あまりに不毛な国民不在の政策が続く

50年前、ボクが中学生のころ「国民総背番後制度」(1970)が言われて大きな反対の声が上がった。まだ、ITもPCも身近でなく、現在ほど国民識別番号の意味は大きくなかっただろうが、政府は国民管理と監視のため、その記かを狙っていた…。その後も「住基ネットワークシステム」の住基ネットカードなど、失敗を積み重ねつつ、辿り着いたのが「マイナンバー制度」制度だった。
しかし、マイナンバーカードは普及していない。持つ意味のないカードが普及するはずがない…、ということでマイナンバーカードを持つとメリットがあるとキャンペーンに躍起だ。
健康保険、障害者手帳などなどの代わりになると言われても、1枚のカードに集約されることの方が不安で、とても持つ気になれない。ポイントカードもボクは増やさない。小さなメリットにつられて、国に管理されるようで嫌だからだ。


マイナンバーカード 普及に躍起
需要ないのに
豊橋市職員出退勤記録に導入
2019年9月23日:東京新聞・こちら特報部

 12ケタの個人番号、住所、顔写真などが記録されたマイナンバーカードを普及させようと、国は2020年度の概算要求に多額の経費を計上した。健康保険証や職員証、学生証として使えるよう検討し、消費増税後の活性化策での利用も画策する。ただ、カードの普及率はわずか14%。これほど不人気なのに、半ば強制的とも言えるやり方で押しつけて問題はないのか。            (大野孝志、坂田奈央)

 「これ、職員証にICチップを入れれば済む話じゃありません?」。愛知県豊橋市職員労組の伊藤英一委員長(53)が、市役所本庁舎通用口にある職員の出退勤管理システムを見ながら苦笑いした。
 駅改札でのICカードのように端末にマイナンバーカードをかざすと、役所のコンピューターに出退勤時刻が記録される。1月に始め、本庁舎勤務の職員の6割がカードを持っている。ICチップがない職員証が別にあり、カードは出退勤管理のためだけに持ち歩いている。
 システムは昨年2月、佐原光一市長が市議会で導入を表明した。市は「働き方改革の推進とともに、カード普及にもつなげる」と説明。導入にかかった2600万円の半額程度を国の交付金で賄った。議員からは「非常にプライバシーの強いカード」「全職員が取らなくてはいけないのは疑問。強制することのないように」との指摘があった。

職員証で十分▪人事評価に影響懸念

 カードを取得したかどうか、つまり市の言うことを聞いたかどうかが、職員の人事と関連付けられる恐れもある。職員労組は市に、カード取得を強制せず、人事評価にも反映させないよう求めた。市は労組との協議に応じるとしつつ、「カード取得への理解を得るよう努めていきたい」と答えるにとどまった。
 通用口にはカードを持っていない職員のために、従来のタイムカードも残る。伊藤委員長は「出退勤管理は過労死対策として良いシステムだけど、なぜマイナンバーカードでなければならないのか」と疑問を呈した。
 区には「デジタル・キャンパス」化の一環として、大学の職員証や学生証でのマイナンバーカード活用も進める。しかし、多くの大学がICチップ入りの身分証をすでに導入しており、カードに換えるメリットは見当たらない。
 身分証として使うにはカードに新たな機能を入れる必要があり、その作業に時間がかかる。新入生や留学生にも迅速に行き渡るのか、紛失した場合はどうするのかなど、面倒な問題が残る。完成するまでの間に使う「仮カード」を発行するとしたら、二度手間になる。既存の職員証と学生証で十分だろう。
 昨年10月の内閣府の調査では、カードを持たない理由として「必要性を感じられない」が57・6%を占めた。

健康保険証・確定申告・お薬手帳・障害者手帳…
進む一体化 公務員は半強制
あの手この手
「高齢者の紛失危険」「壮大な無駄」

 「2020年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保持していることを想定」。菅義偉官房長官を議長とするデジタル・ガバメント閣僚会議が6月4日に示した「普及促進等のポイント」に、そう明記されている。この会議を機に、カード普及に前のめりになる国の姿勢が急速に表れ始めた。
 21年3月に、カードを健康保険証として使えるようにする予定。年末調整や確定申告書類の入力、教育訓練給付金の電子申請、お薬手帳や教員免許状、運転経歴証明書、障害者手帳との一体化も想定する。
 今月公表した普及への工程表では、消費増税に伴う還元策として、カードを持つ人に買い物用ポイント「マイナポイント」を国費で上乗せする方針を打ち出した。スマートフォン向けの民間のキャッシュレス決済サービスで入金(チャージ)をする際、「20000円なら25%の5000円分を付加する方向で検討中だ。
 さらにカードの申請機会を増やそうと、役所に加えてハローワーク、税務署、運転免許センター、病院・介護施設、大規模商業施設、学校の入学式・運動会、郵便局などで受け付けるようにする。
 工程表では、来年3月までに公務員の一斉取得を推進するとしている。総務省などは各省庁、自治体に依頼を出すとともに、職員とその家族の取得状況の報告を求めた。共済組合には職員らの氏名、住所を印字したカード交付申請書と申請用の封筒を、職場を通じて配るよう求める徹底ぶりだ。
 関係者によれば、このお達しは異例の速さで伝わった。閣僚会議が方針を出してから、自治体の人事担当課や共済組合の全国組織などを通じ、各共済組合に連絡が送られるまで、わずか2日だった。「拒否できない状況が作り出される」と、自治労連は一斉取得を押しつけないよう求めた。総務省の担当者は「あくまでも『勧奨』。強制ではない」と主張する。
 ただ、現場は創は受け取っていない。公立学校共済組合本部が7月に加盟組合に送った連絡には「文部科学省からの依頼に基づき、公立学校教職員のカード取得推進に取り組む」「8月を『マイナンバーカード月間』と位置付けた」と、まるで「営業担当者」かのような文言があった。
 一方、カードを落とすなどしてマイナンバーを他人に知られたらどんな危険あるのか、内閣官房番号制度推進室に尋ねても判然としない。「カードには顔写真が入っており、利用する際は暗証番号が必要。悪用すれば法で罰せられる。紛失や盗難はクレジットカードの方が怖い」としながらも、「何に使われるか分からないから、マイナンバーを他人に知らせないに越したことはない」との答えが返ってきた。
 全国保険医団体連合会(保団連)は「医療機関を利用する機会が多い高齢者がカードを紛失したり盗まれたりする恐れが大きい」と懸念する。「健康保険証でのオンライン資格確認のシステム作りも進んでおり、カードの必要性は乏しい」(担当者)
 元大阪府松原市職労書記長で自治体情報政策研究所の黒田充さんは「自治体のIT政策で一貫しているのは、住民を主権者としては見ていないということ。ほとんどの住民は個人情報が役所の中でどう使われているのか知らないのではないか」と主張。強引に普及を急ぐ国の姿勢を「このままではカード取得率は絶対に伸びない。こうするしかないという判断があったのだろう」と推測する。
 マイナンバー制度に詳しい清水勉弁護士は「現場は必要としていないのに圧力をかけ、壮大な無駄遣いをしようとしている。お金と携わる人間の労力の無駄。いろいろな意味でマイナスしかない」と強調した。

デスクメモ
 引っ越しの時に役所でマイナンバーの提示を求められた経験はあっても、カードが必要と感じたことは一度もない。普及率14%の裏を返せば、86%の人には不要だということ。いったん始めた事業はなかなかやめないのが役所だとしても、いいかげん、この現実を直視してほしい。          (千)


マイナンバー制度担う「情報システム機構」
総務省から出向 巨費投入
政府が普及策 機構は大量発注
個人情報・権限が集中「独立性ないと抑制きかない」
2019年9月27日:東京新聞・ニュースの追跡

 国内の全住民に割り振られたマイナンバーの違憲性を問う訴訟で、横浜地裁は26日、神奈川県の住民ら230人の請求を棄却した。同様の訴訟が他の7地裁で続く中、政府はマイナンバー制度を推し進め、マイナンバーカード普及のため来年度予算に2100億円を概算要求している。その実務を担うのは、総務省から出向者らが役員を務める団体だ。

 「訴訟当事者でないのでコメントを控えたい」。26日の判決への受け止めを、「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」の広報担当者に問うと、戸惑いを隠せなかった。
 機構は市区町村など地方公共団体が共同で運営する地方共同法人として、2014年4月に設立された。東慢枚の京都千代田区の全国町村議員会館にある。前身は住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を管理運営していた財団法人「地方自治情報センター」で、その設立から数えると本年度は50年目となる。
 公表資料や機構の説明などによると、主な業務はマイナンバーや顔写真、氏名、住所、生年月日を記録したマイナンバーカードの発行、関連のシステム開発と運用などで、制度の中核を担う。マイナンバーの運用が始まった16年1月には、カード情報の管理システムに6回にわたって障害が起き、カード交付ができなくなったこともある。
 機構の職員数は233人。これまでに総務省からの出向者6人が役員を務めている。副理事長は代々、総務省からの出向ポストとなっている。現在の篠原俊博副理事長は地方行政やマイナンバー制度、地方公務員制度などが担当の総務省大臣官房審議官だった。現在の菅原泰治理事も総務省消防庁審議官を務めていた。機構の支給基準によると、副理事長の給与は月給960000円、理事は810000円、非常勤理事や監事には、佐賀県、東京都三鷹市、福岡県粕屋市、千葉県の職員経験者が就いている。
 マイナンバーカードは市区町村が機構に委託して発行する。総務省は来年度予算に、委任経費として840億円を概算要求した。巨額の公費が市区町村を経由して機構に入る。
 カードは現在、普及率が14%にすぎない。だが、機構は6月、「個人番号カード用ICカード製造業務等」として5500万枚の入札公告を出した。現在の発行枚数1784万枚の3倍に上る発注だ。
 入札公告の8日前、政府の「デジタルガバメント閣僚会議」がカードの普及策を打ち出していた。23年3月にほとんどの住民がカードを持っていることを前提に、21年3月には健康保険証として使えるようにする予定。それを見据え、全公務員に対し、本年度中に一斉取得するよう促している。機構は政府に歩調を合わせるように大量発注していた。
 住基ネットのころからマイナンバー制度の問題点を訴えてきた水永誠二弁護士は「カード発行に必要な番号や顔写真、個人情報だけでなく、ネット上で行政手続きをするための公的個人認証の情報が機構一つに集まり、権限が集中している点に問題意識を持たないといけない」と警戒を呼び掛ける。
 その機構の幹部に総務省からの人材が送られている点については「マイナンバー制度のセンター的な役割を果たす所が、総務省から完全に独立していないと、監督と抑制が利かず、恐ろしいことになる。地方公共団体が共同で運営する組織というが、実際は、役員への出向で総務省の下請けになってしまっている」と指摘した。


消費増税の夜、歌舞伎町を歩く
 「年収数億円の人と…」
2019年10月1日:朝日新聞

 10月1日、消費税率が8%から10%へと引き上げられた。2014年4月以来、5年半ぶりのその瞬間を観察しようと、記者たちが前日深夜に向かったのは東京・新宿。眠らない街のシンボル、歌舞伎町に集う人びとは、そのときをどう迎え、何を買い求めたのでしょうか。

23:30@居酒屋 「10%の時間になっても飲む」

 「税率8%でのラストオーダーの時間です。ここでいったんお会計させていただき、このあとご注文いただくと税率が10%となりますので、よろしくお願いいたします」
 9月30日午後11時半、居酒屋「養老乃瀧」歌舞伎町店では、税率8%での注文が締め切られた。24時間営業の同店では、1日午前0時以降の注文から税率が10%になる。
 友人2人と来店した東京都豊島区の団体職員の女性(27)は「わあ、最後の8%や」とあわててワインを注文した。「店員さんが声をかけてくれて助かった。久々に友人と会ったので、10%の時間になっても飲んでいこうと思う」
 1日午前0時に税率が10%に切り替わって10分後、男性2人が来店した。席に着くと緑茶ハイや焼酎、冷ややっこなどを注文。自営業の男性(34)は「税率が10%になるのは分かっていました。税金が上がるのは仕方のない面があるけど、政府にはその使い道や効果をしっかり国民に説明してほしい」と話した。
 200メートルほど離れた居酒屋「一軒め酒場」西武新宿駅前店は、会社員や大学生らで満席に近いにぎわい。月1回ほど来店するという会社員の小林雅彦さん(54)は「2%上がるだけなので、まあいいかな。ただ、負担感を実際に感じるのは、これからかもしれませんが」。
 低価格が売りの同店は、生ビール中ジョッキが税抜き390円、食べ物も95~350円。1人あたりの客単価は1600円ほどという。運営会社の広報担当者は「安い価格帯のメニューは増税で割高感が生じるかもしれない。8%に上がった前回もしばらくは売り上げに影響が出た。増税という言葉自体がネガティブワードなので、消費意欲を減退させるかもしれない」と気をもむ。
 同店も24時間営業だが、この夜は日付が変わった時点でいったん店を閉めた。店の壁に貼られた商品名と価格が表記された短冊数百枚を取りかえたり、レジを10%に対応するように更新したりする作業に追われた。午前8時の再オープンから、税率は10%だ。

23:00@ネットカフェ 「メリットなんてあるのかな」

 赤や緑――。色とりどりのネオンがきらきらと光り輝く新宿・歌舞伎町。店の呼び込みを尻目に、赤ら顔の人や肩を抱き合って歩く観光客、割り増しのタクシーが行き交う。
 増税前の最後の夜、30日午後11時。契約社員の宮城あやさん(34)は、いつものように寝泊まりをしている歌舞伎町のネットカフェに帰ってきた。
 イベント関係の派遣社員。埼玉・大宮、千葉・幕張、水戸など日々違う場所で働くため、平日は交通の便がよい歌舞伎町のネットカフェに宿泊しているという。新小岩にある家に帰るのは、週末だけだ。
 派遣社員として稼ぐのは月10万円。それでも暮らしていけるのは、スロットで月10万円ほどを稼ぐから。月に1万円を貯金するのが「理想」だ。
 消費増税に関しては憤りを感じている。「年収数億円の人と100万円台の人が同じ税金を払うなんておかしい」。とりわけ、生理用品など生活必需品の値上が納得がいかない。「ますます財布のひもが固くなる。メリットなんてあるのかな」
 12、3年前に沖縄県から上京。派遣社員として三つの会社に登録、1カ月に2度しか休まない時期もあった。3年前には肺炎にかかり、2週間ほど隔離入院させられ、病院に40万円を支払うことになった。20万円の貯金では工面できず、友人に借りた。
 「いつまであちこち働きに行けるかわからない。これから老いていく。ずっとこんな生活できない。貯蓄しておかないと怖いです」(関口佳代子)


消費税10% 社会保障支える重要な財源だ
2019年10月1日:読売新聞

◆軽減税率を円滑に浸透させたい◆

 消費税率が5年半ぶりに引き上げられ、8%から10%になった。
 社会保障制度を安定させ、財政健全化を進めるためには欠かせない増税である。得られる新たな財源を、国民の将来不安の軽減に生かさなければならない。

 ◆将来世代にツケ回すな

 少子高齢化の進展に合わせて、社会保障費は着実に増えていく。これを支えるには、毎年安定した税収が見込める税が望ましい。
 だが、法人税は、企業業績の浮き沈みによって増減する。所得税も賃金や雇用に連動するため、景気が悪化すれば大きく減る。
 こうした税に比べて、消費税には税収が景気に左右されにくい特長がある。生活を維持するため、一定の消費が必要だからだ。
 消費税は公平性も高い。所得税は、働く現役世代を中心に課税するのに対し、高齢者を含め商品やサービスを購入する人から幅広く徴収するためだ。
 安倍内閣は、現役世代への支援を手厚くする「全世代型社会保障」の実現を主要政策に掲げている。
 負担を現役世代にしわ寄せしないためにも、消費税の活用が重要である。
 今回の引き上げで税収は約4・6兆円増える。このうち約2・8兆円を社会保障の充実などにあて、残りは財政再建に使う。
 国の借金は1000兆円を超える。債務残高の国内総生産(GDP)比は主要国で最悪水準だ。将来世代へのツケ回しを避けるためにも、財政の立て直しは急務である。政府は消費税の重要性を丁寧に国民に説明するべきだ。

 ◆一段の引き上げ論じよ

 民主党政権時代の3党合意で成立した社会保障と税の一体改革関連法で、消費税の段階的引き上げが決まった。2014年4月に5%から8%に、15年10月には10%になる予定だった。
 安倍内閣は、14年は予定通り増税をしたが、その後は景気に配慮して2度、引き上げを先送りした。厳しい社会保障の財政事情を考えれば、ようやく税率10%にこぎ着けた意義は大きい。
 増税は、国民に不人気な政策である。特に、消費税は身近な税だけに反発が起きやすい。税率の引き上げを任期中に2度も行った安倍首相の決断を評価したい。
 ただ、先の参院選で、さらなる増税について「今後10年くらいは必要ない」と発言したのは残念だ。団塊世代が後期高齢者になる22年度以降、医療、介護など社会保障費の急増が見込まれている。
 今後、社会保障制度の改革論議が本格化する。国民に痛みを求める給付の切り下げなどが焦点となるが、それには限界があろう。10%の先の税率引き上げに関する議論を、封印するべきではない。
 景気には、しっかりと目を配りたい。前回の14年の引き上げ時には、駆け込み需要の反動減で個人消費が失速した。二の舞いは避けなければならない。

 ◆景気動向に目配りを

 税率の引き上げ幅は前回より小さいが、油断は禁物だろう。政府は、幼児教育無償化や軽減税率などを実施する。減税や公共投資、中小店でのキャッシュレス決済を対象としたポイント還元制度などの経済対策も講じる。
 施策の効果を浸透させ、円滑に乗り切ることが大切になる。
 初めて導入される軽減税率は、外食や酒類を除く飲食料品と、定期購読される新聞の税率を8%に据え置くものだ。
 消費税には、所得が低い人ほど負担感が大きくなる「逆進性」があるとされる。軽減税率には、生活必需品の税率を低くして痛税感を和らげる効果が期待できる。
 軽減税率は世界各国で導入されている。欧州では、標準税率は20%前後だが、生活必需品は1桁の税率にとどめる国が多い。
 日本でも、税率がさらに上がっていけば、軽減税率が痛税感を和らげる効果は一段と増そう。
 来年6月までのポイント還元制度により、実質的な税負担が3%から10%まで、5種類も併存する点には注意が要る。消費者が戸惑い、店頭などで混乱が起きかねない。キャッシュレスに不慣れな高齢者らの不満も懸念される。
 政府は、周知徹底とトラブル防止に万全を期してもらいたい。
 新聞は、欧州などで軽減税率の対象となっている。民主主義や活字文化を支える公共財だとの認識が広く定着しているからだ。
 日本でも、初めて新聞に軽減税率が適用される。正確な報道と責任ある言論を貫き、国民の知る権利に応えるとともに、豊かな文化の醸成に貢献していく。


【主張】
令和初の防衛白書 「GDP1%」で守れるか
2019年9月29日:産経新聞

 令和初の防衛白書は、北朝鮮が「核兵器の小型化・弾頭化を既に実現しているとみられる」との分析を初めて示した。
 日本に向いた弾道ミサイルに核弾頭が搭載される意味合いは極めて大きい。大量破壊兵器・ミサイルについて「廃棄に具体的進展は見られない」とも指摘した。白書が説くように北朝鮮は「重大かつ差し迫った脅威」だ。日本はミサイル防衛に加え、長射程の巡航ミサイル戦力充実を急ぐ必要がある。
 中国からも目が離せない。
 安倍晋三首相は日中の外交関係について「完全に正常な軌道に戻った」と語っている。
 だが、中国が軍事面では活動を拡大・活発化させている現状が、白書から分かる。
 今年度の日本の防衛予算は約5兆2千億円だが、中国は公表ベースだけで約20兆2千億円だ。平成元年度から30年間で約48倍、最近の10年間でも約2倍半に膨れ上がり、核・ミサイル、海上・航空の各戦力を「広範かつ急速に強化」している。中国海空軍は太平洋や日本海へ盛んに進出し、尖閣諸島周辺では海軍が「恒常的に活動」するようになった。
 白書は、中国を「安全保障上の強い懸念」と記すが、さらに踏み込んで脅威と位置づけ、対応していくべきだろう。
 安全保障協力の章では韓国の記載順を昨年版の2番目から、4番目へ格下げした。韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射などはこの章で記述されたが警戒は怠れない。韓国の軍事動向に関する章で反日的行動を記述、分析した方がよかった。
 白書が「テクノロジーの進化が安全保障のあり方を根本的に変えようとしている」と強調した点も特徴だ。各国は宇宙、サイバー、電磁波といった新領域の軍事利用や無人機、AI(人工知能)など先端技術の開発を急いでいる。
 白書は新領域での自衛隊の能力強化の方針を説くが、看板倒れになりかねない。例えば中国のサイバー部隊は3万人とされる。自衛隊は今年度約220人だ。日本の防衛費は近年も微増にとどまり、国内総生産(GDP)比1%を依然超えていない現実がある。
 厳しい安保環境を説き、自衛隊の取り組みを掲げても、予算や人員の確保なしに国民の安全は保てまい。安倍首相は防衛費の思い切った増額を決断すべきである。

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