原発業界の伝統芸か?

お粗末な時代劇を見るような、関西電力幹部への原発立地地域の地ブーローカーM…。
原子力発電や巨大開発に群がる政治家やブローカーの一角が現れた事件だが、中央から地方まで、この“おいしい”蜜に群がった亡者がどれほどいるか想像に難くない。
福井県といえば「稲田朋美の地元」だ。ボクが、嫌いな政治家ベスト10の上位に食い込む政治家が稲田だ。4年ほど前に石神井公園駅前の「稲田」という蕎麦屋に行ったことがあるのだが、「いなだ」と聞いただけで、蕎麦がまずく感じられたほどだ。(実際その稲田さんは美味しいお蕎麦屋さんで、感じもよかったのだが…)
仲良しの、若い研究者が、川崎の「稲田堤」に引っ越した時も、思わず「稲田堤という地名がよくないね…」と言ってしまった。
その稲田朋美議員の福井県高浜町で起きた事件に、稲田が絡んでいるだろうと思っていたら、やはりつながっていた。
最近の政治家は、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相を見習うのか、その質が悪い。粗悪な政治家が永田町を跋扈して、その害毒は全国に垂れ流されている。



関電3億2千万円“裏金”
元助役の関連会社が稲田朋美元防衛相ら
自民党議員に献金 後援会長も
2019年10月3日:週刊朝日

 関西電力の役員ら20人が3億2千万円もの金品を、原発がある福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から受け取っていた問題で、関電は2日、記者会見を再度開き、社内調査の結果を公表した。八木誠会長は金貨や金杯、スーツ仕立券など859万円相当を、岩根茂樹社長は金貨10枚(150万円)を受け取っていたことなどが判明。だが、進退については「再発防止、真相究明することで役割を果たしたい」とし、2人は辞任せず減給処分になると説明した。

 社内調査報告書では、高浜町の「影の町長」とも呼ばれた森山氏が「国会議員に広い人脈を有している」こともあって、関係を深めたと説明。森山氏が筆頭株主とされ、取締役を務めていた警備会社「オーイング」(本社・福井県高浜町)と、その関連会社の「アイビックス」(本社・福井市)が、自民党の稲田朋美元防衛相に献金していたこともわかった。アイビックスの吉田敏貢会長は稲田氏の後援会長を務めていた。

 稲田氏が代表を務める自民党福井県第一選挙区支部の政治資金収支報告書によると、アイビックスは2011、12年にそれぞれ36万円、吉田氏個人として11年に50万円を献金。オーイングも11、12年にそれぞれ12万円を献金していた。

 また、衆院議員の高木毅氏(福井2区)が代表を務める自民党福井県第二選挙区支部は、16年に警備費用としてオーイングに約19万4千円を支払っていた。

 本誌が12年春に森山氏を直撃取材していたことはすでに報じた。その時に関電への資金提供、国会議員との関係についても聞いていた。

――森山氏と関電は深い関係にあると聞いている。関電から便宜を受けることはあるのか?

「原発立地町だから、いろいろ聞くことはある。当然のことだ」

――森山氏と関係のある会社が優先的に、関電の仕事を請け負っているとの話を聞いたが?

「私も長く原発にかかわっている。関係ある会社はある。だが、関電に特別なことを頼むことはない」
――関電から便宜を受けたり、逆に接待したりするなどないのか? 金銭授受の噂(うわさ)もある?

「そんなことはあるわけない」

――国会議員との強力な関係を指摘する人もいる?

「地元なんだから当然、先生は知っているよ。それだけだ」

――「影の町長」という人もいる。それは国会議員や関電との特別な関係があるからなのでは?

「影の町長だなんてないよ。嫉妬とかあっていろいろ言う人がいるようだが、何もないよ」

 森山氏は、関電や国会議員との「特別な関係」を否定していたが、金品の提供や国会議員との関係について、関電側は2日の会見や報告書で認めている。

 森山氏をよく知る高浜町の関係者はこう話す。

「森山氏は普段はいいおじいさんですわ。けど、ひとたび自分の思い通りにならないと豹変(ひょうへん)する。怒らせると本当に怖いですね。影の町長、フィクサーと言われるのは関電や国会議員との強力な関係があるからです。私も関電の社長だという人と森山氏のツーショット写真を見せられました。高浜町の元助役程度で関電の社長と会えるわけがない」

 ある野党幹部が話す。

「関電のスキャンダルが出てから、高木氏がなぜかアポもなく野党の控室にふらっと現れてびっくりした。普通、与党の大臣経験者がいくら議院運営委員長だからといって、野党の控室なんか来たりしませんよ。野党が何か探ってないか偵察にきたんじゃないか。関電スキャンダルと政治については今後、国会で追及したい」(今西憲之)


政界に飛び火 原発マネー“還流”で
関電が挙げた議員の名前
2019年10月3日:日刊ゲンダイ

 原発マネー“還流”が発覚した関西電力。20人の幹部らはなぜ福井・高浜町の元助役から3・2億円もの金品を受け取ったのか。2日の会見で示された調査報告書から読み取れる関電の意思は、「オレたちは被害者」である。他へ関心を向けさせるためか、元助役のバックに国会議員の存在があることまで示唆。問題は永田町に“飛び火”、炎上しかねない状況になってきた。

  ◇  ◇  ◇

「お前の家にダンプを突っ込ませる」「お前にも娘があるだろう。娘がかわいくないのか?」――。報告書には、高浜町元助役、森山栄治氏(今年3月に90歳で死去)が関電幹部らに浴びせたという“脅し文句”が随所に記載されていた。〈森山氏のあまりに激しい恫喝の影響もあって身体を悪くし半身不随になった〉人物までいたと記されている。
 関電幹部らが金品を返せなかったのは、そんな森山氏に怯えたからだと強調した。事実ならとんでもないが、死去した森山氏は反論できない。報道陣からは「誰が半身不随になったか確認したか」「発言は真実か」と質問が飛んだが、岩根茂樹社長は「あくまで伝聞」と言い切った。裏づけのない伝聞を公式な報告書に記載したわけだ。
 森山氏への“誹謗中傷”が繰り返される一方、関電自らの責任には頬かむり。森山氏に3億円の手数料を支払っていた高浜町の建設会社「吉田開発」は、関電発注の事業を一部請け負い、2013年に比べ18年の売り上げが6倍増。報告書には、関電側と森山氏との会食の場に同社関係者も同席し、その場で金品のやりとりがあったことまで記されている。“談合”現場と批判されても仕方ないが、岩根社長はあくまで「吉田開発とは健全な関係性」と弁明した。
稲田朋美幹事長代行との関係性に“焦点”
 八木誠会長、岩根社長ともに「悪いのは森山氏」と言わんばかりだったが、まずかったのは、報告書に〈森山氏は、高浜町、福井県庁、福井県議会および国会議員に広い人脈を有して(いた)〉と記載したことだ。
 森山氏のバックにいる大物をわざわざほのめかした格好だが、報道陣からはすぐさま「国会議員とは誰か」と質問が飛んだ。「森山氏が筆頭株主の警備会社『オーイング』の関連会社『アイビックス』の吉田(敏貢)社長が、稲田朋美衆院議員(福井1区)の後援会長だった。両社とも稲田議員に献金している」と事実を示した上で、今回の一件と稲田氏の関係性を追及したのだ。岩根社長は再度、「あくまで伝聞。固有名詞までは確認していない」とポツリ。

 そこで日刊ゲンダイも、稲田氏が代表を務める政党支部の収支報告書をチェックした。アイビックスからは11~13年に毎年36万円、15、16年に同12万円の献金を受け、オーイングからは11~13年で、毎年12万円を受領していた。
 アイビックスの吉田社長はオーイングの取締役も務めている。森山氏は安倍首相のお気に入りの稲田氏と深い関係にあるのか。

 稲田事務所によれば、吉田社長は、稲田氏の初当選後の早い時期から14年8月まで後援会連合会長を務めたという。稲田事務所に森山氏との面識などについても聞いたが、「出張中で分かる者がいない」ということだった。
「森山氏は生前『カネは渡すもんやない。投げ込むもんや』と周囲に話すほど強引ではある。だから、関電関係者は『我々は被害者だ』との意識が強い。行政や政治家にも責任があることをアピールし、自らの責任を薄めたい。だから報告書に『県庁』『国会議員』などと記載したのだろう」(福井県政関係者)

 政界への“飛び火”に今ごろ、安倍官邸は激怒しているに違いない。


仮病で議会休み豪華客船の旅
 楽しむ姿が新聞に…辞職へ
2019年10月4日:朝日新聞

 岡山県総社市の仲達(なかだち)幸弘市議(65)=共産、1期目=が8月、「入院手術」を理由に議会を欠席し、豪華客船による観光ツアーに出かけていたことがわかった。発覚を免れようと退院証明書などを偽造し、議長に示していた。4日、事実関係を認め、議長に辞職願を提出した。

 議会事務局によると、仲達市議は8月26日に欠席届を提出、同28日の本会議と30日の委員会に出なかった。仲達市議によると、27日から4日間の日程で、能登半島や佐渡島を巡るツアーに妻と参加したという。

 ツアーを企画した地元紙が9月5日付朝刊で、参加者らの様子を伝える特集記事を掲載。佐渡島の海岸で「たらい舟」に乗っている写真の男性が「仲達市議によく似ている」という声が市民から寄せられた。

 このため、加藤保博議長が同18日、仲達市議と面談し事情を聴いた。仲達市議は退院証明書や病院の領収書などを示して参加を否定したが、4日に議長を訪ね、証明書や領収書は自分が偽造したものと認めたという。同日、党県委員会の勧告に従って辞職願を提出した。

 同日、報道陣の取材に応じた仲達市議は「旅行のために休むと言えば、他の議員からも『けしからん』と言われるだろうし、うそをついた方がいいと考えた」「退院証明書は実際、直前まで入院していたので、その時のものを偽造した」と説明。「ごまかして、ごまかして何とかならないかと思ってしまった。考えが甘かった。新聞に写真が載るとは思わなかった。隠し事はできないなと思った」と話し、謝罪した。(菅野みゆき、榧場勇太)


今度は「虐殺」という暴言
 これ以上許してはならぬ
2019年10月2日:毎日新聞

 国会は直ちに厳しく対処すべきである。そうでないと日本はこうした暴言を容認していると国際社会から見なされかねない。
 NHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首が、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した対談で「あほみたいに子供を産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな」などと発言した問題だ。
 発展途上国の人々に対し「無計画に産むから(世界の人口が)増えている。この人たちを減らそうというのが戦争だ」とも語った。その後、「だからといって、そんなこと(虐殺)をしようとする人には大反対」と釈明したが、異様で異常な発言だと言っていい。
 国際刑事裁判所(ICC)は「他の者に対して集団殺害の実行を直接にかつ公然と扇動すること」は処罰の対象になると規定している。人種差別撤廃条約にも反する。
 立花氏は先の参院選で当選後、衆院から事実上の辞職勧告を受けた丸山穂高議員を入党させたことをはじめ、常軌を逸した言動を繰り返している。政党要件を満たした公党代表としての自覚が全く見られず、本来なら自ら議員辞職すべきだ。
 しかも立花氏は「批判された方が話題になる」と考えているようだ。実際、ユーチューブの閲覧者は相当数に上り、立花氏はそこで得た広告収入の多さを自賛している。そして先月末の東大阪市議選ではN国候補が1人当選し、立花氏に自信を与える結果となっている。
 一連の言動を面白おかしく報じてきた一部メディアにも責任がある。このためN国に関する報道はしない方がいいとの意見もあろう。しかし、だからといって見過ごすわけにはいかない段階に入っている。
 もう一つ、指摘したい点がある。政界、特に自民党はこうした発言に鈍感になっていないか。例えば麻生太郎副総理兼財務相は一昨年、大虐殺を生んだナチス・ドイツの独裁者、ヒトラーの動機は正しかったかのような発言をした。にもかかわらず、あわてて撤回した後には責任を問われることはなかった。
 まさか立花氏は憲法改正に賛成しそうだから自民党は容認するというわけではあるまい。4日から始まる国会の冒頭で処分を検討すべきだ。


(社説)
N国党首暴言 国会は厳しく対処せよ
2019年10月2日:朝日新聞

 民族差別を助長し、集団虐殺を容認するかのような言動は一線を越えており、国会議員としての資質を明らかに欠いていると言わざるを得ない。
 動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された、NHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首の対談中の発言である。
 立花氏は、戦争を防ぐには世界の人口を抑制する必要があるとの考えを示したうえで、そのためには「『アホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう』みたいな」「ある程度賢い人だけを生かしといて、後は虐殺して」などと語った。
 日本から途上国への教育支援にも疑問を呈し、「犬に教えるのは無理。犬に近い。世界中の人間には、それに近い人が圧倒的に多い」とも述べた。
 第2次大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺を教訓に、国連総会は1948年、集団殺害を国際法上の犯罪とし、防止と処罰を定めるジェノサイド条約を採択した。集団虐殺が許されないことは国際常識である。立花氏の発言は言語道断というほかない。
 立花氏は発言が報じられると、「反論」と題する動画を配信した。「どっかの国の人たちを殺してしまおうとか、そんなつもりはさらさらない」と釈明したが、撤回や謝罪はなく、「書いてくれることによって話題は尽きないので、それはそれで全然いい」と開き直った。
 受信料を払った人だけがNHKを視聴できるスクランブル放送の実現を訴えるN国は、7月の参院選の比例区で98万7千票余りを集めて1議席を獲得し、党首の立花氏が当選した。
 「NHKをぶっ壊す」など、過激な言動で耳目を集める立花氏の手法は「炎上商法」と指摘される。与野党の間には、その手には乗るまいということか、立花氏に対し及び腰の空気も漂う。しかし、公人として常軌を逸した今回の発言を、いつものことと見過ごしてはいけない。
 戦争による領土問題の解決を肯定するかのような発言をして、衆院で全会一致の「糾弾決議」を受けながら、議員辞職を拒み続ける丸山穂高衆院議員を招き入れたのも立花氏である。N国は参院選で政党要件を満たし、6900万円の政党交付金も配分される。党首の責任は厳しく問われるべきだ。
 選挙で選ばれた議員の地位が重いことは言うまでもない。しかし、日本の国会議員が集団虐殺を容認したと受け止められれば、国際社会に対しても誤ったメッセージとなり、国会全体の信頼を損ないかねない。ここは、与野党が一致して、立花氏に対し、厳しい意思を明確に示さなければならない。


成田市議会マイボトルNG、ペットボトルならOK
少数派議員 狙い撃ち?
視察や懇親会 古い体質批判
>>>時代に逆行していても「見た目悪いから」
2019年10月3日:東京新聞・こちら特報部

 国の旗振りでプラスチックごみを減らしていこうという時に「マイボトルはダメ。ペットボトルはOK」。千葉県成田市の市議会でこんな事態が起きている。議会側の説明は釈然としないが、マイボトルを使う議員はごくわずか。その人を狙い撃ちした格好だ。女性など目立つ少数派への「嫌がらせ」が各地で繰り返されている。今回も同じにおいが漂う。               (大野孝志、中沢佳子)

 「あんなことを言われたのは3期9年目で初めて。成田市議会委員会室で「マイボトル禁止」と言われた会津素子議員(41)=緑の党グリーンズジャパン=が振り返る。
 9月定例会の決算特別委員会。別の男性市議が机の上のマイボトルを指さして「それはダメだよ」と告げた。マイボトルを使っていたのは1人だけ。議会事務局に尋ねると「議会運営委員会(議運)で決まった」とのことだった。
 マイボトルは高さ10㌢ほどで、コップのように直接口をつけて飲むタイプ。控室でティーバックでお茶を入れて飲んでいた。4、5年以上愛用している。
 別の市議から「マイボトルはいろんな色があり、並ぶと見た目が悪い」と言われた議員もいる。会津氏は首をかしげる。「見た目でペットボトルはOK、マイボトルはNG?」
 議会事務局に経緯を取材すると、「見た目」が問題になったのは6年ほど前。委員会を傍聴した市民から「議員がペットボトルから直接飲むのは、みっともない」という苦情があり、紙コップに移して飲むようになった時だ。
 そもそも10年ほど前、委員会での女性職員の「お茶くみ」をなくそうと、議員が金を出し合っている「議員団」がペットボトルのお茶を買い、飲むようにした。今年4月の市議選後、飲み物についてのルールをまとめることにし、8月28日の議運で「議員団で買ったペットボトルのお茶などを、紙コップで飲む」と申し合わせた。
 新ルールの内容は、事務局の認識では「従来通り」ということになる。「飲み物の持ち込みについて」という書類では、委員会室は「可」で「原則として、議員団で用意した飲み物とする。紙コップは事務局で用意する。ペットボトルなどに直接、口を付けて飲まないこと」とある。マイボトルについては一言もない。
 「従来通り」なら、長年使ってきたマイボトルはOKのはず。口をつけて飲むのが「見た目が悪い」なら、マイボトルから紙コップに移せば良いだけだ。それとも「マイボトルは議員が金を出し合って買ったものでないからダメ」ということなのだろうか。
 他の議員の意見を聴こうと控室の議員を廻ろうとすると、ルールを理由に事務局に止められた。記者に代わって議員が議員が控室を回ったが、どの議員も「今言っちゃうと、ちょっと…」と口を閉ざした。
 成田市のペットボトル処理量は2018年に390㌧。4年前より40㌧増え、処理委託料は5000万円。会津氏は「廃プラスチックの問題が世界的に広がり、成田市でもペットボトル削減を呼び掛けているのに、マイボトルの禁止はおかしいのでは?」と語る。

とんでも地方議会
ヤジ発言、乳児同伴で処分、ネクタイ着用義務
>>>昔ながらの感覚 市民とずれ

 成田市は成田空港、成田山を抱え、観光客も多く訪れる。市役所の本庁舎も議会棟も寺院風の外観。本庁舎1階には台風15号の罹災証明書の申請窓口が設けられていた。
 市役所を訪ねた市内の会社員奥間信さん(35)は「そんなことで時間を使うんだったら、もっとほかにやることがあるでしょう」とマイボトル騒動に呆れる。男性会社員(25)は「世の流れとは逆ですね」。千葉県佐倉市から戸籍謄本を取りに訪れた大学生の女性(19)は「議員がマイボトルを持ち歩いて、環境の大切さを発信した方がいいと思う」と話した。
 会津氏は今回の騒動を「少数派いじめでは?」と疑う。何かうとまれるようなことはあったのか。
 考えられるのは、議員の懇親会のコンパニオン問題。会津氏は「なぜ女性にお酌させるのか、議員同士で注ぎ合えばいい」とコンパニオンを呼ばないよう求めていた。議員団として成田山に初詣し、祈祷料を出していることも「政教分離の点で問題」と指摘。今月行われる議員の海外視察には800万円の公費が使われていることも問題視した。
 会津氏は「成田は市議の意識が低い」と嘆く。だが、「『ダメな地方議会』で終わるのは不本意。政治不信にしかならない。ダメ議会を変えないと、社会も変わらない。市民は議会の監視を続け、政治をあきらめないでほしい」と願う。
 同様の不可解な騒動は他の議会でも起きている。記憶に新しいのは、2014年の都議会。晩婚化対策について質問している最中の女性都議に対し、自民党会派に所属していた男性都議が「早く結婚した方がいい」などとやじった。
 17年には、熊本市議会で女性議員が乳児を連れて議場に入り、厳重注意に。この市議は翌年に市議会で咳予防の「のどあめ」を舐めながら質問し、「議会の品位を落とした」と出席停止の厳しい処分も出た。
 また、愛知県新城市議会は14年、ブログなどで議員の情報発信を制限するルールを作ると決め、騒ぎになって見送った。発端は、ある男性市議の不適切な発言を若い男性市議が問題視し、自身のブログに取り上げたこと。それが「議会軽視」と問題にされた。
 1996年には青森県三沢市議会が、ノーネクタイ姿で議場入りする男性市議を「議会の品位を汚す」などと問題視し、「男性の議員は背広とネクタイの着用が義務」と服装規則を制定したこともある。この市議は発行人を務める地域新聞で、議会を巡る問題を取り上げていた。
 共通しているのは市民派や女性など「少数者議員」を標的にしていること。マイボトル騒動についても、東北大の河村和徳准教授(地方政治論)は「禁止の経緯も根拠も明示していない。特定の市議を狙い撃ちにしたと言われても仕方がない」との見方を示す。騒動の背景には「議会の品位」という不文律のルールがあるという。
 「このルールは昔ながらのあうんの呼吸で決められてきた。しかし、旧来のムラ社会の論理。多様性がある市民社会の感覚とずれ、通用しなくなっている」
 そして河村氏は「マイノリティや日本国籍取得者など、さまざまな人が議員になる時代。ルールは明文化し、検討過程も明らかにしなくては」と求める。「少数者の声も含めて丁寧に議論し、物事を決めるのが議会の存在意義。今回は答えが苦しく、熟慮して決定されたと思えない。民主主義の手続きとして稚拙だ」
 中央学院大の福島浩彦教授(地方自治)は「外形的な権威を整えるという見当はずれの権威主義と、何でも同じであることがいいと考える間違った美意識が根底にある」とマイボトル騒動について指摘する。
 福島氏は千葉県我孫子市の市議や市長を務めた。その経験から「議会とは議論の中身で支持を集めるものだ。多様な人が、多様な視点から地域の今後を話し合うのが本来の姿。多様性こそ大事なのに、同じであることを重視するのは感覚がずれている」と批判した。

デスクメモ
 プラごみ所管は環境省。大臣は小泉進次郎氏だ。成田市議会の騒動をクールでセクシーと感じるだろうか。ところで、国内大手メーカーのボトルを使って10年近く、軽さ、保温力、耐久性。「日本すごい」と胸を張れる逸品だ。空の玄関・成田には禁止より、PRを期待したい。           (裕)


安倍首相の所信表明 演説全文
2019年10月4日:毎日新聞

首相官邸に入る安倍晋三首相=首相官邸で2019年10月4日午前9時24分、川田雅浩撮影

 安倍晋三首相は4日、同日召集された第200臨時国会で所信表明演説を行った。演説内容は以下の通り
第200回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説
令和元年10月4日

1 はじめに

第200回国会に当たり、所信を申し上げます。
 日本国憲法の下、第1回の国会、初の国会が開かれた昭和22年、戦争で全てを失った我が国は、いまだ、塗炭の苦しみの中にありました。
 しかし、この議場に集った先人たちのまなざしは、ただ未来にのみ向けられていた。ひたすらにこの国の未来を信じ、大きな責任感の下に議論を重ね、そして、力強い復興を成し遂げました。高度成長を実現し、平和で豊かな日本を、今を生きる私たちに引き渡してくれました。
 70年以上にわたる先人たちの歩みに、心から敬意を表します。
 本年5月、天皇陛下がご即位されました。即位礼正殿の儀をはじめとする各式典がつつがなく、国民がこぞって寿(ことほ)ぐ中で行われるよう、内閣を挙げて準備を進めてまいります。
 昭和、平成、そして令和。70年余りの間に、世の中は、世界は、一変しました。新しい時代を迎え、その変化のスピードはますます加速していくことでしょう。
 そうした中にあっても、先人たちから受け継いだ、我が国の平和と繁栄は、必ずや守り抜いていく。そして、新しい令和の時代にふさわしい、希望にあふれ、誇りある日本を創り上げ、次の世代へと引き渡していく。その責任を、皆さん、共に、果たしていこうではありませんか。

2 1億総活躍社会

(教育無償化)

 最大の挑戦は、急速に進む少子高齢化です。
 今月、3歳から5歳までの全ての子どもたちの幼児教育、保育の無償化が実現しました。小学校、中学校9年間の普通教育無償化以来、70年ぶりの大改革です。来年4月からは、真に必要な子どもたちの高等教育も無償化いたします。
 子育て世代の負担を減らします。そして、子どもたちの誰もが、家庭の経済状況に関わらず、自らの夢に向かって頑張ることができる。そうした社会を創り上げます。国難とも呼ぶべき少子化に真正面から立ち向かってまいります。

(1億総活躍社会)

 15年前、一人のALS患者の方にお会いしました。
 「人間どんな姿になろうとも、人生をエンジョイできる」
 全身がまひしていても弾くことができるギターを自ら開発。演奏会にも伺いましたが、バンド活動に打ち込んでおられます。更には、介護サービス事業の経営にも携わる。その多彩な活動ぶりを、長年、目の当たりにしてきました。
 令和になって初めての国政選挙での、舩後靖彦さんの当選を、友人として、心よりお祝い申し上げます。
 障害や難病のある方々が、仕事でも、地域でも、その個性を発揮して、いきいきと活躍できる、令和の時代を創り上げるため、国政の場で、共に、力を合わせていきたいと考えております。
 令和を迎えた今こそ、新しい国創りを進める時。これまでの発想にとらわれることなく、次なる時代を切り開いていくべきです。
 かつて採られた施設入所政策の下、ハンセン病の患者・元患者のご家族の皆様に、極めて厳しい偏見、差別が存在したことは、厳然たる事実です。そのことを率直に認め、訴訟への参加・不参加を問わず、新たな補償の措置を早急に実施します。差別、偏見の根絶に向けて、政府一丸となって全力を尽くします。
 「みんなちがって、みんないい」
 新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムの在り方を、根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を生かすことができる。そうした社会を創ることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。
 若者もお年寄りも、女性や男性も、障害や難病のある方も、更には、一度失敗した方も、誰もが、思う存分その能力を発揮できる、1億総活躍社会を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。

(全世代型社会保障)

 1億総活躍社会の完成に向かって、多様な学び、多様な働き方、そして多様なライフスタイルに応じて安心できる社会保障制度。三つの改革に、安倍内閣は果敢に挑戦いたします。
 65歳を超えて働きたい。8割の方がそう願っておられます。高齢者の皆さんの雇用は、この6年間で、新たに250万人増えました。その豊富な経験や知恵は、日本社会の大きな財産です。
 意欲ある高齢者の皆さんに70歳までの就業機会を確保します。いつまでも健康でいられるよう、予防にも重点を置いた医療や介護の充実を進めます。同一労働同一賃金によって正規・非正規の壁がなくなる中で、厚生年金の適用範囲を拡大し、老後の安心を確保します。
 年金、医療、介護、労働など社会保障全般にわたって、人生100年時代を見据えた改革を果断に進めます。令和の時代にふさわしい、子どもからお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障制度を、大胆に構想してまいります。

3 地方創生

(成長戦略)

 先般の年金財政検証では、アベノミクスによって支え手が500万人増えた結果、将来の年金給付に係る所得代替率が、改善いたしました。安定した社会保障の基盤、それは、強い経済であります。
 正社員は130万人増えました。1人の正社員になりたい人に対し、一つ以上の正社員の仕事がある、という、雇用情勢の改善が、2年間、継続しています。
 この機を生かし、バブル崩壊により就職難で苦労した方々への、就労支援を拡大します。就職氷河期世代の皆さんの意欲、経験、能力を生かしていく。チャンスを広げることで、日本経済の次なる成長につなげてまいります。
 政権発足後、強力にコーポレートガバナンス改革を進めた結果、日本企業に対する海外からの直接投資残高は、5年連続で過去最高を更新し、10兆円以上増加しました。
 会社法を改正し、全ての大企業に社外取締役の選任を義務付けます。グローバルスタンダードに沿って、経営の透明性を一層高めることで、海外から成長の活力を取り込んでまいります。

(農産物輸出)

 ベトナムやシンガポールでは、最近、日本の粉ミルクが人気です。世界に目を向けることで、安全で安心な日本の農産物に、もっと大きな可能性が広がります。
 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、EU(欧州連合)との経済連携協定によって、牛乳や乳製品の輸出は2割以上増加しました。ヨーロッパへの牛肉輸出は3割上昇しています。
 あらゆる農産品に、世界に羽ばたくチャンスが訪れています。全国津々浦々、それぞれの地方が誇る農林水産物の輸出を更に加速します。農産品輸出拡大法を制定し、各国の輸入規制緩和に向けた働きかけをオールジャパンで進めます。

(災害に強い故郷<ふるさと>づくり)

 昨年度、福島の農産品輸出は、震災前から4割近く増加し、過去最高となりました。外交努力により規制が撤廃されたマレーシアやタイへの桃の輸出が好調です。
 これまでに32の国と地域で規制の完全撤廃が実現いたしました。引き続き、風評被害の払拭(ふっしょく)に全力で取り組み、東北の復興を加速してまいります。
 各省庁の縦割りを排して、徹底した現場主義を貫き、政治の責任とリーダーシップの下、福島の再生、東北の復興に取り組んでいく。これは復興・創生期間後も変わることはありません。そのための司令塔となる復興庁の後継組織を設け、復興に全力を尽くします。
 今年も、全国各地で、地震、集中豪雨、記録的な暴風などにより自然災害が相次ぎました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 台風15号による大規模停電では、多くの方々の生活に甚大な影響が出ました。今回の対応を徹底的に検証します。災害時における復旧の加速化、電力インフラ維持の方策について検討し、速やかに対策を講じます。
 復旧・復興を全力で支えるとともに、3年間集中の防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の緊急対策を着実に実行することで、災害に強い故郷づくりを進めてまいります。
 各地で発生が続く豚コレラについて、ワクチン接種をはじめ、あらゆる対策を総動員して、一刻も早い終息に努めます。

(中小・小規模事業者)

 地方への外国人観光客は、この6年で4倍を超えました。観光は、地方の新たな活力です。地方でも商業地の地価が28年ぶりに上昇に転じるなど、地方経済に活気が生まれています。
 海外で急速にキャッシュレス決済が普及する中、日本を訪れる外国人観光客の7割が、キャッシュレスがあればもっとお金を多く使ったと回答しています。大胆なポイント還元により、キャッシュレス化を進め、インバウンド消費の拡大を通じて、全国の中小・小規模事業者の皆さんの成長へとつなげます。
 下請け取引の適正化を、引き続き強力に進めます。近年の下請けいじめの実態を踏まえた新たな振興基準の順守を大企業に徹底します。
 一度失敗すると全てを失ってしまう個人保証の慣行を断ち切ります。事業承継の際には、先代経営者と後継者からの二重取りを原則禁止するなど、次の世代に個人保証を引き継ぐことのないよう、あらゆる施策を講じてまいります。

(経済最優先)

 これからも、安倍内閣は経済最優先です。
 消費税率引き上げによる影響には、引き続き十分に目配りしてまいります。教育の無償化に加え、軽減税率、プレミアム商品券の発行、更には、自動車や住宅への大胆な減税など十二分の対策を講じ、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えすることで、経済の好循環を確保してまいります。
 米中間の貿易摩擦、英国のEUからの離脱など、不透明さを増す世界経済の先行きにも、しっかりと注視してまいります。下振れリスクが顕在化する場合には、ちゅうちょすることなく、機動的かつ万全の対策を講じ、経済の成長軌道を確かなものとします。

4 外交・安全保障

(自由貿易の旗手)

 「下方リスクから守るために、全ての政策手段を用いる、との、我々のコミットメントを再確認する」
 大阪サミットでは、G20(主要20カ国・地域)の全ての国が、世界の持続的な成長を実現するため、協調していくことで一致しました。
 懸案の貿易摩擦についても、自由、公正、無差別など、自由貿易の基本原則を、首脳たちと明確に確認することができました。
 我が国は、これからも、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済圏を、世界へと広げてまいります。
 ASEAN(東南アジア諸国連合)に中国、インド、豪州などを加えたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)について、関税引き下げにとどまることなく、知的財産や電子商取引など21世紀の経済ルールを含めた野心的なものとなるよう、交渉を進めてまいります。
 日米の貿易協定が合意に至りました。昨年9月の日米共同声明に沿って、日米双方にウィンウィンとなる結論を得ることができました。それでもなお残る農家の皆さんの不安にもしっかり向き合い、引き続き、生産基盤の強化など十分な対策を講じます。

(地球儀を俯瞰<ふかん>する外交)

 日米同盟を基軸としながら、我が国は、英国、フランス、豪州、インドなど基本的な価値を共有する国々と手を携え、自由で開かれたインド太平洋を実現してまいります。
 沖縄の基地負担軽減に引き続き取り組みます。普天間飛行場の全面返還に向けて、辺野古への移設を進めます。昨年度の牧港補給地区に続き、今年度末に予定されるキャンプ瑞慶覧の一部返還に向けて準備を進めます。沖縄の皆さんの心に寄り添いながら、一つひとつ、確実に結果を出してまいります。
 現下の北朝鮮情勢については、米国と緊密に連携し、国際社会と協力しながら、国民の安全確保に万全を期します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、私自身が、条件を付けずに、金正恩委員長と向き合う決意です。冷静な分析の上に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
 日中新時代を切り開きます。来年の桜の咲く頃に、習近平国家主席を国賓としてお迎えし、首脳間の往来だけでなく、経済交流、青少年交流など、あらゆるレベルでの交流を拡大し、日中関係を新たな段階へ押し上げてまいります。
 北方四島での共同経済活動が動き始めました。航空機によるお墓参りは3年連続で実現し、長門合意は着実に前進しています。領土問題を解決して、平和条約を締結する。1956年宣言を基礎として、交渉を次の次元へと進め、日露関係の大きな可能性を開花させてまいります。
 韓国は、重要な隣国であります。国際法に基づき、国と国との約束を順守することを求めたいと思います。

(新たな時代のルールづくり)

 海洋プラスチックごみが、国際的に大きな課題となっています。大阪サミットにおいて、新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す、新しいビジョンを共有いたしました。
 その実現に向けた具体的な実施枠組みにも、G20として合意しました。新興国も含めた世界全体での取り組みを、日本として、これからも、後押ししてまいります。
 第4次産業革命が急速に進む時代において、新たな付加価値の源泉はデジタルデータです。
 G20サミットでは、トランプ大統領や習近平国家主席をはじめ各国首脳が参加する中、WTO(世界貿易機関)の屋根の下、「大阪トラック」を立ち上げました。信頼性を確保しながら、国境を越えたデータの自由な流通を確保する。その大きな原則を掲げ、国際的なルールづくりを主導していきます。
 これからも、あらゆる分野で、新しい時代の世界のルールづくりを、日本が、力強くリードしてまいります。

5 おわりに

 「提案の進展を、全米1200万の有色の人々が注目している」
 100年前、米国のアフロ・アメリカン紙は、パリ講和会議における日本の提案について、こう記しました。
 1000万人もの戦死者を出した悲惨な戦争を経て、どういう世界を創っていくのか。新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は「人種平等」を掲げました。
 世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は、各国の強い反対にさらされました。しかし、決してひるむことはなかった。各国の代表団を前に、日本全権代表の牧野伸顕は、毅然(きぜん)として、こう述べました。
 「困難な現状にあることは認識しているが、決して乗り越えられないものではない」
 日本が掲げた大いなる理想は、世紀を超えて、今、国際人権規約をはじめ国際社会の基本原則となっています。
 今を生きる私たちもまた、令和の新しい時代、その先の未来を見据えながら、この国の目指す形、その理想をしっかりと掲げるべき時です。
 現状に甘んずることなく、未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革していく。令和の時代の新しい国創りを、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。
 その道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか。私たち国会議員が200回に及ぶその歴史の上に、しっかりと議論していく。皆さん、国民への責任を果たそうではありませんか。
 ご清聴ありがとうございました。


安倍首相の所信表明
 これでは議論が深まらぬ
2019年10月5日:毎日新聞

 3カ月以上も「夏休み」をとっていた国会がようやく開会し、安倍晋三首相が所信表明演説を行った。
 参院選を乗り切り、消費税率を10%に引き上げたうえで、残る2年の自民党総裁任期で首相は何を成し遂げようとしているのか。意欲的な説明が聞けるかと期待したが、率直に言って拍子抜けだった。
 急速に進む少子高齢化への対応を「最大の挑戦」と位置づけたのは理解できる。しかし、首相の唱える「全世代型社会保障」の具体像どころか、新たに設けた検討会議の見通しすら示さなかった。国民の将来不安に応える姿勢とは言い難い。
 首相は4月以降、衆参両院予算委員会の審議に応じていない。内政・外交の幅広いテーマについて国会で説明するのは半年ぶりだ。
 この夏は集中豪雨や台風による災害が相次ぎ、危機管理や復旧・復興のあり方が問われている。
 外交では、日米貿易交渉の合意内容に対し、一方的に譲歩を強いられたのではないかとの不安が国内にある。「双方にウィンウィン」と言うだけでは納得は得られまい。
 ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は東アジア地域の大きな脅威となっている。それに触れずに日朝首脳会談への意欲を語ったのも解せない。
 加えて、過去最悪と言われる韓国との関係が日米韓の安全保障協力に影を落としている。短行の冷淡な言及で済ませてよい問題ではない。
 国会の冒頭に首相が行う演説は、与野党に議論の素材を提供し、政府の政策に対する国民の理解を深めてもらう意味を持つ。今回の演説内容はあまりにも表層的で、これでは肝心の議論もおぼつかない。
 そもそも国会が国民への説明責任を果たす場だという認識が首相には欠けているように思える。
 首相は演説の最後で憲法に触れ、憲法審査会の議論を進めるのが「国民への責任」だと与野党に呼びかけた。懸案の説明には後ろ向きでいながら、宿願の憲法改正への協力は求めるというのではご都合主義だ。
 「安倍1強」体制のもと、国会の空洞化が指摘されて久しい。その反省から今国会では旧民進党勢力が統一会派を組んで政権と対峙(たいじ)する。与野党論戦の緊張を取り戻し、国会の復権につながることを望む。

コメント

こん

陳腐な…
昨日(10月6日)、「あいちトリエンナーレ2019 国際フォーラム」に参加して「表現の自由」、「現代の美術」「検閲問題」などについて考えた。フォーラムのテーマは「『情の時代』における表現の自由と芸術」。検閲と脅迫で企画展「『表現の不自由展』その後」が中止された事件の前からの企画で、この事件に触れつつも、「情」「検閲」「表現の自由」「現代美術」をカギとしたプレゼンテーションが行われた。一つ一つが具体的で当事者意識を踏まえたプレゼンだった。近日中にユーチューブで字幕付きの記録が公開されるというので、是非ご覧いただきたい。
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