真の“愛国者”は誰だ

安倍晋三首相は、自衛隊幹部に向かって「宇宙自衛隊も夢ではない」と訓示したが、その足もとの国民・国土の安全は保障されていない。特に沖縄では米軍に直接的に県民の安全が脅かされている。
ボクは“右翼”ではないが、「日本を守れ!」と叫びたいぐらいだ。

クローズアップ
沖縄基地周辺、水質汚染 有害物質、
米基準の28倍 米軍、立ち入り調査認めず
2019年9月16日:毎日新聞


 沖縄県にある米軍基地周辺の水源から発がん性が疑われる化学物質のPFOS、PFOAが高濃度で検出されている。県は基地が汚染源である可能性が高いとみているものの、米軍は立ち入り調査に応じず、原因は特定されていない。環境問題への対応に欠かせない情報が米軍からもたらされず、県は米国の情報公開制度を使って有害物質が漏出した事故などを把握している。【川上珠実】
 化学物質のPFOSとPFOAは水や油をはじく性質から飛行場で使用される泡消火剤などに用いられてきた。日本には水道水中の数値基準はないものの、米国環境保護局は2016年に飲料水の生涯健康勧告値(1日2リットルを70年間飲み続けても健康への影響はないとされる値)をPFOSとPFOAの合計で1リットルあたり70ナノグラムまでとしている。
 沖縄県の調査では15年に米軍嘉手納基地(嘉手納町など)内を通る大工廻(だくじゃく)川で1リットルあたり最大1379ナノグラムのPFOS、PFOAを検出。さらに基地周辺の河川から取水して水道水を供給する北谷(ちゃたん)浄水場でも最大120ナノグラムを検出した。事態を重く見た県は約1億7000万円をかけて同浄水場の粒状活性炭を入れ替える対策を取った。
 16年8月から始めた全県的な調査では米軍普天間飛行場(宜野湾市)周辺の水源でも高濃度の数値が確認されている。昨年夏の調査では普天間飛行場周辺の16地点中6地点で米国の勧告値を上回り、最も高かった湧き水「チュンナガー」は勧告値の約28倍にあたる2000ナノグラムを検出した。
 沖縄県は基地が汚染源である可能性が高いとみて米軍に基地内の立ち入り調査を求めているが、実現していない。県と米軍の交渉を検証してきた沖縄の環境調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表は「日本政府は米国との信頼関係を強調するが、県の要請は米軍に軽くあしらわれているのが現状だ。住民の生活に直結する問題にもかかわらず、必要な情報を引き出せていない」と問題を指摘する。
 「基地が汚染源である可能性が高い」とする県側の主張に対する見解を毎日新聞が求めたところ、在日米軍司令部広報部は明確な見解を示さずに「現在、日本にはPFOS、PFOAの環境基準はない。私たちは今後も日本政府とともに順序立ててこの問題に取り組んでいきたい」と回答。「PFOSを含まず、PFOAも微量しか含まない泡消火剤に切り替える作業を進めている」などと説明したものの、汚染との因果関係には言及していない。
 県は6月、基地の立ち入り調査を認めることなどを米軍に求めるよう岩屋毅防衛相(当時)に要請した。防衛省は取材に対し「県の要請を米側に伝達して働きかけており、引き続き連携を深めながら調整していきたい」としている。

産湯の湧き水も

 沖縄の人たちが代々親しみ、利用してきた水源からも高濃度のPFOS、PFOAが検出されている。米軍普天間飛行場から国道を隔てた下流側にある湧き水「メンダカリヒーガー」(宜野湾市大山)を取材した。
 普天間飛行場周辺は水を通しやすい琉球石灰岩の台地になっている。上流から流れた水が地下に蓄えられて湧き水となり、その恩恵を受けた田イモ畑が広がる。畑の片隅の斜面から湧き水があふれ出ていた。
 メンダカリヒーガーからは昨年夏の県調査で1リットルあたり650ナノグラム、今年1月に770ナノグラムのPFOS、PFOAが検出された。県は湧き水を直接飲まないよう住民に呼びかけている。
 戦前、湧き水は生活用水として使われた。干ばつでも枯れることがなく、住民は「産川(ウブガー)」と呼んで大切にした。お産の時はこの水を産湯として使い、生まれた子の頭に水をかけて元気に育つように祈願したという。湧き水を中心に集落が発展し、一帯は豊かな農村地帯となった。
 戦後に水道が整備されてからも湧き水は農業用水として利用されている。県は水源からPFOS、PFOAが検出された後、農作物中の濃度を測定したが、すべての検体で検出されなかった。ここで代々田イモ農家を営む伊佐実雄さん(83)は「悪い風評が立てば生産地は危機的な状況になる」と懸念する。一方、「毎日、水や土に触れるので、素人なりに考えさせられる。もし子や孫たちの時代に影響がでたらと思うと、すごく心配」と複雑な思いを漏らす。
 飛行場と平行に走る国道沿いの開発が進む一方、田イモ畑の近隣では渡り鳥が羽を休め、エビやカニ、ホタルが見られる川も残る。伊佐さんは「この生き物たちがいるうちはまだ大丈夫なのかな。この自然がいつまでも続いてほしい」と願っている。

沖縄県が米国の情報公開制度を使って入手した資料の一部=沖縄県庁で、川上珠実撮影

県、米情報公開頼み

 沖縄県は米国の情報公開制度を規定した情報自由法(FOIA)を使って米軍基地から有害物質が漏出した事故などの情報を米国政府に開示請求している。主に市民団体や報道機関が用いる手法だが、正面からの要請だけでは米軍から十分な情報を得られない苦しい実情が背景にある。
 米軍嘉手納基地内で大量の泡消火剤があふれ、車が泡に埋もれている――。
 沖縄県がFOIAを利用して米国政府から入手した13年12月の漏出事故の写真だ。県は昨年6月、同基地で起きた有害物質の漏出事故の報告書を開示請求した。開示された報告書にはジェット燃料が排水溝に流れ込んだ可能性が指摘された事故もあったが、県への通報はなかった。
 米軍が日本国内の有害物質の管理方法などを定めた日本環境管理基準(JEGS)のリストにはPFOSも含まれている。日米両政府は1997年に「在日米軍の事件・事故発生時における通報手続き」に合意。そこでは「危険物、有害物、放射性物質の誤使用、廃棄、流出または漏出の結果として実質的汚染が生ずる相当な蓋然(がいぜん)性」がある事案を通報対象としているが、県などが必要性を認める事案でも通報がない。毎日新聞は、JEGSの解釈や泡消火剤の流出を県に通報しなかった理由を在日米軍司令部広報部に尋ねたが、「通報手続きは2国間の合意に基づく」という回答しか得られなかった。
 沖縄県は14年度から委託業者や県職員を米国の公文書館や米軍の戦史センターなどに派遣。県内の米軍施設の廃棄物処理場や石油タンクなどの位置や規模、化学物質の取り扱いや過去の汚染物質事故の記録などを収集している。担当者は「地域住民への影響が懸念される事故でも、通報するかは米軍の判断次第だ。住民の不安を払拭(ふっしょく)するためには、米軍任せにはできない。情報公開請求するのはそれだけ切迫しているということ」と強調する。
 国内の多くの環境関連法は、定められた基準が順守されているか事業者に調査や報告を求める権限を都道府県に与えている。だが、米軍基地は権限が及ばない例外的な存在だ。
 宜野湾市は09年に市内の米軍施設におけるアスベスト(石綿)の管理について開示請求を行った。当時市長だった伊波洋一参院議員は「日本政府も米軍の行動には暗黙の了解で口を出さない。住民を守るために自治体が基地内部の情報を探らざるを得なくなっている」と話す。
 慶応大の岡山裕教授(アメリカ政治)は「FOIAは請求者や請求の意図は問わないため、外国の自治体が開示請求することに問題はない」と指摘。沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は「本来は県が情報公開請求するのではなく、政府が米国と交渉しなければならない。これは国民の生活環境の問題であり、政府は米国から必要な情報を引き出すべきだ」と話している。


軍事研究の公募 制度の見直しが必要だ
2019年9月17日:東京新聞

 国立天文台が軍事応用可能な基礎研究の公募制度に応募するかどうかで揺れている。防衛省が四年前から始めた制度だが、応募が減少し、今年は再募集するほどで、曲がり角を迎えている。
 防衛省は二〇一五年度に安全保障技術研究推進制度を創設した。近年、軍民両用技術が広がり、大学などの研究者と研究成果を取り込むのが狙いだ。
 しかし、戦争の反省から一九五〇年に日本学術会議は「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」という宣言を発表。同制度についても、懸念を表明する声明文を公表した。「応募しない」と決めた大学も少なくない。
 天文台も三年前に教授会議が同制度に「応募しない」と決めた。だが、七月の教授会議で執行部が方針の改定案を示したことが、本紙の報道で明らかになった。
 同制度はスタートの二〇一五年度は予算三億円で、百九件の応募があったが、翌年は予算六億円で四十四件に激減。一七年度から予算は百億円超になったが、応募は百四件、七十三件、五十七件と減少傾向が続く。中でも最大で五カ年、二十億円の研究費が付く大規模研究課題は本年度、大学や公的研究機関からの応募はゼロ。防衛装備庁はウェブサイトで、二次募集を始めた。
 サイトには研究成果の概要も紹介されている。一七年度終了の研究課題十一件を見ると、総額で一億円を超えるものが六件あるが、論文の発表実績は一件が三課題、ゼロが五課題もある。
 財務省は論文の生産性という言葉を使って大学の研究費を抑え、研究テーマや配分先の選択と集中を図っている。その論理からすれば、安全保障技術研究こそ、見直すべきだろう。
 天文学は基礎研究の最たるものだ。今年一番の成果は四月に発表されたブラックホールの写真である。南極大陸や南米チリなど世界の八つの電波望遠鏡が連携して成功した。記者会見は世界同時で、日本でも行われた。
 今月初めには米IT企業の創業者らが創設したブレークスルー賞(賞金約三億円)の受賞が決まった。受賞者の中には国立天文台の本間希樹教授ら日本人研究者約二十人が含まれている。国際的な研究で主役を務めることも重要なことではないだろうか。
 安全保障研究予算約百億円を文部科学省の研究費増に充てる。そうした政策の切り替えが必要だ。


(社説)軍事研究 「ノー」の意識広く深く
2019年9月19日:朝日新聞

 兵器など防衛装備品の開発につながりそうな研究に、政府が資金を出す「安全保障技術研究推進制度」の今年度の実績が、先ごろ発表された。
 応募は2年連続減の57件、採択は16件で、防衛装備庁は制度開始5年目で初めて追加募集に踏み切った。大学の応募は過去最少の8件にとどまった。
 5年間で最大20億円が支給される好条件にもかかわらず、応募が少ない背景には、日本学術会議の働きかけなどを通じて、制度の問題点が広く共有されたことがあるだろう。科学者の倫理や社会的責任を踏まえた対応であり、評価したい。
 学術会議は1950年と67年の2回、軍事研究を否定する見解を表明。これを継承した2年前の声明では、今回の制度を「政府による介入が著しく、問題が多い」と指摘した。装備開発につなげようという目的が明確なうえ、政府職員が研究の進み具合を管理する点などを、学問の自由の下、人権、平和、福祉などの価値の実現を図る学術界とは相いれないと判断した。
 装備庁は「研究内容に口を出すことはない」などと釈明に懸命だが、多くの大学が「軍事研究はしない」との方針を確認している。いったん応募して支給対象になったものの、その後に辞退した例もある。
 意識は確実に浸透してきている。だが懸念がないわけではない。昨年、学術会議が全国の大学や研究機関を調べたところ、この制度への応募について、大学・機関としての方針や内部審査手続きを定めていないとの回答が、ほぼ半数を占めた。
 研究成果が民生と軍事の両面で使われる「デュアルユース」は、科学技術の宿命だ。個々の研究者に判断をゆだね、最終責任を負わせるのは酷であり、大学や機関で考え方に乖離(かいり)があれば、交流や人材の移籍の妨げにもなりかねない。これまでの議論の深まりを受けて、学術会議が音頭をとってスタンダードづくりを進めてはどうか。
 研究現場、とりわけ若手の間には「とにかく資金がほしい」「組織で個人を縛るべきではない」との声もある。前者は、政府が研究環境の整備を怠ってきたことの裏返しだ。軍事研究への誘導ではなく、着実な改善こそが求められる。また科学コミュニティーによる自主規律は、自由の侵害ではなく、将来に向けて研究を守ることに通じるとの認識を持つべきだ。
 遠くない過去、国内外の科学者は国家に組み込まれ、戦争に協力して、甚大な被害をもたらした。その反省と教訓を若い世代に伝えていくという重い課題にも、科学界は引き続き真摯(しんし)に向き合わなくてはならない。


首相「宇宙自衛隊、夢ではない」
 来年度「作戦隊」新設
2019年9月18日:毎日新聞

 安倍晋三首相は17日、防衛省で開かれた自衛隊高級幹部会同で訓示した。航空自衛隊内に来年度新設する「宇宙作戦隊」に言及し、「航空宇宙自衛隊への進化は、もはや夢物語ではない」と述べ、宇宙やサイバーなど「新領域」での能力向上を指示した。持論である憲法に自衛隊を明記する9条改正については触れなかった。
 会同は毎年行われており、自衛隊幹部約180人が出席した。首相は近年の国際情勢について「安全保障の構図を一変させるかもしれない先端技術の開発に各国がしのぎを削っている」と指摘。宇宙、サイバー、電磁波分野での能力向上について、「早期に実行に移し、万全の態勢を築く必要がある」と述べた。【田辺佑介、宮原健太】


米軍が民間港使用を通告
 反対市民の抗議で17日は使用断念
 沖縄・本部港
2019年9月17日:毎日新聞

 沖縄本島北部の沖縄県本部町(もとぶちょう)にある本部港で17日朝、在沖米海兵隊が港に軍用ボートを下ろして出港させようとした。本部港は町管理の民間港で、軍事利用に反対する市民や港湾関係の労働組合員ら約100人が港のゲート前に座り込み、ボートを運んできた米軍車両の進入を阻止。米軍はこの日の港の使用を断念し、車両とボートを現場から引き揚げた。
 日米地位協定5条で、米軍は船舶や航空機を公の目的で運航する場合、民間の港や飛行場を使用できるとされる。米軍による沖縄県内の民間港使用はこれまで5回あるが、いずれも離島で沖縄本島では初めて。米軍は10日に港の使用を町に通告。これに対し、県は「住民に不安を与える」と自粛を求めてきた。
 軍用ボートは長さ約10メートル、幅約4メートル。米軍キャンプ・シュワブ(名護市など)から米軍車両に引かれ、17日朝に本部港前に運ばれた。防衛省沖縄防衛局によると、航空機からのパラシュート降下訓練に使うもので、本部港から訓練を実施する米軍伊江(いえ)島補助飛行場のある伊江島へ向かう予定だった。
 県は「住民に不安を与え、民間船舶の円滑で安全な運航にも支障が出る可能性がある」として自粛を求めた。これに対し、米側は「公道での軍用車両の走行時間を減らすため」と民間港使用の理由を説明し、使用を強行する構えをみせていた。
 港のゲート前に集まった市民らは「なぜ民間港を使うのか」と抗議し、米軍車両の進入を止めた。沖縄平和運動センターの山城博治議長は「有事に民間施設を利用するための地ならしではないか。今回、使用を許せば、米軍は今後も本部港や他の港をどんどん使うようになる」と話した。【遠藤孝康】

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