「任命責任」とは、任命時の責任…

ABEの口から、何度も吐き出される「任命責任は私にある」…、もう「耳タコ」なのだが、何度も聞いているうちに「任命責任は私にあるが、それは任命したということだけで、その後のことには責任はない」という「無責任宣言」に聞こえてきた。「それはないだろう!」というのは尋常な「頭」の持ち主の正常な違和感に他ならないが、当事者の安倍晋三首相は、本気で「任命責任」というものを任命時に限定して考えているようだ。そんなポンコツが許されるのが、この国の現状というのが悲しい…。



(社説)
首相国会答弁 「任命責任」は口だけか
2019年11月7日:朝日新聞

 就任間もない重要閣僚の連続辞任という異例の事態を、どこまで深刻に受け止めているのか。安倍首相が認める「任命責任」は口だけと言うほかない。
 衆院予算委員会の集中審議がきのう開かれた。菅原一秀経済産業相と河井克行法相の辞任を受け、首相がどんな見解を示すかが最大の焦点だった。
 両氏には閣僚としての資質を危ぶむ声があったが、首相は「適材適所」の任命だったと強調。辞任という結果に「責任を痛感している」としながら、その責任の果たし方については「行政を前に進めることに全力を尽くす」の一点張りだった。
 辞任の理由となった疑惑について、両氏はいまだ公に説明していない。指導力を発揮するよう求める野党に対し、首相は「政治家として自ら説明責任を果たすべきだ」と、本人任せに終始した。これではとても、首相のめざす「国民の信頼回復」にはつながるまい。
 そもそも、2012年の政権復帰以降、疑惑や失言などで辞任した閣僚は10人にのぼる。真に反省し、教訓をくみ取っていれば、事態はこれほど繰り返されなかったはずだ。
 ひとごとのような答弁は、大学入学共通テストへの英語民間試験の導入見送りにも共通する。妥当ではあるが、遅すぎた決断に、多くの受験生や保護者、高校の教員らが振り回された。にもかかわらず、首相は「萩生田光一文部科学大臣の判断」と述べるだけで、政権全体としてこの問題を引き受ける姿勢は見られなかった。首相の設けた教育再生実行会議が6年前に方向性を決めた「改革」であるにもかかわらずである。
 加計学園の問題を追及する野党議員に対し、首相が自席からヤジを飛ばし、騒然とする場面もあった。首相のヤジはいまに始まったことではないが、政権の政治姿勢が問われている集中審議のさなかに、不見識きわまるふるまいである。
 野党側は、辞任した2閣僚の参考人としての出席を求めていた。両氏とも国会で予定されていた質疑を前に辞表を提出し、何ら疑問に答えていないのだから、当然の要求だ。ところが、与党側は「前例がない」として取り合わなかった。それどころか、自民党の質問者は両氏を「見識、人物ともに信頼できる方」と持ち上げるありさまだ。
 安倍政権では、疑惑をもたれて要職を辞した政治家が、その後、説明責任を果たさぬまま、復権を果たす例が相次いでいる。今回の連続辞任も、しばらくすれば国民は忘れてくれるだろうと高をくくっているのだとしたら、同じ過ちが繰り返されてもおかしくはない。



相次ぐ閣僚辞任 任命責任を取るのなら
2019年11月7日:東京新聞

 閣僚の相次ぐ辞任を巡り、安倍晋三首相は「責任を痛感する」としながらも、どう責任を取るのかは語らない。行政を前に進める、と言うだけでは、任命責任を取ったことにならないのではないか。
 首相は九月十一日に内閣改造を行った。第一次内閣を含めて十一回目となった組閣の狙いを、首相は「安定と挑戦」と強調した。初入閣は十三人に上り、十七のポストが入れ替わる安倍内閣で最も大規模な改造である。
 ところが安定とは名ばかりで、十月下旬、菅原一秀経済産業相と河井克行法相が、公職選挙法違反の可能性を指摘する週刊文春の報道を受けて相次いで辞任した。六日間で二人の閣僚辞任は極めて異例だ。
 きのう約八カ月ぶりに開かれた衆院予算委員会集中審議で、首相は閣僚辞任について「国民に大変申し訳なく、任命した者として責任を痛感している」と答弁した。
 通常の組織で、長たる者に責任を問う場合、引責辞任か減給が通例だ。しかし首相は、そのどちらでもなく「国政に遅滞が生じないよう行政を前に進めることに全力を尽くすことで国民への責任を果たす」と述べるだけで、辞任した閣僚の任命責任を具体的にどう取るのかは明らかにしなかった。
 一般社会と政界を同列に扱うのは不適切だとしても、遅滞なく行政を進めるだけで任命責任を取ったことになるのか。そもそも遅滞ない行政は、閣僚辞任に関わりなく内閣として当然ではないか。
 首相が閣僚辞任の責任を取るとしたら、内閣総辞職するか衆院を解散し、国民に信を問うのが筋である。野党側も「内閣総辞職に値する異常事態」と位置付けるのであれば、衆院解散をも受けて立つ気迫で追及せねばなるまい。
 二閣僚辞任のきっかけは、秘書による香典持参や運動員への高額報酬など公職選挙法違反の可能性を指摘する週刊誌報道だが、本人が国会で説明しておらず、国民への説明責任を果たしていない。
 野党側は菅原、河井両氏の予算委員会への参考人招致を要求している。与党側は「前例がない」として拒否しているが、閣僚辞任に至った原因を究明し、再発防止に努めることも政権与党の責任だ。首相が責任を痛感するのなら、国会での説明を促すことが、最低限の任命責任ではないか。
 「政治とカネ」に関わる問題でもある。菅原、河井両氏は参考人招致を待つことなく、自ら進んで国会の政治倫理審査会に出席し、説明責任を果たすべきである。



もはや安倍首相の決まり文句
「任命責任は私に」どう取るか
閣僚辞任で「果たした」?
説明なし/検証なし/総辞職なし
2019年11月9日:東京新聞・こちら特報部

 閣僚が辞任するたびに安倍晋三首相が決まり文句のように言うせりふがある。「任命責任は私にあります」という言葉。ただ、そう述べるだけで自分にペナルティを科したり、内閣が総辞職したりするわけではない。当事者に説明もさせず、国民が納得するには程遠い状況が続いている。こうした無責任体質は国をどこへ向かわせるのか。                    (石井紀代美、中沢佳子)

 「説明になってない」「辞めたら辞めっぱなしじゃないか―」。8日午後1時から開かれた参院予算委員会。「任命した責任は痛感している」としながら、「国政に遅滞を生じさせることのないよう、行政を前に進めていくことで責任を果たす」と何度も同じ言葉を繰り返す首相に、野党議員から怒号が湧き起こった。
 一連の騒動は、週刊文春の報道が発端。先月上旬から下旬にかけ、菅原一秀・前経済産業相が地元の有権者にメロンやカニ、イクラをなどを贈っていたほか、秘書が有権者の通夜で香典を渡していた疑惑が明らかになった。公職選挙法が禁じる寄付行為に当たる可能性があり、菅原氏は25日に辞任した。
 その6日後の31日、今度は河合克行前法相の妻案里氏が7月の参院選広島選挙区で初当選した際、車上運動員13人に日当の法定上限15000円の倍の30000円を支払ったと、同じく週刊文春が報道。河合氏は掲載号の発売当日朝に辞任した。
 「大臣が欠けたら、後任を当てて行政が遅滞なく進むようにするのは当たり前」。8日の予算委で最初に質問に立った立憲民主党の福山哲郎幹事長は首相の言い分をそう切り捨て、「本人らは何も説明責任を果たしていない。きちんと説明させることが任命した総理の責任ではないのか」と迫った。
 ところが首相は淡々とした表情で「量子は説明責任を果たすと述べている」と答えるだけ。腕組みをしながら目をつぶって質問を聞いたり、質問中の野党議員にヤジを飛ばして委員長から注意を受けたりする場面もあった。

論点すり替え「行政前に進める」

 首相は6日の衆院予算委でも、この日と同じような答弁を繰り返していた。質問した共産党の塩川哲也氏は「安倍首相は何の検証もなしに後任を据えている、無責任だ」と批判する。
 首相が「自ら説明責任を果たす」と論評した2人の前閣僚は、事実上、何も明らかにしないままの状態が続いている。「結果として秘書が香典を出した」(菅原氏)などと辞任時に簡単な釈明を報道陣にしただけで、詳細については口を閉ざしている。
 政治ジャーナリストの安積明子氏は「行政を前に進める」という安倍首相の発言を「自らの責任に言及せず、論点をすり替えている。閣僚を辞任させることが任命責任を果たすことだと勘違いしている」と一刀両断し、こう語る。
 「政治家の責任の取り方というと辞任がわかりやすいかもしれないが、今回は現実的ではなく、解散総選挙に打って出て国民に信を問うのも一つ。このままではだめだと判断されれば議席を減らし、首相の党内基盤が揺らぐことになる」

「政治とカネ」辞任9人 わびて幕引き
無責任容認 諦めにつながる
責任「ある」が「取る」と言わず 政権維持

 2012年12月に第二次安倍政権が発足して以降、14年の小渕優子経済産業相と松島みどり法相(いずれも当時)を皮切りに、9人の閣僚が「政治とカネ」の問題や失言などを理由に辞任している。首相が「任命責任は私にある」とわび、幕引き、その繰り返しだった。
 今回も同じ。首相は適材適所の任命だったとしたうえで、「責任を痛感している。一層身を引き締めて行政の責任を果たす」などと言うだけ。どこまで「責任」を深刻に捉えているのか疑問が残る。
 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「首相は第一次政権の失敗を教訓に今の政権を運営している。危機管理に対応する菅義偉官房長官や麻生太郎副総理といった政権の屋台骨は何があっても変えない。一方で不祥事や湿原をした閣僚は即刻切って国会での厳しい追及をかわし、政権へのダメージを抑えている」と指摘する。

「首相にペナルティ負わせないと」

 実際、06年9月から1年という短命に終わった第一次政権では問題を起こした閣僚を必要以上にかばうなどして対応が後手に回り、批判を浴びる場面がたびたびあった。政治とカネを巡る疑惑が発覚して自殺に追い込まれた農相の松岡利勝氏のほか、同様にカネの問題が浮上した後任の赤城徳彦氏、「(原爆投下は)しょうがない」と発言した防衛相の久間章生氏ら、途中交代した閣僚は5人に上った。
 また、首相はこれまで、「責任はある」と言いながら「責任を取る」とは口にしていない。国語辞典編纂者の飯間浩明氏は、不祥事があってもトップを降りない企業経営者が少なくないことを挙げ、「辞任だけが責任の取り方とは限らず、給与返上をして職務に当たるなど、さまざまある。ただ、政治家が『責任を取る』と言うと辞任を連想させる。だから決してそうは言わない」と見る。
 「安倍首相は責任があるというなら給与返上ぐらいしてもいいはずだが、何もしない。『責任を取る』という考えがないからだ」と批判するのは作家の高村薫氏、世間の批判もどこ吹く風の首相の振る舞いに、「国のトップが責任の意味を理解していないということだ」と危ぶむ。
 内閣支持率が一定水準を保ち、信を問う選挙も当面は予定されていない。「何をしても大丈夫と高をくくっているのだろう。首相に何らかのペナルティを負わせ、責任への意識を持たせなくては」(高村氏)
 政治風刺のお笑いで知られる芸人の松本ヒロさんは「第人を止めても議員は辞めない。自分の責任を認めない。こんなひどい人たちに政権を任せられないね」と切り捨てる。厚顔無恥な政治家に憤らされた末、息苦しい社会になると心配する。
 「謝って終わりでは社会としておかしい。それが当たり前になれば、同じような政治家がどんどん出てくる。皆が『政治家はそんなもん』と諦めるようになり、おかしいことをおかしいと言わなくなる空気になるのも怖い」
 松元さんは「まずメディアがもっと厳しく追及しないと。それに加えて、われわれ芸人や一人一人がそれぞれの分野で地道に『おかしい』と言い続けるしかない。抵抗の意志が輪を広げ、政治を変える動きにしないと」と主張。けじめをつけない無責任体質を見過ごしてはいけないと訴えた。

デスクメモ
 プロスポーツで成績不振に陥れば、監督はあっという間に解任される。自分であれだけ「責任はある」と言っておきながら、何もしないというのは多くの国民が納得していないのではないか。悪いと思ったら謝る。それは正しいとしても、それだけで済んでしまうのはおかしい。            (千)



「任命責任を痛感」しても「責任を果たす」
首相を追及する「教育国会」
2019年11月6日:毎日新聞


 6日の衆院予算委員会での野党の質問は、大学入試に英語民間試験を導入する方針を決めた過程の不透明さと、1週間で2人の閣僚が辞任した事態に関する安倍晋三首相の任命責任の追及に集中した。立憲民主党の安住淳国対委員長は6日の党会合で「ここに来て(今国会は)教育国会の様相を呈してきた」と発言。森友・加計学園問題に続く政権追及の材料として活用する構えだ。

民間試験導入を検討した「正体不明」の有識者会議

 立憲民主党の大串博志氏は、民間試験導入を検討した文部科学省の有識者会議に関し、設置された経緯自体が不透明だと追及した。新入試制度の「検討・準備グループ」の「第10回会合」は2017年5月22日に開かれた。大串氏は「検討・準備グループ立ち上げの決定はなんと、3日前の5月19日の高等教育局長決定だ。どういう正体か分からないものが、1回目から9回目まで活動していた」と指摘。「非常に不可思議な状況だ」と批判して議事録公開を要求。萩生田光一文科相も応じざるを得なかった。

衆院予算委員会の集中審議で大学入学共通テストへの導入延期を決めた
英語民間試験についての質問を聞く安倍晋三首相(右端)と萩生田光一文部科学相(左端)
=国会内で2019年11月6日午後3時15分、川田雅浩撮影

 予算委に先立つ野党国対委員長会談では、英語の民間試験に続き、国語と数学の記述式試験の中止を求める方向性を確認した。安住氏は記者団に「受験生が公平性を非常に疑っている。同世代の誰か分からないアルバイトに採点してもらうことに疑問を持つ人が増えてきた」と問題点を指摘した。その後の審議では、立憲の川内博史氏がこの問題を追及。萩生田氏も「結果としてさまざまな属性の方が含まれる」と民間業者が雇用するアルバイトが採点することを認めた。

野党、英語試験関連団体への天下り、首相側近関与追及

 萩生田氏の辞任を求める質問も相次いだ。共産党の塩川鉄也氏が「入試は公平公正でなければならない。(萩生田氏の)身の丈発言は、教育の機会均等という教育行政の最も重要な原則に反するのではないか」と追及。萩生田氏は「今、私が果たすべき責任は、延期した試験制度を、受験生にとって受けやすい制度に磨き上げることだ」と辞任を否定した。
 野党が狙うのは首相側近の関与だ。12年12月の第2次安倍政権発足以来、萩生田氏まで6人の文科相のうち5人が首相の出身派閥・細田派に所属する。中でも12~15年に務めた下村博文氏の在職中に、民間試験活用の検討が始まった。政府が13年に設置した有識者による教育再生実行会議が、同年10月にグローバル人材の育成を目指し、新テスト実施を提言したのがきっかけだ。大串氏は「(下村氏が)献金を受けた大手塾グループのメンバーが、教育再生実行会議に入っていた」と指摘した。


衆院予算委員会の集中審議で、閣僚席での自らの発言で質疑が止まり、
委員長席に集まった与野党の議員たちの協議を待つ安倍晋三首相(中央)
=国会内で2019年11月6日午後4時15分、川田雅浩撮影

 さらに、川内氏は、英語試験主催団体に文科省元幹部が天下りしているかを問うと、文科省は元文科事務次官が今年10月に退職するまで理事長を務めるなどしていたと認めた。
首相「獣医学部の問題と全てごっちゃにする姿勢は間違っている」
 決定過程の不透明さや、身内優遇をうかがわせる構図に、大串氏は「政権の利益誘導と疑念を持たれてはならない」と指摘。「加計学園の問題もしかり」と言及したが、首相は「民間がやると悪くなるという考え方は取らない。獣医学部の問題と全てごっちゃにする姿勢は間違っている。極めて党派的だ」と反論した。
 英語民間試験への批判は、萩生田氏の「身の丈」発言を機に、地域、経済格差の解消策が生煮えだと浮き彫りになったのが契機だった。共産党の塩川氏は、英語試験の実施団体名を挙げて「教育・入試が最大のビジネスチャンスになっている」と問題だと指摘した。
 首相は答弁で「グローバル人材を育成する上で英語は重要なツール。萩生田氏の下、課題を克服できるよう検討したい」と経済、地域格差の解消に取り組むと繰り返した。【野口武則】

疑惑釈明は辞めた大臣が「自ら果たす」とする首相

安倍晋三首相に辞表を提出後、記者団の質問に厳しい表情で答える河井克行法相
=首相官邸で2019年10月31日午前8時28分、川田雅浩撮影

 首相はこの日の予算委で、辞任した菅原一秀前経済産業相、河井克行前法相の「任命責任」については認めたが、具体的な責任の取り方については言及せず、疑惑の説明責任も両氏の判断に委ねた。過去の閣僚辞任の際と同様に、野党の追及をかわすことに重点を置いた答弁の繰り返しが目立った。
 「今日の予算委は、非常時の予算委員会だ。首相はどのように責任を取ろうとしているのか」(国民民主党・渡辺周氏)。2閣僚の相次ぐ辞任を「内閣総辞職に値する異常事態」と批判する野党はこの日、首相に対し、任命責任のあり方を明らかにするよう迫った。
 首相はこれに対し、8度にわたり「国民に大変申し訳なく、任命した者として責任を痛感している」などと任命責任に触れて陳謝。ただ、責任の取り方に話が及ぶと「国政に遅滞を生じることのないよう行政を前に進めていくことに全力を尽くすことで責任を果たす」とかわし続けた。菅原、河井両氏が、疑惑について国会で説明しないまま辞任したことについては、「両氏は記者会見で今後とも説明責任を果たす旨を述べている。自ら説明責任を果たすものと考えている」と述べ、両氏の判断に委ねる姿勢を重ねて示した。
閣僚の辞任は10人、同じような答弁
 第2次安倍政権以降、閣僚の辞任は10人に上るが、首相はその度に、同様の答弁を続けてきた。東日本大震災を巡り、同僚議員が「復興以上に大事」と発言して辞任した桜田義孝元五輪担当相のケースは「内外の課題に取り組むことで国民の負託に応え、責任を果たしていく」、補助金支給が決まっていた企業からの献金で辞任した西川公也元農相のケースでは「しっかりと政策を前に進めていくことで責任を果たしていきたい」と答弁するなど後ろ向きな姿勢が目立つ。
 予算委で野党の質問者は言い回しを変えながら食い下がった。立憲民主党の大串博志氏は「言葉だけ言っているように聞こえ、何の責任を取るかとなると甚だ怪しい。本当に任命責任を感じて再発防止する体制をとっているのか」と批判。「首相から『きちんと説明せよ』と求めるのが最低限の任命責任だ」(共産党・塩川鉄也氏)などと具体的な対応を求めてたたみかけたが、首相は消極的な答弁を繰り返し、言質を与えなかった。



集中審議の首相答弁
 説明責任果たしていない
2019年11月7日:毎日新聞

 衆院予算委員会の集中審議が開かれた。菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の辞任について、安倍晋三首相が任命権者として初めて国会に説明する場だった。
 両氏については過去に週刊誌などで「政治とカネ」などにまつわる問題が報じられていた。それでも重要閣僚に任命した責任について首相がどう説明したかがポイントだ。
 しかし、首相は「責任を痛感している」と言いながら、その責任は新しい閣僚のもとで行政を前に進めていくことで果たすと繰り返した。これでは、あえて両氏を任命した人事の説明になっていない。
 9月の内閣改造は「在庫一掃」などと皮肉られ、適材適所より、首相や菅義偉官房長官との関係の近さを優先したのではないかと指摘されてきた。「それぞれの任にふさわしい人物を任命した」と言うだけでは、そうした疑念を深めるばかりだ。
 両氏とも選挙に絡む疑惑を持たれながら、国会で説明することなく辞任した。首相が任命責任の重さを本当に感じているなら、本人たちに国会での説明を求めるのが当然だ。
 しかし、首相は「与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が説明責任を果たすべきだ」と一般論にすり替え、両氏から事情を聴取したかを問われても答えなかった。
 そうやって閣僚不祥事のたびに問題の本質にふたをし、責任をうやむやにしてきた。その結果が第2次安倍内閣以降の10人に及ぶ閣僚辞任となって表れているのではないか。
 大学入試への英語民間試験の導入を見送ったことについても首相の説明責任が問われた。
 家庭の所得や居住地域によって格差が生じる懸念は当初から指摘されてきたのに強行突破を図ろうとしていたのは首相の任命した歴代の文部科学相だ。受験生の不安に政権として向き合う気はあるのか、首相から責任ある説明は聞かれなかった。
 「準備状況が十分ではないため」という萩生田光一文科相の説明をなぞるばかりの答弁では論点をそらしている。萩生田氏は1年かけて検討し直すと言うが、導入を決めた経緯の検証なしに前には進めない。
 臨時国会の会期は1カ月残っている。あす参院予算委もある。首相はまだ説明責任を果たしていない。



社説
[安倍首相の答弁]反省しているか疑問だ
2019年11月10日:沖縄タイムス

 菅原一秀前経済産業相、河井克行前法相が相次いで辞任したことを受け国会は6、8の両日、衆参予算委員会でそれぞれ集中審議を開いた。
 安倍晋三首相は「国民に大変申し訳なく、任命した者として責任を痛感している」と陳謝した。その上で「国政に遅滞を生じることのないよう、行政を前に進めていくことに全力を尽くすことで、国民への責任を果たしていく」と繰り返した。
 閣僚辞任のたびに聞かされてきた言葉だ。どう任命責任をとるかについて言及がない。口先だけの陳謝で、説得力がないのである。
 「行政を前に進めていくこと」と、任命責任は関係がない。どう責任をとるのか正面から答弁することを避けており、不誠実だ。
 安倍首相が任命責任を感じているのなら、少なくとも菅原、河井両氏に自ら事実関係をただし、国会で説明責任を果たすよう指示すべきである。だが、そんなことをしたような形跡はない。
 それどころか「政治活動については一人一人の政治家が自ら襟を正し、説明責任を果たすべきだ。今後とも自ら説明責任を果たしていくと考えている」と人ごとのような口ぶりである。
 国の予算で行われる首相主催の「桜を見る会」は参加者や予算が年々増えている。野党議員が8日、「首相も地元後援会を多数招待しているのではないか」と地元県議のブログなどを示しただした。安倍首相は「個々の招待者については従来、回答を差し控えている」と説明しなかった。
 閣僚辞任問題に限らず、安倍首相の答弁は説明責任からは程遠いのである。
■    ■
 一方、菅原、河井両氏にかけられているのは公職選挙法違反疑惑である。国会議員の資格に関わる重大な事案である。両氏とも国会で説明すると言っていたにもかかわらず、その当日になって辞任している。責任をとって辞任するというよりも、説明責任から逃れるために辞任しているのではないかとみられても仕方がない。その証しに両氏は今もって約束していた説明責任を果たさないままである。結局、菅原、河井両氏ともうわべでは説明責任といいながら、自らの言葉に従っていないのである。
 第2次安倍内閣以降、閣僚辞任は10人に及ぶ。陳謝と任命責任を口にして終わり、とする安倍首相の姿勢と、長期政権のおごりが閣僚辞任が止まらない要因ではないのか。
■    ■
 安倍首相は両日とも閣僚席から質問をした野党議員を指さしながらやじを飛ばした。
 安倍首相のやじはこれまでもたびたび起きているが、2閣僚の辞任を受けた集中審議であることを考えれば、事態を本当に反省しているのか、大いに疑問である。
 6日は学校法人「加計学園」を巡り萩生田光一文部科学相の関与をうかがわせる文書を示した野党議員に対し「あなたが作ったんじゃないの」とやじった。8日にも別の野党議員に「共産党」と言い放った。国会軽視も甚だしく、首相と思えぬひどい振る舞いだ。猛省を求めたい。



安倍首相の「共産党か」ヤジは
ネトウヨの常套句!
今年だけでヤジは27回、
こんな下劣な総理大臣見たことない
2019年11月9日:LITERA

 つくづく懲りない男だ。昨日8日の参院予算委員会で、安倍首相がまたもや“悪質ヤジ”を飛ばしたことが波紋を広げている。立憲民主党の杉尾秀哉議員が、2016年の高市早苗総務相による「電波停止」発言について質問したときのこと。安倍首相は座ったまま杉尾議員を指差し、「共産党か!」なるヤジを飛ばしたのだ。
 杉尾氏は立憲民主党の議員なのに「共産党か!」って……コレ、所属政党を間違えたわけではなくて、ネトウヨがリベラル派や政権批判にレッテル貼りをするときに使うお決まりの文句なのだ。あらためてその品性に愕然とするが、重要なのはヤジがどのような文脈で出てきたかということ。質疑の流れを検証してみると、明らかに、突きつけられた不都合な真実に対する“逆ギレ”であることがわかる。
 そのためにも、安倍首相の「共産党か!」ヤジが飛び出すまでの杉尾議員との国会質疑を、振り返っておこう。まず杉尾議員は、公選法違反疑惑で大臣を辞任した河井克行・前法務相の妻で、先の参院選では自民党公認で初当選した河井案里議員が、今春の広島県議選の期間中、複数の自民党県議に現金を持ってきたという中国新聞の報道をあげ、「公選法が禁じる買収や寄付行為にあたるのではないか」「これは極めて重大な問題。安倍首相は事実関係を確認してもらえないでしょうか」と追及した。
 すると安倍首相は、「これは内閣の中にいようが外にいようが、与党の議員であろうが野党の議員であろうが、当然、説明責任を果たしていくことが求められているわけであります」と答弁し、議場は騒然。当然だろう。安倍首相が法務大臣に任命した河井克行氏と、その妻で自民党の河井案里氏という「与党議員」に揃って公選法違反という疑惑が浮上しているのに、安倍首相は全く関係のない「野党」まで持ち出して、「与党であろうと野党であろうとこれは同じ」などと繰り出したのだ。杉尾議員も「野党は関係ありません」と突っ込んでいたが、明らかに疑惑を矮小化するためのスリカエ・印象操作ではないか。
 次に、杉尾議員は萩生田光一文科相の“資質”とメディアの萎縮について言及。本サイトでも取り上げてきた、大学入学共通テストの英語民間試験の導入をめぐる「身の丈にあってがんばれ」発言を批判し、萩生田大臣を守るために官邸主導で英語民間試験の見送りを決めたのではないかと追及した上で、「今日はどうしても聞きたいテーマがある」と言って、萩生田氏によるあの“報道圧力”文書問題に切り込んだ。
 念のため振り返っておくが、これは2014年の総選挙直前に、当時、自民党が在京テレビ局に選挙報道をめぐる圧力をかけた問題だ。『NEWS23』がアベノミクスについて否定的な街頭インタビューを報じたことに対し、安倍首相は「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたててブチ切れたのだが、放送から2日後、在京キー局に向けて萩生田光一・自民党筆副頭幹事長(当時)の名前で〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる恫喝文書を送りつけたのだ。

安倍首相が切れたのは
立憲民主党・杉尾議員に「報道圧力」を追及されたから

 長らくTBSで報道記者を務めていた杉尾議員は、当事、局内にいた“当事者”の一人としての実感からこう質問した。
「私も当時メディアにいて、この文書を見ました。最後のパネルの下のほうですけども、出演者の発言回数、ゲストやテーマの選定、街頭インタビューや資料映像にいたるまで、事細かに注文をつけています。この文書が出る前日に、TBSの『NEWS23』に総理が出られて、街頭インタビューに対して『編集してますね』と噛みついた。それを受けての文書だと私は理解してます。文面は非常に丁寧なんですけども、内容は、言葉は悪いんですけど恫喝に等しいんですよ。私は長くテレビ報道で仕事をしてましたけど、こんな文書見たことありません。萩生田大臣、なんでこんな露骨な圧力をかけたんでしょうか」
 しかし、萩生田文科相は、まったく悪びれることなく「過去にも選挙前にこういう形でメディアのみなさんに、ぜひよろしくということで発出した経緯もございます」などと答弁し、報道圧力を正当化しようとした。これに対し、杉尾議員は「いや、これ以前にこんな文書はありませんよ。ここまで細かく書いているものはございません」と反論。さらに安倍政権による報道圧力の問題を掘り下げるため、2016年2月、当時も総務大臣だった高市早苗総務相が、国会で「国は放送局に対して電波停止できる」という趣旨の発言を繰り出した「電波停止」発言について述べようとした。
 ところが、その杉尾議員が高市総務相に、放送法における「政治的公平性」の解釈について問おうとしている最中、安倍首相が大臣席から突如、「共産党か!」なるヤジを飛ばしたのだ。
 当然、杉尾氏は「野次らないでください、なに野次ってるんですか、何が共産党なんだ」と反発。速記が止まるなど、国会進行に支障をきたすなか、金子原二郎参院予算委員長が不規則発言を慎むよう注意したが、議場はなおも紛糾し、金子委員長は「もう謝ったんだからいいじゃないですか」などと適当に流そうとした。安倍首相はその間も、腕を組んだまま椅子にふんぞり返り、またもや野党側に指をさして何か口を動かしていた。
 この一連の流れをたどれば、安倍首相がどういった文脈でヤジを繰り出したかは歴然だろう。ようするに、自民党議員の重大疑惑に続き、閣僚による圧力問題を追及されるなかで、安倍首相はいきなり「共産党か!」なるヤジを飛ばしたのだ。つまり、ネトウヨ的な不規則発言をかますことで、追及に対してきちんと説明することを放棄し、議場を混乱させているのである。まったく救い難いではないか。
 この日の夜の『NEWS23』では、アンカーの星浩氏が安倍首相のヤジについて、「これもまた非常に悪質。こんなに自分の席からヤジを飛ばす総理大臣って私も見たことありません」と述べていたが、その通りとしか言いようがない。

今年に入って27回、
注意されても執拗にヤジを繰り返す安倍、もはやサイコパス 

 周知の通り、安倍首相はこのつい2日前、6日の衆院予算委員会でも、同じような悪質なヤジを飛ばしている。無所属の今井雅人議員が、加計学園問題をめぐる「萩生田副長官ご発言概要」について、萩生田文科相に「文科省でこのメモは見つかったわけですよね。であれば、これは文科省の人が書いたと思われますが」「文科省で見つかったと松野(博一・元文科)大臣がおっしゃっていますから、内容からして誰かがつくっているわけです」と質問を行ったのだが、そこで安倍首相は自席に座りながら、今井議員に指さして「あなたがつくったんじゃないの」なる陰謀論むき出しのヤジを放った。
 それだけはない。毎日新聞デジタル版7日付記事(「やまぬ安倍首相のヤジ 今年だけで不規則発言20回超『民主主義の危機』」)によれば、今年、安倍首相は11月6日までの国会で質問者の質問中に発したヤジは、少なくとも26回に及ぶという。たとえば、2月4日の衆院予算委では、厚労省の統計不正問題に関する統計作成などの政治的中立性への疑問に対して「ないよ、そんなもん」。2月18日の同委では、実質賃金の伸び悩みを指摘する野党議員に「(自民党は)選挙で5回勝っている」と驕りまくったヤジを飛ばした。8日の「共産党か!」ヤジも含めれば、今年だけで27回だ。
 もっとも、安倍首相は今年に限らず、これまでも散々国会で追い詰められるたびに信じられないようなヤジを飛ばしてきた。
 代表的なのは、2015年2月の衆院予算委員会。当時の西川公也農水相への献金問題を追及していた民主党議員に対し、安倍首相はニヤニヤしながら「日教組!」「日教組どうするの日教組!」というヤジだろう。安倍首相は“民主党は日教組から金をもらってるだろ?”とレッテル貼りをしたわけだが、これは完全なデマ。安倍首相も後に事実誤認であることを認め、発言を訂正するにいたった。
 同じ年の5月の衆院特別委に、安保法制をめぐる自衛隊の機雷掃海のリスクについて指摘する辻元清美議員に「早く質問しろよ!」とイライラした調子で声を張り上げた。このヤジの前日、安倍首相は「与党側はこんなに静かに礼儀正しく聞いてるじゃないですか。みなさんも少しは見習ったらどうですか」「議論の妨害はやめていただきたい。学校で習いませんでしたか」などとヤジを批判していたにもかかわらずだ。しかも、安倍首相は「早く質問しろよ!」ヤジの3カ月後にも「まあいいじゃん、それで」というヤジをかましている。まったく反省の色がないのだ。
 安倍首相は曖昧な答弁が批判を受けると、すぐに「ヤジはやめませんか、いま私が話してるんですから」「国民のみなさん、私が答弁しようとするとこうやってヤジで妨害するんです」などと被害者ヅラするが、他ならぬ本人が野党の質問をヤジりまくっているのである。
 前述の毎日記事では、ベテラン政治評論家の森田実氏が「品格がなさ過ぎる。戦後、こんな首相がいたでしょうか」と苦言を呈しているが、もはや“品格のなさ”というより“サイコパス”ではないのか。実際、安倍首相は2016年5月、松本人志の『ワイドナショー』(フジテレビ)に出演した際、国会でヤジを飛ばすことについてこう話していた。
「(国会でのヤジは)独り言だったんですが、独り言(の声)が大きくなった。修行が足りないですね」
 国会で追及される政権の問題や政策の不備について、本来、しっかり国民へ説明せねばならないのに、それを放棄して「日教組!」「共産党か!」などと“独り言”でヤジってしまうのだとすれば、はっきり言ってヤバすぎる。6日の「あなたがつくったんじゃないの」ヤジもそうだったが、安倍首相は完全にネトウヨ的陰謀論に支配されて、おかしくなっているのだろう。もはや常人には理解不能の領域だ。このまま、本当に総理の椅子に座らせておいていいのか。有権者はもっと真剣に考えるべきだ。
(編集部)



【詳報】
加計文書「あなたがつくった」
 首相ヤジで騒然
2019年11月6日:朝日新聞

「安倍1強」と言われてきた安倍政権下で、失言や不祥事が相次いでいます。6日午後、安倍晋三首相ら閣僚が出席して衆院予算委員会の集中審議が開かれました。どのような論戦が交わされたのか。タイムラインで詳報するとともに、記者が解説します。

寸評=斉藤太郎記者
似た答弁繰り返す首相 「責任痛感」の言葉、軽く

 安倍晋三首相と野党議員の衆院予算委員会の論戦は、残念ながら深みに欠くやりとりが続きました。
 首相はこの日、閣僚辞任をめぐり10回近く「責任を痛感」と口にし、「行政を前に進めていく」ことで責任を果たすとの考えを繰り返しました。野党側が角度を変えて質問をしても、似たような答弁ばかり。序盤は答弁メモに目を落としながら発言していましたが、途中からは暗唱するように答え続けました。「責任を痛感」との言葉の重みがどんどんと軽くなっていくように思えました。
 棚橋委員長の差配も目につきました。 野党統一会派で無所属の今井雅人氏が、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり文部科学省内で見つかった文書を手に質問していたところ、首相は自席から「あなたが作ったのでは」などとヤジを飛ばす場面がありました。今井氏が「何ですかそれは。謝罪してください」と首相に発言を求めましたが、棚橋氏は「私には聞こえなかった」。野党議員は委員長席に詰め寄り、委員会運営を整理しようと質疑の一時中断を要求しましたが、棚橋氏は聞き入れません。今井氏に割り当てられた20分間のうち4分近くが、ここで費やされました。

17:00
予算委終わる

 衆院予算委員会の集中審議は午後5時に散会した。安倍晋三首相は閣僚の連続辞任について陳謝しつつ、「行政を前に進めることで責任を果たす」と強調。萩生田光一文科相も大学入学共通テストへの英語民間試験の活用の見送りを謝罪したものの、「私の責任で制度を作り直す」と辞任を否定した。

16:50
首相、衆院解散「現時点では考えていない」

 2人の閣僚が政治と金をめぐる問題で相次いで辞任したことについて、日本維新の会の浦野靖人氏は安倍晋三首相に対して「任命責任と言うならば、(衆院を)解散して国民の信を問うべきだ」と求めた。
 首相は「夏の参院選で国民に約束した政策の実現に専念すべきであり、現時点では(解散は)考えていない」と答えた。

16:10
首相が野党議員にヤジ 加計文書「あなたがつくったのでは」

 加計学園の獣医学部新設問題を追及する野党議員に対し、安倍晋三首相が自席からヤジを飛ばし、委員室が騒然となった。野党統一会派の今井雅人氏(無所属)が萩生田光一文部科学相の関与がうかがわれる文科省内の文書を手に質問していたところ、首相は自席に座ったまま指をさし、「あなたがつくったのでは」などと発言した。
 今井氏は「大変な侮辱です。謝罪してください」と猛反発。「水掛け論になるという趣旨で申し上げた。座席から私が言葉を発したことは申し訳なかった」と陳謝した。
 この文書は萩生田氏が官房副長官だった2017年に文科省内で見つかり、公表されたもの。「萩生田副長官ご発言概要」と題され、獣医学部新設をめぐり「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」などと記されていた。萩生田氏は発言内容について否定している。
 この日の予算委で、今井氏が「文科省の方が書いた文書ということでいいのか」と問うたのに対し、萩生田氏は「私があたかも働きかけをしたかのような個人メモが(質問で)採り上げられたが、私が総理から指示を受けたり、文科省や内閣府に指示を出したりしことはない」と反論。首相のヤジはその後に飛び出した。

16:10
「受験生を馬鹿にしている」野党議員、萩生田文科相に辞任要求

 英語の民間試験をめぐる萩生田光一・文部科学相の発言をめぐり、野党統一会派の今井雅人氏(無所属)は「受験生を馬鹿にしている」として萩生田氏に閣僚辞任を求めた。
 萩生田氏は「身の丈に合わせてがんばって」という発言が問題視され、英語の民間試験延期につながった。今井氏はこの日の質問で、「身の丈」発言だけでなく、「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいよな』というのと同じ」という発言も問題視。「受験生を馬鹿にしている発言としか思えない。今後、生徒のために適切な英語試験を考えていけるとは思えない。是非、辞任していただきたい」と求めた。
 萩生田氏は「(延期という)これだけの大きな決断をした以上、辞任することで解決するとは思わない。私の責任で制度を作り直し、受験生、国民に納得してもらう態勢をつくることを約束したい」と引き続き閣僚の座にとどまる考えを示した。

寸評=斉藤太郎記者
「壊れたナントカ」 首相の繰り返し答弁に野党イライラ

 閣僚らの相次ぐ失言や不祥事を受けて開かれている6日の衆院予算委員会。野党は閣僚の連続辞任をめぐって安倍晋三首相の任命責任を追及していますが、首相の答弁は同じような言い回しを繰り返しています。野党議員は「壊れたナントカ」と話し、イライラを募らせています。
 首相はこの日、河井克行前法相と菅原一秀前経済産業相の辞任について「責任を痛感している」として、「行政を前に進めることで責任を果たす」と繰り返し強調しています。一方で、自民党所属議員である2人が説明の場を設けるよう党総裁として促す考えのないことを明らかにしたうえで、「自ら説明責任を果たすと考える」という立場を繰り返し表明しました。
 そんな首相に対し、野党統一会派の大串博志氏(立憲民主党)は「壊れたナントカではないか」と指摘しました。そのうえで、2人から「事実関係を聴取したのか」と質問しましたが、首相はまさに「壊れたレコード」のように淡々と答弁。大串氏は自席から「聞いていない!」「端的に答えてください!」と声を上げました。
 政権側にとって不都合な質問をかわしつつ同じような答弁を繰り返すのは、国会でよくある風景です。ただ、答弁の繰り返しで野党議員の質問時間を浪費させようとしているのであれば、「不誠実」と言われても仕方ないのではないでしょうか。

15:40
「検討準備グループ」に英語の専門家不在 民間試験活用方針公表時

 文部科学省の伯井美徳高等教育局長が衆院予算委で、2016年に大学入学共通テストでの英語民間試験の活用方針を公表した際、同省が設置していた「検討準備グループ」のメンバーに英語の専門家がいなかったことを明らかにした。
 伯井氏は「確か8人の委員で絞った代表者からなる会議だった。その後、具体的に検討を行うため外国語教育に関する学識経験者にも議論に参加していただいた」と述べた。質問した立憲民主党の川内博史氏は「これはちょっと衝撃だ」と指摘した。英語民間試験は結局、2020年度から始まる大学入学共通テストでの活用は見送られた。

寸評=宮崎亮記者
国語・数学の記述式試験についての懸念「採点の質は」
「受験生の自己採点はできるのか」

 大学入学共通テストの国語と数学で新たに出題される記述式で、採点の質を担保できるのか――。6日の衆院予算委員会では、こんな質問が出ました。2021年1月に実施される大学入学共通テストから国語と数学に記述式問題が採用されるため、様々な懸念が出ているためです。
 国語はマークシート式問題(配点は200点)に加えて、マス目に文章を書く記述式が3問出題されます。採点者は最大1万人程度になる見込みで、採点者によって採点結果にブレが生じないか懸念されています。この日の予算委で萩生田光一・文部科学相は「適正な試験による質の高い採点者の確保や、必要な研修プログラムの実施」などの対策をとることで対応できると答弁しましたが、簡単ではないでしょう。
 受験生が正確に自己採点できるかについても、懸念が示されています。
 共通テストの試行調査(2回実施)では、80~120字の文章を書かせる国語の記述式問題で生徒の自己採点と大学入試センターによる採点結果の不一致率が、いずれも3割前後ありました。このまま本番に突入すれば、出願する大学を決める判断に影響が出てしまいます。萩生田氏は答弁で「高校の協力を得て採点過程を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業を実施する」と述べましたが、どこまで改善できるかは見通せません。
 一方、数学の記述式問題も3問出される予定です。2回目の試行調査では、正答率が最も高かった問題でも10・9%。無回答率が62%にのぼる問題もありました。この日の予算委でも、入試問題としてふさわしくないという指摘がありました。大学入試センターは当初検討していた短い文章で解答する問題を初年度は見送り、3問とも数式とわずかな言葉だけを書かせる方式にしています。

15:20
首相「獣医学部問題とごっちゃにする姿勢間違っている」 英語民間試験で

 英語民間試験をめぐり、野党議員は「政権の利益誘導のような形で疑念を持たれてはいけない」と批判した。この際、加計学園の獣医学部新設の疑惑を例として挙げたため、安倍晋三首相が色をなして反論する一幕があった。
 立憲民主党の大串博志氏は、英語民間試験の関連団体に文部科学省から天下りした人がいることなどを挙げ、「政権の利益誘導のような形で疑念をもたれてはいけない。加計学園の問題もしかり」と批判した。大串氏の質問は、萩生田文科相が官房副長官時代に加計学園の獣医学部新設問題への関与が取りざたされたことを踏まえたものだ。
 これに対して、安倍首相は答弁で「獣医学部の問題とごっちゃにする姿勢は間違っている」と強い口調で反論。委員会室にはヤジが飛び交い、棚橋泰文委員長が「静粛に!」と声を荒らげた。

14:30
首相、辞任大臣の説明責任「党総裁が促すことではない」

 質問者が野党に移った。最初は国民民主党の渡辺周氏。早速、2閣僚の辞任をめぐって切り込んだ。
 「自民党総裁として、説明責任を果たすよう促す考えはないのか」
 渡辺氏は安倍晋三首相に対してこう質問した。河井克行・前法相と菅原一秀・前経済産業相は閣僚を辞任したものの、党所属の衆院議員であることに変わりない。そこに着目した質問だった。だが、安倍首相は「(自民党)総裁が命令する、促すか、ということではない」と否定した。
 渡辺氏の追及に対し、首相は「内閣にいる者であろうと、そうでない者であろうと、与党であろうと野党であろうと、国民に選挙で選ばれた者として説明の責任を果たしていくべきものと考えている。2人は責任を果たしていくと考えている」などと、かわすような答弁を繰り返した。渡辺氏は4度にわたり同様の質問を繰り返し、同様のやりとりを重ねた。首相が直接2人に説明責任を果たすよう促す考えがないことを浮き彫りにする狙いがあったとみられる。

14:00
首相「首里城、一日も早く復元」

 安倍晋三首相は大火で正殿などが焼失した首里城(那覇市)について、「一日も早く復元できるように、沖縄や地元の方々の意見を伺いながら、必要な財源を含め、政府として責任を持って全力で取り組む」と述べた。首里城については「沖縄のみなさんの誇りとも言える極めて重要な建造物」と指摘。この日午前の関係閣僚会議で「政府一丸となって首里城復元に全力で取り組む」と指示したことを紹介した。
 公明党の伊藤渉氏への答弁。

14:00
萩生田氏、国語・数学の記述式試験の対策を強調
 野党がこのあと追及へ

 大学入学共通テストの国語と数学で新たに出題される記述式についてのやりとりがあった。与党・公明党の伊藤渉氏が「採点の質を担保できるのか」と質問すると、萩生田光一・文科相は「適正な試験による質の高い採点者の確保や、必要な研修プログラムの実施」などの対策をとることで対応できるとの考えを示した。
 また、受験生が試験の後に自己採点する際、正確な採点ができるのかとの質問について、萩生田氏は「高等学校に協力をえて、採点過程を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業を実施する」と説明した。
 このあと登場する野党議員たちは、質問の中で記述式の問題点について追及する構えだ。

寸評=三輪さち子記者
自民が「アリバイ質問」 首相の任命責任で

 1カ月で2人の閣僚が相次いで辞任して以来、初めて開かれた衆院予算委員会。与党・自民党の議員は安倍晋三首相の任命責任について質問しました。政権のスキャンダルは与党の一員として本音では触れたくないテーマですが、「アリバイ質問」と受け取られかねないやりとりは少なくありません。まるでアリバイ作りのための国会質問は、なぜ生まれるのでしょうか。
 「経済産業大臣として適役だった」「法務大臣として適材適所だった」――。自民の坂本哲志氏は、公職選挙法違反疑惑などをめぐって辞任した2閣僚をこう持ち上げました。その上で、安倍首相に対して「任命責任者として説明を」と質問しました。かばっているのか、批判しているのかわからないような質問です。
 安倍首相は「責任を痛感している」と応じ、それ以上の追及はありませんでした。坂本氏の持ち時間だった45分間で、閣僚辞任の問題はこのやりとり1回だけ。そのほかは、日米貿易協定や英語入試などの問題にあてました。
 1カ月で2閣僚が辞任するのは政権にとって大失態で、与党は早く火消しをしたいところです。一方で、これだけ騒がれた問題に予算委員会で一切触れなければ、「首相をかばいすぎだ」との批判を招きかねません。そうした中で、「しっかり政府を監視しているぞ」という姿勢をアピールするためにも、任命責任についての質問は欠かせない、という判断があったのだと見られます。
 こうした与党の「アリバイ質問」は、首相にとっても好都合と言えます。閣僚の辞任について、ひととおり陳謝し、国民に説明する場になるからです。

13:30
萩生田文科相「率直におわび」 英語民間試験見送りで

 萩生田光一文部科学相は大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りについて、「経済的な状況や居住地域に関わらず等しく安心して試験を受けられるような配慮など、文科大臣として自信と責任を持って受験生にすすめられるシステムになっていないと判断した」と説明。「試験に向けて準備されてきた多くの皆様にご迷惑をかけたことは、率直におわびを申し上げたい」と陳謝した。
 萩生田氏は導入見送りの原因について「文科省が民間団体の取り組みを指導・監督できる制度設計になっておらず、準備の遅れにつながった」と指摘。「予算などで応援することが可能であれば、このシステムは前に進められたと思う」との認識を示し、「1年間で問題を検証し、この試験がすべての受験生が等しく受験できる環境をつくっていきたい」と述べた。
 自民党の坂本哲志氏への答弁。

13:10
首相「国民に申し訳ない」 閣僚連続辞任で

 安倍晋三首相は河井克行・前法相と菅原一秀・前経済産業相の連続辞任をめぐり、「私が任命した大臣がわずか1カ月の間に相次ぎ辞任する事態になり、国民に大変申し訳なく、任命した者として責任を痛感している」と陳謝した。その上で「行政を前に進めていくことに全力を尽くすことで国民への責任を果たす考えだ」とも強調した。河井氏と菅原氏の今後の対応については「自ら説明責任を果たしていくものと考えている」と述べた。
 最初の質問者である自民党の坂本哲志氏の質問に対し、答弁ペーパーに目を落としながら語った。坂本氏は辞任した2人を「見識、人物ともに信頼できる方で適任だったと思っている」と前置きした上で、「相次ぐ辞任は国民に大きな落胆を与えた。国民への丁寧な説明が求められる」と問うた。
 首相の答弁を確かめると、坂本氏は台風被害への対応などに話題を移した。

13:00
衆院予算委員会が始まった

 衆院予算委員会の集中審議が始まった。最初の質問者は自民の坂本哲志氏で持ち時間は45分間。菅原一秀・前経産相、河井克行・前法相の2人の閣僚が相次いで辞任したことについて、安倍晋三首相の任命責任などについて質問する見通し。

11:00
菅官房長官、首里城「政府がしっかり財源手当て」

 首里城(那覇市)の正殿などが全焼した火災で、菅義偉官房長官が記者会見で、「(首里城は)沖縄の皆さんの誇りとも言えるきわめて重要な建造物」と述べ、「まず早急に復元事業の具体策を検討する必要がある。政府としてはしっかりと財源手当てを行っていきたい」と語った。
 政府は6日午前、関係する閣僚を集めて対応を協議した。防火対策のほか、木材の調達、職人の確保などの課題が指摘された。菅氏は「具体的な対応について関係省庁一体となって早急に詰めていきたい」と語った。

寸評=斉藤太郎記者
首相最側近、萩生田氏に照準 「辞任ドミノ」念頭に

 野党は6日午後の衆院予算委員会で、「身の丈」発言で批判を浴びた萩生田光一文部科学相を徹底追及する構えです。萩生田氏は安倍晋三首相の最側近の一人。菅義偉官房長官に近い2閣僚が連続辞任に追い込まれる中、安倍政権の閣僚の「辞任ドミノ」を意識した駆け引きが展開されそうです。
 今回の予算委は、河井克行前法相と菅原一秀前経済産業相の辞任を受けて開かれることになりました。野党側は、首相が任命責任をどう果たすのかを具体的に説明すべきだと主張。国会で審議拒否戦術に出たことから、与党側が正常化を図るため開催に応じました。首相は菅原、河井両氏の辞任に際して記者団の取材に応じ、「任命責任は私にある」などと陳謝しています。予算委ではこうした答弁を繰り返すとみられ、野党が踏み込んだ答弁を引き出せるかは見通せません。
 開催時間は4時間で、野党側に割り振られた質問時間は3時間弱。最大の「見せ場」は、萩生田氏への野党の追及になりそうです。
 萩生田氏は「身の丈」発言ばかりでなく、官房副長官時代の2017年、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり文科省に対応を迫る文書も見つかっています。野党統一会派の予算委メンバーは「時間がないので一点集中。萩生田氏を徹底的にやるしかない」と漏らしています。
 先週までの閣僚辞任で与党側は「ツーアウト。もう1人で政権は持たなくなる」(自民党中堅)と身構えます。一方で、ある自民党幹部は「ツーアウトはなくツーストライク」と、国会運営の主導権は依然として政権・与党側にあるとの見方を示しています。失言や不祥事をめぐる与野党の論戦の行方が注目されます。

09:50
「萩生田氏は文科相の任にあらず」 立憲・安住国対委員長

 立憲民主党の安住淳・国会対策委員長は6日午前、萩生田光一文部科学相について「責任は非常に大きい。『文科相の任にあらず』という角度で追及する」と述べ、同日午後の衆院予算委員会で「身の丈」発言をして大学入学共通テストへの英語民間試験の導入見送りに追い込まれた萩生田氏を徹底追及する考えを示した。野党国対委員長会談で予算委などの対応を協議後、記者団に語った。
 安住氏は大学入学共通テストの国語で新たに出題される記述式についても問題視した。「実施業者はアルバイトを使っての採点を認めている。高校生から不安と抗議の電話が私たちにも寄せられている。改革というより改悪ではないか」と指摘。予算委に向け、「受験生の疑問を萩生田氏にぶつけ、答えられないようなら制度をやめるか、自分自身の進退も含めて考えてもらう」と述べ、答弁次第で閣僚辞任を求めていく構えを示した。

衆院予算委の集中審議、午後1時から論戦スタート

 衆院予算委員会は午後1時から、安倍晋三首相をはじめ閣僚らが出席する集中審議が始まる。安倍政権は10月下旬以降、公職選挙法違反疑惑などで河井克行前法相と菅原一秀前経済産業相が連続辞任。大学入学共通テストへの英語民間試験の導入は萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言で焦点化し、見送りに追い込まれた。相次ぐ「失態」をめぐり、野党は首相の責任を追及する構えだ。
 午後1時から2時過ぎまでは自民党と公明党の質問時間。与党も「辞任閣僚」を任命した責任を首相に問いつつ、大火で正殿などが焼失した首里城(那覇市)の再建に向けた政府の対応をただす予定だ。
 午後2時過ぎからは野党側の質問に移る。野党統一会派への割り当ては2時間10分で、国民民主党の渡辺周副代表や立憲民主党の川内博史・常任幹事会議長ら4人が質問に立ち、首相らへの追及が本格化する見通し。萩生田氏も厳しい批判にさらされそうだ。共産党、日本維新の会の質問を経て、午後5時ごろに散会となる予定だ。



「壊れたレコーダー」
 同じ答弁繰り返す首相に野党批判
2019年11月8日:朝日新聞

「責任を痛感」参院でも繰り返し

 「壊れたテープレコーダーのように、同じことを繰り返す」――。8日の参院予算委員会の集中審議で、立憲民主党の福山哲郎幹事長が安倍晋三首相の答弁スタイルをこう表現した。福山氏が閣僚の連続辞任をめぐり角度を変えながら追及しても、首相は「お決まり答弁」の連発で押し通すためだ。
 「責任を痛感している」。菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の連続辞任をめぐり、首相は福山氏から責任を重ねて問われ、最初の8分間で4度、「定番」のフレーズを使った。責任の取り方は「行政を前に進めていくことで果たす」の繰り返し。2日前の衆院予算委で連発した答弁と同じ内容だ。
 福山氏は「これまでの説明ではない総理の答弁を」と前置きして質問に入ったが、首相は答弁ペーパーを棒読みするばかり。福山氏が「行政が遅滞なく進むようにするのは当たり前。なぜ(連続辞任の)事態になっているのか」と問うても、同様だった。委員会室は野党議員の「説明になっていないよ!」とのヤジが飛び交ったが、首相は自らの答弁のペースを貫いた。

首相本人への質問に「萩生田氏から反論させたい」

 首相が委員会の進行をコントロールしようとし、批判を浴びる場面もあった。
 野党側は、民間試験をめぐる「身の丈」発言で批判された萩生田光一文部科学相の資質を問う姿勢を強めている。福山氏が萩生田氏をめぐる加計学園問題の文書や過去の発言をとり上げつつ、「なぜ萩生田氏を文科相にしたのか」と首相に問うた時のことだ。
 首相は「萩生田氏から反論すべきことは反論させたい。その上で私が答弁する」。野党議員たちは「なんで質問内容を総理が勝手に決めるんだ!」と猛反発し、委員会室は騒然となった。議事運営の「行司役」の金子原二郎委員長(自民党)は一時あっけにとられた様子だったが、気を取り直して首相に答弁を促した。首相は「萩生田氏は自民党で文教行政に関わっていた。任にふさわしい」と答えた。
 福山氏は40分間の持ち時間の大半を閣僚の辞任や資質の問題に当てたが、首相から新たな見解を引き出すことはできなかった。質問後、記者団に悔しさをにじませながら、首相の姿勢を批判した。「反省の色はない、説明する気もない、誠実さのかけらもない」
     ◇
 第200回臨時国会。国会論戦や各党の動きなど、政治家たちの様子を「国会ひとコマ」としてお伝えします。(斉藤太郎、井上昇)



英語民間試験に政官癒着
渦中のベネッセが抱える“深い闇”
2019年11月9日:日刊ゲンダイ

 来年度から始まる大学入学共通テストへの英語民間試験の導入が延期となり、国会は大紛糾だ。民間試験活用に至る経緯もさることながら、なぜベネッセが主催する「GTEC」が採用されたのか。国語・数学で記述式問題の採点業務をベネッセの関連法人が受注したプロセスは適正だったのか――。ベネッセをめぐる疑惑が噴出している。目下、浮かび上がっているのが政官との“癒着構造”だが、真相は闇に包まれている。
  ◇  ◇  ◇
「なぜ、こういう仕組みになったのかを検証しなければならない」

 8日の参院予算委員会の集中審議で、萩生田文科相はこう言って民間試験活用を議論した会議の議事録を公表する意思を改めて強調した。

 公表されるのは、2016年4月に文科省内に設置された有識者らによる「検討・準備グループ」の会議内容。17年5月に大学入学共通テスト実施方針案が示されてからは第10回以降の議事要旨が公開されているが、第1~9回の議事録は非公開とされてきた。

 また、昨年12月に開催され、ベネッセ関係者も委員に名を連ねる「大学入試英語4技能評価ワーキンググループ」の議事録も公表される見通しだが、「全文黒塗りや、公表前に内容が“改ざん”されることも考えられる」(野党関係者)というから、どこまで真相が明らかになるかは全く見通せない。

 GTEC採用にとどまらず、問題山積の記述式が導入される国語と数学の採点業務まで手掛けるベネッセ。「対策テキスト販売などで儲けられ、濡れ手で粟のビジネスだ」(前出の野党関係者)とヤユされている。こんな一石二鳥が許されるのは、ベネッセが文科省に深く食い込んでいるからなのだろう。

「GTECを共催する『進学基準研究機構(CEES)』の理事長は文部次官経験者で、評議員には文科省中央教育審議会の元会長が就いている。典型的な“癒着構造”です。文科省内では『問題アリ』と考える中堅・若手が少なくないのですが、危ういと感じていても〈決められた方針に逆らえなかった〉との嘆き節も聞こえてくる」(文科省担当記者)

■下地をつくったのは下村元文科相

 ベネッセが文科省に食い込むきっかけとみられているのが、“政界ルート”だ。キーマンは下村元文科相だという。

「民間試験活用の下地をつくったのは、下村元大臣ともっぱらです。大臣在職時の13年10月、従来の大学入試センター試験に代わる共通テスト導入と民間試験活用を提言しています。文科官僚が反対できなかったのは、下村大臣が超前のめりだったから。ベネッセは早くから下村大臣に近づいていたのではないか。社内では下村大臣をはじめ、政界人脈が脈々と引き継がれていたといいます」(前出の文科省担当記者)

「週刊文春」によると、ベネッセのシンクタンクの幹部らが下村氏の後援会主催のパーティーに足しげく通っていたという。ベネッセは政界といかにしてつながり、文科省との“蜜月”関係を築いていったのか。日刊ゲンダイが、天下り官僚の人数や、国会議員関係政治団体への献金、パーティー券購入の実態などについて問い合わせるとこう回答した。

「多くの誤解が含まれているため、個別の質問につきましては回答を差し控えさせていただきます。いただいた質問の中に書かれている内容について、問題となるようなことは一切行っておりません」(同社広報部)

 今後、ベネッセ幹部と大物政治家や有力者との「会食現場」などが明るみに出るかもしれない。受験生をメシの種にした代償はキッチリと払ってもらおう。



首相や維新の「好感度」なぜ質問…
奈良県政治調査に批判
 維新の府知事も「ある意味すごい」
2019年11月9日:毎日新聞

奈良県が実施した政治意識調査。政治家や大阪維新の会、大阪都構想への好感度を尋ねている

 奈良県が今秋、県内の有権者2000人を対象に初めて実施した「政治意識調査」に、安倍晋三首相や大阪維新の会への「好感度」や、過去の選挙での投票先など個人の政治思想・信条に深く関わる項目が多数含まれている。回答は無記名で、県は「選挙の投票率の向上や、地方自治の活性化」を実施の目的としているが、学識者からは「自治体が収集するデータとしてふさわしくない」との批判が上がっている。
 調査は県市町村振興課が企画し、政治や行政が専門の大学教授ら7人が質問項目を考えた。各市町村の選挙人名簿から無作為に抽出した県内の18歳以上の男女2000人に対し、10月16日から質問票を郵送し、今月8日までの返送を求めている。県は調査費用として約700万円を見込む。
 好感度を尋ねる質問では、安倍首相や荒井正吾知事らのほか、政党では唯一、大阪維新の会について100点満点で記入するように要請。今年4月の知事選や県議選、7月の参院選で誰に投票したかや、普段の支持政党も尋ねている。ほかに憲法改正▽消費税率引き上げ▽年金受給年齢の引き上げ▽大阪都構想――について賛否を問う項目もあった。

奈良県が実施した政治意識調査での質問項目。憲法改正や大阪都構想などについて賛否を尋ねている

 県は調査の狙いを「地域の特性を明らかにし、投票率の向上をはじめとした地方自治の活性化につなげる」と説明。回答者個人が特定できないように統計的に処理し、プライバシーに配慮していると主張する。ただ2013年に意識調査を実施した石川県では投票先や政治思想・信条に関わるものは尋ねていない。同県の担当者は「人口が少ない地域の場合、誰がどの候補者に投票したか分かってしまう可能性がある」と説明する。
 日本維新の会の佐藤光紀・奈良県議は「質問内容がふさわしいか県のチェックが全くできていない」と批判。大阪府の吉村洋文知事(大阪維新の会代表代行)もツイッターに、「この意識調査を県の税金で県主催でやるってある意味すごい」と書き込んだ。
 埼玉大社会調査研究センター長の松本正生教授(政治意識論)は調査について「政府が自前で内閣支持率を調査しているようなもの。自治体の調査としては極めて異例」とし、「無記名とはいえ、住んでいる地域や年齢、思想・信条がひも付けられたデータを自治体が握ってしまうのは問題がある」と指摘している。【加藤佑輔】



熱血!与良政談
「身の丈」で知らされたこと=与良正男
2019年11月6日:毎日新聞

衆院文部科学委員会の冒頭、大学入学共通テストで導入される
英語民間試験に関する自身の発言について陳謝する萩生田光一文部科学相
=国会内で2019年10月30日午前9時、川田雅浩撮影

 萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言がもたらした一種の効果ではあるだろう。来年度から始まる大学入学共通テストで予定されていた英語民間検定試験の導入が先週、土壇場で延期となった。
 延期、いや白紙化は当然だ。
 「裕福な家庭の子が回数を受けウオーミングアップできる」と大臣自ら認める試験を国がごり押しするのは根本的に間違っている。
 しかしここで認識すべきは延期は決して受験生のためではなく、政権を守るためだったことだ。
 民間試験の検討が始まった当初から「家庭の収入や住んでいる地域で著しい格差を生む」と私たちは散々問題点を指摘していた。にもかかわらず文科省は一切聞く耳を持たなかった。
 ところが萩生田氏の発言で問題点や試験の本質が一気にクローズアップされ、野党は萩生田氏の進退を追及する状況になっていた。
 安倍晋三内閣では2週続けて閣僚が辞任した。「任命責任」を口にしさえすれば済むと高をくくってきた首相も、側近中の側近である萩生田氏が辞任すれば自分への打撃は大きいと考えただろう。
 首相周辺からは「萩生田氏を守るために試験見直しを野党に差し出した」と露骨な声が聞こえる。今の政権は首相のためならどんな力業でもするのだ。
 もちろん、だからと言ってこれで決着というわけにはいかない。
 「子どもは社会で育てる」を掲げた旧民主党政権の流れを安倍政権も(渋々と?)踏襲し、教育無償化等々に取り組んでいる。だが従来、「教育は家庭の責任」というのが自民党の主流であり、今もそう考えている議員は多い。身の丈発言は、そんな「格差は仕方がない」という本音が端なくも出てしまったのだと私は思う。
 第2次政権後、下村博文氏ら文科相の大半が首相に近い人である点にも注目したい。
 英会話力の向上に異論はない。ただし英語だけでなく今の政権が求めているのは要するに実用。企業の即戦力となり生産性を高めて国力向上に貢献できる人材だ。そもそもそれが教育なのか。
 もう一つ知るべき話がある。当事者の現役高校生が集会などで反対の声を上げたことだ。「私たちは実験台か」と叫ぶだけでなく、批判は理路整然としていて状況を動かす大きな要因となった。
 あきらめずに声を出せば政治は変わるのだ。(専門編集委員)

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