日常化する気候変動/「異常・特殊」

台風15号(ファクサイ)、19号(ハギビス)と2つの台風に襲われ大きな被害が出た。9月9日に千葉市に上陸したファクサイは、ボクの住む千葉県に甚大な強風被害をもたらした。10月12日に日本列島の広範な地域に豪雨災害をもたらしたハギビスの被害は、いまだ全容もつかめず、多くの河川の氾濫が収束していない。どちらも今までにはない被害だったが、想定できない「特殊」な台風だとは思わない。
台風が特殊だったわけでなく、日本の南岸、周辺の海洋環境が“異常”だったと見るべきだ。大きく言えば、気候変動による海水温の上昇によると言えるだろう。現在、世界的に海洋の水温が上昇している。しかも、表面水温が高いというだけでなく、かなり深いところまで水温が上昇しているという。
その結果、今までなら、強風台風のファクサイで海水は攪拌されて、海面水温が下がり、ハギビスに大量の水蒸気が供給されて広い範囲が豪雨となることはなかったはずだ。
今後、このような特殊で異常な台風が常態化して、「100年に一度」と呼ばれるような気象現象が、毎年のように見られるようになるだろう。防災基準を「今までの最大被害」と設定しても、その被害を超える災害がしばしば起こるようになるだろう。しかも、国土はぜい弱化していて、管理されない森林、メンテナンスの行き届かない堤防、災害に対応する行政の弱体化、減少する人口などなど、ネガティブな要因を基調として対策を行わなくてはならない。しかも、その災害対応を緊急・短期的にも、長期的にもプロデュースする責務のある政治がポンコツでは救われない。


台風19号は「特殊な雨台風」
 地形条件も重なり大被害
2019年10月14日:朝日新聞

 北上しても雨の勢いが衰えず、東日本の広い範囲に記録的な大雨を降らせた台風19号。河川の氾濫(はんらん)が相次ぎ、大規模な浸水などの被害が各地で多発したのは、台風の規模に地形条件が重なったためとみられる。東北などでは、想定を超える事態への対応に追われた。
 台風19号が伊豆半島に上陸したのは12日午後7時前。だが、台風本体の北側には厚い雨雲が張り出し、東海や関東地方では上陸前の日中から大雨に見舞われた。12日に24時間降水量の観測記録を更新した地点は16都県の84カ所に及んだ。雨が強まる時間が遅かった岩手県でも、13日までの24時間雨量を更新した地点があった。13都県で大雨特別警報が出され、東北から関東甲信にわたる広い範囲で河川が氾濫したり、土砂災害が起きたりした。
 広範囲に大雨を降らせた要因について、専門家は台風本体の大きさや勢力に、地形条件が重なったことを挙げる。
 台風19号は、今月6日に中心気圧千ヘクトパスカルで発生。その後、急速に気圧が下がり、8日には「猛烈な」強さの915ヘクトパスカルに。平年より1~2度高い海面水温によってその後も勢力は大きく衰えず、本州の半分ほどをすっぽり覆う大きさで上陸したため、広範囲で大きな被害につながったとみられる。
 横浜国立大の筆保弘徳(ふでやすひろのり)准教授(気象学)は、「特殊な雨台風」と表現する。この時期の台風は、近づく前から秋雨前線を刺激し、2、3日前から雨をもたらすことが多い。これに対し19号は、台風本体の雲が1日で一気に大雨をもたらしたのが特徴だという。このため、あふれるほどの水が川に流れ込んだとみられる。
 地形が大雨に拍車をかけた。山口大の山本晴彦教授(環境防災学)は「進路沿いには、丹沢山地や北上山地など山がちな地形がある。ここに台風から吹き出す南東よりの暖かく湿った空気がぶつかり、上昇気流を生んでさらに大雨になった」とみる。
 京都大防災研究所の竹見哲也准教授(気象学)は、「気候変動の影響で台風の強度は高まる傾向にある。こうした台風は一生に一度だったかもしれないが、今後は二度、三度くる可能性がある」と話す。
 雨だけでなく、暴風にも見舞われた。東京23区では、最大瞬間風速が40メートルを上回った。高潮も、場所によっては2メートル以上の潮位の上昇が観測されたものの、東京湾では満潮時刻と重ならなかった。
 気象庁は事前に、19号の規模やコースを、1958年に東海や関東に被害をもたらした「狩野川(かのがわ)台風」に匹敵するとして警戒を呼びかけた。だが、被害はさらに広範囲に及んだ。
備えたが想定超える被害
 2011年以降8年間で東北や関東甲信地方(島嶼(とうしょ)部を除く)に接近した台風の数は、九州地方に比べて2~4割ほど少ない。台風19号による記録的な大雨は、「台風慣れ」していない地域を直撃した。
 福島県田村市では12日夜、東京電力福島第一原発事故による除染で出た草木など廃棄物が入った複数の袋(フレコンバッグ)が川に流出した。川から約100メートル離れた仮置き場に2667個を保管していたが、大雨で一部が流されたという。
 放射性物質を含むため、厳重な管理が求められるが、保管は野ざらしだった。市原子力災害対策室の渡辺庄二室長は「巡回して異常がないか警戒していたが、予想以上の雨量だった」と釈明する。
 台風19号が列島を直撃する前日の段階で、関東や東海を中心に900市町村以上とホットラインを構築し、浸水が想定される場所には排水ポンプ車を配備するなどして備えた国土交通省。同省幹部は「猛烈な台風への経験が少ない東北での備えは余計意識していた」と語るが、6県の21河川24カ所で堤防が決壊した。
 ダムの貯水量が急増して決壊するのを防ぐための緊急放流も、5県6カ所で実施された。昨年7月の西日本豪雨の際の6府県8ダムに続き、一度の大雨で実施される規模としては異例の多さだった。国交省の中堅幹部は「想定量を超える水量がダムに流れ込んだ」と分析する。
 「今年最大の勢力になる可能性がある」として上陸3日前の9日に会見を開いた気象庁。対策と早期避難を呼びかけるため、通常は台風が接近する前日に行う会見を早め、11日にも実施。1200人超の犠牲者を出した60年以上前の狩野川台風を例示し、「匹敵する記録的な大雨となる恐れがある」と訴えた。ただ結果的に逃げ遅れとみられる犠牲者が生まれ、情報の発信方法については検証の余地を残す。
 「12日午前から準備していた」と話すのは、宮城県の丸森町消防団丸森分団の佐藤隆副団長(66)。大規模な浸水被害で町の防災センターの周辺も冠水し、「ここまでとは想定していなかった。こんな被害は初めてだ」とうなった。


路上生活者の避難拒否
自治体の意識の差が浮き彫りに
 専門家「究極の差別だ」
2019年10月13日:毎日新聞

台風19号の影響で増水した多摩川。河川敷に住んでいたホームレスの人々に
東京都世田谷区は事前に避難所を案内した=川崎市高津区で12日午後4時35分、小川昌宏撮影

 台風19号に伴って開設した避難所で、東京都台東区は路上生活者など区内の住所を提示できない人を受け入れなかった。生活困窮者支援の専門家からは「究極の差別だ」などとの批判が上がる。東京都内では住所の区別なく受け入れた区もあり、「災害弱者」への意識の差が浮き彫りになった。【塩田彩、江畑佳明/統合デジタル取材センター】

断られた男性は外で傘を差してしのいだ

 受け入れを断られた北海道出身の男性(64)は12日午前、支援団体の案内を受けて忍岡小の避難所を訪れたが、受付で北海道内の現住所を記載したところ、区の担当者から受け入れられないと言われたという。
 男性は脳梗塞(こうそく)を患い、会話が不自由な状態だ。約1カ月前に上京し、路上生活を続けていたという。屋内に避難できなかったため、12日夜はJR上野駅周辺の建物の陰で傘を差して風雨をしのいだ。取材に対し男性は「避難所に受け入れてくれたら助かったのにという思いはある」と語った。
 今回の台東区の対応について、生活困窮者支援に詳しい立教大大学院特任准教授の稲葉剛さんは「行政による究極の社会的排除であり差別と言わざるを得ない。緊急時に路上生活者が命の危機にさらされる、という意識が薄いのではないか」と批判する。

ホームレスにチラシを配った世田谷区


外国人観光客や帰宅困難者向けの避難所とされたJR上野駅近くの東京文化会館
=東京都台東区で2019年1月28日午後2時46分、林奈緒美撮影

 東京23区のうち、13日に取材できた台東区以外の12区は、住所を理由に避難者を排除することはないと回答した。
 世田谷区災害対策課によると、同区は神奈川県との境を流れる多摩川の河川敷に住んでいるホームレスの人たちに対し、事前にチラシを配って台風と避難所の情報を知らせた。今回はホームレス向けの避難所を2カ所用意したが、利用者はなかったという。

台東区役所=湊芳久撮影

 北区には路上生活者が来たとの情報はないが「区外から来た方も受け入れた。区民かどうかで判断するような差別的な対応はしていない」(古平聡広報課長)。荒川区防災課は「人数把握などのために名前を記入してもらうが、あくまで任意。たまたま区内に来ていた人もいるだろうし、すべて受け入れている」(森田修康防災課長)と話した。

台東区は災害対策本部が決定

 台東区では11日午後5時半に自主避難所4カ所を開設。このうち2カ所は12日午後5時に避難準備の発令に伴って指定避難所となった。
 同区広報課によると、いずれも区が定めた運営マニュアルに従い、「避難者カード」に来所者の住所や氏名の記載を求めていた。指定避難所の区立忍岡小を訪れた2人が「住所がない」と申告。現場の区職員が区災害対策本部に問い合わせたところ「区民が対象」を理由に受け入れを拒否するよう回答があったという。
帰宅困難者向け避難所はあったが……

 その後、路上生活者などを支援する一般社団法人「あじいる」のスタッフが断られた人から連絡を受け、忍岡小を訪れた。あじいるのスタッフは「路上生活者らを受け入れられる場所は他にないか」と尋ねたが、区は「別の場所はない」と回答した。
 実際には、台東区内には外国人観光客や帰宅困難者向け避難所として、区の浅草文化観光センターや都が運営する東京文化会館があったが、「住所不定者への避難所という観点がなかった」(田畑俊典・広報課長補佐)ため、路上生活者には案内しなかったという。


「コンビニの棚は空」
「動物を置いて避難できない」
台風19号で露呈した東京のもろさ
2019年10月13日:週刊朝日

 大型の台風19号が上陸し、各地で大雨による被害が相次いだ。多くの河川が氾濫(はんらん)し、台風が過ぎた後も水が引かないところがあって、救助活動が続く。

 総務省消防庁によると13日午後6時時点で、全国で死者は14人、行方不明者は11人、重軽傷者は180人を超す大きな被害となっている。避難者数は同日正午時点で約23万人だった。

 北陸新幹線は長野市内の車両基地が冠水し、10編成、計120両が水につかった。全車両の約3分の1が被害に遭うという異常事態で、北陸新幹線の運転再開の見通しは立っていない。JR東日本は、「水につかった車両は最悪の場合使えなくなる可能性がある」という。運転が再開しても運行本数が減るなど影響は長引きそうだ。

 全国で猛威を振るった台風19号。9月の台風15号では行政の支援が遅れたとの批判もあったことから、今回は万全の態勢で臨んだはずだった。特に台風の直撃が予想された東京では、早くから計画運休が決まり、避難所の準備も進んだ。

 ところが、実際に台風が来てみると、意外なもろさが次々に明らかになった。

 まずは計画運休によって住民が孤立化することだ。都内では地方と違って、車を持っている人が少ない。移動手段は鉄道やバスに頼っているため、いったん運休が始まると身動きがとれなくなる。

 JR東日本は、「台風に備え過去最大級の計画運休を実施しました。事前に情報を公開しており、大きな混乱はなかった」との立場だ。確かに12日が土曜日だったこともあって、通勤客らによる混乱は目立たなかった。

 だが、12日から13日夕方まで段階的に続いた運休の影響は大きかった。従業員らが出勤できないこともあって、都心のほとんどの小売店や飲食店が臨時休業。運転手らも移動できないため、最後の交通手段であるタクシーの台数もまばらとなった。物流がマヒし、営業している一部のコンビニでもお弁当やおにぎりなどの棚は空っぽ。都心部は人通りもなく、12日はさながら「ゴーストタウン」のようになった。

 都心のマンションに住む40代の男性はこう嘆く。
「11日夜にコンビニに行ったが、すでに食料品などは売り切れていた。鉄道が止まっているのでどこにも行けない。普段から食料品を備蓄しておけばいいんでしょうが、正直困りました」

 東京都心ではマンションが立ち並び、住民が近年増加している。マンションは手狭で、冷蔵庫も小さい世帯が多い。普段はスーパーやコンビニで夜遅くまで食品を買え、24時間の外食チェーンもある。便利な生活に慣れていると、災害時の備えが不十分になりがちなのだ。

 もう一つのもろさは避難の対応。都心の住民には、地域との関わりが薄く、訓練に参加しない人もたくさんいる。今回の台風では東京23区でも避難指示や避難勧告が多数出されたが、ネット上では「そもそも避難場所がわからない」という声があった。

 暴風雨の中、歩いて避難所に向かう方がリスクが高い場合もある。危険な場合は自宅でとどまるよう行政は呼びかけたが、判断は住民任せ。携帯・スマホの緊急速報メール(エリアメール)で非難情報を知らされても、どうしていいかわからず不安だけ高まるとの声もあった。

 行政の経験不足もあって、トラブルが起きる場面も見られた。
 例えば避難所でのペットの受け入れ。家族同然の犬や猫も連れて行きたいという人は多い。対応はバラバラで、同じ区内でも受け入れた避難所と、だめなところがあった。あきらめて自宅に戻った人もいたという。災害を経験している自治体では、こうしたケースに職員が臨機応変に対応しやすい。

 ペットの問題は東京に限らず全国的な課題でもある。モデルのダレノガレ明美さんは13日、避難所で動物は置いてくるよう言われたとして、次のようにツイッターに書き込んだ。

「悲しいよね… 動物置いていくなんて選択肢ないな… アレルギー問題やいろんな問題があるから文句言えないけど、私や家族は避難しないで家にいるのを選んじゃった」

 行政は受け入れ可能なところを用意し、飼い主に早めの避難を呼びかけるなどの対応が求められる。

 台東区では、「ホームレス」とみられる人が、避難所での受け入れを12日に拒否された。台東区の広報担当者は、「住民のための自主避難所だったのでお断りした。結果として援助対象から漏れてしまった」という。

 ほかの自治体では今回のような緊急性のある場合は、住民以外でも基本的に受け入れている。台東区では避難所をこれまで開設したことが少なく、「住民以外にどう対応するかの観点がなかった。これからの課題として検討したい」(同担当者)としている。

 今回の台風では計画運休のため、駅や地下鉄施設などが早い段階で閉鎖され、雨風をしのげる場所が少なかった。12日夜には台東区内の上野駅や浅草駅周辺で、ビルの入り口などでうずくまる複数のホームレスとみられる人たちがいた。区の対応には批判が相次いでおり、今後責任が問われそうだ。

 避難では外国人観光客らへの対応も課題となる。民泊など、避難誘導者がいないところに泊まっている人もいる。12日の都心では交通手段がなく、風雨の中でタクシーを待ち続ける外国人の姿も見られた。

 ホームレスの対応で問題が発覚した台東区だが、浅草・雷門前の「浅草文化観光センター」に、外国人観光客の緊急滞在所を開いた。上野公園の「東京文化会館」も台東区の要請によって外国人ら向けに開放された。ラグビーW杯で多くの外国人が来日しており、来年の東京五輪・パラリンピックも控えている。日本語が通じず災害情報が届きにくい外国人へのケアが課題となる。

 交通手段や食料の確保、避難所の態勢や外国人への配慮など、今回の台風の教訓はたくさんある。今も続く人命救助が最優先だが、行政には検証と対策が求められそうだ。
(本誌・多田敏男)


湿った気流、関東の山地に
2019年10月14日:東京新聞

 台風19号は記録的な大雨を関東地方など本州の広い範囲にもたらした。特に河川の上流域となる山間部の大雨は、多摩川など大都市部を流れる大きな河川でも氾濫を引き起こした。影響範囲が広い大型台風による災害の怖さを見せつけた。
 関東の大雨の原因は、台風接近時に南東や東から流れ込んだ湿った気流。これが丹沢や秩父などの山地にぶつかり大雨を降らせた。
 神奈川県箱根町では、四十八時間の雨量が一〇〇〇ミリを突破。平年の九~十一月の三カ月間に降る雨が降った格好だ。東京都奥多摩町と檜原(ひのはら)村、埼玉県秩父市でも平年の年間雨量の三分の一を超える六〇〇ミリ以上の雨を二日間で観測した。
 暴風も吹き荒れた。最大瞬間風速は、横浜市で四三・八メートル、東京都心で四一・五メートル、羽田空港で四二・七メートルと、いずれも十月の観測史上一位を更新。千葉市でも四〇・三メートルを記録した。
 「台風物語」などの著書がある気象予報士で元静岡地方気象台長の饒村曜(にょうむらよう)さんは「伊豆半島から関東西部で記録的な大雨になる降り方は、気象庁が注意喚起で例に出した狩野川台風(一九五八年)とよく似ていた。予想された通りの雨が降った」と解説する。
 九月九日に千葉県に上陸した台風15号では、千葉市で最大瞬間風速五七・五メートルを観測した。「中心付近の狭い範囲で吹く暴風は、台風15号の方が強かった。これは中心気圧が同程度なら、台風のサイズが小さいほど気圧の傾きが急になるため。暴風の吹いた範囲は今回の台風19号の方が比べものにならないほど広かった」(饒村さん)という。 (宇佐見昭彦)


ホームレス避難所追い返し問題を
安倍総理に言及され台東区が謝罪
2018年10月15日:週刊朝日

 大きな被害をもたらした台風19号が接近するなか、東京都台東区が、自主避難所を訪れたホームレスとみられる人を受け入れなかった問題で、同区は15日謝罪コメントを発表した。

 当初は、「ホームレスらへの対応は今後の検討課題」などとして、明確な謝罪をしていなかった。批判が高まり、国会でも問題が取り上げられる中、謝罪に追い込まれた格好だ。

 同区は15日午後5時過ぎ、ホームページに次のような服部征夫区長のコメントを出した。

「この度の台風19号の際に、避難所での路上生活者の方に対する対応が不十分であり、避難できなかった方がおられた事につきましては、大変申し訳ありませんでした。また、この件につきまして区民の皆様へ大変ご心配をおかけいたしました。台東区では今回の事例を真摯に受け止め、庁内において検討組織を立ち上げました。関係機関等とも連携し、災害時に全ての方を援助する方策について検討し、対応を図ってまいります」

 危機・災害対策課の担当者は取材に対し、これまで2人としていた受け入れ拒否者が3人だったことを明らかにした。13日にはこの問題の報道が相次いでいたのに、コメント発表が15日夕方になったことについては、「確認作業もあって対応に時間がかかった」としている。

 この問題は15日の国会でも議論された。国民民主党の森裕子参院議員の質問に対し、安倍晋三首相は次のように答弁した。

「各避難所では、避難した全ての被災者を適切に受け入れることが望ましい。ご指摘の事例は自治体に事実関係を確認し、適切に対処したい」

 ホームレスを含め、その自治体の住民以外も幅広く受け入れるという原則を、政府として確認したものだ。

 ホームレスとみられる人が風雨が強まるなか避難所に来たのに、職員に追い返されるというショッキングな問題。ほかの複数の自治体関係者は、「避難所に来た人は誰でも受け入れる。ホームレスの方を拒否するというのは考えられない」と口をそろえる。世田谷区のように、ホームレスらに事前に避難を呼びかけた自治体もある。
 台東区は12日に自主避難所の小学校を訪れたホームレスとみられる3人について、「住民向けの避難所であり区外の人は利用できない」などとして断っていた。支援団体が区に抗議したが、対応は変わらなかった。避難所の担当者レベルではなく、区の災害対策本部のトップレベルの判断で拒否したことが、今回の問題の深刻さを示している。

 台東区では東京都の施設である「東京文化会館」(上野公園内)も、区の要請によって外国人観光客ら向けに開放された。都によると、住所にかかわらず受け入れているので、ホームレスらを拒否することはなかったと主張している。

 同会館を巡っては、軒先で雨宿りをしていたホームレスとみられる人が移動を求められたとの指摘もある。これについて都は、次のように説明している。

「開放の準備をする段階で、入り口付近にいた人に、『設置中なのでご協力ください』と職員がアナウンスしたことはあった。認識の違いがあったのかもしれないが、ホームレスの方を排除するつもりはまったくない」

 今回の台風では、都内で過去最大級の計画運休が実施された。駅や商業施設などが12日の早い段階で閉鎖され、ホームレスらにとっては雨風をしのげる場所が少なかった。台東区の上野や浅草周辺では、ビルの入り口などでうずくまり、風雨に耐える人の姿が見られた。

 今回の問題を教訓に、同様の事例が起きないよう、各自治体では対応が求められる。ある自治体関係者は、「地域住民以外は避難所に入れないで欲しいと訴える人もいる」と明かす。地域住民以外も余裕を持って受け入れられるよう体制を整備し、住民の理解を得ることが課題となりそうだ。
(本誌・多田敏男)
※週刊朝日オンライン限定記事

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