課題のネットワークに単純な正解はない

2018年、彼女は一人で「学校ストライキ」を始め、大人たちに気候変動対策を求める訴えを続けてきた。
そのグレタ・トゥンベリさんが、スェーデンからヨットでニュウーヨークの国連本部にやってきて「国連気候行動サミット」で演説を行った。
彼女は、地球の未来を自分のこととして、今の大人に現実を見つめ、正しく考えて、行動するように求めている。そこには、大人の言い訳や、大人の都合を許さないという毅然とした強さがある。
DTやABEの知性が、彼女の言葉を受け止めることができるとは思えないが、世界の多くの人たちは、この若い人の言葉を誠実に受け止めたであろう。
日本では、この真っすぐな、大人への異議申し立てを相対化してごまかそうという空気がある。日本の高校生の動きも弱いが、世界では400万人以上の若い人たちが「学校ストライキ」で意見表明を行っている。問われているのは、大人の責任と、未来の歴史だ。

「裏切り、許さない」=トゥンベリさん、
怒りの演説-国連気候サミット開幕
2019年9月24日:時事通信

 【ニューヨーク時事】ニューヨークの国連本部で23日、60以上の国の首脳らが気候変動対策の具体策を表明する「気候行動サミット」がグテレス国連事務総長の主宰で開かれた。

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)が若者を代表して演説し「未来の世代はあなたを見ている。私たちを裏切る道を選べば許さない」と世界に訴えた。

 地球温暖化対策に懐疑的なトランプ米大統領は当初、欠席するとみられていた。しかし、短時間だが、突然出席し、参加者を驚かせた。

 学校を休んで地球温暖化対策を訴える抗議活動の火付け役であるトゥンベリさんは「すべて間違っている。私はここにいるべきじゃない。学校にいるべきなのに」と強調。「私たちは絶滅の始まりにあるというのに、あなたが話すのはお金や永続的な経済成長のことばかり」と政治家や経済界に怒りをぶつけた。さらに「この状況を理解していて行動を怠り続けるなら、あなたは悪だ」と主張した。「あなたが望んでも嫌がっても、ここから、世界は目を覚まし、変化は訪れる」と宣言した。

 今回のサミットは、成果文書は出さないが、地球温暖化対策の具体化へ政治的機運を高める狙いがある。サミットでは、脱炭素化や脱石炭火力発電などのテーマ別に議論を実施。グテレス氏は閉幕後に議論の内容を報告書にまとめる。

 日本からは小泉進次郎環境相が出席したが、演説はしない。グテレス氏は各国政府に単なる演説ではなく、具体策を提示するよう求めており、一部海外メディアは、二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力発電の利用を続ける日本が、発言者に選ばれなかったと報じていた。

 これに対し、小泉氏は22日、ニューヨーク市内で記者団にそういう事実は「全くない」と否定。演説も日本に「オファー」が来たものの、安倍晋三首相の日程調整がつかず、首脳級以外の演説が認められなかったと説明した。


「私たちを裏切った」、気候変動の
危機訴える少女 国連で怒りの演説
2019年9月24日:BBC

スウェーデン人の環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさん(16)は23日、米ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで演説し、気候変動問題について行動を起こしていないとして、各国首脳を非難した。
トゥーンベリさんは、約60カ国の首脳や閣僚を前に、「あなた方は、私の夢や私の子供時代を、空っぽな言葉で奪った」と激しい口調で語った。

具体的な対応策示さない国は演説禁止に

気候行動サミットは、国連のアントニオ・グテーレス事務総長の呼びかけで、言葉ではなく行動について議論するために開かれたもの。
開催に先立ち、グテーレス事務総長は、温室効果ガスを削減するための具体的な対応策を持ってきた国の代表者のみに演説を許可するとしていた。
グテーレス事務総長は2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指すことに加え、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めている。この石炭火力発電をめぐり、日本の安倍晋三首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相は、参加が認められなかった。
気候変動に懐疑的な立場のアメリカのドナルド・トランプ大統領は、登壇の機会が設けられていなかったためサミットに出席しないとみられていたが、議場に一時姿を見せた。
ブラジル、サウジアラビアもサミットに出席しなかった。

「空っぽな言葉で夢を奪った」

トゥーンベリさんは熱のこもった演説の中で、「なにもかも間違っている。私がこの壇上にいるべきではないし、私は海の反対側で学校にいるべきだ。それなのに、あなた方は私たち若者に頼って希望を求めにくる。よくもそんなことを」と述べた。
「あなた方は、私の夢や私の子供時代を、空っぽな言葉で奪った」
さらに、「私たちはあなた方を見ている」と述べ、早急に対策を講じるよう各国首脳に求めた。
「時間がなくなりつつあるが間に合う」
グテーレス事務総長は、世界は「気候変動の深みに」はまっているとして、緊急の対策が必要だと述べた。
「時間がなくなりつつある。しかし、まだ手遅れではない」

各国の対策

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、地球温暖化に対処するための財政支援額について、現行の2倍の40億ユーロ(約4700億円)に設定する方針だと述べた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、世界銀行や米州開発銀行(IDB)、米環境NGOのコンサベーション・インターナショナルが、熱帯林保護のための追加援助として5億ドル(約540億円)を投じると明かした。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、「我が国の温室効果ガスの総排出量のピークは2006年だった。すでに電力の8割以上は、再生可能な水力と風力発電でまかなわれている。我々は、野心的な計画をすでに開始した」と述べ、同国の対策は「方向転換を始めている」と強調した。
「我々は、近隣の太平洋諸国に壊滅的な気象が発生しないよう、平均気温上昇を1.5度未満に留めることを目的とした気候変動対応修正法(ゼロ・カーボン法)を議会に提出済みだ」

科学者からの警告

20日にはニューヨークで、トゥーンベリさんなど若い活動家を中心に、数百万人が気候変動対策を求めて行進した。
世界気象機関(WMO)は22日、温室効果ガスの影響で、世界の平均気温が過去5年間で観測史上最も暑くなるなど、地球温暖化の兆候やその影響が加速していると発表。2015年から2019年までの間に大気中に排出された二酸化炭素は、2015年までの5年間と比べ、2割上昇しているという。
インペリアル・コレッジ・ロンドン(ICL)グランサム研究所の所長で、レディング大学気象学部の教授、ブライアン・ホスキンス氏は、「我々は、子供たちからの大きな求めに耳を傾けるべきだ。これは緊急事態だ。温室効果ガス排出量をゼロにすることを目指して急速に削減しつつ、不可避な気候の変化に適応するため、取り組まなければ」と述べた。

<解説>科学者が政治家に懇願する―
―ロジャー・ハラビン、BBC環境アナリスト

温暖化の危険性がますます明白になるにつれ、この問題に一丸となって取り組もうというまとまった意志の欠落も、目に見えてはっきりしてきた。
世界各国の首脳は2015年、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を食い止めることを目的としたパリ協定を採択した。
ところが、トランプ大統領はあらゆる方法で化石燃料の使用を推奨している。
そして中国は、(太陽光や風力発電の導入を拡大しているにも関わらず)新規の石炭火力発電所の建設を進めている。
気候政策決定における世界的リーダーであるイギリスでさえ、温室効果ガス削減を目指す自国の中期目標から逸脱し始めている。
英政府は、いまもヒースロー国際空港の拡張や道路網の拡大を目指している。そうなれば、温室効果ガスの排出量は増加することとなる。
政治家は、経済ビジネスはいつもどおりという姿勢のままで、気候変動に対処できると考えているようだ。
しかし科学者は政治家に対し、我々人類は、前例のない対応を必要とする未曾有の脅威に直面していると訴えているのだ。
(英語記事 Thunberg to leaders: 'You've failed us on climate')


グレタさん
「我々を失望させる道、許さない」語気強める
2019年9月24日:朝日新聞

 あなたたちは私の夢を奪った――。23日、米ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットの壇上で、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)が演説した。「将来世代の目はあなた方を見ている。もし我々を失望させる道を選べば、絶対に許さない」と強い口調で、十分な温暖化対策を取ってこなかった各国政府代表に訴えかけた。
 グレタさんは温暖化対策を促すための「学校ストライキ」を1年前に1人で始め、運動は世界に広まった。今月20日には、日本を含む160カ国以上で400万人以上の若者が参加し、早急な温暖化対策を求める声は大きなうねりとなっている。
 グレタさんは各国政府代表を前に「私はここにいるべきではない。学校に戻るべきなんだ。あなたたちは私の夢を、子ども時代を、空っぽな言葉で奪った」と批判。「なんてことをしてくれたんだ」と声を震わせた。
 過去数十年にわたり、科学が明確に指摘していたにもかかわらず「お金と永遠の経済成長というおとぎ話」を追い求め、対策を怠ってきたと主張した。結果が降りかかるのは自分たちの世代だとし、「子どもたちはあなた方の裏切りに気づき始めている。将来世代の目はあなた方を見ている。もし我々を失望させる道を選べば、絶対に許さない」と語気を強めた。
 そして、「この問題から逃がさない。あなた方が好むと好まざるとに関わらず、世界は目覚め、変化はやってくる」と述べた。(ニューヨーク=香取啓介)


グレタ・トゥーンベリさん、
国連で怒りのスピーチ。
「あなたたちの裏切りに気づき始めています」
(スピーチ全文)
温暖化対策に本気で取り組まなければ、
「あなたたちを許さない」と大人たちを叱責した
2019年9月24日:ハフィントンポスト

「あなたたちが話しているのは、お金のことと経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」 
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)は9月23日、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを叱責した。
トゥーンベリさんは世界のリーダーを前に、時に涙を浮かべながら約5分間スピーチ。
温暖化解決のための具体的な行動を取らないのであれば、「結果とともに生きなければいけない若い世代」はあなたたちを許さないと強く訴えた。

(トゥーンベリさんのスピーチ全文)

私から皆さんへのメッセージ、それは「私たちはあなたたちを見ている」、ということです。
私は今、この壇上にいるべきではありません。私は海の向こうで学校に行っているべきです。それなのに、あなたたちは私に希望を求めてここにきたのですか?よくそんなことができますね!

あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢そして子供時代を奪いました。それでも私はまだ恵まれている方です。
多くの人たちが苦しんでいます。多くの人たちが死んでいます。全ての生態系が破壊されています。私たちは大量絶滅の始まりにいます。
それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!
30年以上にわたって、科学ははっきりと示してきました。それに目をそむけて、ここにやって来て、自分たちはやるべきことをやっていると、どうして言えるのでしょうか。必要とされている政治や解決策はどこにも見当たりません。
あなたたちは私たちに“耳を傾けている”、そして緊急性を理解していると言います。しかしどれだけ私が怒り悲しんでいようとも、私はそれを信じたくありません。
なぜなら、もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じたくありません。
二酸化炭素排出量を10年で半分に減らしたとしても、地球の平均気温を1.5℃以下に抑えるという目標を達成する可能性は50%しかありません。そしてそれによる取り戻しのつかない連鎖反応を埋め合わせることは、制御不能になります。
あなた方は50%でいいと思っているのかも知れません。しかしその数字には、ティッピング・ポイント(小さな変化が集まって、大きな変化を起こす分岐点)やフィードバックループ(フィードバックを繰り返して改善していくこと)、空気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして環境正義や平等性などの要素は含まれていません。
そして、私たちや私たちの子供の世代に任せっきりで、何千億トンもの二酸化炭素を吸っている。私たちは50%のリスクを受け入れられません。私たちは、結果とともに生きなければいけないのです。
あなたたちは私たちに“耳を傾けている”、そして緊急性を理解していると言います。しかしどれだけ私が怒り悲しんでいようとも、私はそれを信じたくありません。
なぜなら、もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じたくありません。
二酸化炭素排出量を10年で半分に減らしたとしても、地球の平均気温を1.5℃以下に抑えるという目標を達成する可能性は50%しかありません。そしてそれによる取り戻しのつかない連鎖反応を埋め合わせることは、制御不能になります。
あなた方は50%でいいと思っているのかも知れません。しかしその数字には、ティッピング・ポイント(小さな変化が集まって、大きな変化を起こす分岐点)やフィードバックループ(フィードバックを繰り返して改善していくこと)、空気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして環境正義や平等性などの要素は含まれていません。
そして、私たちや私たちの子供の世代に任せっきりで、何千億トンもの二酸化炭素を吸っている。私たちは50%のリスクを受け入れられません。私たちは、結果とともに生きなければいけないのです。
「気候変動に関する政府間パネル」が発表した、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑える可能性を67%にするために残っている二酸化炭素の量は、2018年1月の時点で420ギガトンでした。今日、その数字はすでに350ギガトンにまで減っている。
なぜこれまでと同じやり方で、そしていくつかの技術的な解決策があれば、この問題が解決できるかのように振舞っていられるのでしょうか。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット(温室効果ガス累積排出量の上限)は、8年半以内に使い切ってしまいます。
しかしこの現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。なぜならこの数字は、とても居心地が悪いから。そしてあなたたちは、それを私たちにはっきりと言えるほど十分に成熟していない。
あなたたちは、私たちを失望させている。しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられている。
もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。
私たちはこのまま、あなたたちを見逃すわけにはいかない。
今この場所、この時点で一線を引きます。世界は目覚め始めています。変化が訪れようとしています。
あなたたちが望もうが望むまいが。
「気候変動に関する政府間パネル」が発表した、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑える可能性を67%にするために残っている二酸化炭素の量は、2018年1月の時点で420ギガトンでした。今日、その数字はすでに350ギガトンにまで減っている。
なぜこれまでと同じやり方で、そしていくつかの技術的な解決策があれば、この問題が解決できるかのように振舞っていられるのでしょうか。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット(温室効果ガス累積排出量の上限)は、8年半以内に使い切ってしまいます。
しかしこの現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。なぜならこの数字は、とても居心地が悪いから。そしてあなたたちは、それを私たちにはっきりと言えるほど十分に成熟していない。
あなたたちは、私たちを失望させている。しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられている。
もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。
私たちはこのまま、あなたたちを見逃すわけにはいかない。
今この場所、この時点で一線を引きます。世界は目覚め始めています。変化が訪れようとしています。
あなたたちが望もうが望むまいが。
 


















「(左) 2018年に一人で抗議運動を始めたトゥーンベリさん。
(右)2019年「グローバル気候マーチ」に参加した人たち」  

気候行動サミットに出席するために、トゥーンベリさんは二酸化炭素排出量の多い飛行機に変えて、ヨットで大西洋を横断していた。
トゥーンベリさんは15歳だった2018年に、温暖化対策を取らない大人へ抗議するために、学校を休んでスウェーデン議会の前に座り込む「学校ストライキ」を始めた。
彼女の主張に世界中の若者たちが賛同。たった一人で始めたストライキは各地に広がった。
賛同者はどんどん増え、国連気候行動サミット直前の9月20日に世界各地で開かれた「グローバル気候マーチ」には何百万人もの人たちが参加して、温暖化の取り組みの遅れに抗議した。

1年で世界を大きく変えたトゥーンベリさん。
16歳の彼女に「成熟していない」と言われた大人たちは、変わることができるのだろうか。


国連気候サミット「2050年までに
温室効果ガスの排出を実質ゼロへ」
77カ国が表明してるけど、日本は?
脱石炭火力発電が求められる中、
日本の対応の遅れが明らかになった。
2019年9月24日:ハフィントンポスト

アメリカ・ニューヨークで9月23日、国連気候行動サミットが開催された。サミットでは、各国や企業などの代表が集まり、各自の取り組みや解決策について議論した。グテレス国連事務総長は閉会スピーチで、「77カ国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとの目標を捧げ、70カ国が2020年までに国としての対策を強化させると表明した」と話した。
しかし、その国のリストに日本は含まれていないようだ。

国連は表明国のリストを公表していないとみられるが、チリが主導するClimate Ambition Allianceの公式サイトには、それぞれ「表明国リスト」が掲載されている。日本は、そのどちらのリストにも掲載されていない。
米メディアABCも、「汚染大国は気候対策の目標を捧げなかった」という記事で、「これらの77カ国に、炭素汚染大国である中国、アメリカ、インド、ロシア、日本は含まれなかった」と報じている。
都市としては、東京と横浜が2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを掲げる都市に含まれている。
グテレス氏は事前に、サミットに参加する際は「美しいスピーチではなく、温暖化ガスを削減する具体的な案を提示するように」と述べていた。そんな中、日本を代表して参加した小泉進次郎環境大臣は、参加はしたもののスピーチの機会は得られなかった。
サミットでは、16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが「あなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか」とスピーチをし、気候危機に本気で取り組まない大人たちに怒りを露わにした。
グテレス氏は「気運や協力、熱意は高まった」としつつ、「まだまだ道のりは長い」と話し、「もっと具体的な対策、更に多くの国や企業からの熱意が必要だ、と語った。
また、国連は2020年以降の石炭火力発電所の新規建設をやめるよう要請している。しかし日本は、現在も新設や増設を計画し、海外への事業融資も発表しており、サミット当日にはニューヨークで日本の火力発電に対するデモも行われた。


(社説)
気候サミット 若者の怒り受け止めよ
2019年9月25日:朝日新聞

 気候変動の危機を乗り越えるには、具体的な行動を起こさねばならない。地球温暖化対策の国際ルール・パリ協定のスタートを来年に控え、国連で気候行動サミットが開かれた。
 「我々は気候非常事態との競争に負けつつあるが、勝つことはできる」。グテーレス国連事務総長は、そう訴えた。各国は危機感を共有し、より強力な対策に取り組むべきである。
 パリ協定は、産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1・5度未満に抑えることをめざす。だが、すでに気温は1度ほど上がっており、2030年代に上昇幅が1・5度に達する勢いだ。協定にもとづく現在の削減目標を各国が達成しても、今世紀末の気温上昇は3度を超すという。
 異常気象や自然災害が、経済や社会に深刻な打撃を及ぼしつつある。今回のサミットでスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)は「若者はあなたたちの裏切りに気づき始めている。もし私たちを見捨てる道を選ぶなら、絶対に許さない」と各国代表に訴えた。
 グレタさんら12カ国の少年少女16人は「気候危機は子どもたちの権利の危機だ」と、国連子どもの権利委員会に救済を申し立てた。サミット直前には160カ国以上で400万人を超す若者の一斉デモがあった。こうした若者たちの怒りを重く受け止めねばならない。
 グテーレス氏は、50年までに温室効果ガス排出をゼロにするべきだと強調した。その具体策として、20年以降の石炭火力発電所の新設中止や排出への課税の導入などをあげている。
 これに呼応して取り組みの強化を表明する国が相次ぎ、77カ国が「50年の排出ゼロ」を約束したのはサミットの成果だ。半面、米中やインドなど主要排出国の反応は鈍く、温度差が鮮明になったのは気になる。
 特に気がかりなのは、来年、米国がパリ協定から離脱することだ。世界で2番目に排出量が多い米国が自国の利益ばかりを考え、人類共通の危機から目を背けていては、ほかの国々の意欲がそがれかねない。トランプ氏は考えを改め、協定離脱を思いとどまるべきだ。
 日本への風当たりも強い。
 国内外に数多くの石炭火力の新設計画があり、政府の排出削減目標も腰が引けている。今回のサミットに安倍首相は出席せず、小泉環境相は対策強化を何一つ打ち出さなかった。日本には危機感がないのか、と疑われても仕方あるまい。
 脱炭素社会への道のりは険しいが、負の遺産を残さぬよう、あらゆる手立てを尽くすのがいまの世代の責務である。


「アスペルガーは私の誇り」
グレタ・トゥーンベリさんが投げかける
「障がい」の意味
ニューヨークの国連本部で行った演説が大きな反響を呼んでいる
グレタ・トゥーンベリさん。
アスペルガー症候群であることを公表している彼女は、
「アスペルガーであることは才能です」と話す。
2019年9月25日:ハフィントンポスト




















NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 20: Activist Greta Thunberg leads the Youth Climate Strike in an effort to promote awareness and change to current global enviornmental policies on September 20, 2019 in New York City. (Photo by John Lamparski/WireImage)

アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょうーー。

9月23日にニューヨークの国連本部で行った演説が、大きな反響を呼んでいるグレタ・トゥーンベリさん。
しかし、彼女が動かしているのは、温暖化問題への人々の関心や行動だけではない。その強い意思と行動力は、「障がいとは何なのか」という問いを全世界に投げかけている。
グレタさんは、その地球温暖化対策を訴える行動が評価され、2018年3月にはノーベル平和賞にノミネートもされた。

彼女の呼びかけはシンプルだ。
「地球温暖化が私たちの生存を脅かす重大な問題ならば、どうして私たちは行動しないのでしょう」
BBCによると、始まりはスウェーデンで総選挙が迫っていた2018年8月。グレタさんは、「気候のためのスクールストライキ」というプラカードを掲げて、ストックホルムの国会議事堂の前で座り込んだ。それは、ストライキは総選挙までの2週間、毎日続いた。その後も、彼女は毎週金曜日には学校を休んで、座り込みを続けている。
彼女の行動はまたたく間に世界中に広がり、地球温暖化対策を求める大規模な抗議運動へと発展した。「#FridayForFuture 」というハッシュタグと共に、欧米を中心に多くの若者が運動に参加し、その様子をSNSで発信している。グレタさんは12月には、ポーランドで開かれた会議COP24(通称:国連気候会議)、2019年1月にはダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で演説した。

グレタさんは、アスペルガー症候群と強迫性障害、選択性緘黙であることを公表してる。
アスペルガー症候群とは、知的障害を伴わない自閉症のこと。東京都自閉症協会によると、対人コミュニケーションが苦手、興味の対象が限定的、などが主な症状だという。

 しかし、グレタさんは言う。「アスペルガーは病気ではなく、1つの才能。アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょう」と。(本人Facebook 2/2の投稿より)

アスペルガーだからこそ、人とは違った視点で世界が見れるのです。もし私がアスペルガーでなかったら、そんな風に世界を『外側から』見れなかったでしょう       スウェーデンのTVトークショー「Skavlan」より 
私のようなアスペルガーの人間にとっては、ほとんど全てのことが白黒どちらかなのです。私たちは嘘をつくのがあまり上手ではありません
(中略)
私にとってこれ(地球温暖化)は白か黒かの問題です。生き残りの問題となればグレーな部分はありません      Greta Thunberg TEDより

 「正直すぎること」もアスペルガー症候群の特徴の1つだ。これは、コミュニケーションにおいては「空気が読めない」という欠点になるが、「社会のルールや常識にとらわれず、思ったことをはっきり言える」という利点にもなり得る。
グレタさんの「温暖化はこれほど深刻な問題なのに、なぜ私たちは行動を起こさないの」というまっすぐな問いかけは、「正直で」「白黒つけないと気が済まない」というアスペルガー症候群の彼女の個性からきているのかもしれない。
一方で、グレタさんは障がい者としての生きづらさも語っている。
(アスペルガーなどの)自閉症であることは、学校や職場、そしていじめとの終わりなき闘いです       (本人Facebook 4/2の投稿より)
それでも、
正しい環境下で、正しく適応すれば、(自閉症であることは)スーパーパワーとなり得るのです
                                                             (本人Facebook 4/2の投稿より)
とも。
実は著名人にも、発達障害を公表している人は多い。世界的な映画監督スティーブン・スピルバーグは失読症を、経済評論家の勝間和代さんや女優の黒柳徹子さんも、ADHD(注意欠陥・多動症)であることを公表している。
障がいは、「ネガティブ」ではない。むしろ、「世界を動かすほどのパワーをも秘めている」、そんな事実をグレタさん自身が証明している。

「アスペルガーは才能」
「アスペルガーであることは私の誇りです」(本人Twitter 4/2の投稿より)

彼女の存在によって、世界の「障がい」の受け止め方がひとつ変わるかもしれない。


【主張】
気候サミット 情緒排して着実な削減を
2019年9月26日:産経新聞

 世界の首脳が地球温暖化を議論する気候行動サミットで、77カ国が2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロにする」と表明した。
 温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」が来年から本格的に運用されるのを控え、さらなる具体策を示すよう求めた国連のグテレス事務総長の呼びかけに各国が応えた。
 もっとも、77カ国の多くは発展途上国だ。協定から離脱した米国のほか、中国やインドなど主要排出国は削減目標の上積みや前倒しを示さず、従来目標を順守する姿勢にとどまった。日本も同じである。これでは温暖化対策が具体的に進展したとはいえまい。
 各国が高い目標を掲げて排出削減に取り組むことは重要だが、理念や理想論が先走るようでは実効性のある対策となり得ない。各国が現実を踏まえて着実に削減を進めることこそが肝心である。
 日本も安全性を確認した原発の活用に加え、これまで培った高い環境技術を海外に提供することなどで温暖化防止に貢献したい。
 パリ協定は、世界の気温上昇を産業革命前に比べて少なくとも2度未満、できれば1・5度以下に抑える目標を設定している。それには50年の排出量を実質ゼロにする必要がある。
 ただ、協定締結後も世界の気温上昇に歯止めはかからず、異常気象が頻発している。グテレス氏が「気候非常事態」と危機感を示して各国に計画上積みなどを求めたのはこのためで、短期目標の前倒しを表明した途上国もあった。
 気になるのは、グテレス氏が石炭火力の新設中止を提案したことだ。稼働中の老朽化した石炭火力を環境性能が高い石炭火力に建て替えれば、発電量を保ちつつ着実に温室効果ガスを減らせる。この現実を踏まえず一律に石炭火力を否定するのは適切ではない。
 サミット関連会合で、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)が「私たちを裏切るのなら、あなたたちを決して許さない」と各国首脳に厳しい規制を訴えたことも注目された。
 私たちには将来世代に対する責任がある。その責任には環境保護だけでなく、経済発展を通じた途上国の貧困撲滅や保健衛生、教育機会の提供などもあることを忘れてはならない。情緒に流されるのではなく、全体を俯瞰(ふかん)した冷静な取り組みが必要だ。

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