“ガラパゴス化”している日本の教育

日本の教育は、世界的に見て異常だ。社会の異常や矛盾が、学校に集約されていると言っていい。
小・中・高校と活気のない教員の様子を見てきた子どもたちが、大学に入って、教職を目指さないのも当然だ。子どもたちは、日本の教育矛盾の当事者として、深く理解している。
神戸の教員いじめを大人たちは驚いているが、かつて存在した学校の文化が失われ、「教育」は学校から消滅して、「支配」が支配する場になっている。
個々の教員の、人間性を高める意欲も場もなく、社会と隔絶した学校で未熟な教員が子どもたちを「力」で支配する構図が全国に見られる。
神戸の小学校教員いじめを生む「構造」は決して異常ではないところに、この国の「異常」が存在する。
残念だ。


学校現場は今こうなっている
採用試験受験者数は減少
どんな人が「先生」を目指すのか
2019年10月17日:日刊ゲンダイ

 神戸市の公立小の先生同士によるいじめ事件と同様、教員による生徒・児童への暴力も後を絶たない。最近も鹿児島県の私立出水中央高校サッカー部の監督が、部員に殴る蹴るの暴行を加えている動画がネット上で拡散されている。先生の“質”は昔と比べて劣化しているのか。

 ◇  ◇  ◇

 抵抗できない生徒へのサッカー部監督による卑劣な暴力行為。言語道断の所業で懲戒もやむなしだが、最近はこのような事例があまりに多過ぎて慣れっこになってきている。教師が聖職者だった時代は遠い昔だが、教員のなり手不足は深刻。公立学校の教員採用試験の受験者数が減り続けている。

 2018年度採用の受験者総数は16万667人で、前年度より5401人の減少。新潟県の19年度採用の小学校教員の競争倍率は1・2倍に低下している。バブル期も一貫して受験者数は減少していたが、今も民間採用の活発化で当時と同水準にまで減少しているのだ。
では、今はどんな人が教員を目指すのか。地元志向の強い学生が地方の国立大に進学し、そのまま先生になるパターンを思い浮かべるが、18年度の受験者の内訳を見ると国立教員養成大学・学部はわずか15・5%。04年の23・4%から大きく減り、反対に増えているのが私立を含む一般大学・学部の71・0%(04年は60・2%)である。

 受験者の減少と教員の質の低下に歯止めをかけようと、福岡県や北九州市などは受験資格の年齢制限を撤廃、佐賀県は50歳未満へ緩和している。 昨年から年齢制限をなくした千葉県の採用担当者がこう言う。

「年齢制限の撤廃は、民間経験者ら広く優秀な人材を確保するため。大きな意味では、受験者数の減少も理由としてあります」

東大卒・京大卒なら平均年収は1000万円超

 東京都の調べでは、公立学校の教員で過労死ラインとされる月80時間を超える残業をしている割合は、中学校で48・5%、小学校で36・3%。それでいて年間給与は小中学校が約730万円(平均年齢40・5歳)、高校で約770万円(同45・2歳)と、さほどメリットはない。一般的に偏差値の高い大学の学生は民間の大手企業への就職を希望する傾向にあり、その結果、大都市では学校の先生より生徒の保護者の出身大学の方が高偏差値であるケースもある。

「ただし、私立の有名進学校の教員は、東京大学や京都大学出身者も珍しくありません。当然ながら待遇も良く、平均年収は1000万円を超えてきます」(大学通信ゼネラルマネジャー・安田賢治氏)

 東京大学(文学部)から教育関係に就職した人は、昨年は12人。開成高校の校長はもちろん東大出身で、同校の初任給も27万7480円と高い。
「無論、教員の優劣に偏差値は関係ありません。子供を“育てる”ことに大きな使命感を持っている先生を多く知っていますが、中には民間に就職できずに流れてくる人もいます」(安田賢治氏)

 教育の向上こそ国の礎だが。


神戸教諭いじめ
 児童同士も急増 影響うけた可能性
2019年10月17日:毎日新聞

 神戸市須磨区の市立東須磨小で男性教諭(25)が同僚教諭4人からいじめや暴行を受けた問題で、市教育委員会は17日、教諭間のいじめが始まった2018年度から同小の児童間のいじめも急増していたことを明らかにした。市教委が把握する児童間のいじめは17年度にゼロだったが、18年度は13件に増え、今年度は9月までの半年で16件に達した。市教委は、教諭間のいじめが影響した可能性が高いとみている。

 17日にあった市議会の委員会で、市教委の住谷照雄教育次長が明らかにした。神戸市全体での児童によるいじめも、17年度の4802件から18年度は5508件に増加したが、住谷次長は「職員の関係がぎくしゃくすると子どもの状態にも表れる。(影響を)分析したい」と述べた。

 市教委によると、加害者の4教諭のうち3人は今年度、東須磨小でいじめ対策の担当者だった。教諭間のいじめ問題が発覚して以降、児童4人が不登校になり、うち2人が現在も学校を休んでいる。学校側は、いじめの一環で激辛カレーを無理やり食べさせた現場の家庭科室を改修するなど、児童の心のケアに取り組む。【反橋希美、井上元宏】


教員間暴力
加害教員の懲戒処分、前倒し検討
 有給休暇扱いに「理解得られない」
2019年10月17日:神戸新聞

 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題で、長田淳・市教育長は17日、加害教員4人への懲戒処分について、市教育委員会に設置された調査委員会の最終報告が出ていない段階でも、事実認定をした範囲で前倒しして検討する方針を示した。臨時の市会文教こども委員会で言及した。

 調査委は同日、事実関係究明のため、弁護士3人で発足。久元喜造市長は同日の市総合教育会議で、調査結果を年内にも公表する意向を表明した。

 文教こども委では委員から、現在休んでいる加害教員が有給休暇の扱いになっていることを疑問視する声が出た。市教委によると、現行の制度では、処分を受けなければ給与や在職の時期に応じた手当が支給されるという。

 委員からの「(加害教員に)期末手当や退職金も出るのではないか」との指摘に対し、長田教育長は「(市民の)理解はなかなか得られない。懲戒処分をできるだけ早急に厳しく行っていくことが求められている」と強調。「今回の悪質な卑劣極まりない行為だけでも事実認定ができれば、前倒しで懲戒処分を行うことも十分念頭に置いて対応する」と述べた。(石沢菜々子)


いじめ最多 教師は子供守り抜く自覚を
2019年10月18日:読売新聞

 子供のいじめが後を絶たない。学校現場は深刻に受け止め、解消に取り組まねばならない。
 昨年度、全国の小中高校などで確認されたいじめは54万件に上り、前年度より約3割増えて、過去最多を更新した。心身を傷つけるといった重大ないじめは602件あった。
 調査をした文部科学省は「積極的な把握が進んだ結果だ」と評価しているが、いじめの把握は対策の出発点にすぎない。
 指導でいじめを解消できた割合は84%で、2年連続で低下している。適切な指導が行われるよう、文科省は教育委員会などを通じて現場に促してもらいたい。
 いじめは一見収まったように見えても、継続していることがある。いじめていた側の子が突然、いじめられる側に回ることも少なくない。日頃から、クラスの状況に目を配り、加害者にきちんと指導するよう心がけたい。
 悪質なケースなどでは、被害者を守り抜くため、加害生徒の出席を一時的に停止する措置もためらうべきではないだろう。
 カギを握るのは教員の対応である。いじめ問題を担任一人で抱え込むのではなく、他の教員と情報を共有して解消を目指す必要がある。スクールカウンセラーなど、外部の力も活用するべきだ。
 こうした中で、教員への信頼を揺るがす問題が神戸市の市立小学校で起きた。30代から40代の教員4人が20代の教員に、嫌がらせを繰り返していたという。被害教員は自宅療養に追い込まれた。
 羽交い締めにして、激辛カレーを無理やり食べさせる。紙の芯で尻が腫れるまで殴りつける。分別のかけらもない愚かな行為の数々に、呆あきれてものが言えない。
 加害者らは、若手を指導する立場の中堅教員で、いじめ対策の担当者も含まれていた。こんな教員たちに子供の教育を任せることは到底出来ない。
 神戸市教委によると、前校長は嫌がらせの情報を得ながら、内容の把握に努めなかった。被害教員から相談された現校長は、加害者に口頭注意しただけだった。
 教員が教室で子供のいじめを見過ごす構図と同じではないか。
 子供のいじめ対策は、校長がリーダーシップを発揮し、学校が一丸となって問題解決に当たれるかどうかが問われる。教員の間でいざこざが起きているようでは、学校の安全は望むべくもない。
 全国の学校は、子供たちを守る態勢が出来ているか、いま一度、足元を見つめ直してほしい。



【主張】いじめ最多 範となる教員の責任重い
2019年10月21日:産経新聞

 全国の小中高校などで把握された、いじめが文部科学省の調査で過去最多となった。被害者の立場でいじめを広く捉えるようになった表れだ。
 だが解決につながる適切な指導ができているか心もとない。いじめはだめだ、と言いながら後輩をいじめていた教員の問題も起きている。
 それでは子供が真似(まね)するだけだ。ほかにも、いじめを見て見ぬふりをし、助長していないか。教員は改めて日々の行動から見直してもらいたい。
 文科省の昨年度の調査で、いじめ認知件数が小中高校など合わせ54万件を超えた。前年度から3割増え、小学校での増加が目立つ。悪ふざけなどとして見過ごされたものが、積極的に報告されるようになった。いじめ防止対策推進法の施行を受け文科省がいじめ認知件数を前向きに評価し、報告を促していることなどが要因だ。
 調査では、命の危険や不登校などにつながった疑いのある「重大事態」も600件余と、前年度より3割増だ。子供たちのSOSをなお見過ごしていなかったか。早期発見、早期対応の重要性を改めて認識し、家庭や関係機関を含め、学校内外で情報共有、連携を強めてもらいたい。
 いじめ防止には、親とともに、学校で子供と顔を合わせる時間の長い教員の責任が重い。日々の指導、言動を通し、正義や思いやりの大切さを伝えてもらいたい。ところが教員の資質を疑わせる問題が繰り返されている。
 今年7月、岐阜市立中学3年の男子生徒が自殺した問題では、いじめに関する情報が寄せられていた。同級の女子生徒から「一緒に戦います。先生力を貸してください」との訴えもあったが、生かされなかった。
 教員は一人で問題を抱えがちだ。学校や教育委員会は、問題を軽く見て隠す傾向がある。いじめ自殺などの事件、問題が起きる度、批判されてきたことである。これを変えねばならない。
 教員間のいじめが起きた神戸市立東須磨小学校では、昨年度から児童のいじめが増加したことが市議会委員会で明らかにされた。市教委は「教員の仲がぎくしゃくしていると子供にも表れる」などと説明したという。
 教員に不信を抱いたまま、子供たちは安心して、いじめの相談などできまい。


教員間暴力
加害教員の懲戒処分、前倒し検討
 有給休暇扱いに「理解得られない」
2019年10月17日:神戸新聞

 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題で、長田淳・市教育長は17日、加害教員4人への懲戒処分について、市教育委員会に設置された調査委員会の最終報告が出ていない段階でも、事実認定をした範囲で前倒しして検討する方針を示した。臨時の市会文教こども委員会で言及した。

 調査委は同日、事実関係究明のため、弁護士3人で発足。久元喜造市長は同日の市総合教育会議で、調査結果を年内にも公表する意向を表明した。

 文教こども委では委員から、現在休んでいる加害教員が有給休暇の扱いになっていることを疑問視する声が出た。市教委によると、現行の制度では、処分を受けなければ給与や在職の時期に応じた手当が支給されるという。

 委員からの「(加害教員に)期末手当や退職金も出るのではないか」との指摘に対し、長田教育長は「(市民の)理解はなかなか得られない。懲戒処分をできるだけ早急に厳しく行っていくことが求められている」と強調。「今回の悪質な卑劣極まりない行為だけでも事実認定ができれば、前倒しで懲戒処分を行うことも十分念頭に置いて対応する」と述べた。(石沢菜々子)


増え続けるいじめ 現場任せでは解決しない
2019年10月20日:毎日新聞

 全国の小・中・高校などで昨年度に把握されたいじめが前年度より約3割増えて54万件に達し、過去最多となった。
 文部科学省は2013年のいじめ防止対策推進法制定を機に、軽微ないじめも積極的に認知するよう求めている。今回の増加については、現場がいじめの芽を早めに摘もうと取り組んだ結果ととらえている。
 問題なのは、いじめで自殺や長期欠席などを余儀なくされる重大事態の発生も、前年度から約3割増えて602件に上ったことだ。特に、重いけがなど心身に被害を受けるケースが急増した。
 認知件数と重大事態がともに増えるのは3年連続だ。広く網をかけて軽微なうちに解決しようとしているのに、その網をくぐり抜けて悪化するケースを許してしまっているのではないか。文科省は事例を詳しく分析し、手立てを講じる必要がある。
 なぜ、深刻化する前に防ぐことができないのか。
 目立ち始めているケースには、スマートフォンを通じた中傷などがある。こうしたいじめは周囲の大人の目につきにくく、気付かれないままエスカレートする。
 文科省がいじめ全体について発覚のきっかけを調べたところ、担任を含む教師による発見は1割強にとどまった。半数を超えたのは学校のアンケートだ。ただし、それでいじめをすべて把握できるわけではない。
 子どもの最も身近にいる教師がアンテナを高くして発見に努め、校内で問題を共有して解決を図らねばならない。だが、現実には、教師はさまざまな業務に忙殺されている。現場任せの対応には限界がある。
 各地でスクールカウンセラーの配置が進む。文科省は、いじめなどに関して法律的なアドバイスを行うスクールロイヤーの配置も広げようとしている。教師をサポートする専門家の存在は今後、ますます重要になってくる。
 小・中・高校から報告があった自殺も前年度から約3割増え、332人に上った。子どもがどんな状況に置かれていたかは約6割が「不明」だ。原因を調べて対策を立てるには、警察との連携も欠かせない。
 外部の力を取り込み、学校の対応力を高めなければならない。


教員の「休日まとめ取り」推進
=特措法改正案を閣議決定
2019年10月18日:時事通信

 政府は18日の閣議で、勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」を公立学校で導入可能にすることを柱とした教職員給与特別措置法(給特法)改正案を決定した。

 夏休み期間中などの「休日まとめ取り」を推進し、教員の働き方改革につなげる。

 文部科学省の2016年度の調査では、残業時間が「過労死ライン」とされる月80時間を超える公立学校の教員は、小学校で約3割、中学校で約6割に上り、長時間労働が問題化している。同省は、学期中の業務縮減を進める一方、変形労働時間制の導入により、夏休みなどの長期休業中に、集中して休日確保を促したい考え。

 具体的には、学校行事などで特に繁忙な4、6、10、11月の計13週について、所定勤務時間を週3時間増やし、代わりに8月に5日間の休日を設定。有給休暇と合わせて「10日間の休日まとめ取り」を推進することなどを想定している。

教員の勤務時間、日本が最長
=ICT活用は低調-OECD調査
2019年06月19日:時事通信

 経済協力開発機構(OECD)は19日、教員の労働や学校環境に関する国際調査の結果を公表した。日本の教員は事務作業などに追われ、勤務時間が小中学校とも参加国中、最長だった。一方、指導面では自ら問題を見つけて解決する力を育てる「アクティブ・ラーニング」やICT(情報通信技術)活用などの遅れが目立った。
 調査には、中学校などの中等教育はOECD加盟全48カ国・地域、小学校などの初等教育は15カ国・地域が参加。日本は昨年2~3月に実施し、小中学校各200校の校長と教員、計約7400人が回答した。
 中学校の勤務時間は、参加国平均が週38.3時間なのに対し、日本は約1.5倍の週56.0時間。小学校の平均値は出ていないが、日本は週54.4時間で、どちらも最も長かった。
 日本では「一般的な事務作業」「授業の計画や準備」「同僚との共同作業や話し合い」に時間を割いている傾向があった。中でも中学校の課外活動指導が週7.5時間(平均週1.9時間)と突出していた。
 文部科学省が実施した2016年度勤務実態調査によると、残業が月80時間を超える公立学校の教員は小学校で約3割、中学校で約6割に上り、同省は今年1月、残業を原則「月45時間、年360時間」までとする上限指針を策定した。担当者は「今回、日本の教員の長時間勤務の実態が世界的な調査でも裏打ちされた。学校における働き方改革を強力に推進する」と話している。
 指導面では、小中いずれも「学級内の規律」などに関する項目は良かったものの、「児童生徒をグループに分け、問題に対する合同の解決法を出させる」といった指導の実践は低調だった。中学校で「ICTを積極的に活用している」とした割合も17.9%にとどまり、平均(51.3%)と30ポイント以上の開きがあった。


教員に「変形労働時間制」導入へ、
働き方改革で閣議決定
2019年10月18日:TBSニュース

 公立学校の教員の働き方をめぐって、1年単位で労働時間を調整する「変形労働時間制」の導入を可能にする法律の改正案が、閣議決定されました。

 教職員給与特別措置法改正案は、公立学校の教員に「変形労働時間制」を適用できるようにするもので、18日、閣議決定されました。「変形労働時間制」とは忙しい時期の勤務時間を増やすかわりに、夏休み期間中などの勤務時間を減らし、1年単位で働く時間を調整するものです。

 しかし、「部活動の指導などで夏休み期間も休めるわけではない」「長時間労働を認めることになる」などとして、教員からは反発も出ています。

 「(業務量に合わせて)勤務時間をのばすというよりも、業務を削減し8時間で帰れる、そのような職場を作っていきたい」(岐阜県の公立高校教諭 西村祐二さん)

 改正案は今後、臨時国会で議論されます。


増える不登校 「居心地悪さ」の背景は
2019年10月18日:東京新聞

 不登校が増え続けている。暴力や深刻ないじめも増加しており、学校の「居心地悪さ」の背景を解きほぐしていく必要がある。学校以外の選択肢についても、幅を広げる努力を続けたい。
 昨年度、不登校になった小中学生は十六万人以上に上る。六年連続で増えており、中学校では二十七人に一人、つまりは一クラスに一人以上が学校に行っていないことになる。
 教室で子どもたちが感じる圧力が増しているという側面がありはしないか。小学校では暴力行為が五年間で三倍以上に増えている。これを子どものストレスの一つの表れと受け止めているベテラン教員もいる。英語など、学ぶ内容は厚みを増し、宿題も増えているという。
 本来、子どもの揺らぎを包み込む役割が期待される教員の側も多忙で余裕がない。子どもの学ぶ内容が増えているというのは、教員の教える内容が増えるということの裏返しでもある。
 教員間のいじめ問題も明らかとなり、教員自身のストレスも心配になる。今後進められる教員の働き方改革では、子どもに向き合うゆとりをまず確保するという大前提のもとで業務や役割分担を整理していく必要がある。
 子どもたちの悩みを受け止める役割のスクールカウンセラーは非常勤で複数の学校を掛け持ちしている場合もある。多忙な教員と、時間が限られたカウンセラーでは十分な情報共有が難しい場合もあるようだ。人数を増やすだけでなく、いかに実効性を高めていくかを検討するべきだろう。
 不登校の増加は、二〇一六年に子どもたちの休養の必要性を認めた教育機会確保法が成立したことで、学校以外の選択肢を選びやすくなったという側面もある。昨年末の文科省の調査によると、不登校の受け皿となる教育支援センターを設置する自治体は増加傾向にあり六割に上る。
 世田谷区は今年、三カ所目となるセンターの運営を、フリースクールを営むNPO法人東京シューレに委託した。フリースクールは教育内容に柔軟性がある半面、公的支援がなく、安くはない授業料が親にとっては一つの壁となっていた。経済的負担を増大させない公立施設で、民間の蓄積を生かす試みとして注目したい。
 学校と別の受け皿があることについて、子どもや保護者にきちんと周知することも自治体には求められる。


社説[小高不登校全国最多]
背景を追跡し支援策を
2019年10月19日:沖縄タイムス

 沖縄県教育庁と文部科学省は17日、「2018年度児童・生徒の問題行動・不登校調査」の結果を公表した。
 県内の不登校の児童・生徒は過去最多となり、割合で換算すると小学、高校とも全国最多となった。
 小中学校(国公私立)の不登校児童・生徒数は3125人。小学校は前年度より324人増え、1107人。千人当たりの割合は10・9人に上った。高校(公私立)も40人増え、同じく千人当たりの割合は29・0人。中学校も全国で3番目に高かった。
 文科省は病気や経済的な理由を除き30日以上欠席した子どもを不登校としている。
 不登校増加と県の学力対策を重視する体制が関係しているとみる教員もいる。さらに子どもの貧困が希望格差、意欲格差につながっているのではないかとの見方もある。
 教育機会確保法で、学校に行かなくても多様な選択肢があるとの考えが浸透していることも影響しているようだ。
 同法では不登校の子どもを国や自治体が支援することを明記している。県教育庁は子どもの居場所や無料塾などを支援・推進していく考えだ。
 問題はどの場所にも属さない不登校の子どもがいることだ。子どもの学ぶ権利を保障するのは大人の責務である。
 実態はどうなっているのか。県教育庁の担当者は原因として「無気力」や「不安」を挙げるがこれだけの分類では不十分だ。不登校の児童・生徒一人一人が抱える背景を本腰を入れて調査しなければ、支援もできないはずだ。
■    ■
 一方、高校中退率も全国平均の1・4%を大きく上回る2・2%で、これも鹿児島県と並んで全国最多だ。高校中退者は前年度より165人増えて1281人となった。
 理由は就職を含む「進路変更」が最も多い。経済的理由も24人いる。何らかの手だてが取れなかったのだろうか。
 変更後の進路が継続できれば問題はないが、変更後にさらに中途で辞めることになれば、若年無業者の「ニート」に陥る可能性がある。
 県教育庁は中退する高校生に対し、困ったことがあったら相談できる機関を紹介するにとどまっている。
 教員が多忙で中退後の調査にまで手が回らないのが実情だという。一度社会とのつながりが切れてしまうと、回復するのは並大抵ではない。
 県は関係部局や関係機関と連携して中退後の生徒を調査し対策を講じてもらいたい。
■    ■
 県内のいじめの認知件数も小中高・特別支援学校の合計で1万2799件で過去最多となった。
 軽くたたかれるなど本人が不快に感じる行動も認知されるようになったからだ。気になるのは解消が75・7%で、全国平均の84・3%を下回り、解消に向けて取り組み中が22・7%と全国平均の15・4%を上回っていることだ。
 いじめ防止対策推進法はいじめを広く定義し、早期対応を促している。深刻ないじめに発展する前に、いじめの芽を見逃さず、解消への取り組みを強めたい。それには担任1人で抱え込まず、教員全体による情報共有化が重要だ。


<社説>児童生徒の問題行動
 芽のうちに摘み取りたい
2019年10月19日:琉球新報

 児童生徒による暴力行為、いじめ、不登校が県内で過去最多を更新した。異変にいち早く気付き、ケアができる態勢を築きたい。
 県教育委員会が公表した2018年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、国公私立の小中高校で発生した暴力行為は2069件、いじめの認知件数は1万2799件、不登校児童生徒数は4449人に上った。
 千人当たりのいじめ認知件数は60・9件で全国(40・9件)を上回る。「早期発見、早期対応に努めた結果」(平敷昭人県教育長)と言うが、1万3千件近いいじめが確認されている現実を深刻に受け止めなければならない。
 問題行動は、潜在化したまま放置されると、エスカレートしがちだ。保護者や教師ら周りの大人が、子どもの発するシグナルを見逃さず、芽のうちに摘み取ることが大切になってくる。
 学校現場では、暴力やいじめが絶対に許されない行為であることを粘り強く指導する必要がある。予防に力を入れるのは言うまでもない。
 いじめが起きてしまったときに最優先すべきなのは、被害者の救済と心のケアだ。表面化するまでに時間がたっているケースが多い。受けたダメージは計り知れない。
 暴力によるいじめ、言葉によるいじめ、集団で無視するいじめなどがある。加害者は相手が感じている苦痛に思いが及ばない。
 遊んでいるように見えて、実はいじめが行われていることもある。教師には、それを見抜く力量が求められる。
 いじめが悪いことだと自覚しないうちに成長した加害者は、大人になってもいじめを続ける傾向があるといわれる。犯罪に突き進む事例もある。早期指導の大切さは、いくら強調してもし過ぎることがない。
 問題行動に対処するには外部の専門家との連携が不可欠だ。担任教師や学校だけで抱え込んではいけない。
 こう見てくると、学校での対応が極めて重要だが、肝心の教師が業務過多で疲弊している現状がある。部活動の指導などで帰宅が遅れ、土日も自由に時間を使えない人が少なくない。
 学校への依頼心が強かったり、理不尽な要求をしたりする保護者の存在も指摘されている。教員にのしかかるストレスは並大抵ではない。問題行動への対策を強化したいのなら、学校現場の働き方改革が大前提となる。
 業務を一つ一つ見直し、負担を軽くしなければならない。学級の少人数化も促進したい。教師にゆとりが生まれれば、きめ細かな指導が可能になり、暴力やいじめの抑止につながるはずだ。
 とはいえ、いじめなどの課題解決を学校だけに任せきりにしてはならない。家庭、地域を含め、総合的に取り組むことが欠かせない。


火論 学校という真空地帯=玉木研二
2019年10月22日:毎日新聞

 <ka-ron>
 <心などもうなくなってしまった。自分をどうすることもできない。犬のようにたたきまわされても、なんともないし、ひとりでに手があがるだけ>
 作家・野間宏が自らの兵役体験に基づいて書き、映画化もされた長編「真空地帯」(1952年)に、初年兵の断片的な手記としてこんな一節がある。
 そして<今日も蟬(せみ)>とも。これは、柱に手足で抱きついて延々とセミの鳴き声を続けさせるリンチである。耐え難い恥辱で誇りをそぎ落とされ、何も考えず自動的に敬礼する兵に変貌していく。
 兵営の古参兵が初年兵らをいじめ、暴力的に支配する(それは古参兵自身がかつてやられたことだが)仕組みは、敗戦後もさまざまに変容しながら生き残った。
 神戸市立東須磨小学校で先輩教諭4人が20代の教諭を執拗(しつよう)にいじめ、殴る、蹴る、激辛カレーを目に擦り込むなど、やりたい放題の害を加えたとされる問題にも息づいていないか。
 2011年10月、大津市の中学2年男子生徒が執拗ないじめを受け続け、自殺した。この事件では、学校や市教育委員会の取り組みが消極的で、隠蔽(いんぺい)的な体質も指摘され社会問題化し、13年のいじめ防止対策推進法制定につながった。しかし、いじめは減らない。
 そして今回、いじめ対策に腐心しているはずの教諭の間で問題が起きた。皮肉にもこれが注目されているさなかの先週、文部科学省がまとめた18年度の小中高校などのいじめ認知件数は54万件を大きく超え、過去最多になった。
 文科省は「学校がいじめを積極的に認知するようになった」とみる。しかし最も重要なのは統計の数字の正確さよりも、なぜこうも繰り返されるのか、である。
 今回の神戸の教諭たちの問題でも、過去の子供たちの深刻ないじめ問題でも、失敗で共通しているのは情報の共有と即応的な対処の欠落である。文科省が「いじめはどの子、どの学校にも起こり得る」とし、入念な対応を求めたのは06年のことだ。「子」が「教諭」になる例は想定外だろうが、検証すべき課題は重く、多い。
 ちなみに、旧軍兵営内のいじめ、リンチを取り上げた映画やドラマは多い。いつもながら印象深いのは、無事除隊を迎える古参兵の鬼の形相が急に柔和になり、初年兵の機嫌を取ったりする場面だ。
 そして入営前のように「腰の低い、善良な市井の人」に戻ったりする、何事もなかったように。
 怪談のような怖さがある。案外そんなところに問題の根深さはあるのだろうか。(客員編集委員)


神戸では市長、市教委対立
組体操 続行の背景は
保護者内で賛否■「満足度より安全性」
2019年10月21日:東京新聞・ニュースの追跡

 小中学校の運動会での組み体操を巡り、神戸市と市教委が対立する異例の混乱が起きている。市長が組み体操の実施の見合わせを市教委に要請したにもかかわらず、この秋には92校で行われ、51件のけがが報告され、うち6件は骨折だった。けがが付きものの組み体操が全国の学校で続けられる背景に何があるのか。                                     (稲垣太郎)

 「いやだと言えない子どもたちに、けがを負わせるようなことを学校が平気でやっている」
 15日に神戸市教委などに組み体操の禁止などを求める要望書を提出した。子どもの虐待ゼロを目指すNPO法人「シンクキッズ」の代表理事で弁護士の後藤啓二氏はそう憤る。
 神戸市立小中学校では2016年春からの3年間で、子どもたちが組み体操でけがをして医療機関を受診した報告が397件あり、うち123件は骨折だった。
 今年秋の運動会でも組み体操の継続を市教委が決めたとして、久本喜造市長は8月2日、安全に実施できないと判断した場合は実施を見合わせるよう長田淳市教育長に要請。自身のツイッターで「多数の教員が実施を望んでいるというが、子どもの命や安全は、多数決で決めるべきではない」「骨折は、命の危機、後遺症に直結する。すぐに、やめてほしい!」と投降した。
 ところが市教委は「すでに練習を始めている学校がある」などとして見合わせには応じず、運動会で組み体操を行う小中学校に対し、演技の構成や安全確保策などを書いた実施計画書を提出させ、内容をチェック。実施を許された学校で本番を目指した練習中に事故が起きた。
 17日にあった市総合教育会議で、久本市長は組み体操見直しを求めたが、市教委側は近く第三者委員会を設置し、来年度の運動会での方針を年内に決めると答えるにとどめた。
 全国の学校で行われてきた組み体操では、段数の高い「タワー」や「ピラミッド」などでの死亡や障害の残る事故が社会問題化し、スポーツ庁は16年3月、事故防止に関する通知を都道府県や政令指定都市の教育委員会などに出した。
 日本スポーツ振興センターが小中学校や高校での組み体操のけがに対して給付した医療費の支給件数は15年度の8071件から、16年度は5271件に大きく減り、17年度は4725件、18年度は4146件(速報値)と減少が続いている。学校が組み体操をやめたり、段数などを低くしてけがを減らしたりしている傾向がうかがえる。
 それでも、神戸市のように、学校がかたくなに組み体操を続けるケースは残っている。なぜなのか。
 「ぜひ組み体操をやってくれというものと、危険だからやめてくれというものとで保護者の意見が真っ二つに割れている」。中学3年の時に組み体操のタワー最上部から落ちた経験があるという教育評論家の尾木直樹氏は、保護者の希望の存在を挙げる。
 さらに「組み体操を成功させ、先生たちにほめられ、涙を流して喜ぶ子どももいる」とも。だが、「達成感なら創作ダンスなど他の安全な演目でも得られる。危険な組み体操はやめるべきだ」と主張する。
 学校内の事故に詳しい名古屋大学院の内田良准教授(教育社会学)も保護者の影響を指摘する。
 「組み体操をすると、運動会が盛り上がる。子どもたちが単純に走るだけでなく、組み体操のように凝ったもの、難易度が高いものを見ると保護者の満足度が上がる。だから学校は組み体操をやりたがる」と説明し、こう注意を促した。
 「運動会の盛り上がりは結果論であって、それを目指すべきではない。子どもの安全を確立した上で運動会をやれるかどうかがポイントだ」

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