違憲安保法制強行成立4年

この国の形を大きく変容させた「安保法制」強行成立から4年がたった。
安倍政権が強引に「集団的自衛権の行使容認」という日本国憲法の違憲解釈を閣議決定し、改憲の動きが具体化すると、「改憲」はブレーキがかかり、2020年の新憲法施行は見通しが立たなくなってきた。
自民党の党規変更までして、3期目の総裁を務めているABEの「ちから」にも陰りが出始めたということか?
朝鮮や韓国をテコに、日本の危機を煽るABEだが、東アジアの平和構築のための努力はせず、国民の安全と未来は、平気で米国に売り渡している。「安倍一強」も後2年だと思ってガマンしているが、「4期目も安倍首相で…」などという素っ頓狂にはガマンができない。


安保法成立4年 「専守」変質を止めねば
2019年9月19日:東京新聞

 安全保障関連法成立から四年がたつ。違憲の疑いが指摘されながら既成事実化が続き、「専守防衛」の変質も進む。放置していいのか、重ねて問いたい。
 安全保障関連法の成立を、安倍政権が強行したのは二〇一五年九月十九日未明のことだった。
 あれから四年。歴代内閣が「憲法上許されない」としてきた「集団的自衛権の行使」を可能とする安保法は、当初から違憲の疑いが指摘され、全国二十二カ所で違憲訴訟も起きている。
 しかし、安倍政権は意に介すことなく、成立後は戦争放棄、戦力不保持の憲法九条を形骸化させるような防衛政策を続けてきた。
◆宇宙でも防衛力を整備
 安倍晋三首相は十七日、自衛隊幹部が一堂に会する「高級幹部会同」での訓示で、先端的な軍事技術の開発競争など安全保障環境が厳しくなっているとして「新たな防衛大綱は、こうした安全保障環境の変化の中にあって、従来の延長線上にない防衛力のあるべき姿を示したものだ。できる限り早期に実行に移し、万全の体制を築く必要がある」と強調した。
 防衛大綱(防衛計画の大綱)は安全保障や防衛力整備の基本方針を示すもので、今後五年間の装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」と合わせて昨年、改定された。
 新しい防衛大綱と中期防は、宇宙・サイバー・電磁波という新たな領域利用が急速に拡大しているとして、その変化に対応するため「多次元統合防衛力」という新たな概念を設け、陸・海・空各自衛隊の統合運用を進めるとともに、新たな領域での対応能力も構築・強化する内容である。
 日本を取り巻く安全保障環境の変化に応じて、防衛政策を適切に見直す必要性は認める。
◆「空母」は米軍のため?
 しかし、特定秘密保護法に始まり、「集団的自衛権の行使」を可能にした安保法、トランプ米政権が求める高額な米国製武器の購入拡大など、安倍政権の下で、戦後日本が堅持してきた「専守防衛」政策を変質させる動きが続く。
 新大綱と中期防も、そうした流れの中にあり、防衛予算の増額や自衛隊増強、日米の軍事的一体化の延長線上にあるのは、安倍首相自身が悲願とする憲法九条の「改正」なのだろう。
 どこかで歯止めを掛けなければ日本は軍事大国への道を再び歩みだしてしまうのではないか。
 首相は訓示で「来年、航空自衛隊に『宇宙作戦隊』を創設する。航空宇宙自衛隊への進化も、もはや夢物語ではない」とも語った。
 宇宙空間の利用について衆院は一九六九年、「平和目的に限る」と決議し、政府は「平和目的」を「非軍事」と説明してきた。
 その後、二〇〇八年成立の宇宙基本法で方針転換し、防衛目的での利用を認めたが「専守防衛」の範囲を厳守すべきは当然だ。「航空宇宙自衛隊」などと喜々として語る性質のものではあるまい。
 新大綱と中期防には、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型の事実上の「空母化」が明記され、二〇年度予算概算要求には改修費用が盛り込まれた。通常、潜水艦哨戒や輸送、救難のためのヘリコプターを搭載し、警戒監視や災害支援などに当たる「いずも」型の甲板を、短距離離陸・垂直着陸が可能な戦闘機F35Bを搭載できるよう、耐熱性を高めるという。
 歴代内閣は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や長距離戦略爆撃機などと同様、「攻撃型空母」の保有は許されないとの政府見解を堅持してきた。「いずも」型の改修でも「従来の政府見解には何らの変更もない」としているが、攻撃的兵器として運用されることは本当にないのか。
 防衛省は「いずも」型改修後、米海兵隊のF35Bによる先行利用を想定しているという。航空自衛隊へのF35B配備に時間を要するためとしているが、これでは、米軍のための「空母化」ではないのか、という疑念が湧く。
 「殴り込み」部隊とされる米海兵隊と一体運用される「いずも」型が、どうして攻撃型空母でないと言い張れるのか。
◆「非軍事大国」の道こそ
 戦後日本の「専守防衛」政策は先の大戦への痛切な反省に基づく誓いでもある。他国に脅威を与えるような軍事大国にならない平和国家の歩みこそが、国際社会で高い評価と尊敬を得てきた。この国家戦略は変えるべきではない。
 安倍首相は「専守防衛」に「いささかの変更もない」と言いながら、「集団的自衛権の行使」を容認し、防衛費を増やし続け、日米の軍事的一体化を進めている。
 安保法を含む安倍政権の防衛政策が、憲法を逸脱して、「専守防衛」をさらに変質させることはないのか、絶えず監視し、問い続けなければならない。


安保法成立4年
 「反対」絶やさず 国会前に3000人
2019年9月20日:東京新聞

安全保障関連法の成立から4年。国会前で廃止を訴える人たち
=19日、東京・永田町で 他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とした
安全保障関連法が成立して四年となった十九日、東京・永田町の国会前で、
安保法制の廃止を訴える集会があり、野党の国会議員や市民ら
約三千人(主催者発表)が参加した。

 主催した市民団体の小田川義和・共同代表は「四年前、国会の数の暴挙で強行採決された。この悔しさを忘れない」とあいさつ。立民の佐々木隆博衆院議員や社民の福島瑞穂参院議員らは「憲法違反の法律を、なぜ成立させることができるのか」などと力を込めた。
 参加した千葉県松戸市の地方公務員寺嶋豊さん(56)は「四年前もここに来て、安保法制に反対した。それから改憲の懸念は強まっている。今後も声を上げたい」と話した。
 「9条は日本の誇り」と書いたブラウスを着た埼玉県日高市の主婦一尾勝子さん(79)は「兄がニューギニアで戦死した。戦争のない世の中にしたい」と願った。
 政治をテーマに学校で発表するため見学に来た東京都品川区の高校二年、真鍋三緒さん(16)は「意見に共感した。校内を手始めに、若い世代に広めたい」と話した。 (梅野光春)


【政界徒然草】
首相の人事ににじむ「改憲解散」の可能性
2019年9月18日:産経新聞

 安倍晋三首相(自民党総裁)が悲願の憲法改正に本気でかじを切った。党総裁としての任期が残り2年余りに迫る中、11日の内閣改造と党役員人事では、挙党態勢で改憲に臨む決意を示した。その布陣からは、秋の臨時国会で議論が進まなければ衆院解散も辞さない覚悟もにじむ。

党四役前面に挙党態勢

 「必ず成し遂げる決意だ」
 首相は11日、一連の人事を終えた後の記者会見で、憲法改正についてこう断言した。同日の党役員会でも「長年の悲願である憲法改正を、党一丸となって進めていきたい」と強調した。
 「これは解散まで視野に入れているな」。役員会に出席した党幹部は、首相の重い決意を感じ取ったという。
 これまで自民党は、一部の憲法族議員や首相側近を中心に改憲議論を進めようとしてきた。しかし、野党第一党の立憲民主党などは安倍政権下での議論に応じない姿勢を貫くなど、目に見える成果は生まれていない。昨年の臨時国会では、党憲法改正推進本部長を務めていた首相側近の下村博文選対委員長の発言が反発を呼び、国会審議の日程に影響が出る場面もあった。
 新たな布陣では、党四役を改憲の前面に立てた。とりわけ鍵を握るのが、留任した二階俊博幹事長だ。これまで改憲議論とは距離を置いてきたが、11日の記者会見では「安倍総裁の意向に従い党を挙げて努力を重ねたい」と首相に呼応してみせた。
 二階氏の側近は「首相に憲法改正を頼まれたのだろう。二階氏も敏感に首相の温度を感じ取っている」と語る。
 7月の参院選では、参院の「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2を割った。野党を議論の場に引き出すには、今まで以上に高度な駆け引きが必要となる。同時に、改憲に慎重な公明党との調整も進めなければならない。首相が「党内随一の政治的技術を持つ」と評価する二階氏の協力は不可欠というわけだ。

新内閣の布陣は解散も念頭?

 党や国会の人事でも「路線変更」を明確にした。党憲法改正推進本部長は下村氏を交代させ、細田博之元幹事長を再起用する。首相の出身派閥である細田派(清和政策研究会)会長で、自衛隊明記などの党改憲案をまとめた業績もある。改憲論議では野党や公明党との協調を重視するだけに、首相は温和な性格の細田氏を起用することで、野党が警戒感を解くことを期待する。
 国会議論の舞台となる衆院憲法審査会長は、佐藤勉元国対委員長を起用する方向だ。野党との調整を担う国会対策のベテランだ。一向に動かない国会審議を、なんとか前進させたいという意向の表れだろう。
 首相としては、野党との協議も見据えて打てる手は打った。それでも野党が態度を硬化させたまま秋の臨時国会が無為に過ぎればどうなるか。首相に近い党幹部は「解散を引く可能性は十分ある」とみる。総裁任期である再来年9月までの国会発議と国民投票を実現するには、これ以上の空転は許容できないからだ。
 新たに発足した内閣に目を向ければ、菅義偉官房長官や茂木敏充外相、加藤勝信厚生労働相、河野太郎防衛相ら「ポスト安倍」と呼ばれる面々が名を連ねている。将来のホープとして国民的人気が高い小泉進次郎環境相も初入閣した。互いの切磋琢磨(せっさたくま)を狙ったものだろうが、いざとなれば、いつでも解散を打てる布陣という点にも注目せざるを得ない。
(政治部 石鍋圭)


「日本側の方が
多様性と冷静さを失ってきている」
 青木理氏と嫌韓の空気を考える
2019年9月24日:毎日新聞









主要20カ国・地域首脳会議出席者の記念撮影を前に、安倍晋三首相(左)の前を歩く
韓国の文在寅大統領=大阪市中央区で2019年6月28日、代表撮影

 日本は今、「嫌韓ブーム」なのだろうか。8月末、韓国へ旅行中の日本人女性が韓国人男性に暴行されている動画が流れ、メディアは情報番組などで大きく取り上げた。元共同通信ソウル特派員のジャーナリスト、青木理さんが情報番組で「通常なら報道されない」などとコメントしたところ、ネット上では「日本人と思えない」などのコメントが殺到、炎上した。社会を覆う「嫌韓」の空気について、青木さんと考えた。【江畑佳明/統合デジタル取材センター】

テレビ局に抗議相次ぐ

 「僕はネットをあまり見ていないのですが、相当ハレーションがあったようです。テレビ局にも抗議が来たと聞きました」と青木さんは振り返る。
 「ハレーション」のあらましはこうだ。日本人女性のツイッターによると、8月23日、女性がソウルを歩いていたところ、韓国人男性に声をかけられたので無視し続けた。すると男性が急に怒り出し、一緒にいた友人が「迷惑です」と言うと、つきまとわれて暴言をはかれた。その様子を動画で撮影すると、髪を引っ張られて暴行された--というもの。
 この件を取り上げたのが、8月27日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)。青木さんは火曜日のレギュラーコメンテーターとして出演し、こんな発言をした。
 「例えばね、邦人保護の対象になるような、けがをした、亡くなった、行方不明になったというんだったら僕ら特派員も報じるんですけれど、今回のケースは、普段の状態だったら、多分書かないですよ。つまり、(通常時なら)書かないようなニュースが報じられ、今の時期だからということで(報道される)。悪循環になっちゃってる。日本でも韓国でも、一部のテレビでコメンテーターが嫌韓を増幅するようなことを言うと、またそれで燃え広がってという悪循環に入っている。本来ならニュースにならないようなニュースがこういう形で大きく注目されると、今の日韓関係をさらにまた悪化させる原因になるんじゃないかな」

海外での日本人の犯罪被害、年間4500件



青木理氏=東京都千代田区の学士会館で2016年7月13日、根岸基弘撮影

 すると、ツイッターなどでは、非難の声が相次いだ。
 「日本人女性が暴行されるのがニュースに値しないなんて許せない」
 「日本人としての発言とは思えません、恥を知れ!」

 「朝鮮半島のロビイスト」

 青木さんはこう分析する。「もちろん被害に遭われた方の心の傷は大きいでしょうし、つらい思いをされたと思います。しかし、これをメディアが報道すべきかどうかは全く別の判断でしょう。『通常時ならば報道しないと思う』という発言が正確に理解されていないと感じます」
 そもそも、海外で日本人はどのくらい犯罪の被害にあっているのだろうか。外務省が公表している「海外邦人援護統計」によると、2017年に日本大使館や総領事館などの在外公館が把握した海外での日本人の犯罪被害件数は4531件(外務省によると、国別の件数は公表していない)だった。
 もちろん、これらすべてが報道されているわけではない。毎日新聞のデータベースをみると、このうち報道されたのは殺人事件などわずかだ。青木さんがコメントしたように、明らかな殺人事件などでない限り、ニュースにはなっていないのが実情のようだ。
 「当たり前ですが、メディアは『嫌韓』のような排他や差別の風潮をあおるべきではありません。しかし、通常時なら報道されなかったであろう事件で、韓国人男性が日本人女性を引きずり回すシーンを何度も流せば、『嫌韓』の世論を増幅させかねない。実際、別の情報番組ではコメンテーターが『日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しなくちゃ』などと論外の暴言を吐いています。さすがにこれは謝罪に追い込まれましたが、排他や差別につながりかねない報道について、メディアはもっと慎重であるべきです」
 冒頭に挙げた青木さんへのバッシングは、メディアが嫌韓ムードをけしかけたことが一因なのかもしれない。

友好関係を発展させられず

 青木さんが共同通信のソウル特派員だったのは、02~06年のこと。その頃の日韓関係の主な出来事を振り返ると……。
 1998年 日韓共同宣言▽2001年 JR山手線・新大久保駅で、韓国人留学生がホームに転落した日本人男性を救助しようとして死亡▽02年 サッカー・ワールドカップ・日韓共催▽03年 ドラマ「冬のソナタ」がブームに
 このように、友好ムードが築かれた時期だったが、次第に関係は冷えていく。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(03~08年)と、小泉純一郎首相政権(01~06年)の間で、靖国参拝問題や竹島領有問題などでひずみが出るようになった。その裾野は広がり、05年には「マンガ嫌韓流」の単行本が出版され、翌06年には在日朝鮮・韓国人へのヘイトスピーチを繰り返す「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が設立された。李明博(イ・ミョンバク)大統領は12年、韓国大統領として初めて竹島上陸を行い、日本から非難を受けた。
 「日韓両国は友好関係をうまくバージョンアップさせられなかった」と青木さんは指摘する。
 また日韓関係ではないが、02年と04年に日朝首脳会談が行われた。これにより拉致被害者の一部が帰国したものの、世論は北朝鮮を非難する声が大きくなり、韓国も含めたバッシングに向かったと青木さんは言う。
 「戦後の日本では、保守とされる政治家であっても、かつて日本が朝鮮半島で何をしたかを考え、自省と自責の念を多少なりとも抱き、社会全体でも一定程度は共有されていました。ところが拉致問題への憤りが契機となり、それが決壊してしまった。かつての戦争を知る世代が徐々に少なくなっていったのも大きいでしょう」
 国際情勢だけではない要因もあるという。「バブルがはじけて日本経済が長い低迷期に入り、少子高齢化や財政の悪化に歯止めがかからず、一方で中国や韓国が経済成長を果たした。日本国内には不安や焦燥が広がり、もともと日本社会に潜んでいた朝鮮半島への蔑視感情が噴き出し、在日コリアンや韓国へのバッシングが横行するようになったと感じています。内なる不満や憤まんを外部に向け、『スカッとしたい』人たちの好材料になってしまっている」

政権が「嫌韓」をあおっている側面も

 あおっているのはテレビだけではない。最近では「週刊ポスト」が「韓国なんて要らない」という特集を組み、批判の高まりを受けて謝罪した。
 だが青木さんは「ほかにも極端な右派雑誌が『韓国という病』などといった特集を毎号のように組み、あからさまに『嫌韓』ムードをたきつけてきました。さらに問題なのは、そうした雑誌に安倍晋三首相をはじめ、政権の閣僚や幹部がたびたび登場していることです。これでは『嫌韓』の風潮に政権がお墨つきを与え、扇動しているとみられても仕方ない。文在寅(ムン・ジェイン)政権でなくても、そんな日本の政権と向き合いたくなくなるのは当然でしょう」と憂えるのだ。
 さらに見逃せないのが、日本社会への影響だ。「安倍政権が『嫌韓』の風潮にお墨つきを与え、政権に近いメディアが競うようにそれをたきつけていることが、日本の世論に相当な影響を及ぼしています。『週刊ポスト』のような大手出版社の雑誌までが『嫌韓』に手を出したことに加え、メディアの世論調査では安倍政権の韓国への一連の対応が『妥当』と考える人が多数になっているのはその証左でしょう」

韓国現政権、日本側とのパイプなく

 青木さんは韓国側にも問題があると考えている。「盧武鉉大統領以降の韓国の政権は日本についての知見に乏しく、日本政界とのパイプもほとんどありません。それ以前の政権であれば、日本の植民地支配への憤りや恨みを抱きつつ、保守派も進歩派も日本の実情をよく知り、日本の政界とも太いパイプでつながっていました。日韓関係をうまくコントロールし、世論をあおらないようにする戦略的思考もあったのですが、最近はそれもなくなってきています」
 「少し冷静に考えればわかると思うのですが」と青木さんが続ける。「日本と韓国が対立して得られるメリットなど何一つありません。経済面でもそうだし、安全保障の面でもそう。覇権的な気配を強める中国とどう向き合うか。核やミサイル開発を続ける北朝鮮とどう対峙(たいじ)するか。日朝首脳会談を実現させ、拉致問題などを前進させるためにも日韓の連携は死活的に重要です。そうしたごく当たり前の考えが共有されない。ひと昔前なら、僕の意見など常識的すぎて相手にもされなかったでしょう。ところが現在はあからさまな『嫌韓』論者が道の真ん中を堂々と歩き、ごく穏当な常識論が異端視されてしまう。状況は相当深刻です」

韓国世論は多様化、自己批判本も人気

 青木さんは最近、韓国へ私的に旅行した。その際、韓国人の友人たちと旧交を温め、現地の書店などを巡り歩いた。
 「韓国側でも政権支持層を中心に安倍政権への反発は強く、日本を知る友人たちは日韓関係の現状を心底憂えていました。ただ、街の書店では韓国の『反日』を自己批判する本がベストセラーとなり、安倍政権の支持層を分析したルポなども平積みになっていて、メディア状況や世論は以前より多様化している印象です。少なくとも、日本の書店に山積みになっているようなヘイト本は一冊もありません。むしろ、日本側の方が多様性と冷静さを失ってきているのではないでしょうか」

あおき・おさむ
 1966年、長野県生まれ。慶応大卒。共同通信で警視庁公安担当、ソウル特派員を経て、2006年フリーに。著書に「日本の公安警察」「日本会議の正体」「安倍三代」など多数。

江畑佳明

大阪府寝屋川市生まれ。1999年入社。山形支局を振り出しに、千葉支局、大阪社会部、東京社会部、夕刊編集部、秋田支局次長を経て、2018年秋から統合デジタル取材センター。興味があるのは政治、憲法、平和、ジェンダー、芸能など。週末は長男の少年野球チームの練習を手伝う。


たじろぐ防衛省
 祭りの山車にも「ここにはいらね」
2019年9月24日:朝日新聞

 政府が秋田県に配備しようとしているイージス・アショアへの反対が収まらない。現地で何が起きているのか。

秋田市発展の象徴の地

 8月25日の日曜、秋田市の勝平地区コミュニティセンターで開かれた住民集会で、ある父親(40)が話した。
 「6月の説明会で恥ずかしい姿をさらしました。でも、このままだと『秋田は何も言わないし、設置しちゃおう』という政府の動きは明らかだったんじゃないか」
 防衛省は、ミサイルをミサイルで撃ち落とすというこの新型兵器を陸上自衛隊の新屋(あらや)演習場に置こうと、隣の勝平地区での説明会を6月8日に開いた。この建物が会場で、防衛省職員の居眠りに「我々の人生がかかっているぞ」とマイクで怒ったのがこの父親だ。
 配備を「不適」とした他の候補地で実測を怠る調査のずさんさを地元紙が3日前に指摘し、説明会は住民の反発で紛糾。防衛省は配備先の再調査に追い込まれた。
 この住宅街を歩き、すぐ隣を新型兵器配備の「最適候補地」とした防衛省の鈍さに驚く。秋田市発展の象徴といえる場所なのだ。
 雄物(おもの)川下流の秋田市街はかつて洪水に悩んでいた。その手前で川を曲げる大工事で、日本海への放水路が1938年に完成。旧流域に工業団地ができ、秋田港が整備され、市の経済成長を支えた。戦後に開けたベッドタウンが放水路のすぐ北にある勝平だった。
 「保育園、幼稚園、小中高校ができた。免許センターもある。住みよい所だと人が来たんです」と佐々木政志・振興会長(69)は振り返る。振興会は半世紀前、勝平の絆を強めようと各町内会が連携して発足し、いま約1万3千人の住民のほとんどが加入する。
 そんな勝平と海岸の間の防砂林に囲まれ、陸自新屋演習場がある。数キロ離れた秋田駐屯地の部隊が使い、勝平にはたまに訓練の空砲が響くぐらいだ。そこへイージス・アショアを置く話は「青天の霹靂(へきれき)」(佐々木さん)だった。

反発にたじろぐ防衛省

 防衛省は住民の反発にたじろぐ。新屋演習場では2009年に北朝鮮のミサイルに備え移動式の迎撃ミサイルが置かれた「実績」もあり、自衛隊に理解のある今の佐竹敬久県知事なら納得するのではとの期待もあったからだ。
 だが、イージス・アショアは固定式だ。防衛省はレーダーから230メートル離れれば電波の影響は人体にないと説明するが、1キロ前後の勝平で不安はなお強い。8月25日の集会でも「子どもたちのことを考えないと」「兵器を置けば狙われる」といった声があり、佐々木さんも「ここを孫の代まで安全に引き継ぎたい」と話した。
 市内の他の町内会にも働きかけて新屋配備反対への賛同が出てきた、と振興会から報告があった。新屋演習場から1キロ、県庁や市役所辺りまで3キロ、秋田駅そばまで5キロの同心円を描き込んだ地図のコピーが配られており、「これを使えば関心がもっと広がるのでは」という意見も出た。
 「東京のほうでは、秋田はお人よしと思っていたが危惧しないと、と悟り始めた」と佐々木さんがさらに発言を促す。マイクが回り、反対や戸惑いが語られ続けた。

「日本最後の空襲」

 イージス・アショアの配備候補地とされた新屋演習場から、秋田市街を港の方へ約4キロ。「日本最後の空襲」で知られる土崎地区がある。
 1945年8月、日本が御前会議で降伏を決めた14日から、連合国に伝わる15日にかけて米軍が各地を空襲。日本有数の製油所があった土崎には爆弾約1万2千発が落ち、少なくとも民間の96人を含む256人が亡くなった。
 この地に残る空襲の記憶が、イージス・アショア配備反対につながる形で語られ始めている。
 今年8月25日、空襲を演奏で表現する秋田吹奏楽団の公演が土崎であり、体験談を元に描かれた絵本が朗読された。作者の佐々木久春・秋田大名誉教授(85)は舞台あいさつで「例えばアショアなんてのは、それがあることで戦争の被害を受けるかどうかという問題まで含みます」と語った。
 朗読したのは4歳で空襲に遭った伊藤津紀子さん(79)。土崎の自宅を訪ねると、ひじから先ほどの大きさの爆弾の破片を袋から次々と取り出した。触るとけがをしそうな鋭利さだ。12年前に始めた語り部の場で示してきた。
 爆弾は石油タンクに加え津紀子さんの家も吹き飛ばした。「裏の小学6年生のお兄さんは防空壕(ごう)を出た隙におなかを破片に貫かれ、出血多量で亡くなりました」
「秋田をばかにしている」
 イージス・アショアの新屋配備計画には、「相手はそれを破壊しようとする。住宅地が近いのに秋田をばかにしている。この一帯も犠牲になるでしょう」と話す。
 夫の紀久夫さん(79)は空襲犠牲者の追悼式を毎年開く土崎港被爆市民会議の事務局長だ。今年の式典で、市議会に新屋配備に反対するよう陳情したと報告。その陳情書にこだわりの一文を入れた。
 「アショア配備は一地方都市の問題ではなく、(政府は)日本列島どこの地域でも基地化できるように要求しているのでは」
 紀久夫さんには、空襲の記憶を紡ぐ地のそばに新型兵器が置かれかねない今の秋田が、辺野古沖で政府が米軍施設建設を進める沖縄と重なる。「沖縄がなんぼ反対しても、秋田も同じことをやられている。安全保障からみれば民主主義はくそ食らえだと」

祭りの日「ここにはいらね 陸上イージス」

 市民会議も協力して昨年できた「土崎みなと歴史伝承館」を今年7月、参院選秋田選挙区の取材の合間に訪ねた。津紀子さんが触れた、腹を貫かれた小学生の服が空襲の展示室にある。江戸時代に北前船で栄えた土崎の「曳山(ひきやま)まつり」も紹介され、「戦火にも屈せず曳(ひ)き継ぐ港魂」とうたう高さ11・5メートルの山車が置かれていた。
 ちょうど祭りの日で、各町内からの山車に世相を映す言葉が躍る。「ここにはいらね 地上イージス」の山車のそばを夕方、遊説後に寄った秋田県出身の菅義偉官房長官(70)が通り過ぎ、握手やスマホ撮りに応じていた。
 参院選では新屋配備に反対した新顔が自民党の現職を破った。伊藤夫妻には空襲について学んだ人たちから、イージス・アショアのことも知りたいという相談が寄せられている。

「新屋ありき」

 日本海に突き出た秋田県・男鹿半島の寒風山から、半島の南に張り付く男鹿市街がよく見える。防衛省は5月、市役所から約2キロの国家石油備蓄基地をイージス・アショア配備先の調査対象の一つとして示していた。
 近くの山にレーダーが遮られ「不適」とされたが、県への説明資料で備蓄基地からの仰角が実際の4倍近くに誇張されていたことが6月に発覚。秋田市街に近い新屋演習場に配備を急ぐ防衛省の「新屋ありき」の表れとして県民の不信感を高めた。
 この騒動に男鹿市の加藤喜正さん(79)は複雑だ。半島の北に張り付く北浦地区に住み、ハタハタも取った元漁師。2年前、政府と県、市がここで行った「日本初のミサイル避難訓練」に地元の自主防災会長として協力した。
 当時は北朝鮮のミサイル発射が頻繁で、男鹿沖にも落ち始めた。避難訓練が北浦を皮切りに全国へ広がる中、政府はミサイル防衛強化でイージス・アショア導入を決め、国内2カ所、秋田・山口両県付近に置くとして今に至る。
 北浦で避難訓練を企画した政府や秋田県の幹部は関係を否定するが、加藤さんは「新屋ありきに利用されちゃったかな」と思う。そして、北浦から二十数キロの新屋は「私にとって遠くない」。幼い頃の米軍の空襲の記憶が、「アショアが配備されれば狙われる」という不安をかき立てるからだ。

能代に響いたB29の轟音

 父が勤めていた東京の蒲田で防空頭巾をかぶって逃げた。北浦に移って終戦間際には、夜中に秋田港の製油所へ向かうB29の轟音(ごうおん)を聞いた。「日本最後」の土崎空襲だ。「空襲の傷痕を見に行ったよ。二度とあってはならない」
 男鹿市の北にある能代市の海岸防砂林も、県内の配備先として防衛省の調査対象だった。伐採すれば市街で津波被害が広がるとして「不適」とされたが、能代市議会は6月、新屋配備に関し「防衛省の説明は納得できない」として撤回を求める請願を採択した。
 能代にもB29の轟音は響いた。いま土崎で空襲の記憶の継承に携わる伊藤紀久夫さん(79)は、能代にいた5歳の頃に防空壕(ごう)から出て見た夜空を覚えている。「干拓前の八郎潟の向こうが、真っ赤なオーロラみたいだったな」

元防衛庁長官の思い

 8月24日、能代出身で5月に89歳で亡くなった野呂田芳成・元防衛庁長官のお別れの会が市内であった。野呂田氏は生前、地元紙のインタビューでミサイル防衛の必要を認めつつ、「地元への相談なしに配備を決めるというのは言語道断だ」と語っていた。
 新屋配備反対を7月の参院選秋田選挙区で訴え野党統一候補として初当選した寺田静氏(44)が献花していた。野呂田氏の思い出を聞くとそのインタビューに触れ、「地元第一の姿勢に感銘を受けた。あの住宅地のそばはおかしいと国会でも訴えます」と話した。
 「防衛省は誠意を欠いた。あそこはもうだめと言ってある」。自民党の冨樫博之衆院議員(64)は苦い顔だった。新屋を含む秋田1区選出で、野呂田氏の元秘書として遺影に頭を下げた。(編集委員・藤田直央)


11市町村でイージス反対の請願・陳情採択
2019年9月21日:朝日新聞・秋田県版

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を巡り、秋田市への配備反対を訴える請願・陳情の採択が、秋田県内の各議会で広がっている。これまでに11市町村が委員会や本会議で採択。再び「継続審査」を決めた秋田市議会とは対照的な結果となった。
 秋田市新屋地区への配備反対を表明するよう訴える請願・陳情については今年8月、市民団体「ミサイル基地『イージス・アショア』を考える県民の会」(秋田市)が、同様の請願を6月に採択している能代市を除く県内24市町村議会に提出していた。
 横手市議会では20日の本会議で、県民の会の陳情に関する採決があった。前段となる所轄の委員会では継続審査を求める賛否が同数となり、委員長が「採択すべき」と判断した。
 本会議では「市議会としてずっと継続審査にするのは疑問」「新屋という住宅地が近い場所への配備反対は妥当」といった委員会での審議結果が説明された。本会議では討論がなく、議長や退席者らを除く22人のうち18人が起立で賛成。採択が決まった。
 朝日新聞が各議会事務局に取材したところ、9月議会で請願・陳情が議題に上がったのは20自治体。このうち20日までの本会議や委員会で、仙北市、横手市、藤里町、八峰町、五城目町、八郎潟町、井川町、美郷町、上小阿仁村、大潟村の10議会が、配備反対に関する請願・陳情を採択した。大仙市は委員会で採択したが、本会議で不採択になった。このほか能代市では今年6月、配備撤回を求める請願を県内で初めて採択している。
 なぜ採択が相次いでいるのか。「採択すべき」と委員長判断を下した横手市の菅原恵悦市議は「新屋に配備するべきではないという思いがあった」と明かす。
 配備候補地として秋田が挙がったのが2年前。海外の施設を視察した県議の話や今夏の参院選での野党候補の勝利を踏まえ、判断の先送りは不適当だと考えた。「地元住民には心労もあるはず。住民の理解を得ようとする国の努力が足りていない」と話す。
 美郷町でも、委員長判断で採択に向けて舵(かじ)が切られた。細井邦男委員長は「陳情は県民としての意思の表れ。不必要に(採決を)伸ばすべきではない」と話す。
 これまで出た陳情に異議を唱える委員はいなかった。イージスへの世間の関心が高まる中で、継続審査を求めていた委員の1人が「採択」に回ったことも決め手となったという。
 八峰町議会で陳情の採択に賛成した須藤正人町議は「やはり地元の人たちの思いを考えたらあそこにアショアは無理だろう」と話した。
 陳情を提出した「県民の会」の川野辺英昭代表(77)は、各自治体での採択を「各議員が地域住民の思いを受け止めてくれた結果だ」と評価。「普通の人間が普通に暮らしていくための、ごく当たり前の『反対』。会派に縛られた『思考停止』が続くのは、おかしな事態だ」と話した。(神野勇人、曽田幹東)


トランプとの会談を前に安倍首相の
“トウモロコシ爆買い”言い訳の嘘が
次々発覚!「民間が買う」も
「害虫被害のため」もフェイク
2019年9月24日:LITERA

 明日25日(アメリカ時間)、安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談で、貿易協定をめぐる交渉がいよいよ大詰めを迎える。協定の署名は次回10月に見送られるとの情報もあるが、最終的な合意を確認する見通しだ。
 自動車関税については引き続き交渉が継続されるというが、アメリカとの貿易交渉においては、日本側が牛肉や豚肉などの関税を環太平洋経済連携協定(TPP)の水準まで引き下げられるなど、安倍政権がトランプに言われるがままに国益を差し出してきたことは、本サイトも繰り返し報じてきた通り。
 そのうえ、前回8月25日の首脳会談では、アメリカで余っている大量のトウモロコシまで押し売りされたことはご記憶だろうか。
 トランプ大統領は会談後、予定になかった記者発表を急遽、日本側に要請。そこでトランプ大統領は得意気にこう語った。
「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」
 しかも、トランプ大統領は安倍首相にも「トウモロコシについても発言を」と催促。安倍首相は、まずいと思ったのか、「買うのは民間、政府ではない」とやんわり訂正した。
 政府が買わずとも、買い上げ企業に補助金や税制優遇などをつけるのは目に見えているが、安倍首相のこの発言のあと、トランプ大統領には「日本では民間が政府の言うことをきくらしい。アメリカと違って」と言われる始末で、完全に“トランプの犬”であることが丸出しとなったのだ。
 こうして合計275万トン、数百億円規模のトウモロコシ購入を決定してしまったのである。
 しかし、ここに来て、この“トウモロコシ爆買い”をめぐり、安倍政権の嘘が次々と明らかになっている。
 安倍首相は「買うのは、政府でなく民間」と言っていたが、きのう23日の東京新聞によれば、主要な飼料メーカーなど6企業・団体に取材したところ、〈追加あるいは前倒しで購入する予定があると回答したのは一社もなかった〉のだという。また、本日24日の朝日新聞によれば、〈農水省には商社などから「トウモロコシを強制的に買わされるのか」などとの苦情の電話〉が相次ぎ、〈大手商社の間には「政府から『忖度(そんたく)』しろと無理強いされないか」との警戒感〉もあるという。
 しかも、「中国が買うと言っていた約束を破ったからトウモロコシが余っている」というトランプの説明も、どうやら嘘だったようだ。もともと中国はトウモロコシの自給率が高く、アメリカからもそれほど輸入していない。化石燃料による二酸化炭素排出量を減らすため、石油精製業者は燃料にエタノールを混ぜなければいけない規制があるのだが、トランプ政権がこの規制を緩和するため、エタノールの原料であるトウモロコシの米国内需要が大幅に減るためだったのだ。
 しかし、最大の嘘は、この“トウモロコシ爆買い”が「害虫被害のため」という安倍政権の説明だろう。
 トランプが押し売りする理由が中国との貿易摩擦だろうが、アメリカ国内の規制緩和だろうが、日本が必要のないトウモロコシを大量に押し付けられているのは明らか。
 にもかかわらず、“トウモロコシ爆買い”について菅義偉官房長官が「本年7月からガの幼虫がトウモロコシを食い荒らす被害が広がっており、現在11県で確認され全国的に拡大する可能性があるとのことです。このため飼料用のトウモロコシの供給が不足する可能性がある」などと話すなど、安倍政権はもっともらしい説明をしていた。
 ところが、この「害虫被害のため」という説明についても、デタラメであることが明らかになってきている。やはり23日の東京新聞によれば、取材に対し全国農業協同組合連合会(JA全農)の担当者は「降って湧いた話に驚いている」「米国産トウモロコシは食害に遭う国内産と用途が異なり、直接代替できない」と語っている。
 また、本日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、「それほど被害は出ていない」「影響はあまりない」という複数の農家のコメントを紹介していた。
 本サイトは、前回の首脳会談直後に、安倍政権の「害虫被害のためトウモロコシが必要」という説明が嘘、フェイクであることを、いち早く報じていた。以下に再録するので、安倍政権の嘘つきぶりをあらためてご一読いただきたい。
(編集部)

菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘!
トランプの押し付けゴマカシで被害でっち上げ

 安倍政権が「トランプに押し付けられたトウモロコシ」をめぐって、フェイク丸出しのゴマカシ、情報操作を展開している。
 本サイトでもお伝えしたように、25日、安倍首相とトランプ大統領が日米貿易交渉で大枠合意したのだが、その中身は日本が牛肉や豚肉などの関税のTPP並み引き下げを飲まされる一方、アメリカ側に求めていた自動車の関税撤廃は見送り、というまさに“トランプ様の言いなり”という屈辱的なシロモノ。
 おまけに、トランプ大統領は会談後、予定になかった記者発表を急遽、日本側に要請。こんな事実を明かしてしまった。
「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」
 本サイトでも8月前半にいち早く報じていたが、トランプが米中貿易摩擦で中国に買ってもらえなくなった農産物を日本に要求。安倍首相がそれを丸呑みして、合計275万トン、数百億円規模のトウモロコシ購入を決定してしまったのである。
 典型的な朝貢外交だが、しかし、この“トウモロコシ爆買い”をめぐり、菅義偉官房長官が27日の会見でこんな言い訳を強弁したのだ。
「本年7月からガの幼虫がトウモロコシを食い荒らす被害が広がっており、現在11県で確認され全国的に拡大する可能性があるとのことです。このため飼料用のトウモロコシの供給が不足する可能性があることから、農水省において海外のトウモロコシの前倒し購入することをすでに8月8日に公表しております。このことが昨日の日米首脳会談で話題になったんだろうと承知しています」
 実は、この菅長官に先立って、ヒゲの隊長こと佐藤正久外務副大臣も全く同じ趣旨の主張をしていた。佐藤副大臣はツイッターのヘッダー写真を、自らがトウモロコシをかじっている写真に変えて、トウモロコシ押しをアピールしているが、日米首脳会談翌日の26日夕方にこんなツイートをしている。
〈九州地方等では害虫被害で飼料用トウモロコシが不足し、政府は、海外から前倒し購入等の対策を実施中。米国からも飼料用トウモロコシが多く購入されていいることから、上記前倒し購入の一環で米国から購入することなった〉(原文ママ)
 そう、安倍政権は「害虫被害でトウモロコシが不足しているから」と安倍首相のトウモロコシ爆買いを正当化してみせたのだ。
 これを受けて、ネトウヨや安倍応援団は「トウモロコシを押し付けられたのというのはフェイク」などと、大はしゃぎしている。
 しかし、バカも休み休み言ってほしい。フェイクを垂れ流しているのは、菅官房長官ら安倍政権のほうだ。
 たしかに農水省のホームページによれば、7月3日以降トウモロコシやスイートコーンの農場でヤガ科の害虫「ツマジロクサヨトウ」の幼虫の発生が確認されていて、九州地方を中心に12県でトウモロコシの葉が食べられる被害が出ているという。
 だが、これ、どう考えても、275万トンもの大量のトウモロコシが必要な被害ではないのだ。
農水省植物防疫課も「被害はわずか」と言っているのに国内生産量の半分を爆買い
 まず、最大の理由は、飼料用のトウモロコシはほとんどを輸入に頼っており、国内生産量はせいぜい年間450~500万トン程に過ぎないことだ。もし275万トンが必要だとすると、国内生産の半分が壊滅ということになるが、農水省のホームページを見ても、被害が出ているのは、鹿児島・熊本などの九州8県と高知県、岡山県、茨城県、千葉県のみ。国内生産の多くを占める北海道では被害が報告されておらず、たとえ被害の出ている県が全滅したとしても、被害量は275万トンの半分にもならないと考えられる。
 しかも、被害が出ている県についても、全滅どころか、大した被害では全くない。実際、「AERA.dot」が農水省の植物防疫課にツマジロクサヨトウによるトウモロコシ被害につい確認したところ、「被害はごくわずか」であると回答しているのだ。「AERA.dot」は「害虫被害はデマ?-農水省「現時点で影響ない」-米産トウモロコシ大量輸入で“忖度報道”」と題した記事で、こう報告している。
〈農水省に確認したところ「現状で営農活動に影響は出ていません」(植物防疫課)と話す。発生が確認された地域では、大量発生を防ぐために防除や早期の刈り取りを促しているが、作物への影響はわずか。「現時点で被害量はまとめていません」(同)という〉
 また、菅官房長官は被害が全国的に拡大する可能性があると言っているが、日本農業新聞(8月27日)によれば、ツマジロクサヨトウは〈熱帯・亜熱帯原産で寒さに弱く、10.9度以下で成長が止まる。最低気温が10度を下回る日が数日続く地域なら、越冬する可能性は低い〉という。北海道などトウモロコシ生産量の多い地域への影響はほとんど考えられないのだ。
 また、そもそも、安倍首相がトランプ大統領から押し付けられた275万トンものアメリカ産トウモロコシでは、いま、被害が出ている飼料用トウモロコシの代わりにならないという見方もある。東京新聞27日付はこう報じている。
〈食害は葉や茎も砕いて飼料にするトウモロコシで起きており、米国から追加購入する実を用いるトウモロコシとは栄養価などが異なる。鈴木宣弘・東京大教授(農業経済学)は「家畜の健康維持には二つを区別しバランスよく与えねばならない」と指摘。仮に被害が拡大しても米国産では単純に代替できない〉(8月27日)

真相を検証せずに菅官房長官のフェイクを垂れ流すマスコミ

 ようするに、「害虫でトウモロコシが不足」は、どこからどう見ても、安倍首相がトランプから押し付けられたことをごまかすために、持ち出したフェイクとしか思えないのだ。
 5月末、トランプ大統領は来日して、安倍首相からゴルフ、相撲観戦など過剰接待を受けた後Twitterでこう発言していた。
〈日本との貿易交渉で非常に大きな進展があった。農業と牛肉でとくに大きなね。日本の7月の選挙が終われば大きな数字が出てくる、待ってるよ!〉
 また、帰国後の6月にも「日本は先日、『米国の農家から大量の農産物を買う』と言った」と自慢げに語った。
 つまり、この時点で、安倍首相はトランプ大統領にトウモロコシを巨額購入することを約束していたのだろう。そして、8月、首相官邸が農水省に命じ、まったくたいしたことのない被害を利用して、その対策としてトウモロコシを購入する告知をさせたのだろう。
 安倍政権の官製フェイクには慣れっこになっているが、トウモロコシにまで、官房長官がこんなゴマカシを行うとは……。
 しかも、情けないのがマスコミだ。この問題で真相を検証したのは上記のメディアくらい。他のマスコミは菅官房長官の会見を受けて、そのまま「トウモロコシ購入は害虫被害対策」との言い分をそのまま垂れ流した。日本はもはやオーウェルの『1984』並みの、トンデモな国になってしまっているのではないか。
(編集部)


安倍改造政権
醜聞大臣を並べ警察官僚が跋扈のおぞましさ
2019年9月24日:日刊ゲンダイ

「気候変動問題にはクールにセクシーに取り組まないといけない」

 意味不明・中身ゼロの“ポエム答弁”で、評判ガタ落ちの小泉進次郎環境相が、初外遊先のニューヨークでもやらかした。

「環境分野として国を背負っている」と、国連総会に合わせて開かれる環境サミットに意気揚々と臨んだものの、記者会見でさっそく馬脚を現したのだ。
 ロイター通信は小泉の「セクシー発言」を大きく取り上げ、日本が23日の気候行動サミットで発言しないことなどを指摘。地球温暖化対策への取り組みに懐疑的な見方を示して、「コイズミはなんら詳細に触れることなく語った」と当てこすっていた。

 気候変動対策で、肉や乳製品の消費を抑える機運が世界的に高まる中、ニューヨークに到着するや、メディアを引き連れて高級ステーキ店に向かったことにも、軽率だと批判する声が上がっている。
 こんなセクシー大臣が目玉というだけで、この内閣のレベルが知れるというものだ。
 実際、早くも「誰が真っ先に辞任に追い込まれるか」と話題になっているのが、田中和徳復興相、武田良太国家公安委員長、竹本直一IT担当相の3人で、永田町では、イニシャルを取って「魔の3T」と呼ばれている。

 田中は財務副大臣在任中の2006年に、自身の政治団体が開催した政治資金パーティーで、指定暴力団・稲川会系の企業が40万円分のパーティー券を購入していたことが判明。武田も山口組系元組員から献金を受領した疑惑が報じられた。

 当選8回、御年78歳でようやく悲願の初入閣を果たした竹本は、山口組系幹部との写真をSNSにアップしていることが問題になった。IT担当なのに自身の公式サイトが閲覧できなくなっていたり、「はんこ議連」の会長を務めていたりと、適格性に疑問符が付く。

■「危ない大臣は何人もいる」

「これまでも“グレーな交友関係”が疑われ、派閥の推薦を受けても身体検査に引っかかって入閣できなかった人たちが新大臣になった。他にも“なんでこの人が?”と思うような危ない大臣は何人もいますよ」(自民党ベテラン議員) 

 過去に週刊誌にスキャンダルを報じられたのも、1人や2人ではない。西村康稔経済再生相は「ベトナム買春」疑惑、河井克行法相は秘書への暴力とパワハラ、菅原一秀経産相は、元愛人に「25歳以上は女じゃない」と言い放ったとされるモラハラ疑惑……。橋本聖子五輪相は14年のソチ五輪後の打ち上げでフィギュアスケート日本代表の高橋大輔選手に抱き付いて無理やりキスを迫る姿が写真入りで報じられた。
「セクハラ、パワハラ、ヤクザがらみと問題大臣だらけで、スネに傷がない人物を探す方が難しい。中でも国民をバカにしているとしか思えないのが、加計学園問題の当事者である萩生田光一氏を文科相に就けるという悪辣な人事です。野党に力がないから何をやっても大丈夫とタカをくくっているのか、国民に対する挑戦なのか分かりませんが、この人事で疑惑にフタをしようとしている。文科官僚は粛清を恐れて戦々恐々でしょう」(政治評論家・本澤二郎氏)
 文科省の内部文書には、加計学園の獣医学部新設をめぐり、萩生田の「官邸は絶対やると言っている」などの発言や、萩生田と内閣府の藤原豊審議官が認可条件に「広域的に」と「限り」を加えることを指示して、実質的に加計学園しか条件に当てはまらないようにしたことなどが記されていた。しかし、この疑惑を国会で追及された萩生田は、「知らぬ、存ぜぬ」の厚顔で通したのだ。

警察と経産省が幅利かす官邸主導の似非民主主義政権

 それにしても、よくもまあ、こんなスネ傷大臣ばかりを集めたものだと感心するが、それ以上にブッタマげたのが今般の官邸人事である。

 内閣改造に合わせ、政府の外交や安全保障政策で司令塔的な役割を果たす国家安全保障局(NSS)の局長が、外務省出身の谷内正太郎氏から警察庁出身の北村滋氏に交代した。

 北村は「官邸のアイヒマン」の異名を取る安倍首相の側近で、第1次安倍政権では首相秘書官も務めた。第2次政権では内閣情報調査室のトップとして国内の機密情報を一手に取り扱い、メディアや政界に睨みをきかせてきた人物だ。
 さらには、NSSに新たに経済部門も設置することも報じられた。首相側近と言えば、安倍にぴったり寄り添い、「陰の総理」とも呼ばれるのが経産省出身の今井尚哉首相秘書官。今井の立場も首相補佐官との兼務に“格上げ”された。担当は「政策企画の総括」で、これまで以上に内政、外政の重要政策に影響力を行使できるようになる。ちなみに、「首相補佐官の給与は年間2357万円で国会議員の大臣政務官クラス。秘書官より格段に待遇がいい」(官邸関係者)という。
「警察官僚が外交・安保に加え経済の司令塔という人事は異例ですが、官邸の権力強化には絶大な効果がある。外務省をはずし、外交も経済政策も官邸主導で進めるという強い意志を感じます。改造内閣は醜聞大臣がズラリで、自民党内には『こんなポンコツ内閣で大丈夫か』という声もありますが、NSSですべてを決める独裁体制では、大臣はお飾りみたいなものです。北村氏と今井氏にすべての情報が上がってくる体制になっている。よほどの不祥事なら大臣のクビを切ればいいし、スキャンダル化を未然に防ぐことも可能です。官僚はますます官邸の方だけを見て仕事をするようになるし、情報統制も今以上に厳しくなるでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

■政敵やメディアを脅かす材料が集まる

 狡猾な官邸機能の強化によって、加計学園問題で垣間見えた官邸官僚の暗躍がいっそう増長し、なおかつ巧妙になっていくことは想像に難くない。
 23日付の朝日新聞はこう書いていた。

<「北村さんは特別な役人だ。外務省は気にくわないだろうけどね」。首相は北村氏の起用を決めた後、周囲にこう語った>
<官僚トップの官房副長官に杉田和博氏、NSS局長に北村氏と、いずれも警察庁出身者になることで、「警察」が官邸で影響力を強めることへの警戒感も他省庁から出ている>
<不協和音が響く中で、官邸幹部は外務省など関係省庁を念頭に、こう釘を刺す。「これで(北村氏に)情報を上げないなんてことをしたら許さない」>

 要するに、密室、密告、側近政治という安倍政治の本質を隠す気もない開き直った布陣を敷いたということだ。

「独裁者を守る警察官僚の跋扈は、ナチスの秘密警察や戦前の特高警察を彷彿とさせます。逆らう者がいれば、真偽不明のスキャンダル報道のリークで、文科省の前川喜平元次官のように見せしめにされるのでしょう。野党やメディアを脅す材料がNSSに集まってくる。メディアも国会も『いつ難癖で潰されるか』という恐怖に怯え、言論を封じ込められてしまう。安倍首相は、政敵が謎の死を遂げたり、批判勢力は選挙に立候補できなかったりするロシアのプーチン大統領のような権限を手に入れようとしているのです。これでは、もはや日本は民主主義国家とはいえません。それに加えて恐ろしいのは、イケイケドンドンの警察官僚が外交・経済の司令塔では、いつ他国と一戦交えることになるか分からない。すでに成立した秘密保護法や共謀罪の上に乗っかって、戦争をするという決定をNSSで秘密裏に行いかねません」(本澤二郎氏=前出)

 安倍政権の韓国に対する「ホワイト国除外」などの対応を見れば、戦争の可能性を杞憂と切り捨てることはできない。経済と外交・安保は密接に結び付いている。中東問題などで世界情勢がキナ臭いだけに、ポンコツ閣僚を並べておいて、裏では警察官僚が睨みをきかせるコワモテ官邸の動向には、不気味さばかりが際立つのだ。

コメント

非公開コメント