見通し悪い“新年展望”

年明け、新年によくある「年頭展望」という企画の一つ、東京新聞の「これから2020」をまとめてみた。
今年といっても、すでに始まったイラクへの米軍事テロとイランの報復…、金価格はこの数日で10000円近く上昇し、株価は下落している。
昨日(1月8日)の夕方、新宿西口でイラン挑発・自衛隊派遣反対の緊急行動があるというので、出かけた。18時少し前に着くと、旧知のWさんや、TTの顔も見える。小田急百貨店前に街宣車が止まり、その前に「戦争反対」の横断幕も掲げられていた。家に帰ってNHKの8時45分のローカルニュースで珍しく取り上げられていた。参加者は300人という…。緊急行動とはいえ、参加者は少なすぎる。
さて、安倍晋三首相は、予定していた中東訪問を取り止めたと言い、しかし、自衛隊の派遣は行うと言う。
敵前逃亡とは言わないが、では、外交として何を行おうというのだろうか。米国の呼び掛ける“有志連合”にはすぐには加われず、ホルムズ海峡に派遣される自衛隊の「やられ部隊」がやられるのを待って、本格参戦をしようというのだろう。
DTの“友人”なら、ここはワシントンに飛んで、諫めるのもABEの役割だと思うのだが…。ご都合の親友には、その勇気はないようだ。


<こうなる2020>(1)憲法 首相、改憲へ解散にらむ
2020年1月3日:東京新聞

 安倍晋三首相は二〇二〇年も、悲願とする改憲実現に向けて衆参憲法審査会での議論を呼びかける。首相は「決してたやすい道ではないが、必ずや私自身の手で成し遂げていきたい」と改憲への意欲を隠さない。一日付で発表した年頭所感でも「国のかたちに関わる大きな改革を進める。その先にあるのが憲法改正だ」と強調した。
 一月召集の通常国会で首相や自民党は、国民投票法改正案の成立を目指す。一九年秋の臨時国会では、衆院憲法審で二年ぶりに議員による「自由討議」が行われた。通常国会でも自由討議を重ね、改憲原案の策定を急ぐ考えだ。
 主要野党は対決姿勢を強め、安倍政権での改憲に応じない方針だ。衆参憲法審での審議は首相や自民党の思惑通りには進まず、現時点では、二一年九月までの自民党総裁任期中の改憲施行は簡単ではない。
 首相は一九年参院選で、改憲の「議論を進める政党かどうか」を争点にした。議論が進まない状況を転換し、改憲の推進力を得ようと衆院解散・総選挙を仕掛ける可能性がある。衆院議員任期満了は二一年十月。臨時国会閉幕を受けた先月の記者会見では「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、断行することに躊躇(ちゅうちょ)はない」と語った。
 時期はいつか。選択肢の一つとみられるのは通常国会開幕後早々。経済対策を盛り込んだ一九年度補正予算案を成立させた直後だ。
 合流で基本合意した立憲民主党や国民民主党など野党の準備が整わないうちの解散は、与党に有利な展開となる可能性がある。首相主催の「桜を見る会」の問題や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の汚職事件で打撃を受ける中、解散は難しいとの見方が支配的だが、局面打開を図る可能性もゼロではない。
 もう一つは東京五輪・パラリンピック後の秋の臨時国会。大型行事の終了を追い風にしたい考えだ。
 現在、党総裁三期目の首相は四選を「考えていない」と繰り返す。それでも衆院選で勝てば、党則を変更して四選を認めるべきだとの声が出るとみられる。四選されれば、首相は改憲実現へ十分な時間を得る。
 だが、国会が発議権を持つ改憲を理由に首相が解散権を行使することには、与党内にも批判が根強い。参院に加え衆院でも「改憲勢力」が国会発議に必要な三分の二を割ることもあり得る。首相にとって賭けだ。
 任期が近づくにつれ、国民や党内の関心が「ポスト安倍」へ向き、求心力低下は避けられない。五輪・パラリンピック成功を花道に、影響力を残して身を引くこともないとはいえない。
 首相はその場合、改憲実現を条件に岸田文雄政調会長らを後継指名するとみられる。総裁選で選ばれた次の首相がどう改憲の道筋を付けようとするかが焦点になる。 (後藤孝好)



<こうなる2020>
(2)社会保障 医療費2割 線引き攻防
2020年1月4日:東京新聞

 社会保障を巡る最大の焦点は、七十五歳以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担引き上げだ。政府は一定以上の所得がある人の負担を、二〇二二年度初めに現在の原則一割から二割に引き上げる方針だが「一定の所得」の金額の線引きは未定だ。政府が基準額の結論を出す六月まで、政府・与党内での激しいせめぎ合いが予想される。
 「一定所得以上の方については医療費の窓口負担割合を二割とし、現役世代の負担上昇を抑えながら全ての世代が安心できる制度を構築する」
 安倍晋三首相は昨年十二月十九日、自身が議長を務める全世代型社会保障検討会議の中間報告取りまとめの際、七十五歳以上の医療費負担増を明言した。
 首相は昨年九月の内閣改造で、全世代型社会保障を看板政策に掲げ「子どもからお年寄りまで全ての世代が安心できる新しい社会保障制度のあり方を大胆に構想していく」と宣言。少子高齢化を踏まえ、給付と負担を見直す姿勢を示した。
 勢いを得たのが、財政規律を重視する財務省だ。七十五歳以上の窓口負担は、現役並み所得(単身世帯で年収三百八十三万円以上)がある人は三割、その他の90%以上の人は一割だ。同省はこの割合の二割への引き上げを求めた。麻生太郎副総理兼財務相は昨年十一月の検討会議で、引き上げについて「先送りせず結論を出すべきだ」と迫った。
 ブレーキをかけたのは、高齢者の反発を不安視する与党と厚生労働省。与党には、引き上げが選挙にマイナスになるとの懸念がある。
 公明党の山口那津男代表は、先月の記者会見で窓口負担について「原則一割を大きく変えることにはならない」と明言。今回の社会保障制度の見直しに関する自民党の提言も「二割」の文字は盛り込まず、公明の提言は「原則一割負担を基本」と記した。
 加藤勝信厚労相も「国民生活への影響を見極めながら進める必要がある」と、慎重姿勢を崩さなかった。
 最終的に、政府の中間報告は「一定以上の所得がある場合は二割とし、それ以外は一割」と記し、いずれも「原則」と読める書きぶりとなった。政府が結論を出す六月まで難しい調整が続きそうだ。
 これ以外の社会保障制度見直しについては、政府は今月召集の通常国会に関連法案を提出する。働く高齢者を増やし、社会保障を支えてもらうため、企業に七十歳までの就業確保に向けた努力義務を課すことなどが柱だ。 (村上一樹)



<こうなる2020>
(3)沖縄・米軍基地
 県民反発 国と対立続く
2020年1月5日:東京新聞

 政府は、沖縄県民が反対の民意を示しているにもかかわらず、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移転に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設を強行する。難航する工事は大幅に遅れて建設費も増大する中、県は「基地負担のたらい回し」として、あらゆる手段で阻止する構え。政府は建設推進の立場を変えず、今年も激しい攻防が続く。
 防衛省は昨年十二月、埋め立て予定地である辺野古北部の海底に存在する軟弱地盤について、地盤改良の工事が可能と省内の有識者会議で結論付けた。住宅街に密接して「世界一危険」とされる普天間の返還のためには「辺野古が唯一の選択肢」と繰り返す。
 日米両政府は二〇一三年当時、新基地の提供まで九年半との工程表を提示し、普天間飛行場を「二二年度またはその後に返還可能」としていた。だが、政府が昨年十二月にまとめた新たな工程表では運用開始まで最短で十二年かかり、早くても三〇年代へずれ込む。
 軟弱地盤の対応で工法を変更せざるを得ないため、防衛省は近く県に設計変更を申請し、承認を得る必要がある。新基地阻止を掲げる玉城(たまき)デニー知事は認めない方針で、受理から一カ月程度で不承認とする方向。この場合、政府は行政不服審査法に基づく審査請求や代執行訴訟などの対抗措置を講じ、県との訴訟合戦に発展する見込みだ。
 政府は総事業費について三千五百億円以上とみていたが、軟弱地盤の工事などで膨らみ、約九千三百億円に変更。一方、県は二兆五千五百億円もの巨額な費用がかかると独自試算して建設断念を迫る。
 国土の面積の0・6%しかない沖縄県に、日本の米軍専用施設の約七割が集中する。玉城氏は全国各地で「米軍に起因する騒音や事件、事故で多大な基地負担を強いられている」と訴え、基地負担軽減の機運を盛り上げたい考えだ。
 夏には県議選が予定されている。玉城氏を支える県政与党のオール沖縄勢力が過半数を維持するかどうかが、大きな焦点になる。
 政府は在日米軍に関し、「思いやり予算」として駐留経費を税金で負担している。基地従業員の給与や光熱水費などに、二〇年度予算案では十三年ぶりに二千億円台を計上した。
 思いやり予算は日米両政府の特別協定に定められ、二一年三月末が期限。来年の通常国会での協定更新の承認を見据え、日米当局が近く協議を開始する。
 米国防総省の〇四年の報告書では、米軍が駐留する各国の負担割合は韓国が40%、ドイツは32・6%。日本は74・5%と突出しているが、トランプ米大統領は大幅増を強く要求。米国追従の目立つ安倍政権がどこまで押し返せるか見通せない状況だ。 
  (山口哲人)



<こうなる2020>(4)
7月の都知事選 小池氏軸に思惑が交錯
2020年1月6日:東京新聞

 東京都知事選は六月十八日に告示、七月五日に投開票される。現職の小池百合子氏は対応を明らかにしていないが、再選出馬が確実視されている。これに対し、都政で対立してきた自民党都連は対抗馬擁立を目指すが難航し、党本部には小池氏容認ムードも漂う。統一候補擁立で一致した立憲民主、共産など野党の動きも注目だ。知事選から一年後に控える都議選もにらみ、各勢力の思惑は交錯している。
 「今は明確にはお答えしません」
 昨年十二月二十三日、小池氏は本紙のインタビューで、再選出馬についてこう語った。知事周辺は「ぎりぎりまで表明しないのでは」とみるが、連日のように各種行事や会合を行脚し、年末には「知事選公約の土台」(都幹部)ともいわれる都政の長期戦略ビジョンを発表。公明党も「うちは小池知事」(都議)と再選支持が既定路線になっており、準備は着々の様相だ。
 最大の焦点は、自民党の動き。同じ二十三日の都議会自民党のパーティーで、党都連幹事長の高島直樹都議は「私たちと同じ目線で頑張る知事候補を擁立し、必ず都政を奪還したい」と決意表明した。都連は二〇一七年の都議選で小池氏率いる都民ファーストの会に惨敗しており、雪辱を期す方針に変わりはない。
 ただ都連は昨年六月に選考委員会を設置したものの、八月以降は開かれず、事実上停滞。「これといった人がいない」(都連幹部)のが実情だ。丸川珠代参院議員ら現職国会議員の名前も取りざたされたが、本人は固辞したとされる。
 そんな中、党本部の二階俊博幹事長は「出すなら勝てるのを」「代えなきゃいけない積極的な理由は見つからない」などと容認論を公言し、都議からは「最後は、はしごを外されるのか」と不安が漏れる。
 小池氏側にとっても、知事選後の二一年夏の都議選を見据えた場合、自民党都連との全面的な対立は都政運営の不安材料になりかねない。「都議会で自民党が勢力を盛り返したら、議会対応が苦しくなるだろう」と都幹部。現段階で「手打ち」は考えにくいが、両者の距離感が、知事選に向けて変化するかどうか注目する。
 立民と国民、共産、社民の野党各党は先月十日、統一候補擁立で一致した。小池氏は一七年衆院選で「希望の党」を結成して旧民進党分裂のきっかけをつくっただけに、当時の「排除の論理」に不信感は根強く、小池氏の政治姿勢も論点となりそうだ。 (岡本太、石原真樹、井上峻輔)



<こうなる2020>
(5)原発 テロ対策未完、4基停止
2020年1月7日:東京新聞

 東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、福島県双葉町、大熊町、富岡町で三月上旬、区域内にあるJR常磐線の三つの駅周辺の避難指示が解除される。福島第一があり、全町避難が続く双葉町での避難指示解除は初めて。
 三駅は双葉、大野、夜ノ森。これに伴い、常磐線は不通が続く富岡(富岡町)-浪江(同県浪江町)間が三月十四日に開通し、原発事故から九年ぶりに全線開通する。ただ避難指示解除で自由に出入りできるのは、駅につながる道路や駅前広場のみで、住宅は含まれない。復興拠点全体の避難指示解除は、双葉、大熊の二町が二〇二二年春、富岡町は二三年春の見込み。


 原発の稼働は一八年以降、西日本にある五原発九基の態勢が続いてきた。二〇年は福井県に立地し、運転開始から四十年を超えた関西電力の高浜1号機と美浜3号機の事故対策工事が終わり、再稼働に向けた地元手続きに入る。ただ、関電は経営幹部の金品受領問題で原発立地自治体からの信用が揺らいでおり、再稼働が遅れる可能性がある。
 一方、テロ対策施設の完成が定められた期限に間に合わず、運転を停止する原発も相次ぐ。鹿児島県の九州電力川内(せんだい)1号機は三月、2号機は五月に、福井県の関電高浜3号機は八月、4号機も十月に停止する。いずれも停止期間は六カ月以上と長期となる見込み。
 原子力規制委員会は二月にも、東北電力女川(おながわ)2号機(宮城県)について、再稼働に必要な事故対策が新規制基準に適合していると正式決定する。東北電は二〇年度中に事故対策工事を終えるが、東日本大震災で津波被災した原発の再稼働に、地元自治体が同意するかが最大の焦点となる。
 事故収束中の福島第一では、前年からの二つの大きな作業が続く。3号機使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しは一九年四月に始まったが、機器の不具合で半年ほど中断。核燃料五百体以上が残り、完了目標の二一年三月から遅れる可能性がある。1、2号機排気筒(高さ百二十メートル)を上から解体して半分にする作業も切断機器のトラブル続発で、完了目標が三月末から五月上旬となった。
 原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しは、当初2号機で年内に試験的採取が予定されていたが、二一年へ延期。政府と東電は、最難関である作業に向けた機器開発など準備を進める。 (小川慎一)




<こうなる2020>
(6)米大統領選 分断の大国 接戦必至か
2020年1月8日:東京新聞


 日本にも世界にも大きな影響を与える四年に一度の米大統領選は、十一月三日に行われる。「米国第一主義」を掲げ世界を揺るがし続ける共和党のトランプ大統領(73)が再選し、さらに四年の任期を得るのか、それとも民主党の新大統領が誕生するのか。
 本来なら現職は圧倒的に有利だ。第二次大戦後、二度目の大統領選に挑み敗れた現職はカーター、ブッシュ(父)の両大統領だけ。しかし、トランプ氏は「予測不能」だ。支持率は安定しているものの40%台前半。不支持率が50%台で常時上回る。共和党内では九割の支持率を誇る一方、民主党支持者には徹底的に反発され、過去の多くの現職のように盤石とは言い難い。
 四年前も薄氷の勝利だった。大統領選の本選は州ごとの戦いで、一票でも上回った候補がその州で決められた数の「選挙人」を全て獲得する「各州総取り方式」。トランプ氏は得票率の差がわずか1ポイント前後で制した激戦州が四つもあった。
 トランプ氏再選の可能性について、世論の見方も割れている。昨年九月の米政治専門紙ヒルの調査では、「トランプ氏が勝つと思うか」との質問に、そう思うが39%、思わないが40%、分からないが21%だった。
 保守層の支持者に強固に支えられているのがトランプ氏の強み。対する民主党は一枚岩ではなく、かつてのビル・クリントン、オバマ両大統領のような勢いのある候補者がいないことにも助けられている。
 大統領選は共和、民主両党が二月から各州で順番に予備選や党員集会を重ね、最も多くの支持を集めた候補が夏の党大会で指名され、十一月の本選を戦う。プロ野球に例えると長丁場のレギュラーシーズンで代表を決め、秋に一発勝負の日本シリーズでチャンピオンを決めるイメージだ。
 共和党はトランプ氏で事実上決まりだが、民主党は混戦。バイデン前副大統領(77)を軸に、サンダース(78)、ウォーレン(70)の両上院議員、ブティジェッジ前サウスベンド市長(37)、ブルームバーグ前ニューヨーク市長(77)が続く。各候補とトランプ氏との比較では、バイデン氏がトランプ氏を上回る世論調査結果もあるが差はわずかだ。
 対イラン関係など中東情勢や米経済の動向が影響する可能性もあり、十一月の結果を現時点で予想するのは難しい。唯一言えるのは、前回以上に激しい選挙戦が繰り広げられ、どちらが接戦を制しても、米国の分断がますます深まるということだ。 (アメリカ総局・金杉貴雄)


ここがヘンだよ日本の経済支援
 ゾマホン氏、大いに語る
2020年1月7日:朝日新聞

 覚えていますか? 20年ほどまえ、討論番組「ここがヘンだよ日本人」といったテレビに出演し、人気を博した男のことを。西アフリカはベナン共和国からやって来た男のことを。
 ゾマホン・D.C.ルフィンさん、55歳。
 じつはゾマホンさん、日本で人気がでたのち、ベナンの大統領特別補佐、駐日ベナン大使などベナン政府の要職をつとめてきました。
 日本で暮らし始めて26年。「私の心は日本人よ」というゾマホンさんは今、日本とベナンを行き来し、ベナンで日本文化を広める活動をしています。なぜそんな活動をしているのでしょうか。そして、日本のみなさんに知ってほしいことがあるのだとか。
 2時間のインタビュー。ゾマホンさん、大いに語ります。(聞き手と構成 編集委員・中島隆)
     ◇
 ――この12月1日、ベナンで初めて、日本語能力試験があり、50人が応募しました。試験を主催する国際交流基金によると、アフリカで4番目に多い応募者だったそうです。
 「その前に、この場を借りて、お礼を言わせてください。私にとって大事なんです」
 ――どうぞ、どうぞ。
 「26年前、私を受け入れてくれた日本語学校のみなさま、バイト先のみなさま。留学生として受け入れてくれた上智大学のみなさま。恩人で親分であるビートたけしさん。所ジョージさん」
 「私の母国ベナンでつくったシアバターで化粧品をつくってくださっている『グラフィコ』をはじめ、技術、雇用などで協力してくださる日本企業のみなさま。『テルフィーズ』、『LIFULL(ライフル)」』の井上高志社長、『ファミリー物産』、社団法人『GOOD ON ROOFS』さま」
 「私をテレビに出してくれたみなさま、テレビを見てくださったみなさま、私の本を買ってくださったみなさま。私を受け入れてくださった日本のみなさま」
 「すべてのみなさまに、お礼を申し上げます」
 ――義理堅いですね。
 「義理堅い? 当たり前よ」
 「このたび、ベナンで日本語の試験ができました。日本語を勉強している生徒たちにとって、自分の力を試すチャンスです。ベナン人に日本文化を身につけてほしくて、2003年に『たけし日本語学校』をつくり、がんばってきた成果です。私の人生は成功でした。これからも日本とベナン、日本とアフリカの架け橋の役目をしていきます」
    ※
 ゾマホンさんは、ベナンの貧しい家に生まれました。片道10キロも歩いて小学校に通います。早くに父親を亡くし、おじさんのところに養子に出されました。おじさんのところも裕福なわけではなく、電気代を節約するため、夜、車の中の明かりの下で勉強しました。
    ※
 ――子どものころ、日本はどんな国だと思っていましたか?
 「日本は恐ろしい国だと教わった。ちょんまげをゆって、刀を差している。そして、人間見たら、すぐ殺すと。戦争のとき、日本人はたくさん殺したから、って。でも、高校生のころ、日本のすごさを知ったよ。トヨタ、日産、マツダ。日本の車はすごい。日立、ソニー。テレビもすごいと。車も電気製品も、いちばん信用できるのが日本製だと」
 「ちょんまげの国なのに、なぜすごい製品がつくれるの? おかしい、何かヘンだぞって思いました」
 「日本は地下資源が少ないと知りました。石油はほぼなく、ダイヤモンド、ありません。にもかかわらず、先進国になっている。なぜなの? 私は知りたかった。ただ、貧しい高校生のゾマホンに、日本は遠すぎる国でした」
 ――ベナン国立大でアフリカ文学を学び、中国に留学しますね。
 「ある日、ベナンにある中国大使館の前を歩いていて、漢字を初めて見ました。えっ、何これ? ベナンは、むかし、フランスの植民地でした。だから、公用語は民族それぞれの言語とフランス語。漢字はぜんぜん読めないけれど、これが言語だと知って、中国に行こうと思った」
    ※
 ゾマホンさんは、中国の大学に国費で留学しました。さらに大学院の博士課程に進みます。そのときのクラスメートのほとんどが日本人でした。みんな礼儀正しくてびっくり。日本に行きたいと思い、クラスメートのお父さんに、日本での保証人になってもらったのです。高橋さま、内田さま、倉田さま、三柴さま、ありがとうございました。
    ※
 ――1994年に来日し、東京にある日本語学校に通い始めます。そして、上智大の大学院へと進みます。
 「日本に来て分かってきたのは、国づくりのためには初等教育の充実から始めないといけない。人材を育てなくてはいけない、ということです」
 「日本には地下資源、どこにもない。にもかかわらず、先進国になっている。なぜなのか。それは、私の考えでは、初等教育を普及させたから」
 「江戸時代には、あちこちで寺子屋や藩校がつくられている。そして、日本の識字率は100%ね。母国ベナンの識字率は、いまも30%ぐらい。私が留学生だったころ、小学校に通える子どもは半分いたかどうか。貧しいんです。茶色く濁った川の水しか飲めず、死んでいった子がたくさんいました」
 「ベナンだけではありません。アフリカは奴隷制、植民地政策の中で、欧米に搾取されました。フランスやスペインの人たちは、アフリカの子どもたちを育てようと思わなかった。技術を教えてくれなかった。だから、経済発展に取り残されました」
 ――2002年に「IFE財団」をつくり、ベナンに小学校をつくっていきます。
 「いままでに七つの小学校をつくりました。名前は、『江戸小学校』『所ジョージ小学校』『あいのり小学校』などです。テレビ出演料、本の印税など、日本のみなさまのおかげです」
 ――そして、2003年に『たけし日本語学校』をつくったんですね。
 「2000年のころのことです。私はテレビに出ていましたが、上智の大学院生でもありました。羽田空港から東京の都心に向かうリムジンバスに乗っていると、たまたま、となりに座ったのが、大学生だった山道昌幸さんでした。彼と30分ぐらい話をしました」
 「私は、山道さんに言いました。ベナンに日本語学校をつくって日本に留学生を送りたいんだ、と」
    ※
 山道さんが大学を卒業し、日本語学校設立に向けた準備が加速します。ただ、ゾマホンさんは日本での稼ぎをぜんぶベナンのためにはたいていて、お金はほぼなし。山道さんの貯金もゼロ。友だちから数百万円を借金し、2003年の9月、2人はベナンに「たけし日本語学校」を設立しました。
 ちなみに山道さんはいま、40歳。日本にNPO法人「IFE」をつくって代表をつとめ、ゾマホンさんとともに活動しています。また、先にゾマホンさんが支援に感謝した企業「グラフィコ」の社員でもあります。
    ※
 ――日本語学校の授業料は無料だそうですね。
 「貧しいベナンの人たちは学費を払えない。日本語を学んでもらうためには、無料にするしかないんです。もしお金をとってしまったら、上流階級の人ばかりが来る。私は、ベナンの階級社会を変えたい、なくしたい。だから無料にこだわりました。日本の国、日本文化に興味がある、でもお金ないの? かまいません、どうぞどうぞ、と」
    ※
 無料で学べる日本語学校をつくると、ベナンのラジオで告知をすると、2千~3千人が集まりました。全員を受け入れることはできないので、まずは先着順に30人を受け入れました。その後、クラスをいくつかつくり、いまは80人体制。これまでに1400人を超える人が勉強してきました。
 カリキュラムは、研究を重ねて独自につくっています。その中でもユニークなのは、歌をとりいれていること。三波春夫さんの「世界の国からこんにちは」、坂本九さんの「上を向いて歩こう」は、日本語の音が聞きとりやすく、生徒たちに好評だとか。また、8月6日と9日には黙禱(もくとう)をする。広島と長崎に原爆が落とされた日です。
    ※
 ――日本語学校では何にこだわっていますか。
 「あいうえおを学ぶだけではなく、日本文化を学ぶ場所だということです。日本の考え方、行動様式、宗教、食べ物、着物、そして技術を学ぶ場所なんです」
 「日本人の行動様式は、ほかの国の人とは違います。日本人は、自分のことを先に考えない。まず、相手に迷惑をかけないように動く人間です。社会の中で、自分さえ良ければいいとは考えない。私は、日本、北朝鮮、韓国など11カ国のベナン大使を務めていたことがあり、各国を見て回った。間違いないよ」
 ――そんな日本文化を学ぶと、人はどうなりますか?
 「心が切り替わります。そして、日本文化を学んだら、ベナンはアフリカの中の日本になれます。資源はなくても人材を育成すれば、日本のように一番になれます」
 「なぜなら、日本文化を学ぶと、日本に留学して農業や医療などの技術を身につけられる。『たけし日本語学校』からは、70人以上が東大、北大、名古屋大などで留学生として学び、ベナンに戻って活躍しています。日本文化を理解している人が、ベナンに増えれば増えるほど、日本政府も日本企業も投資しやすくなります」
 ――つまり、経済支援は人材育成から始めるべきだ、ということですか。
 「ベナンのことわざに、『魚をほしがる友だちに毎日魚を与えるよりも、魚の取り方を教えるほうがいい』、があります。いくらODA(政府の途上国援助)を何十億円、何百億円出したとしても、人材がいなければ効果はでません。投資するまえに、その投資を生かせる人材をつくらなくてはなりません」
 「だから、日本政府、そして日本の企業にお願いしたいのは、人材育成のための投資です。それを増やせば、ベナンと日本との間の信頼関係も生まれます。信頼関係があれば、企業は安心して進出できます」
 「ODAの額の多さに喜ぶのは、国の指導者たちだけです。問題は、そのODAは途上国の国民のためになるのかです」
 ――日本は、アフリカに多くの支援をしています。でも、日本の存在感が高まっているとは言えません。
 「仕方ないよ。奴隷制度のときはアメリカに搾取され、植民地時代は欧州に搾取されたわけですが、存在感が欧米の方が高い。だから、私は考えます。いちばんいいのは、日本の文化を理解してもらうこと、現地で日本語学校をつくることだと」
 「アフリカ人は誤解していますよ。日本人はみんなお金持ちだ、と。日本のことを理解すれば分かってもらえます。たしかに、日本人はアフリカ人よりお金持ちかもしれない。でも、毎日の生活に、たいへん苦労している。電気代、ガス代、水道代、交通費、生活費、たいへんなんだと」
 「日本でいちばん立派な人は、総理大臣でも政治家でもなく、小さな会社を命をかけて経営している社長さんと、いっしょうけんめい働いているスタッフさんたちなんだと。日本人は質素な生活をして、勤勉に働いている。そして歯を食いしばって払った税金の中から、アフリカ支援をしてくれているんだ、と。それを聞いたら、アフリカの人は日本からの支援をムダにできない」
 「日本のみなさまの税金によるODAのおかげで、アフリカどこにいっても、日本のODAで学校、建物、水、いっぱいある。日本文化の理解が深まれば、きっとアフリカの人は、『日本のみなさん、ありがとう』と思う。知らないだけです」
 ――経済のグローバル化が進んでいます。自由経済を賛美する人たちが、世の中にあふれかえっています。
 「その精神は、弱肉強食です。俺だけよければ、相手は死んでもいいという精神です。そうすると、強き者がもっと強くなり、弱き者がもっと弱くなる。行き着くところはテロリズム社会です。すでにそんな社会になっている気もします」
 「日本に大使として駐在していたとき、米国政府の関係者が言っていたことが忘れられません。10両の電車があったとして、いま先頭の1両目に乗っているのは欧米の企業です。日本はどんなにがんばっても、グローバル経済の中では2両目か3両目にしか乗れないね。1両目には乗れない、どんなに頑張ってもムリね、って」
 「では、日本はどうすればいいのか。日本の文化、精神でいくしかないと思う。象とかライオンの精神ではなくて、人間性、愛の精神で行動するのです。私が好きな日本語のひとつは『おかげさまで』。ここまで頑張ってこれたのはみなさまのおかげ。これからもよろしくお願いします。そんな精神です」
 「日本の文化を知ってもらうと、その地域と日本が交流、そこに経済、ビジネスが生まれます」
    ※
 ベナンは冷戦時代、社会主義の国でした。そして、いまから30年前に民主主義の道を歩み始めました。ベナンはアフリカでいちばん安全な国、民主主義がすすんでいる国と言われていました。
 ところが、2016年の大統領選挙で、タロン氏が新大統領になりました。身内や友人に特権をあたえ、物価を高騰させています。貧富の差が、さらに激しくなっています。
   ※
 ――ベナンは大変なことになっていますね。
 「日本のみなさんは、ルワンダやナイジェリアのことは知っている。なぜなら、虐殺、紛争が起こっているからです。日本のみなさんに、ベナンって知ってますかと聞くと、たいてい、うっ、それどこ? ぜんぜん知らない、となるでしょう。それは、平和の国だったから。内戦が起きていない国だったから。ペンは剣より強し、という考え方を貫いてきた国なのです。ベナン人は、人間の血を見たくないんです。ですので、いままで国内紛争、内戦は起きなかった」
 「けれどタロン大統領は、民主主義を壊しました。2019年4月の国民議会選挙で、野党からの立候補を禁止したのです。反発した国民に対して5月、政府は警察と軍隊が銃を向け、多くの死傷者が出ました。私は、まわりから立ってくれと言われ野党候補になるはずでしたが、出馬できませんでした」
 「選挙の投票率は、どうだったと思います? じつは4%だった。ふだんなら投票率は50%を超えます。異常です」
 「この夏の終わりの、とある夜。私は東京都内のホテルで、来日していた大統領と会った。彼は『ゾマホン、おまえは俺に徹底的に反対してる、でもね、俺はやりたいことはぜったいやるよ』と言いました。そうですか、と言って別れました」
 「私は、日本で稼いだお金を、ベナンの国民の教育、給食のために使いました。大統領は目が飛び出るぐらいの大金持ち。頼むよ、そのお金を国民のために使ってよ、と言いたい」
 ――日本のマスコミ、政治家に文句があるそうですね。
 「日本のマスコミに対して、私は怒っています。新聞やテレビでアフリカの情報を流すとき、ほとんどワンパターン。ケニアは自然、ルワンダは虐殺、南アフリカはアパルトヘイト。そんな一面だけで、国を言い表せるわけないよ。日本の国会議員も、アフリカのこと、ぜんぜん分かっていない。マスコミ、国会議員。あなたたちは、アフリカのことを伝えない、知らないという意味で『犯罪者』です」
 ――テレビで見ていた、「怒りキャラのゾマホンさん」を思い出しました。
 「大きな声で言いたいことを言う。そんな私を、日本のみなさまは可愛がってくださった。私は、恩返しをしようと思って、生きてきました。オリンピックのときも頑張りました」
 「2020年のオリンピックがどこで開かれるか、投票の日が迫っていました。駐日ベナン大使だった私は、日本政府の人に、『ゾマホン、アフリカを頼むよ』と頼まれ、その日の飛行機に飛び乗り、母国に帰りました。そのときのヤイ・ボニ大統領に、アフリカの国々に東京支持を頼んでもらいました。当時、大統領はアフリカ連合(AU)の会長でしたので、尽力していただきました」
    ※
 ゾマホンさんは、日本だけでなく北朝鮮などの大使も兼任していました。拉致問題の解決に向けて、特使を北朝鮮に送らせたこともありました。2017年、日本の外務省から、オリンピック招致と拉致問題などのために貢献したと表彰されています。
    ※
 ――ゾマホンさんは2016年、タロン大統領の誕生とともに、ベナン大使の任を退きました。
 「私は、広島市、長崎市とアフリカの多くの都市とを姉妹都市にしたかった。でも、大使をやめ、だめになった。広島、長崎を分からないと、世界は平和にならない。必ずいつか、やりとげます」
     ◇
 〈ゾマホン・D.C.ルフィン〉 1964年、西アフリカのベナン共和国に生まれる。ベナン国立大でアフリカ文学を学び、中国留学を経て94年、留学のため日本へ。日本語学校に通いつつ、バイトで生活費を稼ぐ。町工場で作業中、疲れすぎて左手の人さし指を切断してしまう。
 日本語学校を卒業した96年、上智大の大学院に研究生として入学、翌年、博士課程の学生に。
 そのころ、東京・高円寺のラーメン屋でスカウトされ、ビートたけしやテリー伊藤たちが出演するテレビ討論番組「ここがヘンだよ日本人」などに出演、主張を譲らないキャラクターで大人気に。また、99年に「ゾマホンのほん」、2000年に「ゾマホン、大いに泣く」を出版した。
 テレビ出演料や本の印税をはたいて、ベナンに「江戸小学校」「たけし小学校」「所ジョージ小学校」などを設立。多くの井戸もつくった。2012年から4年3カ月間、駐日ベナン全権大使をつとめる。北朝鮮、韓国など10カ国の大使も兼ねた。
 日本とアフリカの絆を深めようと02年、IFE国際財団を設立した。いま、ベナンと東京に拠点がある。IFE(イフェ)は、ベナンの言葉で「愛を分かち合う」を意味する。その代表として、ベナンの識字率向上、テロや貧困の闘い、人権の尊重、民主化の促進などを目的に活動している。



安倍首相の年頭会見
 仕上げの道筋が見えない
2020年1月7日:毎日新聞

 安倍晋三首相が伊勢神宮に参拝し、年頭の記者会見を行った。
 自民党総裁としての任期はあと1年9カ月となった。首相は「4選」を否定しており、長期政権は仕上げの段階に入っている。
 会見では首相がその点をどう語るかがポイントだった。
 首相が会見冒頭に強調したのは、東京五輪・パラリンピックへの期待と、「新時代を切り開く1年」にするとの意気込みだ。そのうえで、全世代型社会保障改革を「最大のチャレンジ」と位置づけた。
 しかし、今年の通常国会に政府が提出する関連法案は、年金などの給付水準を抑え、高齢者にも相応の負担を求める保険財政のやり繰りが中心となる見通しだ。
 人口減少と正面から向き合い、将来世代に活力を与える新時代のビジョンにはなっていない。
 史上最長の通算9年目に突入しながら、国民の将来不安は変わらず、成果に乏しいのが現状だ。これでは仕上げの道筋も見えてこない。
 憲法改正に関しては記者からの質問を受ける形で「私自身の手で成し遂げたい」と改めて意欲を示した。政権のレガシー(遺産)にしたい思いもあるのかもしれない。
 だが、首相在任中に本気で改憲を実現したいなら、野党を巻き込んだ国民的な議論が必要になる。与野党対立の極まった国会では、改憲手続きを定めた国民投票法改正案の審議すら2年近く棚上げ状態にある。
 首相がまず取り組むべきは「安倍1強」下で機能不全が指摘される立法府の立て直しだ。国会を軽んじる姿勢から改めなければならない。
 首相は海上自衛隊の中東派遣について、国会でほとんど議論しないまま昨年末に閣議決定した。
 会見で予定通り派遣する考えを示したが、中東情勢が緊迫する中でなぜ派遣が必要なのか。与野党で徹底的に議論する必要がある。
 「桜を見る会」の問題も通常国会で議論すべき重要なテーマだ。
 しかし、会見で首相は記者の質問に具体的な説明はせず、「今後も丁寧に対応してまいりたい」と述べるにとどまった。
 野党の求める審議を拒み、説明責任に背を向けた前国会の繰り返しにしてはならない。


首相年頭会見 内外の課題に適切な対処を
2020年1月7日:読売新聞

 安倍首相が、三重県伊勢市で年頭の記者会見に臨んだ。直面する内政、外交の課題に的確に対処して、成果を上げなければならない。
 首相は社会保障制度改革について、「全ての世代が安心できる制度に改革する。これが本年最大のチャレンジだ」と述べた。
 深刻な少子高齢化に対応し、制度の持続可能性を高めることが重要だ。高齢者に偏ってきた給付を改め、現役世代の負担増を抑える見直しは避けられない。
 政府は通常国会に、厚生年金の適用対象をパート労働者らに広げる法案を提出する。非正規で働く人は、将来の低年金や無年金が心配される。厚生年金への加入で不安を和らげる意義は大きい。
 企業に70歳までの就業機会の確保を促す関連法案もある。社会保障の「支え手」を増やすための施策は、理にかなう。政府・与党は早期成立を図らねばならない。
 首相は憲法改正論議について「改正原案の策定を加速させたい」と述べた。与野党は衆参の憲法審査会を速やかに開催し、憲法の本質的な議論を始めるべきだ。
 首相は、東京五輪・パラリンピックの円滑な開催を目指す方針を強調した。世界的なイベントはテロやサイバー攻撃の標的となりやすい。政府と民間企業は協力し、万全の対策を取る必要がある。
 現行の日米安全保障条約は、間もなく締結から60年を迎える。首相は「日米同盟は今なお外交・安保政策の基盤だ」と強調した。
 米軍駐留経費の負担に関する日米間の特別協定の期限は、来年切れる。今年行われる改定交渉で、トランプ米政権が一層の負担増を求めてくるとの見方がある。
 日本が基地を提供することで、米国はアジア・太平洋地域で安保上、優位な立場を保っている。経済的な利益も享受していよう。政府は、そうした事実を米国に丁寧に訴えていくことが大切だ。
 米国とイランの対立激化で、緊迫の度を増している中東情勢には、細心の注意が要る。
 日本は原油輸入の約9割を中東に依存する。事態が悪化して輸入が滞れば、経済への影響は計り知れない。首相は「緊張緩和のため外交努力を尽くす」と語った。
 政府は海上自衛隊の部隊を中東に派遣する。護衛艦などがオマーン湾やアラビア海北部などで、情報収集任務にあたる予定だ。
 日本が、海上交通路の安全確保に貢献するのは当然だろう。海自は現地の情勢を見極め、円滑な活動を目指すべきである。


記者の目
安倍政権の行方 自民は自浄能力示せ
=飼手勇介(政治部)
2020年1月8日:毎日新聞

ホテルニューオータニの「鶴の間」で開かれた内外情勢調査会の会合で講演する安倍晋三首相
=東京都千代田区のホテルニューオータニで2019年12月13日、川田雅浩撮影

 東京五輪・パラリンピックに注目が集まる今年、安倍晋三首相と自民党は正念場を迎える。2019年11月には桂太郎元首相の最長在任期間も更新した首相だが、21年9月の3期目の自民党総裁任期満了を控え、「政権末期」のイメージは色濃くなる。首相主催の「桜を見る会」を巡る一連の問題で内閣支持率の低下傾向が続く中、党内では「五輪後の退陣」を予想する声もくすぶり、首相が求心力を維持し続けるのは容易ではない。自民党では「ポスト安倍」を巡る動きが本格化するのは確実だが、首相も党も、長期政権の「ひずみ」に対する自浄能力をいかに示せるかが問われる。

不信増幅させた首相の説明逃れ

 「国づくりを進めていく上において、国民の信を問うべき時が来たと判断すれば、ちゅうちょなく衆院解散の決断をやる」。首相は19年12月13日の講演でこう明言した。会場は東京・紀尾井町のホテルニューオータニの「鶴の間」。同年4月、桜を見る会の前日に後援会関係者を集めた「前夜祭」が行われた場所だったが、首相は前夜祭に触れないまま、強気の姿勢を示し続けた。
 解散をちらつかせるのは、今月召集される通常国会に向け、桜を見る会で攻勢を続ける野党をけん制するためだ。
 「森友学園」国有地売却や「加計学園」獣医学部新設を巡る問題で内閣支持率低下を招いた首相は17年、衆院解散に踏み切り、与党が勝利した。野党内では首相の強気の言動から「桜を見る会の『リセット』を図るため、通常国会前半の衆院解散もある」と疑心暗鬼の声も漏れる。
 ただ、与党内では解散時期について「五輪直後」を予想する声が強い。「桜」で内閣支持率が低下傾向にある中、今年前半の解散は得策ではないとの見方からだ。だが五輪直後の解散も不透明さが漂う。首相の求心力が回復しなければ「五輪を花道に退陣を」との声も強まる可能性は高まる。首相経験者は「終わりが見えた首相の求心力は落ちる。その中での政権運営ほど難しいものはない」と語る。
 強気に解散もちらつかせる首相だが、17年の衆院選後も野党は森友・加計問題で追及を続けた。選挙で「桜」をリセットするのは難しいとみられる。状況を打開するには、首相自らによる説得力のある説明を行う必要がある。
 「桜」を巡る一連の問題が露呈したのは、政権の緩みと脇の甘さだ。招待者の選考基準の不透明さが問われているにもかかわらず、政府は名簿を廃棄し「データ復元も不可能」と主張。会費が通常価格より低い1人5000円だった前夜祭についても、首相サイドは「明細書はない」と繰り返した。文書管理のあり方を根本から問われる問題だ。首相も当初、「招待者のとりまとめに関与していない」と説明したが、その後の答弁で「事務所から相談を受ければ推薦者について意見を言うこともあった」と修正した。野党が求めた衆参予算委員会の集中審議も開かれず、首相が正面から説明する場面はほとんどなかった。首相自身が疑問に丁寧に答えながら、長期政権のひずみを修正していく自浄能力が求められる。

ひずみ修正が後継候補の課題

 気にかかるのは、自民党の「無気力さ」だ。党内では首相や政権に対する批判の声がほとんど上がらず、擁護論が大勢を占めた。長年の安定政権で主要派閥が軒並み首相を支持する「安倍1強」の構造を生み出し、党幹部が政権に厳しい注文や批判をする場面はほとんど見られない。もともと自民党は党内の派閥が活発に競い合いながら自浄作用を働かせた。首相の「終わり」も見える今年は、こうした自浄能力を取り戻す好機になると考える。
 首相は総裁4選を否定していることから、今年の党内の関心は「ポスト安倍」に移りつつある。岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、小泉進次郎環境相、加藤勝信厚生労働相、河野太郎防衛相らが取り沙汰されている。「次」を狙う候補者が新しい政権像を示して党内の論戦が活発になれば、党の活性化につながる。議論の焦点は、今の長期政権のひずみに向き合い、いかに修正していくかになる可能性が高い。
 候補者の多くは政権中枢のポストに就き、今は政権への苦言を控えている。正面から政権批判を繰り返したのは石破氏のみだ。だが、国民の支持を圧倒的に集める候補者が不在の中、「次」を狙う実力者は存在感をいかに高められるかが「レース」の注目点だ。

政治部・飼手勇介記者

 今のところ、党内で最も注目を集めるのは、岸田氏だ。「首相の意中の人」とされ、主要派閥も岸田氏と距離を縮めつつある。だが、首相の経済政策などを引き継ぐ「継承路線」が基本の岸田氏は党内の反発を懸念し、新しい政権像を明確に示すことは避けている。最も注目を集める岸田氏が安倍政権のあり方を継承しながら修正すべきところを修正する姿勢を率先して示せば、党内は活性化するのではないか。
 長期政権でたまった「膿(う)み」をいかに出し切るか。首相も「ポスト安倍」候補者も、重い課題が突きつけられた1年になる。


拓論’20
国際主義の1世紀 協調の衰退食い止めたい
2020年1月8日:毎日新聞

 第一次世界大戦の惨禍を教訓に100年前の1月10日に発足したのが国際連盟である。世界平和と国際協調を理念に掲げた初の国際機関だ。
 帝国主義のもとで軍事力を背景に領土拡張を競った19世紀の外交を根底から覆した。地球規模の平和を追求する20世紀の外交の礎となった。
 孤立主義が残る米国は参加せず、もろい体制だったのは否めない。大恐慌が世界の分断を生み、第二次世界大戦を防ぐこともできなかった。
 それでも国際連合に引き継がれたのは普遍の価値があったからだ。不戦、軍縮、集団安全保障、国際協調、自由経済はその中核をなす。
 最も重要なのは、自国の利益のみを追求するのではなく、世界の利益に貢献する精神だろう。提唱者のウィルソン米大統領はこう説いた。
 「すべての国民と民族への正義と、強弱を問わず自由と安全の平等な条件の下に生きる権利が原則だ」

「米国第一」が壊す秩序

 1世紀を経て国際主義の理念が再び試練を受けている。震源はトランプ米大統領だ。そのトランプ政治を問う米大統領選が11月に行われる。
 「米国第一が原則になる」。3年前の就任式でトランプ氏が訴えたのは国際主義への決別だった。
 米国が主導したグローバル化は世界経済を拡大させた。だが、国内格差は深まり、労働者は低賃金に苦しみ、薬物中毒が社会問題になった。
 不法移民の存在を敵視する風潮も広がり、民族ナショナリズムの台頭を招いている。移民排斥を訴える白人至上主義はその一例だろう。
 市民生活の劣化と分断は国際主義のもとで米国が疲弊した結果だ――。そう考えるトランプ氏が、やり玉に挙げたのが貿易と同盟である。
 最大の貿易相手国で最大の貿易赤字を抱える中国に高関税を課す貿易戦争を仕掛け、ほぼすべての輸入製品に発動する直前まで至った。
 中国からの大量の廉価製品が米国の雇用を奪っているという。だが、米国経済の繁栄は自由貿易のたまものだ。保護主義はそれに逆行する。
 世界にまたがる同盟ネットワークは米国主導の安定と秩序の要だ。歴代政権は世界の安全を守るための投資すべき資産と位置付けていた。
 しかし、トランプ氏は削減すべきコストとみる。負担は同盟国が担うべきで、米軍駐留経費を増額しなければ撤収すると言う。こうした態度は米国への信頼を低下させている。
 では、大統領がトランプ氏から代われば世界秩序を重視する元の米国に戻るのだろうか。
 ライバルの民主党候補者らは自由貿易と同盟関係の重要性を訴える。だが、外交ではトランプ氏と通底する点が多いことも見過ごせない。
 多くは紛争への介入に慎重で、同盟は「慈善ではない」と言う候補もいる。外交は二の次で、経済や医療など内政問題を重視する。
 トランプ氏が敗れても、左派ポピュリズムの立場を取る民主党候補が勝利すれば、米国が国際舞台から退いていくのはまぬがれないだろう。

ミドルパワーの連携で

 「世界が深刻な無秩序状態に陥るのを懸念する」。カーター米政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めたブレジンスキー氏は3年前、トランプ時代を占っていた。
 トランプ政権は年明け早々にイランの大物司令官を無人機攻撃で殺害した。トランプ氏の衝動的な判断が中東情勢を混迷に陥れている。
 米国の身勝手さの一方で中国とロシアは強権的な外交を展開する。世界は動揺し、ブレジンスキー氏が予測した危険水域に近づきつつある。
 国際協調の衰退を食い止めつつ、米中露の力関係の変化に対応した現実的な秩序をどう構築するか。
 21世紀の世界が抱える共通の課題は多い。核軍縮をはじめ国際テロや貧困、温暖化対策は、積み上げてきた国際連携を一段と強化すべきだ。
 新たな脅威であるサイバー攻撃やAI(人工知能)兵器には国際的なルール作りが求められる。軍事先進国の米中露なしには実現できない。
 貿易の円滑化や投資の拡大は重要だが、同時に労働者の利益を保護する方策を協力して探求しなければ、国内格差の拡大を助長しかねない。
 国際主義の恩恵を最も受けてきたのは日本や欧州、カナダ、オーストラリアなど米国と連携する民主的なミドルパワーの国々だ。
 米国に軌道修正を迫るべきだ。世界の課題にリーダーシップを発揮し、米国が同盟は不可欠だと認識するような存在感を示す必要がある。



古賀茂明
「官僚よ、異論を唱える義務感を持て!」
2020年1月7日:週刊朝日

 謹賀新年。

 年が改まり、昨年のことが「リセット」されることを期待する人たちがいる。

 昨年、「桜を見る会」スキャンダルを国会「閉会」で何とか逃げ切った安倍晋三総理、安倍総理の代わりに記者会見でボロを出し、「令和おじさん」から「桜おじさん」に転落した菅義偉官房長官。そして何より、連日野党にボコボコにされ続けた哀れな内閣府の官僚たちだ。1月20日に始まる通常国会で、野党が「桜!桜!」と攻勢をかけてきても、世論が「リセット」されていて盛り上がらなければと切望しているはずだ。

 内閣人事局ができて人事権を総理に握られ、安倍総理を守るために支離滅裂な答弁をせざるを得ない内閣府の官僚たちが「気の毒」だという声もある。しかし、彼らは、本当に同情に値するのだろうか。

 官僚が総理の掲げる政策実現のために尽力するのは当然のことだ。

 国会議員は選挙で選ばれ、総理は国会議員に選ばれる。ともに国民に責任を負い、それを果たせなければ、政治家は落選し、総理はその地位を失う。

 一方、官僚は、国民に対して責任を負わない。だから、政治家が国民に代わって人事評価を行い、国民のために働かせる。それが正しい「政治主導」だ。

 しかし、全て大臣や総理の言いなりになればよいというものではない。

 日本郵政や東京電力の改革で活躍した宇田左近氏がアメリカのコンサルティング企業マッキンゼー社で働いていた時、社員に「異論を唱える義務」が課されていたという。「自由に意見を『言っても良い』」のではなく、「言わなければならない」という義務である。

 その裏には、異論が許されない組織は必ず間違いを犯すという考えがある。「桜を見る会」で官僚たちは、羽目を外す安倍総理たちに「異論を述べ」ないどころか、情報隠蔽という間違いを犯した。彼らの答弁を見ていると、子供でもおかしいと気づくことに、まるで気づいていないかのようだ。

「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」

 ガンジーが語ったとされるこの言葉。

 まさに、今の官僚たちに当てはまる。おかしいと思った時に、いつも諦めて異論を述べず、黙々と従っていると、それが当たり前となり、ついには、間違っているということに気付くことさえできなくなる。

 だから、それが徒労に終わるとわかっていても、なお、異論を述べなければならないということだ。

 しかし、よく考えると、これは他人ごとではない。

 私の経験では、官僚が意を決して異論を述べ、声を上げる際、唯一の望みは、マスコミの正しい報道と国民世論の支持だ。

 しかし、「今はとてもそういうことが期待できない」と官僚が考えているとしたら。

 これは、私たち自身の問題だということだ。

 そもそも、国民の権利は、官僚に守ってもらうものでも、政治家に守ってもらうものでもない。自分たちの力で守るものだ。

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」

 憲法第12条もそう私たちに教えてくれている。

 新年だからといって、「リセット」してはいけない。

※週刊朝日  2020年1月17日号

政治家のジェンダー差別発言ワーストは?
麻生太郎氏ら8人がノミネート
「子どもは3人」「美人じゃないけど」…。あの発言、覚えてますか?
2020年1月3日:ハフィントンポスト
安倍晋三首相(左上)、萩生田光一氏(右上)、麻生太郎氏(左下)、稲田朋美氏(右下)

2019年に問題視された政治家の性差別発言の中でも特に見過ごせないワースト発言は?
政治家のジェンダーに関する問題発言の中からワースト1位を決めるインターネット投票が始まっている。大学教授らでつくる「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が呼びかけているもので、投票は1月9日まで。

2018年のワーストは麻生太郎氏
2017年に始まったキャンペーンで今年で3回目。同会がワースト候補をピックアップし、ネット投票で順位を決める。
初回の2017年は、稲田朋美衆院議員(自民)ら5人の発言がノミネートされ、山東昭子参議院議員による「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」という発言がワースト1に選ばれた。
翌2018年は、杉田水脈衆院議員がダブルノミネートされるなど12の発言がピックアップされ、財務省元事務次官による女性記者に対するセクハラ問題を巡る麻生太郎氏の一連の発言がワースト1となった。

ノミネート数は減少「望ましい方向に変化」
2019年のワースト候補の発言は8つ。
5月には、自民党がジェンダーや性的マイノリティに関する発言などへの注意喚起を求める「失言マニュアル」を配布したこともあり、前年よりもノミネート数は減った。
同会によると、7月の参院選後はジェンダー差別の観点で問題となるような公的発言の報道はなかったという。同会は「もしかしたら、公職にある人々がジェンダー差別的な公的発言をしないよう、以前よりも注意するようになったのかもしれない」と推測。「望ましい方向への変化」だと評価している。

2019年のワースト発言候補と選出理由は以下の通り。

平沢勝栄衆院議員
「LGBTで同性婚で男と男、女と女の結婚。これは批判したら変なことになるからいいんですよ。もちろんいいんですよ。ただ、この人たちばっかりになったら国はつぶれちゃうんですよ」(1月3日、山梨県内での集会)
非現実的な想定のもと、同性愛者が増えることに強い危機感を持つよう聴衆を煽る発言。

麻生太郎財務相
「(日本人の平均寿命が延びたのは)いいことじゃないですか。素晴らしいことですよ。いかにも年寄りが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるけど間違ってますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」(2月3日、福岡県内の国政報告会)
子どもを産み育てにくい社会のありかたやそのような社会を作り上げてきた政治の責任に言及することなく、「子供を産まなかった」個人のみに社会保障費問題の責任を押し付ける発言。

桜田義孝衆院議員
「お子さんやお孫さんにぜひ、子どもを最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」(5月29日、千葉県内の会合)
個人の生き方の選択の自由という基本的人権を無視するような発言。

増子輝彦参院議員
「(女性の参院議員候補について)ご覧の通り決して美人ではないが、非常にチャーミング」「見た目は優しい感じでチャーミングでしょう。美人ではないけど」(7月19・22日、福島県内での選挙応援)
選挙を控えた候補者が弁士の発言に抗議できない構図のもと、「美しい女性ではない」ことを述べる揶揄的表現等を使用して候補者の外見的魅力度を鑑定してみせ、聴衆にも同様にするよう呼びかけた発言。

稲田朋美衆院議員
「自分と森(雅子参院議員)さんの共通点は2人とも美人ということ」「森さんがいるだけで華やかだ」(4月中旬、福島県内の集会)
女性政治家の役割を外見的な魅力に押し込める発言。

三ツ矢憲生衆院議員
「この6年間で吉川有美(参院議員)は何をしてきたのか。一番大きな功績は子どもをつくったこと」(7月12日、三重県内での参院選応援演説)
吉川氏を「議員」としてではなく「子どもを産むかどうかによって功績の程度が決まる女性という存在」として扱う発言。

萩生田光一衆院議員
(三ツ矢議員の発言について)「母親になって一つ大きくなった候補を応援してほしいという趣旨だ」「聴衆からは一番拍手があった」(7月14日、東京都内で記者団に)
女性の現職候補を「現職政治家」としてではなく「母親になることで一つ大きくなる女性という存在」として眺めるステレオタイプな女性観を肯定する発言であるとともに、政治家の不適切な公的発言が「ジェンダー差別を肯定してよい」という社会的風潮を作ってしまうことへの危機意識に乏しいことを示す発言でもある。

安倍晋三首相
「お父さんも恋人を誘って、お母さんは昔の恋人を探し出して投票箱に足を運んで」(7月16日、新潟県内での参院選応援演説)
恋人を持つことについて、男性既婚者の場合と女性既婚者の場合で異なる評価を与えることを前提とする冗談、またはリップサービスと思われる発言。恋愛や結婚に関し、性別によるダブルスタンダードを公然と肯定している。

コメント

非公開コメント