脆弱化している、日本

「100年に一度」という災害が、毎週のように日本列島を襲った。気候変動による気象災害の激甚化が現実のものとなっている。すでに、「想定外」は「想定内」となっている現実が存在している。
自然災害は、人的、社会的な不備や不作為によって2、3次的被害をもたらしている。
台風15号による千葉県の被災が証明した、国土脆弱化の課題は、今後も大きな“宿題”だ。


気候変動による激甚災害
2019年11月1日:地理教育研究会会報

2019年9月9日、台風15号(ファクサイ)は東京湾を北上して、千葉市・幕張近辺に上陸して鹿島灘へ抜けていった。この台風被害は10日朝には「成田空港、陸の孤島化」と報道され、成田空港への交通途絶が大きく報じられた。
9日未明、ボクの住む千葉市では風速57・5㍍を記録した。風速60㍍近い強風は、ほぼ竜巻と同じで、この強風が千葉県南部を中心に大きな被害をもたらした。
被害の中心は、電柱の倒壊や電線に倒れ掛かった樹木による停電と強風による建物被害だった。そして、停電による二次被害として断水や通電後の火災発生など、被害は時間を経るにして、拡大していった。
当初、東電は「9月11日には、停電復旧」としていたが、その後「復旧はおおむね2週間程度かかる」と見通しが大きく変わり、さらに「おおむね復旧するのは9月27日」となった。そのため、「3日なら耐えられる」と考えた被災者の対応は、大きく狂っていくこととなった。
また、市町村から千葉県、国へという被害状況の集約も通信途絶によって進まず、千葉県が被害状況を集約できない状況が長く続き、国の災害対策も後手に回って、人災の様相も呈した。
当初、菅義偉官房長官は台風による強風被害を「豪雨災害」と呼んでいたほどで、災害のリアルな認識の無いまま何日も過ぎていった。
ボクの住む、築60年の自宅は強風に耐え、運よく停電、断水、通信途絶もなかったが、同じ町内に住む義兄の家の屋根は吹き飛び、近所のコンビニは3日間停電し、その前の信号も止まっていた。
千葉県内でも被災格差が大きく、被災後の対応にも大きな差がある。
近くにある千葉大附属病院や千葉市立青葉病院には千葉県南部から被災した病院から玉突き的に患者さんが送られてきて、9月13日ころにはベッドも不足する状況となった。
この原稿を書いている9月15日現在、まだ、発災状況が続いていて、完全復旧のめどは立っていない。
今回の台風被害は、この国土の脆弱性を明らかにした。千葉県は首都圏にあって、農林水産業の盛んな県である。この農畜酪農業・水産業・林業が大きな打撃を受けた。台風による被害とともに、その後の停電、断水による被害が大きかった。また、強風による家屋損壊は住む場所を住民から奪い、特に高齢化が進んだ地域では壊滅的な状況をもたらした。屋根が飛ばされた家屋はその後の雨でさらにダメージを受け、住めなくなった。高齢者は被害の対応もままならず、被災によるがれきやごみの片付けもボランティアなどに頼らざるを得ない状況が生まれた。
被害は個々に多様で、衣食住、インフラが被害を受け復旧は遅々として進んでいない。

上記記述は、9月15日に書いた、第一稿だ。現在、10月1日だが、読み直してみても、台風15号の被災の流れについては、ほぼ間違っていない。

被災後、9月23日に国連気候行動サミットで、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんが、大人たちに強烈なカウンターを浴びせた。「将来世代の目はあなた方を見ている。もし我々を失望させる道を選べば、絶対に許さない」と各国政府代表に訴えた。気候変動で世界各地で異常高温、豪雨、干ばつなど、極端な気象現象が多発している。日本近海に海水の高温域が広がり、台風はエネルギーを得ながら、日本に近づいてくるようになった。北極は温暖化し、海水も表面だけでなく、水深500㍍ほどの深いところまでも水温が上昇しているという。今回の台風15号の被害は、地球環境変動の一つのあらわれでしかない。豪風、強風、降水量不足、夏の高温、冬の温暖化など、日本列島を特徴づけてきた「四季の変化」そのものが大きく変わり、失われる可能性もある。温帯湿潤気候の日本が、亜熱帯気候(温帯夏雨気候)的になっていることは、最近、肌で感じる。40年前、教員になったころ、夏に30℃を超える日は数日から10日程度であった。その後、教室に温度計を持ち込んで測ると、7月に入ると35℃を超える日が何日も出現するようになった。25年ほど前、県教委交渉で「教室の気温が35℃を超えることもしばしばある、これは労働安全衛生法違反だ、クーラー設置義務が県にはある」と要求すると、「チッ!」という舌打ちと共に「カネがねえんだよ!」という声が聞こえてきた。その後、「熱中症」という言葉も広がり、熱中症で救急搬送されたり、命を落とす子どもも出てきて、やっとクーラー設置が全国的に進み始めたのが2018年からか…。

今回の台風15号の被害はさまざま要因が複合した「自然災害+人災」で、「国土強靭化」を言う政府とは裏腹に、国土の脆弱性が明らかになった事例の一つとして深刻に受け止める必要がある。防災教育では「自助・共助・公助」というが、今回の千葉県の被害を見ると「公助」の不存在が目立った。森田健作こと鈴木栄治千葉県知事の対応の悪さと内閣改造にうつつを抜かした安倍晋三首相の責任は大きい。



台風15号 千葉県議会が森田知事の
初動対応を追及 公用車運行に疑問
2019年10月7日:毎日新聞

千葉県内の台風被害に対する政府への要望を安倍晋三首相に伝えた後、
記者団の質問に答える森田健作知事=首相官邸で2019年9月18日、川田雅浩撮影

 千葉県内に甚大な被害をもたらした台風15号への同県の対応を巡り、県議会総務防災委員会などで7日、初動の遅れを批判する声が県議から相次いだ。台風が通過した9月9日、当時の気象状況が基準に達していたにもかかわらず「災害警戒体制」に入らず、災害対策本部設置の前段階の「応急対策本部」も設置しなかったことが新たに判明した。さらに知事公用車の記録が不自然だと疑問視する声も上がっている。
 県の初動対応では、森田健作知事が9日に県庁に登庁せず、10日午前に災害対策本部を設置したことがこれまでも批判されている。
 県によると、「暴風域に入ることが見込まれて知事が必要と認めたとき」などに災害警戒体制を取り、「気象庁が大雨や暴風などで警報を発表したとき」などに応急対策本部を設置する基準がある。
 ところが、8日午後に県内に暴風警報が出され、進路図でも県内が暴風域に入ると予想されたのに県は対応を取らなかった。岡本和貴防災危機管理部長は委員会で「もう少し早い段階で判断し、知事に進言すべきだった」と釈明した。
 一方、10日の知事公用車の運行についても疑問の声が上がった。これまでの県の説明では、知事は10日午前、千葉市内で道路建設関連の会合に参加し、午後2時45分まで庁内で協議していた。だが網中(あみなか)肇県議(立憲民主党)は委員会で、10日の公用車の走行距離が109キロに上っていると指摘。県秘書課は「知事は被災地を私的に見たいと考え、指示を受けた場所に知事を公用車で送り届け、自分が用意した車に乗り換えて視察した」と答弁した。
 知事の初の被災地視察は14日とされていたが、同課はこの日の取材に「知事は(10日に同県)富里市方面を回っていた」と説明を変えた。知事に詳しい説明を求めたが、今月7日午後8時までに回答は届いていない。【町野幸】



台風15号 成田空港1.4万人足止め
2019年9月10日:東京新聞

ゴルフ練習場のネットが倒れて支柱が住宅を直撃した=9日、千葉県市原市で、本社ヘリ「あさづる」から

 最強クラスの台風15号が直撃した首都圏では九日午後も、成田空港が一時「陸の孤島」になり、旅行客でごった返すなど、交通の乱れが続いた。台風は送電の鉄塔をなぎ倒し、停電も続く。けが人は各地で相次いだ。 (小沢伸介、山口登史、丸山将吾、太田理英子)
 成田空港には、台風が通過した午前九時以降、飛行機が続々と到着。だが、周辺の鉄道やバスが運休したため、孤立状態に。成田国際空港会社(NAA)によると、午後十時半時点で約一万四千人が足止めされた。


森田健作千葉県知事
台風被害の最中に「公用車で別荘」疑惑が浮上
2019年11月6日:「週刊文春」編集部

 相次ぐ台風によって甚大な被害が出ている千葉県。過去最強クラスの台風15号が猛威をふるっていた9月10日、森田健作知事(69)が被害対策にあたらず、県北東部の芝山町にある自身の別荘に公用車で訪れていた疑惑が浮上した。
 前日の9日未明、台風15号は千葉県を直撃。深刻な被害が明らかになる中、9日は平日にもかかわらず、登庁せず知事公舎で「情報収集」にあたっていた森田知事。翌10日、県庁ではようやく午前9時過ぎに災害対策本部が設置されたが、午後3時前、森田氏は公用車に乗り込み、県庁から姿を消した。
「県議会でも10日の公用車の走行記録を疑問視する声が上がりました。県の秘書課の回答は『知事が被災地を私的に見たいと考え、指示を受けた場所に知事を送り届けた。コンビニで知事を降ろして県庁に戻り、知事は自分が用意した車で富里市方面を視察して回った』というものでした」(県政担当記者)
「週刊文春」取材班は、森田知事が視察したとされる富里市の全市議18人と市長に確認したが、回答を得られなかった2人を除き、誰も視察の事実を把握していなかった。
 一方、富里市の隣にある芝山町には、森田氏の別荘があるが、芝山町議は匿名を条件にこう証言した。
「近所の人が『10日は多分(知事が)帰って来ていたよ』と言っていた。知事が来ていると、SPみたいな人が家の前にいるからすぐに分かるという。10日もそれらしき人がいたから、知事も来ていたという話になっていた」
 さらに「週刊文春」取材班が、情報公開請求で公用車のETC記録や、運転手が記した「庁用自動車等運転日誌」を入手し、検証したところ、公用車がインターチェンジを通過した時間、走行距離などから、森田氏が公用車で別荘を訪れていた可能性が極めて高いことが読み取れた。
 11月3日、農水関係者との意見交換会に出席した森田氏を直撃した。
――9月10日は芝山町の自宅を見に行ったのでは。
「あのー、ずーっと、視察をしていました」
――どのあたりを?
「それはあの……」
 その後、質問に答えずエレベーターに乗り込んだ森田氏。意見交換会終了後にも再び森田氏を直撃したが、記者の呼びかけに応じることはなかった。
 公用車の経費は言うまでもなく血税であり、2016年には東京都の舛添要一前知事が同様の問題で追及を受けている。50万戸以上の停電や8万戸を超える断水世帯、さらに死者も出るなど台風被害が深刻化する中、森田知事が適切に被害対応にあたっていたのか。今後、森田氏の説明が求められることになりそうだ。
 11月7日(木)発売の「週刊文春」では、森田知事の「別荘通い」疑惑に加え、17年の県知事選における1100万円の使途不明金などの問題を5ページにわたって特集している。「 週刊文春デジタル 」では森田氏直撃の模様をおさめた《完全版》動画を公開中。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年11月14日号)



台風15号への対応について
2019年9月12日:知地定例記者会見

知事発言

はじめに、台風15号への対応について、申し上げます。
今週、台風15号が本県を直撃し、本県では、強風と大雨の影響により、多くの方がけがをされたほか、住宅被害や停電・断水、農林水産業にも甚大な損害を及ぼしました。まずは、被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。今回の台風では、特に大規模停電により、県内全域の拠点病院と、複数の水道事業者において水不足が懸念されたことから、一昨日、午前4時に自衛隊の派遣を要請いたしました。さらに、同日9時に、千葉県災害対策本部を設置し、復旧対策に力を挙げて取り組んでいるところでございます。特に東京電力には早期復旧を強く要請し、早期の停電解消の見通しが示されたものの、依然として大規模停電が継続しており、より一層の努力をお願いしたいと、そのように思っております。被災された県民の皆様は、本当につらい日々を過ごし、大変疲弊をしています。我々はこのような県民の皆様の苦境を受け止め、一刻も早くもとの生活を取り戻せるよう、力を尽くさなければなりません。そこで、昨日の災害対策本部会議では、東京電力に対し、全力での早期復旧と県民への正確な情報提供を改めて要請すること、市町村と連携を一層密にして、県民生活への深刻な影響にあらゆる対策を実施すること、農林水産業において、被害が県内全域にわたること、また、被害額が極めて大きいことから、国に対して被災者支援を速やかに要望すること、市町村、消防機関、警察、自衛隊などと連携を密にし、出先機関も含め、全庁一丸となって対応することを、私から強く指示したところでございます。千葉県で被災された県民の皆様には、大変つらく、また苦しみを与えてしまった、受けてしまったことに対して、本当に大変申しわけなく思っております。特に東京電力に対して、先ほど申したような強い要請を行ったところ、今日、2,000人増員してくれまして、1万1,000人となりました。このように東京電力、それから、自衛隊、警察、消防等、大変に必死になって県民を思い働いてくれております。県といたしましても、県民の命を守り、そして、安全・安心を一日も早く回復するということを肝に命じてこれからも頑張ります。

質疑応答

記者
よろしくお願いします。今朝、東京電力が会見を開きまして、千葉市の千葉エリアは本日中の復旧、その他のエリアは13日以降の復旧になるということを会見で話されました。先日の災害対策本部会議で、県民への正確な情報提供をしてほしいと、一刻も早い復旧、その2つを要請されるとおっしゃいましたが、本日の会見は、例えば県民の思いとかにどれほど応えたものだとお思いでしょうか。
知事
私たちの強い要請と、国からも強い要請があったと思います。だから、今日現場で2,000人の増員をしたということは、より一層、東京電力が一日も早くこれを解決しなければならないという、その気持ちのあらわれかなと、私はそのように理解しております。
記者
あと、県として今、断水や停電が続いているエリアに優先的にどういう施策をしていきたいとお考えでしょうか。
知事
まず、水、電力、これは私たち命でございますから、まず各市町村からしっかりとした情報を得て、それに適宜対応していくことがもちろん大事でございます。ですから、自衛隊にお願いしたりとか、一日も早い回復、こういうことを国からもお願いしていただくということが大事だと思います。その辺の詳細の部分を。
職員
お世話になります。危機管理課でございます。よろしくお願いいたします。今、知事からお話しさせていただきましたように、やはり国からの御支援も得ながら、自衛隊、そして東京電力の復旧という、こちらを共同しながら取り組ませていただきたいと強く思っております。
知事
今日、お国のほうから防災担当大臣が来ていただきますし、改めてこの現状を御説明いたしたいと、そのように思っています。
下線部を訂正しました。
記者
最後にもう1つですけれども、災害発生から72時間で、このままだと命の危険が出てくる可能性が高まってきているのですが、今日で4日目で、県の被災地に対する支援が具体的に見えてこないと個人的には思っています。例えば、給水以外にも自衛隊にほかの支援を要請するとか、例えば携帯電話がつながらない人が多いので、例えば携帯ラジオの配布とか、あとは野菜がとれない人にビタミンのサプリメントの配布とか、県としてそういった具体的な即効性のある施策をするお考えとかは今のところどうなのでしょうか。
知事
記者さんね、やっぱりいろんなところでいろんな意見を聞いて、御報告してくださるということは私も大変うれしゅうございます。それと、県としても各市町村からの情報というのも大事です。千葉県というのは意外と広いんですよね。その中で的確にピンポイントにやっていくということも大事です。まず、何が大事かというと、水ですね。電力ですね。そうすると、電力においても、この地区は映るんだけど、この地区はだめだというのも出てくるんですね。そういうことも私たちは把握しなければならないし、それと食べ物、県の備蓄はどうなんだと。周りの市町村の要請があれば、すぐこっちも出せると。だから、やっぱり市町村によってはちょっと報告が遅れているところもありますので、県の職員を出そうと思っておりますから。ちょっとその辺を詳しく。
職員
危機管理課でございます。よろしくお願いします。県の支援でございますけれども、今、知事からお話しさせていただきましたように、やはり市町村から御要請のありました品々、水、そして食料、ブルーシート等々の備蓄でございます。こちらを千葉県の備蓄物資の中から拠出をさせていただくということがございます。それから、自衛隊にも給水の支援のみならず、昨晩、陸上自衛隊と県とで協議をいたしまして、今朝からは陸上自衛隊が送電線の復旧作業の支障となっている倒木の重機による除去作業というようなものにも着手をしていただいているというようなこともございます。また、携帯電話等々は、携帯キャリアさんが頑張っていただいているというようなこともございまして、こちらについても常日ごろからライフライン協議会というような形を千葉県のほうで持っておりましたので、そちらでも、いざというときにはこのような支援をいただけるという情報交換をしてきたところでございます。これからも千葉県、頑張ってまいりたいと思っております。
知事
やっぱり記者さん、今回は、よく聞かれるんですけども、想定以上のものが来ちゃったというところがあるんですね。ですから、私たち、今までの想定というものも考えていかなきゃいけないと。私は今回のこともしっかりと検証して、また次はそういうことが、もちろんあっちゃいけませんけれども、あったときにも対応できるようにやっていこうと思っています。何といってもまず水が大事です。だから私は自衛隊の皆さんに、まず給水車を頼むと。そして今、自衛隊の皆さんも、大体、もう水はオーケーになっていますと。そうしたら瓦れき、倒木だとか、そういうものがあるから、今、東京電力さんも一生懸命やっているから、その辺を頼むと、今そのようにお願いしているところでございます。
記者
私からは以上です。ありがとうございました。
記者
よろしくお願いいたします。私からも台風15号の被害を中心にお伺いしたいと思います。先ほど知事もおっしゃっていましたけれども、市町村によっては報告が遅れているので、そのあたりは県の職員を出していくという話があったと思うのですけれども、もう少し早く、プッシュ型支援というか、県から情報を収集し支援を行っていくということが必要ではなかったかと思うのですけれども、そのあたりについてはどうお考えでしょうか。
知事
そうですね。それは記者さんが見て、「もうちょっと、こうやったらよかったんじゃないか」というのは確かに、そう言われればやっぱり足らなかった部分もあるかもしれません。だから、これを私たち大きな反省材料としてやっていかなければならないと、そのように思っております。
記者
関連してですけれども、やはりその原因には、情報収集体制といいますか、情報収集がなかなかうまくできていなかった部分があると思いますけれども、そのあたりについてはどうお考えでしょうか。
知事
これはより一層、市町村のほうに支援します。はい、どうぞ。
職員
危機管理課でございます。情報収集でございますけれども、特に被害の状況につきまして、防災情報システムといいます県と各市町村をネットワークでつなぎましたシステムを用いまして報告をしていただくことになっております。ただ、今回はやはり電波の状況とか電力の関係ということで、なかなか、停電があったり水の不足ということで、市町村さんもお忙しいという状況がございました。そのような中で、被害の状況を御報告していただくタイミングがやはり遅れたところはあったということも言えるとは思います。私どもといたしまして、情報をしっかり収集させていただくよう、これからしっかり考えながらやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
知事
そうですね。やっぱりそういう体制をつくったときは、もうこれで大丈夫だろうと、欠陥があると思ってつくる人はいないと思うんですね。大丈夫だろうと思っても、今回のような想定を超えるものが出てきた場合において、あっ、これもだめだった、こんなところにも欠陥があったと、出てきたわけでございますから、これは記者さんおっしゃっているとおり、そういうこともしっかり私たちは押さえていかなきゃならない、これを反省の材料としなければならないと、そのように思っております。
記者
先ほどの質問にもありましたけれども、東電の停電の復旧がまだできていないということがありまして、一部では、東電の見通しが甘いというような指摘もあります。実際にこのことに関して、県は東電の見通しに少し引っ張られた上での対策となってしまったのかどうかということ、つまり、県としてここまで停電が長引くというような想定を持った上での危機管理体制というのはとれていたとお考えでしょうか。
知事
これね、非常に難しいんですよね。とりあえずは東京電力さんがおっしゃったこと、私ども、それ以上の知見を持っているわけでもないし、電力さんがこうだと言われれば、じゃあ、それを一日でも早くというお願いをするところしかないというのもまた事実でございます。はい、どうぞ。
職員
危機管理課でございます。やはり東京電力さんから「復旧の見込み」というような形で、ホームページ等々でも情報をアップしていただきました。それから記者会見もされたということで、その都度その都度、その情報を我々のほうとして分析し、それから聞き取りもしながら、そして県庁のほうに東京電力さんにも来ていただきながら、分析、そして対応を練ってきたところでございました。タイミングが遅れたということにつきましては、今後の反省とさせていただきたいと存じます。
記者
続いて、先ほど情報収集の話をしましたが、今度は情報発信についてお伺いします。現在、県は防災ポータルサイトをつくっていて、そこに情報が一元化されていると思います。例えば、ライフライン情報としてリンクは張ってあるのですが、断水をしている範囲だったり、給水所の情報を知りたいと思っても、クリックすると県営水道という県のページにリンクしてしまって、そこから必要な情報を得ることがなかなかできないような状況になっています。被災した市町村も各市のホームページ等で掲載はしているのですが、県としても情報を集約して、防災ポータルサイトでも伝えていく必要があると感じます。こうした点、どのようにお考えでしょうか。
知事
そうですね。いろいろな観点から私たちは対策をしていかなければならないと、そのように思っています。では、その辺は詳しく説明してください。
職員
危機管理課でございます。おっしゃられましたとおり、県からは防災ポータルサイトというホームページを活用しまして、県民の皆様に情報を提供させていただいているところでございます。その中では、本当におっしゃられましたとおり、ライフラインの状況につきまして、やはりリンク先に飛んでしまう。そして、JRさんにしましても東京電力さんにしましても、やはりトップページに飛んでしまうというところは実際にあります。私、担当としても探していくのに何回かクリックするというところもございますので、これはライフライン、インフラの事業者様ともよく協議しながら、相談しながら、どのような形が一番県民の方々に早く知りたい情報を知っていただけるのかということを研究してまいりたいと存じます。よろしくお願いします。
記者
関連して、ポータルサイトはあるのですけれども、その存在自体を知らないという県民もいると思います。県のホームページのトップページにはリンクが張られていますが。それで、千葉県はTwitterのアカウントがチーバくんのものはありますけれども、県庁の公式のアカウントというのは持っていないと思います。他県ではポータルサイトの運用とあわせて、Twitterで逐一情報を発信していくという仕組みをとっている県もありますが、今後、県としてTwitterですとかFacebookとか、SNSを活用しての災害情報の発信を強化するような考えはありますでしょうか。
知事
そうですね。やはり記者さんの言うとおりですよ。やはりそういう、あらゆるものを駆使して県民の皆様に伝えていかなければならないと思うんですよね。じゃあTwitterとかSNSでやれば十分かと思うと、それは変な話、「俺はそういうのはわからねえ」と言う人もいるわけですから、それはまさに皆さんの新聞だとか、ラジオだとか、テレビだとか、やらなければいけないですし、そういうこともしっかり県としても把握していかなければならないと、勉強していかなければならないと思うところでございます。どうぞ。
職員
危機管理課でございます。まずは防災部局といたしまして、今、知事からお話がありましたように、やはりSNSによります災害情報の御提供、発信ということ自体は非常に威力のあるものだというふうにも考えております。よくよく先進事例、先進他県の状況を研究しながら、できること、ともかく県民の皆様に知っていただけることということで、努力してまいりたいと考えております。
記者
最後にもう一問ですが、成田空港の問題についてです。台風が直撃した後に、9日の朝から成田空港が孤立状態になってしまって、JRも京成も動かなかったり、バスも動かなくて、本当に人があふれて陸の孤島のような状態になってしまいました。私も当日現場にいましたが、現場では状況に関してアナウンスが全くされていないという状況で、特に外国人観光客などは電車がとまっていることすら把握できなくて、どうしたらいいのだと途方に暮れてしまっている状態でした。来年はオリンピック・パラリンピックもあって、たくさんの人が成田空港を訪れる中で、こうした状況をまずどう受け止めていらっしゃるかということと、あと空港会社が管轄しているので、県としてできることというのは限られているかもしれないのですが、今後そうした対応の改善を要請していくようなお考えはあるかどうかということをお伺いしたく思います。
知事
どう受け止めているかということに関してですね、これは何とか改善しなければもちろんいけないことだと、そのように受け止めております。そして、それは空港会社のことだから難しいだろうというお話をされました。でも、これは記者さんが言ったように、これからオリンピック・パラリンピックを迎えるに当たって、難しいだけでは済まないわけですから、これは空港会社ともしっかりと、今回のときはこうだったけれども、これは二度とないようにこうしていこうじゃないかと、そういう協議は私はやっていくべきだと、そのように思っています。何か。どうぞ。
職員
危機管理課でございます。防災部局といたしましても、やはりオリンピック・パラリンピック大会を迎えますので、しっかりとおもてなし、そして安全をいただけるような取り組みをさせていただかなければいけないと考えております。外国語での情報発信というものも、防災ポータルサイトの多言語化という取り組みはしているのですが、今おっしゃられましたように、やはり防災ポータルサイトそのものが知られていないというような状況もあると考えております。ともかく、いろいろと工夫をして、考えて、対応を検討してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
知事
それとアナウンスがないというのは、どうしようもないですよね。これ、空港会社に私ははっきりと言おうと思うんですけれども、まず、その場にいる人たち、特に外国人の方も多いんですから、わかるようにアナウンスする、誘導するということは大事だと思います。この辺を、なぜそういうことができなかったのか、どうだったかということを、担当部局がその辺をしっかり空港担当者と話し合って、改善するように私は指示いたします。
記者
私からは以上です。ありがとうございます。
記者
2点お願いします。各機関、物資については大体3日間備蓄をしていこうというのが通例としてあるようなのですが、4日目ということでかなり物資不足というのが出てきているようです。県として、市町村のそういった物資の支援に対するニーズはどう把握しているのか、それに対してどう対応しているのか、というのをお尋ねしたい。
知事
もちろん、市町村のほうから現状の報告があり、そして、必要とあらばもちろん備蓄に対してしっかりとやっていくのは当然でございます。
職員
危機管理課でございます。今、御質問のありました物資です。やはり県全体で、さまざまな物資が足りないというお声を市町村から伺っております。千葉県のほうでも、私ども防災部局のほうに市町村さんの方からそのような情報を上げていただきまして、そして、私どもの備蓄品で間に合うというものであればそちらを供出させていただく。そして、それが足りないようなものであれば、国のほうにお願いをしてやっていくという考え方でございます。現在のところ、全市町村さんに状況を確認させていただいておりまして、特に、先ほども少し申し上げましたが、水、そして食料、これは備蓄品でいうとアルファ化米だとか、そのような形になるのですが、それからブルーシートの御要請がとても多いという状況でございます。
記者
後で、全体としてどの程度の要請が来ているのかを示してもらいたいと思います。
知事
要請はどのぐらい来ているかと。
職員
失礼いたしました。市町村さんからの御要請でございますけれども、ブルーシートは約20の自治体さんのほうから御要請があり、私どもの備蓄しておりますものの中から供出をさせていただいたところでございます。また、飲料水も、現在のところでございますが、7の自治体から御要望が具体的にありまして、私どものほうから、応急給水とは別にペットボトルでの供出という形で出させていただいたところでございます。また、食料につきましても、私どもの備蓄品でアルファ化米、それからクラッカーというものを持っているのですが、こちらは今のところは御連絡、聞き取りを、通信状況の悪い自治体様も含めてさせていただいているところでございまして、その中で御要望のありましたところに御提供をさせていただいているという状況でございます。
記者
では、2点目ですが、南房総市の鋸南町といったようなところは、電話が使えないという状況で、情報通信のやりとりすら非常に難しくなっているということなのだそうです。先ほど、知事は連絡を市町村と密にという話ですが、実際のところ、それができなという状況にあるわけですね。そういう中で、職員の派遣はまだされていなかったという話ですが、本来ならもうちょっと早く人を出して、状況把握に努めるべきだと私は思うんだけれども、職員派遣については、この時期まで何もしていないと。南房総では国の職員は来たけれども、県の職員はいないんだという話もあるようですが、そういった対応の遅れというのはどういうふうにお考えなのでしょうか。
知事
これ、私どもも市町村に対してこちらから要請し、いろいろと要請には応えているところでございます。だから、鋸南町に関しては、私どもとしては、しっかりとした、やらなければいけないというもとにおいて、ところが、通信網も含めてちょっとそういうことがあったのも事実でございますので、今の段階において、そういうことをしっかりつかんだものですから、まずは県の職員を送って、より裾野の情報をとろうと、また対応しようと、そういうことでございます。
記者
だから、県全体の現状を、例えば建物の損壊については、南房総のデータが全くなかったりしているわけですよね。こういったものは、いち早く全体状況を把握するという意味では、もっとできることがあったはずだと私は思いますが、それについてどうお考えかと聞いているんです。
知事
それはもちろん、全部正確に把握できればいいんでございますけれども、一生懸命、私たちもちろん努力はしております。でも、その中において、やっぱりわからなかった、連絡がなかった部分もあったことは事実でございますが、今回のそういうことをつかめなかったことを、しっかりと精査しながら次に生かしていくべきだと。はい、何ですか。どうぞ。
職員
危機管理課でございます。やはり被害状況というものを、先ほども少しお話し申し上げましたが、防災情報システムというものでご報告をいただくという形にルールとしてはなっております。その結果、昨日までのご発表をさせていただいた被害状況の取りまとめ結果では、やはり複数の市町村さんから、被害状況がゼロ件というふうな形に結果として取りまとめはなっております。これは、皆様も御案内の、現実とはかけ離れたという状況もございます。私ども、NTT電話が通じない今回のケース等々、防災電話を、防災行政無線を活用した電話でございますが、防災電話というものを活用しながら、市町村さんと連携をして情報を伺ってきたところでございますけれども、やはりおっしゃられますように、もっともっと物資の支援だとか、そういうことを聞き取りに行くだとか、そのようなことができたのではないかとも考えておりまして、ともかく、今後、といいましても今日以降、活かしていきたいと思っています。
記者
防災電話とおっしゃるけれども、1台とか2台しかないわけですよね。そういう中で、ほかの電話も全部つぶれているわけですから、こういう状況になるというのは、早い段階でわかったと思うのですけれども、やはりこの3日間、何も鋸南町や南房総に行っていないわけですよね。これは全体像を把握できないわけですから、もうちょっと早く反応できたと思うんだけど、どうなんですか。
知事
記者さんね、それはよくわかります。現場へ行って、こうだったろう、もうちょっとこうで、できたんじゃないかと、ああじゃないかと、よく分かります。でもね、やっぱり私ども、一義的には各市町村のそういう上がってくるものをしっかり精査しながら、まず、どれを一発目にやらなければいけない、こうしなきゃ、ああしなきゃいけない。そういうことを私どもも考えていかなければならないと、そう思います。でも、あなたがおっしゃったように、まだまだ目の届くところが少なかったわけですから、これからは各市町村とも連携を密にし、今、防災電話のことも含めてですね。何か不満ですか。
記者
ちょっと違うのは、システムとか電話が通じないところのほうが被害がひどいはずなんですよ。そういうところは、つまり防災何とかシステムというものを通じないと状況が把握できないということであれば、それがつながっているところのほうが、まだ被害が軽いということになるわけじゃないですか。むしろ来ないほうが状況として危ないと考えるべきなんじゃないのかということなんです。
職員
ご心配を本当におかけしております。防災情報システムというシステムですけれども、こちらも防災行政無線のシステムと全く同じではないのですが、複数の回線を利用しまして立ち上げをしております。防災情報システムがやられてしまいますと、おっしゃられますとおり、本当に情報が伝わってこないということになります。今回は、ちょっと伝わりにくいという状況が、防災情報システムのほうですが、なかなか立ち上がらないという状況はあったのですが、何とか機能はしていたような状況に実はございます。ただ、おっしゃられましたとおり、防災行政無線を利用した防災電話、これは台数も少ないですし、それから、防災情報システムのほうも、つながりにくくて、市町村さん、忙しい中で、ずっと端末の前にいるということはできないということは私どもも承知しておりますので、今後に向けまして、何ができるのか、先進事例もしっかり検討しながら、対処を考えてみたいと思っております。よろしくお願いします。
記者
よろしくお願いします。私からは、今回の災害の初動対応についてお聞きしたいのですが、東日本大震災の際は、災害発生から1時間半後に災害対策本部の第1回の会議を開いています。台風の場合は、いつが災害発生か見極めるのは難しいのは確かなのですけれども、月曜日の昼の段階では、被害が県内全域に及んでいること、台風被害としては未曽有のレベルであることは分かっていたと思います。もっと災害対策本部を早く立ち上げることはできなかったのか、その辺のお考えについてお聞かせください。
職員
危機管理課でございます。災害対策本部会議、月曜日の夕方というふうな形になりました。やはり私ども、日曜日、台風が来る前から詰めまして、情報の収集を図っていくという考え方で実際にやってきたところでございます。そして、日曜日の真夜中から月曜日の早朝にかけまして、暴風雨に見舞われたということでございました。こちらにつきまして、情報の収集をともかく図らなければいけないということで、県庁として図ってきたところでございまして、ある程度やはり情報の収集が把握できないと、というようなところがございまして、会議の開催ですね。――失礼いたしました。火曜日ですね。火曜日に災害対策本部会議を開催させていただいたところです。申しわけありません。それで、やはり災害の状況を把握するということがとても大切だというところから、会議の開催がこのような形になったというところでございまして、今後の検討をしていきたいと思っております。
記者
今回の災害は、津波や火災がなかったことを除けば、もう震災と同じような被害が出ているわけで、さっきの記者さんもおっしゃいましたけれども、情報が上がってこないということ自体が事態の深刻さを示しているわけで、そういった反省を踏まえて、今後、次あってはいけないですが、大規模災害があったときにどういうふうに今回の反省を生かしたいと知事はお考えでしょうか。
知事
はい。これは確かに、皆さんがおっしゃっているところはそのとおりなんですよ。もっと、毛細血管じゃありませんけれども、私たち隅々まで気を配り、目を配らなきゃいけないと。今回で大変私たち反省しなければいけないのは、そういう通信網を、これがだめな場合はこれだと、これがだめな場合はこれだと、そういうことを考えながら私たち手を打たなければならないと。今、いろいろな情報等、また反省点等、いろんなことが上がってきておりますので、これをしっかりと精査して、私たちこれからの備えにしたいなと、そのように思っております。
記者
私も台風15号関連で、前の質問にもありましたように、私も初動も含めて県の動きが見えないのと、ちょっと遅いんじゃないかと思っています。それについて改めて言うと、台風が9日の午前5時前に千葉市に上陸して、成田の方面を抜けて、夕方ぐらいには県内は少なくとも台風の風が吹いているとか、雨が降っている状態はもうなくなっていたと思うのですが、その段階で対策会議を立ち上げてもいいのかなと思いましたけれども、それができなかったというのは、知事としては何かお考えはあるのでしょうか。
知事
私はまず情報収集、それから、これは絶対これから頼ることが多いですから、お国との連絡、それがまず頭に浮かんでおりまして、また、そのようにしておりまして、そして、担当部局としてみれば、それだけの情報が集まった段階において開いたのかなと、そのように思っております。でも、それは記者さんがおっしゃったとおり、こういうものは一刻も早く開くことによって、県民の皆さんへのメッセージにもなるということもまた事実だと思いますので、これもしっかりと頭に入れたいと、そのように思っております。
記者
わかりました。それに関連してなのですけれども、対策本部会議もありましたけれども、知事が9日県庁のほうに来られて、そういったことを把握されて指揮とかをされたのは大体何時ごろなのでしょうか。というのも、当初の予定だから変わっているかもしれないのですが、当初の予定では9日知事はたしか県庁終日不在で、午前は東京都内、午後は千葉市内にいるというふうな形になっていたと思うのです。当然、この未曽有の事態だったので予定はキャンセルされているとは思うのですが、県庁に来てそういった形で指揮をとられたというのは何時ごろからなんでしょうか。
知事
それはもう一度ちょっと。じゃあ、後で書面にて。わかる?
職員
知事は、当日は公舎のほうでまず待機をいただきました。これは、風雨が強いということで、外に出ること自体が危険だということがございました。そのまま予定をキャンセルいたしまして、待機をし、そしてまず情報の把握ということで、災害の対策担当課のほうから上がってくる情報、これをまとまり次第知事のほうに報告を差し上げておりました。午前中に2回、お昼ごろまでに2回ございまして、大体午後2時ぐらいまでには被害の状況が知事のほうでだんだん把握できたというところから、その状況に対してまずどう対応を打つかということ。先に停電による断水等が発生してきたという状況もございまして、これに対しましては自衛隊の要請等に対する対応、これも同時に検討し始め、国のほうとの連絡ということもございまして、そういった中で総合的に判断をされて、知事のほうでは翌日の9時に災害対策本部設置というような形をとったという状況でございます。
記者
では、公舎のほうで職員の方が随時県庁と連絡は取っていたということでよろしいですか。
職員
左様でございます。
記者
わかりました。
記者
私も台風15号の関連ですけれども、今回、電力のバックアップ態勢が少し脆弱だったのではないかと思っておりまして、1日、2日であれば大丈夫であっても、自家発電機の燃料自体も不足してしまったりとか、そもそも自家発電機が社会福祉施設とかになくて、熱中症で具合が悪くなる方などもいらっしゃいましたし、電気がないとそもそも水も出せないような状態だったかと思います。今回は千葉県に被害が集中したので、自衛隊とかがすぐに千葉県に入ることができましたけれども、これが首都圏全体だとなかなか千葉に集中するということはできないと思うので、県のほうで自助努力というか、そういうところが必要になるのではないかと思うのですけれども、その点どのようにお考えでしょうか。
知事
それはおっしゃるとおりなので、僕は今回ほど、やはり電力というのは、私たちこれがないと全てが動かない、本当に命にかかわることだということを痛感したときはございませんでした。ですから、もう一度、今回の反省も含めて、次はもっとこういうふうに連絡網も含めてやっていったら、こういうことが防げたんじゃないかと、そういうこともしっかりと精査してまいりたいと。どうぞ。
職員
危機管理課でございます。電力のバックアップの御質問でございましたけれども、まずは私ども、東京電力さんに強く申し入れをしまして、発電車という車を配備していただけるようにということで、病院さんが必要かどうかというようなことや、避難所で必要なのかどうかというニーズのマッチング等々を進めるということをやってまいりました。それから、燃料の確保というのも非常に重要でございますので、災害協定を結んでいる石油商業組合さん、それから、資源エネルギー庁さんの協力も得ながら、そちらの情報提供を、病院等々につきまして関係部局と一緒にさせていただいたというところでございます。よろしくお願いします。
知事
いずれにしても記者さんのおっしゃるとおりなんですよ。だから、今回、そういうのをしっかり私たち頭に入れてやっていかなきゃならないと、そのように思っております。
記者
よろしくお願いいたします。私も台風関連の質問なのですけれども、昨日、長南町を取材していた際に、こちらの地域も現在も停電が続いているのですけれども、東京電力から公表されていた停電のエリア情報によりますと、たしか昨日までは全く停電が発生していないというような形での報告になっておりまして、これは睦沢町も同じだったのですけれども、これによって町に取材をしたところ、町民からの苦情もかなり多数あったということと、町の職員もこの情報が出たことによって、復旧の計画を立てるのにも遅れが出たり、あるいは支援を受ける立場としても支障が出たのではないかというようなお話もありました。こうした情報のミスマッチが発生してしまったということで、県がどのように把握していたかということと、実際にこの情報によって支援のあり方に何か支障が出たのかということを教えていただけますでしょうか。
職員
危機管理課でございます。やはり停電の状況につきましては、東京電力さんの発表、ホームページ等々を活用しながら、それから、東京電力のほうに連絡調整をしながらということで把握はしてきたつもりでございます。しかしながら、今のお話等々いただきましたので、精査をして、内容の確認をして、東京電力に正確な情報を早急に出していただけるようにということで、強く申し入れをしたいと思っております。
記者
何らかの支障が出たということはないですか。
職員
停電に伴いまして、浄水場で水が作れないというようなこと等々、連鎖的な影響が多々出たと思います。こちらにつきましては、やはり県庁の専門セクションがしっかり市町村から聞き取りをしまして、その把握をして、そして自衛隊や、県内の他の水道事業体からの給水車の支援等々を行うことができたというふうに考えているところでございます。
記者
できればそこも検証のほうをよろしくお願いします。私からは以上です。


福島・いわき現地ルポ
原発+台風 二十被災の苦悩
「この先どうしたら…」
2019年11月5日:東京新聞・こちら特報部

 東京電力福島第一原発事故後、福島県いわき市には避難指示区域から多くの避難者らが移り住んだ。先月の台風19号では同市内でも河川の決壊や氾濫が発生し、大雨で側溝もあふれた。原発事故後に川沿いに移り住んだ多くの避難者が再び被災した。途方に暮れる中、広域の水害でボランティアが足りず、孤立している高齢者もいる。二重被災の現場を歩いた。                  (片山夏子)

 停電の暗闇の中、室内の黒い泥水がみるみる高さを増していった。窓を見ると外の水の方が、室内の水位より20㌢ほど高い。窓のサッシの下から水がゴボゴボ入ってきていた―。
 台風19号が東日本を襲った先月12日午後8時過ぎ、いわき市好間町の好間川のそばに住む佐久間幸夫さん(65)が懐中電灯で外を照らすと、道路が冠水していた。「10分前には大丈夫だった。庭までは上がってこないと思ったのに、あっという間だった」
 引っ越して来た時、ハザードマップに浸水が50㌢と書かれていたため、家は道路よりかなり高い所に建てたが、水がどんどん入ってきた。88歳の母親をソファの肘置きに座らせたが、水は膝の高さに。午後10時すぎ、外を見ると近所の夫婦が胸まで泥水につかりながら避難していった。
 119番で救助要請をしたが、「2階に逃げてください」と言われ、救助は来なかった。家は平屋。「天井を破らなくては」と思った13日午前2時、水の上昇が止まった。
 家の修復の見積もりはこれからだが、近所の人は1500~2000万円掛かるという。車2台とトラックが水没し、家の隣に建てた音楽スタジオも床上浸水。地域を盛り上げるイベントのため、20代から集めてきた総額1000万円以上の音楽機材やカメラなどが泥だらけになった。
 佐久間さんが今の家に引っ越してきたのは2011年の原発事故後。事故当時は福島第一原発から6㌔の福島県大熊町に住み、同県楢葉町で介護施設を営んでいた。入所者の受け入れ先を探しながら避難したのは東日本大震災の翌朝。テレビで避難指示のテロップを見た直後だった。
 半年後、避難先の千葉県からいわき市にアパートを探しに来たが、避難者らでいっぱいだった。毎週不動産業者を巡り、疲れ果てた時に見つけたのが、今の場所だった。「ある所に入るしかなかったが、環境も良くて。最高にうれしかった」
 台風19号で氾濫した夏井川や好間川の周辺は田んぼだったが、原発事故後、いわき市の土地が高騰する中で分譲地として売り出されたという。「原発事故で避難してきて、川沿いに住んでいる人は多いですよ」。隣近所にも、避難指示が出た双葉郡からの避難者の家々がある。高齢夫婦の家は、ローンも組めないと途方に暮れている」
 原発事故の避難で家も仕事も失ったうえ、台風19号の大災害。「これも試練なのかね…。命があっただけよかったと思うしかない。でもせっかくここに落ち着いたのに」
 台風の後、駆け付けた音楽仲間らが家の泥を洗い流してくれた。それでも住める状態ではなく、佐久間さんは近くにアパートを借り、家の整理に通っている。「また台風や豪雨が来る可能性がある。でも引っ越すことはできないし。それに家を修理するといっても費用は多額。若い人ならローンが組めるけど。落ち込んでいてもしょうがない。でも、この先どうしたらいいのか」

川沿い避難先 浸水被害
高齢者多く 頼みはボランティア
「二重の苦難 公的救済を」

 原発事故後、いわき市は多くの避難民を受け入れ、現在も約20000人が住む。
 好間町に住む映像作家の松本淳さん(39)は、原発事故時は楢葉町の海沿いの家に家族と住んでいた。震災の時は津波で家に戻れないまま、原発事故でいわき市や神奈川県に避難。1カ月後に家を見に行くと、津波で土台しか残っていなかった。
 当時の勤務先近くに出た中古物件に引っ越したのが、2011年12月。「いわきは、少しでも故郷の近くに住みたいと、原発の避難者がたくさん移り住んでいた。空き物件はなかなか出なくて、引っ越した時はまさか川が氾濫するとは考えなかった」
 台風19号の時は、前日に家族と非難した。台風の翌朝、家に帰ると床上浸水で泥だらけになっていた。「1回津波で全て失っているから早く非難した。大雨や台風のたびに心配することを考えると、引っ越しも考えるが、子どもたちのこともあるから今すぐには…」
 松本さんの人生も大きく変わった。「原発事故さえなければと思う。でも、失って気付いた故郷の大切さや新たにできた人のつながりがある。事故があって広がったネットワークで、今回の台風でもボランティアが活躍している」
 いわき市の坂本雅彦さん(46)は原発事故後「いわきを応援するチームEN」を立ち上げた。これまで被災地ツアーなどをしてきたが、台風19号の後はフェイスブックなどで呼び掛けて人を集め、浸水した個人宅や施設でボランティアをする。
 「何とか住める状態にしてほしい」という高齢者からの依頼は多い。独居で助けがない家もある。水害で車を失い、罹災証明の手続きをするにも買い物に行くにも、移動手段がない家も多い。畳を外したり、床下に潜って泥をかき出したり、泥の入った大量の土のうを運ぶ作業などに延べ200人以上が参加した。
 「被害が広域でボランティアが全然足りない。でも原発事故後にできたつながりで他県からも駆け付けてくれたり、何度も来てくれる外国人も。自分もそうだが、事故後何かしたいと思って実際に動いてくれる人がたくさんいる」
 各地で被災者の救援をしてきた長岡技術科学大の松田曜子准教授(防災計画)は「昨年の西日本豪雨災害の時もそうだが、支援団体が安否確認や声掛けを始めるなど、災害で新しいつながりが生まれている。ボランティアの力は大きい。力仕事以外にも被災者の話を聞き、そばにいることも大切」と話す。
 また原発事故と台風の二重被災について「避難者の多い地域は孤立しがちでリスクが高い。2度の喪失で精神的なケアも必要。ただ人によって状況は違う。中長期的には、個別にカルテを作りケアしていくことが必要だ」と訴える。
 被災者支援に取り組む津久井進弁護士は、東日本大震災後、被災状況に合わせて柔軟に対応している自治体があると指摘する。「長野市は地区ごとに一括で全壊認定している。相模原市は住宅の敷地に流れ込んだ土砂をショベルカーを出して撤去した。被災者救助のために何をするか。行政が創意工夫すべきことは多い」
 今後も二重被災は増えるとし、中越地震に続く中越沖地震では半官半民の財団法人で復興基金を運営し、二重被災の人に二重の援助を行ったことをあげる。
 「原発事故だからといって排除せず、災害による苦難が二重だと考えた救済の仕組み作りが急務。被災者の個別事情に応じて、生活再建を個別に手助けする仕組みを、国全体で構築することが必要だ」

デスクメモ
 未曽有の大災害といわれた東日本大震災。中でも福島第一原発事故は、非常に長期間の避難を余儀なくされる原発事故の苛烈さを印象づけた。被害が回復しないうちに、重ねて災害に遭う人たちもいるだろう。原発政策を推進してきた国には、新たな救済策を講じる責任がある。         (本)

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