陳腐化する“日本”

昨日(10月24日)は、大雨で、1日自宅でいい子にしていた。昼頃には30㍉/1hほどの豪雨となり、床下浸水はしなかったが、狭い庭は水没した。ボクの流星号(車いす)は水深7㌢が限界なので、玄関前の水たまりを乗り越える能力はないと判断した。ボクの家は、標高20mの洪積台地上で、古くは千葉氏の館の大手門があったところの脇にある。うちよりも高いところは、ごくわずかで、もちろん川からはかなり離れている。大地の縁でもないので、土砂災害の危険性もまずない。台風15・19号の台風にも耐え、昨日の豪雨も凌ぐことができたのは、立地のおかげだ。
ヒマだったので、いろいろな記事を読んで過ごしたのだが、気分は重くなるばかりだった。この国の異常が日常化して、かなりおかしくなっているのに、国民は平然として、危機意識がない。
菅原経済産業大臣の公選法違反に対しても、国民の怒りが感じられない。妙に物分かりがイイようで、気分が重い。


品川区、労組の区立集会所使用に
名簿提出要求 違憲では
「結社の自由侵害」労組は提訴 区「使用料正しく徴収するため」
2019年10月19日:東京新聞・ニュースの追跡

 東京都品川区が定めた、区立集会所の使用を申請する際の「条件」が物議を醸している。利用する団体にメンバー全員の名前と住所、連絡先を記入した名簿の提出を求め、反発した労働組合が「憲法が保障する結社の自由などに反する」として提訴する事態に発展。原告の弁護士は「市民の活動、自由を脅かす危険な要素がある」と警鐘を鳴らしている。

 「なぜ、全員の個人情報を出さないといけないのか。区は普段、『地域の触れ合いが大事』と言うけど、市民監視で委縮を招く」。品川、目黒、港区などで働く人でつくる「東京南部労働者組合」(品川区)の安藤裕子さん(69)は憤る。
 品川区の集会所は原則、登録した団体のみが使用できる。以前は代表者2人の名前や住所などを書くだけで良かったのが、2015年10月に運用が変更され、利用するメンバー全員の情報が必要になった。
 安藤さんらはそれまで年に10回ほど、事務所から徒歩5分の大崎第一区民集会所で総会やシンポジウムを開いていた。運用変更後は、一駅離れた都の施設などを使っている。組合員の国分真一さん(70)は「行政が名簿提出を求めるのは、結社の自由だけでなく、労働者の団結権も侵害している。許せない」と批判する。
従来のやり方に戻すよういくら要望しても変わらず、組合は昨年12月、区を相手取り東京地裁に提訴。20万円の慰謝料を求めている。
 原告の代理人を務める山下幸夫弁護士は「誰がどの団体に属しているか分かれば、公権力は個人攻撃をしたり、切り崩して団体そのものをつぶしたりすることが可能になる。憲法にある集会、結社の自由と労働者の団結権は、名簿提出を義務付けられないことを保証していると解釈されている」と唱える。
 ではなぜ、区は全員の情報を求めるのか。川島淳成・地域活動課長は「主な理由は使用料を正しく徴収するため、区民と区外在住者の数を把握する必要がある」と説明する。メンバーの半数以上が区民だと使用料を減額する制度があり、過去にたびたび不正があったという。
 これに対し山下氏は「意図的かどうかは別として、規制になっている。特に警戒すべきは、その手法だ」と危機感を募らせる。最高裁の判例もあり、規約などに反していなければ、自治体は住民が集会を開くために公共施設を使うのを拒否できない。ところが、品川区のように前段階の手続きを厳しくして申請しにくくすると、結果的に利用を制限できてしまう。
 企画展「表現の不自由展・その後」が中止となり、文化庁が補助金を交付しないとした国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」も構図は同じ。不交付の理由が展示作品の内容では、憲法が禁じる「検閲」になって認められない。それを、「トラブルを招く事情があるのに申請書に書かなかった」と手続き上の不備を問題にし、検閲と同じ効果を生じさせた。
 山下氏は「これらは権力側にとって最近のトレンド。『手続き』の部分で、市民を管理していく。巧妙で気付きにくいが社会の自由がどんどん狭められる」と訴えた。
進む「勝者総取り」社会
 競争が足りないアメリカ
2019年10月22日:朝日新聞・経世彩民

 ニューヨークの自宅で契約するインターネット代が高すぎるという話を昨年、朝日新聞デジタルの別のコラムで書いた。「ケーブルテレビと電話もまとめて月99・99ドル」というプランを申し込んだのだが、しばらくして届いた請求書は月額160ドル超。事前になんの説明もない追加料金が17項目乗っかっていた。さらに翌年は月額料金が200ドルを超えてしまったという「私憤」をもとに、米国の競争政策について考えた。
 この話には後日談がある。今年はなんと月額265ドルへと値上がりしたのだ。日本円にして約2万9千円。こんな横暴がまかり通るのは、私の住むビルへのネット接続会社が一つしかないからだ。私にはなすすべもない。
 ところが最近、競争相手が現れた。「ネットだけなら月50ドルです」。スタートアップ企業が、ビルの1階でクッキーを配りながら加入を呼びかけていた。すぐに乗り換えた。ネット経由のテレビサービス分を合わせても月80ドルほどで済むようになった。

アメリカは競争社会、なのか

 アメリカは厳しい競争社会――。私たちはそんなイメージを抱きがちだが、半分正しくて、半分間違っている。
 たしかに無数のプレーヤーがいる飲食店や小売店は、勝者と敗者がめまぐるしく入れ替わる。かつてニューヨークの食とファッションをそれぞれ象徴した「ディーン&デルーカ」も「バーニーズ・ニューヨーク」も、今や存続の危機にある。一方で、それに代わる新たなビジネスが興るダイナミズムも、この街では日々感じる。
 だが、もう少し目をこらすと全く別の景色が見えてくる。航空会社、携帯電話、医療保険。ネット接続業者に限らず、いくつもの産業で合併・買収(M&A)が進み、一握りのプレーヤーしかいなくなっているのだ。「勝者総取り」が進んだ業界では、たいていサービスが悪いくせに値段は高い。
 寡占市場でいったん地位を確立してしまえば、投資はそこそこで済むから、イノベーションが生まれない。働き手に対する企業の立場が強まるので、賃金は上がらない。キャッシュをため込んだ企業はM&Aに走り、寡占がさらに強まる。株価が上がって株主と経営者は得をするが、割を食うのは消費者と労働者、つまり普通の生活者である。

「番人」はいるものの…

 寡占が行きすぎないよう見張る番人が、いるにはいる。反トラスト法(独占禁止法)を所管する司法省だ。しかし、消費者の利益のために動いているのか、どうも心もとない。
 通信会社のAT&Tが映画やテレビ局を持つタイム・ワーナーを買収しようとした2年前、司法省は珍しくこれを阻止する訴訟を起こした。しかしこれは、ワーナー傘下にトランプ大統領が忌み嫌うCNNがあったことによる、個人的な嫌がらせだった疑いが濃くなっている。
 米誌ニューヨーカーが今春、衝撃的な記事をさらりと載せていた。それによると司法省が提訴に踏み切る数カ月前、トランプ氏は当時のケリー大統領首席補佐官らを呼び、「この取引を阻止しろ。もう50回も言ったぞ」などとしつこく命じていたという。独裁国家のような無法ぶりである。

ホワイトハウスの関与はない、のか?

 厳しい環境規制を敷くカリフォルニア州は、トランプ政権の天敵だ。今夏、新たな排ガス基準で同州が自動車大手と合意したところ、司法省は「競争を妨げる恐れ」を名目に捜査に入った。この横やりを、一部メディアは「ホワイトハウスの関与はない」と報じたが、にわかに信じがたいのは私が疑い深すぎるせいだろうか。
 ソフトバンクグループ傘下の携帯電話会社スプリントと、同業のTモバイルUSが合併する計画で、司法省は7月、内部の法律家たちの慎重論を退けてゴーサインを出した。大手携帯会社が4社から3社に減る大型M&Aである。サービス低下や料金の高止まりを招かないか、承認に先立ち米議会が両社の見解を問いただす公聴会を取材した。
 そこで飛び出した共和党議員の発言が傑作だった。
 「(司法省の)専門家が過度な政治的圧力を受けないよう望む」
 合併を容認する立場からのコメントだったが、トランプ政権による司法省の「私物化」が疑われるさなか、悪い冗談としか思えなかった。
 アメリカには、もっと競争が必要だ。(ニューヨーク支局 江渕崇)


ラグビー場に旭日旗はいらない
DON’T SHOW THE FLAG
2019年10月23日:ニューズウィーク
旭日旗で間違ったメッセージが伝わる可能性もある
(2012年に埼玉で行われたサッカーワールドカップアジア最終予選の対イラク戦)

<ラグビーは品位と尊重を旨とするスポーツ。大成功のワールドカップ会場に、差別と結び付き得る旗は似合わない。ラグビーの未来と課題に焦点を当てた本誌「躍進のラグビー特集」より>

ラグビーワールドカップ日本大会で、これまで最もラグビーの精神を感じた瞬間は、アイルランド代表率いるジョー・シュミット監督が、日本に敗れた衝撃的な一戦の直後に語った言葉である。元教師という肩書を持つ名将は、最初の質問に答える前に「日本におめでとうと言いたい。素晴らしかった。本当にビッグチームだ」と、敵を手放しに称賛した。

アイルランドの歴史をひもとけば、伝統国かつ世界有数の強豪でありながら、ワールドカップでの戦績はベスト8止まりといつも物足りないものだった。そんな状況を打破すべく、ニュージーランドからシュミットを招聘し、世界ランキングを2位まで上げて今大会を迎えた。公式ガイドブックは「誰もが羨む層の厚さを誇る『グリーンマシーン』が、上位進出を逃すとしたら驚きだ」とまで書いている。
そんななかで敗戦してもなお、シュミットは勝者をたたえることから会見を始めた。現実を受け止め、誰かをおとしめることは絶対にしない。彼の行動はラグビー憲章に掲げられた5つの言葉──品位、情熱、結束、規律、尊重──を体現したものだ。具体化させる行動が伴わなければ、精神は容易に死文化する。
この精神は、観客席にも見受けられる。まずサッカーや野球のようにホームとアウェイで客席が分かれていない。日本-アイルランド戦が開かれた静岡のエコパスタジアムでも、緑の集団と赤と白のジャージを着た集団は入り交じって歓声を送っていた。良いプレーには応援チームに関係なく、試合が終われば勝者には惜しみなく、敗者にも感謝を込めて拍手を送るのがラグビーファン、世界共通のマナーである。
シュミットが激賞したように今大会、日本代表の活躍は目を見張るものがある。アイルランドだけでなく、伝統国かつ強豪国を意味する「ティア1」のスコットランドを28対21で破り、予選プール最終戦で初のベスト8進出を決めた。前半25分に堀江翔太、ジェームス・ムーア、ウィリアム・トゥポウと連続してオフロードパスをつなぎ、最後に稲垣啓太が鮮やかなトライを決めた瞬間のことだ。記者席で、隣のテーブルに座っていた外国メディアの男性記者が思わず立ち上がり、歓声とともに両手を高々と上げ拍手を送っていた。
別の試合だったが、会見で「今大会はオールブラックスより、ジャパンの試合を見たがっている人が多い」という記者の声もあった。結果だけでなく試合内容も、伝統国の目の肥えたメディアを魅了するものだった。

日本大会が成功した証左

スコットランド戦は、試合前日に直撃した台風19号の被害が拡大するなかでのゲームでもあった。開始前には時間とともに増え続ける被災者、被災地への黙禱がささげられた。会場の横浜国際総合競技場が敷地内にある新横浜公園は鶴見川流域の多目的遊水地であり、洪水被害を低減させる機能を担っている。何事もなかったかのように開かれた試合の裏側には、ボランティアを含め名前の出てこない関係者の尽力があった。これも多くの称賛を集めた。
日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフは試合当日、台風被害を選手たちに伝えたという。キャプテンのリーチマイケルが言うように「この試合は私たちだけのものじゃないと、選手たちは思っていた」のである。
今大会で日本代表は、誰もが描くことができない、想像以上のドラマの主役となった。日本中がラグビーに熱狂し、大会開始前の静寂が嘘のようなお祭り騒ぎが起きた。スコットランド戦のテレビ視聴率は瞬間最高で53.7%に達し、電車の中、飲食店、あるいは会社で人々がラグビーを話題に挙げる。これ自体は、紛れもなく日本開催が成功した証左と言えるだろう。

旭日旗が振られてきた「文脈」

成功と同時に、ラグビー憲章の精神に関わる課題が浮かび上がっていることも指摘しておく必要がある。複数の日本戦の観客席で目にした旭日旗だ。あらかじめ前提を整理しておくと、この大会で旭日旗の持ち込みは禁止されておらず、現状は試合会場で散見される程度で、大きく目立っても深刻な問題になってもいない。では、なぜ指摘するのか。それは、誤ったメッセージを発信しかねないと懸念するからだ。
まず、他のスポーツで旭日旗がどのような扱いになっているかを押さえておこう。2017年、アジア・チャンピオンズリーグに出場した川崎フロンターレは韓国チームの水原三星と対戦した際、サポーターが掲げた旭日旗をめぐりアジアサッカー連盟(AFC)から無観客試合、罰金などの処分を受けた。「旭日旗が差別的メッセージに当たる」というのが主な理由だった。
韓国のチームだから問題視した、AFCの中で韓国の声が大きいだけだという指摘は当たらない。フロンターレ側の「一部地域や相手の主張で、差別的と判断されるのは不当」という主張はAFCに退けられた。フロンターレはスイス・ローザンヌにあるスポーツ仲裁裁判所に訴えることもできたが、それは行わなかった。「判断が覆る可能性は低い」と判断したからだ。政治的な意図はない、という言い分は相手が韓国かどうかにかかわらず、スポーツの世界では国際的には通用しない。もう少し、補足しておこう。
旭日旗について、私の考えは政治学者の木村幹(神戸大学大学院教授)と近い。韓国政治を研究する木村は、朝日新聞のインタビューに「旗はシンボルであり、使う人の意図によって意味は変わる」と指摘している。フロンターレや、日本政府は旭日旗そのものに政治的意図はないと主張する。国内なら辛うじて、その理屈も通るだろう。
しかし、大事なのは文脈だ。今の日本でどういうときに旭日旗が振られているかが重要だと木村は言う。私も取材で目にしたことがあるが、大々的に振られているのは、ヘイトスピーチ団体の反韓・嫌韓デモの現場だ。「韓国は敵」「殺せ」というデモの中で、存在感を発揮してきたのが旭日旗である。「こうした事実は今では海外でもよく知られているので、たとえ、その意思がなくても、旭日旗を振ることで間違ったメッセージを送ってしまう可能性は常にあります」(前掲、木村インタビュー)
文脈がある旗をわざわざ持ち込んで、振る必然性はどこにもない。ラグビーワールドカップで旭日旗の持ち込みが禁止されていないのは、持ち込んでもよいという意味ではなく、これまで問題にならなかったからだ。
冒頭にも述べたように、ラグビーには選手と観客に共有されている一定のマナーがある。サッカーが会場内で差別的な行動が起きた場合、過去の処分を踏まえて積極的に制裁を科すとするならば、ラグビーは「言われなくても、差別的な行動はやらないのが当然」という前提に立ち、観客に自主コントロールを求めていると解釈してもいい。
これはどちらが優れているか、という問題ではなく、そもそも代表とは何かという定義に起因している。ラグビーは他の多くのスポーツが採用する国籍主義でなく、他国出身者も一定の条件をクリアすれば代表に選出できる所属協会主義を採用している。多様なルーツを持つチームが集まる場に、間違ったメッセージを伝える旗を会場に持ち込むこと自体が想定されていなかった、と言ってもいい。
旭日旗について書くと、日本の右派から必ず出てくるのが「旭日旗は訪日観光客に広がっている」「外国人のサポーターも旭日旗デザインのグッズを身に着けている」からそちらを批判せよという主張だ。これは半分は当たっている。持ち込みに気が付いた観客がもっと指摘してもいいだろう。もっとも無知ゆえ、あるいは単なるデザインとして旭日旗を愛好する外国人観光客の存在が、旭日旗を持ち込んで間違ったメッセージを送ることを正当化する理由にはならないのは言うまでもない。
これまでのラグビーの歴史で、不毛な差別が全くなかったかといえば、そんなことはない。ラグビーが掲げる高い精神性とは矛盾する歴史も抱えてきた。日本が準々決勝で対戦した南アフリカの黒人たちにとって、白人しか選ばれない時代が長く続いた代表チーム「スプリングボクス」はアパルトヘイト(人種隔離政策)の象徴だった。
それを変えたのはネルソン・マンデラだ。差別と戦い、初の黒人大統領となった彼はスプリングボクスのジャージをまとい、95年のワールドカップ決勝に登場した。このときのスローガンは「ワンチーム・ワンカントリー」だった。それから24年──。今大会の南アフリカは、初の黒人主将シヤ・コリシが牽引する。貧しい環境に育ったコリシは、南アフリカの子供たちにとって自らが手本とならねばならないこと、その「責任をいつも忘れずにいる」(公式ガイドブック)と語っている。
楕円球には大英帝国による植民地支配や差別といった複雑な歴史が付いて回る。だが同時に、負の歴史を乗り越えようとしてきた事実も引き継がれている。ラグビーの精神も時代に合わせてアップデートされ、今があるのだ。先人たちがつないだパスは19年の日本に届き、代表チームは新しい歴史を切り開こうとしている。そんな時代に、現代の差別と結び付き得る旭日旗はラグビー会場にふさわしくない。


ユニクロ・コリア、
「慰安婦冒涜疑惑」の広告の送出を中止
2019年10月21日:ハンギョレ新聞

「政治的な関連関係はないが、
不快感を覚えたという意見を受け入れて送出中止を決定」
ユニクロ広告よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ユニクロ・コリアが「慰安婦冒涜」疑惑が持ち上がっている新しい広告の放送を中止することにした。
 ユニクロ・コリアは20日「該当広告はフリース25周年を記念するグローバルシリーズ広告で、いかなる政治的または宗教的事案、信念及び団体となんの関係もないが、多くの方が不快感を覚えた部分を重く受け止め、(議論になった)当日から直ちに当該広告(の送出)の中止を決定した」としたうえで、「19日からデジタルを含むほとんどのプラットフォームで広告を中止し、一部の放送局は事情によって、月曜日から(放映が)中止される」と述べた。
 ユニクロが最近公開した広告映像には90代のおばあさんが10代の少女から「私の年齢の時はどんな格好をしてたの?」という質問を受けて、「そんな昔のことは忘れたわ(I can't remember that far back)」と答える場面が含まれている。韓国語の字幕では「オーマイガー、80年以上も前のことを憶えているかって?」に意訳されたことから、一部では、ユニクロが80年前の1939年、日帝強占期(日本の植民地時代)の慰安婦関連の問題提起を嘲笑っているのではないかという批判の声があがった。
 ユニクロ・コリアは18日、「現役で活動している98歳アイリス・アプフェルと13歳のファッションデザイナーのケリス・ロジャースをモデルに起用し、こんなに年の差が大きい二人が共にフリースが楽しめるという点を、(広告を)観ていただいている方がすぐ理解できるよう、韓国では2人の年齢差を字幕に入れた」とし、「ユニクロは世界中どこでも、政治的または宗教的事案、信念や団体といかなる関係もない」と説明した。
シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/913854.html


「苦痛は永遠に忘れられない」
ユニクロCM問題、パロディー動画まで登場
2019年10月21日:朝鮮日報

【チョソン・ドットコム】「慰安婦嘲弄(ちょうろう)CM」論争に巻き込まれたユニクロが問題になったCMの放送を取り止める中、パロディー映像がアップロードされ、わずか三日で再生数およそ9万回を記録するなど話題になっている。パロディー映像には、日帝強占期勤労挺身隊の実際の被害者だったヤン・グムドクさん(90)が出演し、ユニクロと日本政府を批判した。
 今月19日に全南大学史学科4年生のユン・ドンヒョンさん(24)が動画サイト「ユーチューブ」にアップした20秒の動画で、ヤンさんは日本語で「忘れられない」と書かれたボードを持っている。横に立っているユンさんが「僕くらいの年齢のとき、おばあさんは大変でしたか」と尋ねると、ヤンさんは「あのひどい苦痛は永遠に忘れられない」と答えた。またヤンさんは「私は思い起こさせてあげるのが好き。誰かのように簡単には忘れない」と語った。
 これは、10代の女性が「私くらいの年齢のとき、どんな服を着ていたの?」と尋ねると90歳のおばあさんが「80年も前のことを覚えているかって?」と答える、ユニクロのCMのパロディーだ。CMのおばあさんは「I can’t remember that far back(そんな昔のことは覚えていないよ)」と答えるのだが、ユニクロ側で字幕に「80年も前のこと」と特定して字幕処理を施し、慰安婦をからかう意図があるという批判が高まった。80年前の1939年は日帝強占期で、女性たちが慰安婦として強制動員されたり強制徴用の被害に遭ったりした時期だ。
 パロディー映像を作ったユンさんは、自分のブログに「易地思之(立場を変えて考えること)を通して相手の気持ちを理解することを望む」と、映像制作の意図を明かした。ユンさんは旭日旗とハーケンクロイツは同じだという内容のパフォーマンスを繰り広げるなど、歴史コンテンツ制作チーム「光希(光州の希望)」の活動を通し、歴史PR活動を行っている。


週のはじめに考える 陰謀論にだまされるな
2019年10月20日:東京新聞

 ベルリンの壁が崩壊し来月、三十年を迎えます。冷戦による東西対立がなくなり、平和が訪れると期待しましたが、世界は新たな分断に苦しんでいます。
 壁崩壊翌年の一九九〇年に東西ドイツが統一、さらに九一年末にはソ連が崩壊しました。東欧諸国も次々と自由主義化し、欧州連合(EU)や米欧の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)に加盟、世界は一枚岩になったかのようでした。しかし、そんな簡単な話ではありませんでした。
 ドイツのメルケル首相が六月から七月にかけ、来賓歓迎式典などの際、何度か、全身が震える症状に見舞われました。健康についての懸念が広がりましたが、しばらくしてネット上で、症状の“理由”が解き明かされました。

◆笑い話では済まない

 いわく、「メルケル氏は、トカゲのような姿の宇宙人に繰られている。だから人のためにならない政治をする。宇宙からコントロール用に送られている信号に支障が生じ、震えが出た」。
 一種の陰謀論です。難民への寛容政策を進めるメルケル氏への悪意に満ちていますが、荒唐無稽な笑い話だとすぐに分かります。
 しかし、笑い話では済まない、深刻な結末をもたらした陰謀論も相次いでいます。
 今年三月、ニュージーランド・クライストチャーチのモスクで五十一人を射殺した犯人はネット上に投稿した声明で移民を「侵略者」と呼び、「白人が非白人に意図的に置き換えられている」などと犯行の動機を説明しました。
 八月、米テキサス州エルパソで銃を乱射し、二十二人を死亡させた犯人も声明で、町の人口の八割を占めるヒスパニック系住民による「侵略への対処だ」と述べていました。
 いずれも具体的な根拠はなく、憎悪(ヘイト)と不安に根差しています。

◆ナチスによる悪用

 かつて、こうした陰謀論を駆使したのがナチスでした。科学的な裏付けのない人種主義に基づいてユダヤ人を「劣等」と断じ、世界支配をもくろんでいるなどとして、絶滅を図りました。
 ソ連に侵攻した独ソ戦は、ナチスによる「世界観戦争」の一面ももっていました。敵とみなしたソ連を絶滅させ、東方にドイツ人の新たな生存圏を確保するというものでした。住民らを大量殺害、捕虜らを虐待しました。独ソ戦でのソ連側死者は約二千七百万人に上ったともいいます(大木毅氏「独ソ戦」、岩波新書)。
 ドイツが共産主義に乗っ取られるという陰謀論で脅威をあおり、先手を打った形です。
 ナチスを繰り返すまいとしてきた戦後ドイツでも、極右らが「欧州の『先住民』であるわれわれを、イスラム教徒や有色人種に入れ替えようと、移民や難民が送り込まれてくる」などと主張するようになりました。
 特に、旧東独地域で声高です。「西洋のイスラム化に反対する」と主張する団体「ペギーダ」が五年ほど前からデモを繰り広げ、欧州各地で相次いだイスラム過激派によるテロで勢いづきました。
 勢いは右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」で政治的に結集されました。二年前の連邦議会(下院)選挙で第三党に躍進。先月の旧東独地域二つの州議会選では第二党になりました。
 今月九日には、反ユダヤ主義者の男(27)が、ハレ市のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)付近で銃を乱射、二人が亡くなりました。
 賃金など旧西独地域との経済格差や、既成政治への不満が強まっている背景もあるのでしょう。統一のひずみは今なお、払拭(ふっしょく)されていません。
 今年六月には、比較的、寛容なはずの旧西独地域でも難民保護に関わってきた政治家が極右に射殺され、衝撃が広がりました。
 政治家のプライバシーや政治家へのヘイトはSNSで拡散されていました。ネット社会になって陰謀論はますます猛威を振るうようになっています。

◆ネットで内面に浸透

 ネットで個々人の内面にまで入り込む陰謀論による社会の分断は、国単位で対立していた冷戦時代とはまた違った、対処の難しさがあります。
 「トランプ米大統領は悪と戦う救世主」と主張するネット集団「QAnon(キューアノン)」など、大国の指導者周辺からも陰謀論が発信される時代です。
 正確な情報を見極めて、冷静に判断するしかありません。われわれメディアの役割も重要だと自覚しています。
 小さなうそや風評から、暴力にまでエスカレートしかねない陰謀論の「陰謀」に欺かれないよう、自戒したいものです。

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