指摘している。

背景その1:サービスの飽和状況

「おもてなし」という言葉にも表れているとおり、サービスに長けているのが日本人。しかし、「なんでもしてもらって当たり前」だと思われ、それがマイナスに働くことも。
池内教授はこう言う。

おしぼり一つ持ってくるにしても、本来は「おしぼりを持ってくる」という行為だけでサービスは成立しているのです。ところが、日本人はそこに笑顔で「いらっしゃいませ」と付け加えて、サービスプラスアルファの「おもてなし」をする。
 それもひっくるめてのサービスに慣れてしまっているので、無愛想におしぼりを持ってこられたら、「なんか足りない」「態度が悪い」となってしまうのですよね。このように、「おもてなし」をして当たり前の過剰サービスが、私たち日本人の標準になってしまっている。そこが大きな苦情を生み出す一つの要因になっていると思います。(85ページより)

背景その2:SNS

SNSなど情報ネットワークの発達も大きく関係している。ツイッターなどで簡単に情報交換ができる時代であるだけに、「あの店で○○を買ったらこんなことをしてもらえた」、あるいは逆に「してもらえなかった」というような情報が簡単に他者と共有できる。そのため、知らなくてもいい情報まで誰しもが知ってしまうことになる。
再び池内教授の言葉。

 今まで、一般消費者が自分の思いを簡単に吐露する場なんて無かったですよね。ところが、誰でも簡単に情報を発信することができるようになった。そうすると、多くの第三者が共感すれば、あっという間に炎上してしまう。(中略)一つ何かが起こると、その真偽を問う間もなく社会全体が便乗して、下手をすればブランド潰しや企業いじめみたいな状態になってしまう。恐ろしいですよね。一般大衆が大きなブランドを潰す、企業を潰すなんていう事態が起きかねない。(87〜88ページより)
また、情報化社会により世の中全体が疲れているために苦情が増えている、ということもあるのではないかと池内教授は分析している。
働き方改革が叫ばれながらも恩恵に預かれず、長時間労働で疲れて帰宅してもSNSでやりとりをしなければならない。そうなると気の休まる暇がなくなり、感情をコントロールする余裕が失われるということだ。
高齢者にも同じことが言える。すべての高齢者がそうではないにせよ、高齢化すると感情を抑制しづらくなるものだ。認知機能の低下、病気、退職、多くの喪失体験などが強い不安や孤独感、ストレスにつながり、感情のコントロールが奪われるのである。
そのため、「コーヒーがぬるい」というだけで店員にどなり立てたりするようになるわけだ。
若者も高齢者も、その背景には心の余裕をなかなか持てない「不寛容社会」の影響を受けているということである。

背景その3:格差社会

社会的な格差も、クレームと関係する大きな問題。そしてこのまま進んでいけば、従業員と消費者との間にさらなる格差意識が生まれかねないという。お金や地位のある人は何をしても許されるという感覚が芽生え、気に食わないことがあれば立場の弱い従業員を攻撃するということである。
事実、アンケートを取ってみると、自分たちがストレスのはけ口になっていると感じている従業員は少なくないそうだ。

 特に接客業は弱い立場で、攻撃の対象になりやすい。私は、飲食業や福祉関係の仕事で不必要にエプロンをつけるのはよくないのではと感じることがあります。もちろん衛生上不可欠な場合もありますが、エプロンを付けると、どうしても「何でもしてくれる人」という印象を相手に与えてしまう。先日も福祉の仕事をしている人に、「エプロンをはずして、他の作業着に変えてみてはどうですか」と助言したところです。(93〜94ページより)
いずれにしても、いろいろな要因が複合的に絡み合って成り立っているのがこの社会。そのため、何が原因で悪質クレームが増えているのかということを、シンプルな言葉で語り尽くすことなどできないだろう。
だが、これら「過剰サービスによる過剰期待」「情報化社会がもたらす影響」「格差社会の進行」などが大きく影響していることは間違いなさそうである。
しかも恐ろしいのは、カスハラをする人のタイプと傾向、そして心理だ。著者も本書の前半部分で、その点を指摘している。

 取材して感じたのは、「普通の人」の恐ろしさだ。クレームを言う側は、自分たちは何も間違っていない、正しいことをしている、と信じている。その顔を見れば、どこにでもいるようなごく普通の人たちだ。
 結果的に他人の人生を大きく変えてしまった彼らは、自分たちがこうむった被害に比して、クレームの結果は釣り合う、と考えるだろうか?
 おそらく、「自分たちのしたことは正しい」という以外、何も考えないのではないか?
 私たちの誰もがクレーマーになる可能性を持っているのかもしれない、と感じた。(65ページより)
そう、最も重要なのは、私たちひとりひとりが「自分ごと」として考えてみることだ。「カスハラをする人と自分は違う人」だと思いがちだが、もしかしたら気づかないうちに、自分たちも誰かを傷つけている可能性もあるのだから。
もちろんそれは、誰だって認めたくないことだ。しかし、敢えてそうやって考えてみれば、何かヒントを見つけることができるかもしれない。











『カスハラ――モンスター化する「お客様」たち』
 NHK「クローズアップ現代+」取材班 著
 文藝春秋

[筆者]印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。

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